虚無の先の魔法少女   作:おおは

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戦い

私は精一杯の力を込め、新注のハンマーを振り回す。

 

周囲の魔獣をその勢いで叩きつける。

 

「グガァァ!!」

 

大きな咆哮と共に何体かが吹き飛んでいく。

 

少し開けた視界で、チームメンバーの方を見る。

 

アローは辺りを駆け回り魔獣を拡散。

 

イマジネーションは私と同じく周囲の魔獣を片付けていた。

 

”想像”によって生み出された岩塊が数体の魔獣を押しつぶす。

 

砂埃のその先に、もう一人のチームメンバー。

 

Ⅵ級魔法少女オルテクト。

 

リーダーであるインテリタスは現在作業で動けない。

 

故に、彼女が一番階級が上だった。

 

そんな彼女と向き合うのは一体の魔獣。

 

一枚の薄い黒布を身に纏い、異質なオーラを放つ棍棒を手に持つ人型魔獣。

 

先ほど喋っていた一体だった。

 

「オ、オマエ……ツヨソウダナ」

 

窪んだ目でオルテクトを捉えながら口のようなものを開く。

 

対してオルテクトは平然とした様子で聖杖を構えた。

 

「Ⅴ級に時間は費やしたくありません。その聞きにくい声やめてもらっていいですか?」

 

言い終えると同時に、彼女は地面に聖杖を突きさした。

 

瞬間、辺りを清らかな光が覆う。

 

「固有魔法―――――浄化世界(ホーリー・ワールド)

 

魔獣達がその光に包まれた瞬間。

 

皮膚が黒い塵と化しながら溶けていった。

 

魔獣達が思わず悲鳴の咆哮をあげる。

 

だが、その光の中でも例の魔獣は立っていた。

 

僅かに悶えるだけで、余力が多く残っているようだった。

 

「この程度じゃ効きませんか。……まぁ想定内ですが」

 

オルテクトが聖杖を地面から抜き、今度はそれを槍のように構えた。

 

「直接地獄行きの粉末にしてやりましょう」

 

純白の衣を靡かせながらオルテクトが踏み込む。

 

雷のような速さで、されどそこには技術の美しさがあった。

 

「では塵芥になってください」

 

美しいフォームのままオルテクトが聖杖を上から振り下ろす。

 

対して、魔獣もまた棍棒を下から振り上げる。

 

二つの武器が衝突する瞬間――――――

 

ドガァァァ―――――!!!

 

辺りを旋風が巻き上げた。

 

地面が抉れるように巻き上がっていく。

 

強風のあまり、何匹かの魔獣が巻き上げられている。

 

「おっ!! チャンスですねっ!」

 

浮いて無防備な魔獣達に、アローが魔力矢を放つ。

 

「固有魔法―――――爆発矢(エクスプロ・アロー)ですっ!」

 

魔獣達を突き刺した矢は、次の瞬間大爆発を起こした。

 

私とイマジネーションはあまりの爆風に思わず腕を前に突き出した。

 

ローも私の後ろで風を凌いでいる。

 

風と砂埃が収まったその先。

 

そこでは未だ魔獣とオルテクトが互いの武器で打ち合っていた。

 

聖杖を自由自在に振り回しながら、同時に光を纏って打つ。

 

そこには変わらず美しさと完成された動きがある。

 

対して魔獣は技術もなにもない動きで対応していた。

 

偏に魔獣のスペックだろう。

 

圧倒的速度で繰り返される暴力の応酬。

 

光が線のように軌跡を走り描く。

 

ドガンドガンという音が遅れて聞こえるようだった。

 

「これがⅥ級魔法少女……」

 

私は改めてその強さに痺れた。

 

胸の奥が、熱湯のように熱くなる。

 

昔からずっとずっと憧れた所、地点。立ってみたいと、戦いの最中思ってしまった。

 

「流石っぴね……打ち合いは大分有利みたいっぴね」

 

ローが一升瓶を飲みながら呟く。

 

確かによく見ると、魔獣の腕から少しずつだが黒い塵が舞っているのが見えた。

 

「グッ……!メんドウくサイヤつダナ」

 

魔獣が一度距離を取り、忌々し気に叫ぶ。

 

「褒めていただき恐悦至極。魔獣に褒められても嬉しくはありませんが」

 

オルテクトが聖杖で砂埃を振り払いながら平然と言う。

 

呼応するように純白の衣が靡き、聖杖が清らかな光を纏った。

 

それが私にはひどく美しく映った。

 

 

 

 

 

 

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