虚無の先の魔法少女   作:おおは

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再会の屋上

『――――――I just got a call from my subordinate. Apparently the magic core of a VI-class demonic beast was stolen, you know.』

(たった今部下から連絡が入った。Ⅵ級魔獣の魔力核が奪われたそうじゃないか)

 

画面越しに年を取った厳つい顔の男が言い放つ。

 

その画面に少しだけ反射して映るのは僕。そして、フェアリーテイルの姿だ。

 

先ほど握手会が終わってここへと来た。

 

僕が肩を竦めると、椅子が軽くキシリと鳴った。

 

『Wow.....As expected from the president. Information is really fast.』

(流石は大統領。情報が早いね)

 

『Don't underestimate our country. More importantly, what do you plan to do with the stolen magic core?』

(あまり我が国を舐めるな。それよりも、盗られた魔力核をどうするつもりだ?)

 

男が眉間の皺を寄せる。

 

それでも着ている綺麗なスーツと相まって非常に風格が出ていた。

 

『well.......I want to get it back, but that organization is strong you know.』

(取り返したいのは山々だけど、相手も中々侮れないからね』

 

『However, the magic core is dangerous. We must retrieve it as soon as possible.』

(だが、魔力核は危険な代物だ。一刻も早く取り戻すべきだ)

 

『I know I know,,,,,,, I will do my best.』

(わかってるわかってる。頑張るさ)

 

僕が手をひらひらとしながらそう言うと、男は画面越しに呆れたように額に手を当てた。

 

聞こえていなくても溜息が聞こえる気がする。

 

『Ok,,,,,, Okay... I really can’t trust you, but I trust Fairy Tail. I'm looking forward to Fairy Tail too you know』

(わかった。お前のことは信用ならんが、フェアリーテイルのことはくれぐれも頼んだぞ)

 

『I know. Leave. it to me』

(分かってる。任せて)

 

僕がそう言い終えると、隣でフェアリーテイルが席を立った。

 

画面のライトに照らされ、あどけなさの残る顔が浮かび上がる。

 

そして、静かにお辞儀をする。

 

『Thank you dear president』

(有難う、大統領)

 

すると、男が柔和な笑みを一瞬浮かべた。

 

相変わらず自国の人間と真面目な奴には甘いやつである。

 

『Your welcome. You can do. See you』

(気にすることはない。君なら大丈夫だ。また会おう)

 

『See you』

(バイバイ大統領)

 

テレビがプツリと切れ、画面が真っ暗となった。

 

「うーん。大統領も中々せっかちだね。魔力核なんて一個くらいやればいいものを。どうせ向こうからそれを使ってくれるから、その時に回収すればいいのにねぇ」

 

僕は軽い溜息を付くと、フェアリーテイルを促し廊下に出た。

 

廊下の白い人工灯が僕を迎え入れる。

 

「いかがでしたか?」

 

廊下に立っていたフルフレイムが此方に気づき、近づき様に問いかけてくる。

 

「やっぱりⅥ級魔法少女が奪われたよりも、魔力核が奪われたことがお冠みたい」

 

「そうですか……」

 

僕がアハハと苦笑を浮かべてから、その場を後にしようとした時。

 

フルフレイムが声を投げかけてきた。

 

「最後に一つ、いいですか?」

 

どこか緊張感があるような、そんな声。

 

僕は少しだけ口端を吊り上げながら振り返った。

 

「なんだい?」

 

すると、彼女は一瞬口籠ったが、やがて口を開いた。

 

その視線は不安と真剣が混じり混ざったよう。

 

「どこまで想定済みだったのですか?」

 

「まさか。Ⅵ級魔法少女まで盗られるなんて分からなかったよ」

 

 

◇     ◇     ◇     ◇     ◇

 

 

 

その夜。僕は屋上のベンチに座っていた。

 

風雨に晒され続けたベンチは、どこか冷たさを感じる。

 

僕はそこで、変身を解いて冷えた緑茶を飲んだ。

 

いつもより短い髪が、夜風に揺れる。

 

同時に、ネオンライトが僕の目を刺激する。

 

やがて、目的はやってきた。

 

僕は敢えて振り返らずに言い放つ。

 

「やぁ、久しぶりだね。ロー」

 

「そうだっぴね。ヴェニタール。今は幽玄渚と呼んだ方がいいっぴか?」

 

久しぶりの可愛らしいソプラノが、夜風に包まれて耳に届いた。

 

 

 

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