虚無の先の魔法少女   作:おおは

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年上へのご挨拶②

―――――少し後、本部にて。

 

 

一人の魔法少女の後を、イマジネーションは歩いていた。

 

前を歩くその魔法少女は、本部への門を潜ってすぐに待っていて「こちらへどうぞ」と案内を申し出した。

 

だが、非常に違和感のある魔法少女だった。

 

全身が影のように少しうす暗いのだ。

 

色彩に富んでいることの多い魔法少女のドレスが、くすんで見える。

 

それは肌も同様だった。

 

まるで魔獣の特徴のようだ、とイマジネーションはタイラントの心配心を一時消して警戒した。

 

そんな魔法少女に案内されたのは前回と同じルート。

 

フルフレイムと通った道を、エレベーターを過ぎる。

 

だが最後は違った。

 

組織長室の二つ前のドアで彼女は止まった。

 

「こちらの部屋です。中にお入り下さい」

 

そう言うと、彼女は溶けるように消えていった。

 

思わず驚くイマジネーション。まさに影のごとし消え方だった。

 

有力な魔法少女なのだろうか?

 

そう思いながら、案内に従い目の前のドアに手を掛け、押し開いた。

 

瞬間、目の前に広がったのは。

 

部屋というようなものではなかった。

 

広大な庭園のような世界だった。

 

まるでドアが別世界に繋がっているような感覚。

 

辺りを見渡すと、あちらを向けば不思議な巨大植物。こちらを向けば綺麗だけど巨大な花。風までもが温かく辺りを通り過ぎていく。

 

「……凄い」

 

思わず息を呑む。

 

きっと、魔法で作られているのだろう。

 

その景色の遠くにテラス席が見える。お姫様がいそうな雰囲気の、である。

 

そこに小さな人影があった。

 

ここの主なのだろう、と思ったイマジネーションが感嘆しながらそこに向かって行く。

 

歩く感覚までもが草原を歩く広々としたものだった。

 

やがて着いたイマジネーションは、テラスで綺麗な椅子に座っている主へと視線を向けた。

 

「……誰?」

 

視線を向けられた本人は、無表情で首を傾げた。

 

イマジネーションよりも小さな体躯を包む薄青色のエプロンドレスに、輝くような紅銀髪。

 

そして、頭に付く大きなリボン。

 

イマジネーションと似た雰囲気だったが、魔力差は最早別物だった。

 

本来なら可愛く見えるはずの彼女から、全てを凌駕するような魔力が溢れていた。

 

組織長のような、いや、それよりもかもしれない。

 

少女の視線がイマジネーションを射抜く。

 

イマジネーションは思わず背筋を伸ばし、固唾を飲んだ。

 

「……ここに呼ばれた」

 

「……そう、なら、貴女がイマジネーション?」

 

「……そう」

 

イマジネーションが言うと、少女は無表情を貫いたまま抑揚なく言う。

 

「……なら、合ってる。ようこそ、”アリスの部屋”へ」

 

そう言った少女が目を一瞬ズラすと、瞬間目の前に椅子とティーポッドが現れた。

 

「……私はフェアリーテイル。ヴェニタールの、お友達」

 

ティーポッドが独りでに動き、また突然現れたティーカップへ紅茶を注ぐ。

 

コポポ……と辺りを満たす香良い匂い。

 

「……今日から、貴女をしごいてって言われた」

 

そして、いつの間にか、フェアリーテイルの椅子もとに一匹の猫が現れていた。

 

その猫が、三日月のように笑った。

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