虚無の先の魔法少女   作:おおは

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年上へのご挨拶

「本部に招集ですか……」

 

大阪支部支部長室にて、支部長柏田の前にタイラントとイマジネーションが立つ。

 

だが、イマジネーションは心配そうにチラチラとタイラントを見ていた。

 

「そう。ただし、イマジネーションだけだね」

 

柏田がそう言うと、イマジネーションは驚いたような表情で柏田を見た。

 

「私だけ……?」

 

「そう。イマジネーションはすぐに本部へ来ることと言われたよ。詳細は変わらず秘密と言われた。全く支部長を何だと思っているんだろうね」

 

苦笑する柏田。そして、イマジネーションは未だ驚きを隠せないでいた。

 

「では何故私は呼ばれたのでしょう?」

 

その中で唯一タイラントは真剣な目を柏田に向けた。

 

しかし、その目は薄暗く濁っている。

 

柏田は思わず息を吞んだ。

 

最近変わったというのは聞いていたが、ここまでだとは思っていなかった。

 

「……君は隣の部屋に呼ばれているんだ」

 

見る目は年老いていく度に劣っているのだなと実感させられながらも命令に従う。

 

今の柏田には大した力はないのだ。思わず奥歯を噛みしめてしまう。

 

「隣の部屋……?」

 

「……そう。そこにいる魔法少女に会ってくれるかな?」

 

「魔法少女に? Ⅶ級の方ですか?」

 

タイラントが困惑を隠せない、と言った様子で柏田へ問いかける。

 

だが、柏田にも分からない。何も知らせてくらない本部を今は恨ましく思う。

 

「いや違うのだけど、私が知らない魔法少女なんだ……すまないね」

 

そう、全く見知らぬ魔法少女だったのだ。魔法省創立の少し後からずっといた柏田の知らない魔法少女。

 

「いえ、分かりました。では私はこれで」

 

そう言ってタイラントは軽く辞儀をすると、そそくさと支部長室から出ていった。

 

残されたのは柏田と、沈痛な表情のイマジネーション。

 

「イマジネーション」

 

柏田がやけにはっきりとした声を静寂の中に響かせる。

 

柏田を見たイマジネーションは思わず息を呑んだ。

 

「タイラントの事、よく見ておいて欲しい」

 

そう言った柏田は、鋭い眼光をしていた―――――

 

 

◇     ◇     ◇     ◇

 

 

「……失礼します」

 

私は支部長隣の部屋をノックする。

 

何故私はこんなことをしているのだろう。

 

私はもっと強くならなければならないのに。

 

自分の手を見る。未だ掴み落としてしまう手。

 

ドアノブは掴めるのに、と自嘲しながら扉を開く。

 

「おんや~?」

 

瞬間奥から聞こえる、甘ったるい声。だが、妙な妖艶さを感じる。

 

部屋の奥を見る。

 

そこにはやはり、見慣れない魔法少女がソファに座っていた。

 

「君が例のコかな~?」

 

濃緑の大きなドレスを着た若干大きな体躯。

 

そして、薄緑色の輝かしい長い髪。

 

肩からはまるで聖霊樹のような木が生えている。

 

まるで”自然の妖精”の体現のようだった。

 

だが、その口元の笑みがまるで堕落した天使のようなイメージを与える。

 

「そうですね。名前はタイラントです」

 

その隣には一人の男子。

 

だが随分中性的で、髪が目にかかっている為に判断しづらい。

 

魔法少女関係で男子がいるということは、バイトか何かだろう。

 

彼の言葉に、緑の魔法少女はひどく残酷で、猟奇的な笑みを浮かべた。

 

「へぇ~これが……随分弱っちそうだね~ふふっ」

 

瞬間、場を支配する圧倒的プレッシャー。

 

まるではりつけにされたように全身を突き刺す。

 

思わず背筋が凍り付く。冷や汗が額を流れる。固唾が喉を通らない。

 

まるで、組織長と対面している時のような感覚。

 

「じゃあ自己紹介しよ~。私はプラントニア。古き魔法少女の一人だよ~」

 

それは甘ったるい声。されど、王者としての荘重さがあった。

 

そして有り得ないことに、そのソファからは段々と花が生え始めていた。

 

 

 

 

 

 

掲示板が欲しいかい?(by nihil)

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