「固有魔法―――――
瞬間、大量の鋭利な枝が無尽蔵に、銃のように発射された。
ドドドという音と共にタイラントへと迫る。
だが、次の瞬間タイラントがフゥーと息を吐いたかと思うとハンマーが巨大化した。
何百倍というほどの大きさになったそれが、まるで紙のように豪速で振られる。
一瞬にして枝の大群は破壊された。
「まじか~。あれを一瞬か~……」
私の口から思わず感嘆の息が出る。
一体大小の幅はどこまであるのだろう?
どの程度世界に干渉し得るのだろう?
実に興味が尽きない魔法だ。
「もっともっといこう!固有魔法―――――大樹の兵隊」
言葉を紡ぐと、既に生えていた樹から次々と木製の兵隊が作られていく。
サイズは人と同じ。能力は木製であることを除けば人よりも優秀だ。
兵隊達が木製の剣や槍を持ち、立ち向かっていく。
だが、タイラントにはあまり効果がないらしい。
5メートル辺り彼女の周りに兵隊が踏み込んだ瞬間、兵隊がネズミサイズへと変わっていく。
小さくなった兵隊は一瞬にしてハンマーの獲物となった。
「……なるなる、なら質量で押してみようか~」
指をクルリと回す。
すると全ての樹が天井に集まり、逆さの大樹が形成された。
「ドーンといっちゃえ~!」
それが重力に従ってタイラントの元へと落ちていく。
地面に叩きつけられると共に、世界が揺れるような轟音が響いた。
「流石にこの量なら小さくはできないみたいだね~」
砂埃を払いながら思考する。
どうやら対象の大きさの変化は一定質量もしくは体積に制限があるらしい。
まだ発現したてだからかな。
そう思っていると、背後から急に殺意が届いた。
「それは見切った~」
パチンと指を鳴らし、背後に事前に作っていた大木を叩きつける。
ズズゥンと重い音が響くと同時に、風が私のドレスを揺らす。
また気付けば、前にタイラントが現れていた。
「マジで瞬間移動じゃん」
ハンマーを振らんとする彼女に、蔦を打ち付ける。
直撃したそれは、タイラントの頬に大きな傷を作った。
だが、それが一瞬にして小さくなり、まるで軽い擦り傷のようになった。
「そんなんもありなんだ凄いね~!」
タイラントがハンマーを振る瞬間、体を蔦に回収してもらう。
ギリギリで避けたが、風圧で頬にうっすらと切り傷ができた。
タイラントと目線が合う。
その目はまるで全てを見透かしているような感覚がする。
「ふふふふっ!面白いじゃん!」
実に楽しい。長年何もすることができなかったから猶更楽しく感じる!
再び一瞬にしてタイラントが目の前に現れる。
「はぁああ!」
「楽しいよ今!もっといこう!極限魔法―――――」
上から不気味な軌道を描くハンマーで叩きつけられようとする前に、私が口を開く。
封印の原因となった魔法だが、一度くらいなら何の問題もないだろう。
そう思って意気揚々と唱えようと再び口を開こうとした。
その時だった。
「そこまでだ」
酷く澄んだ声が耳に入った。
瞬間、全てが消えた。
周りのコも、タイラントのハンマーも。
私達以外の戦闘の産物が、パッと消えた。
だが私はこの現象に見覚えがある。
「……何で邪魔するのヴィーちゃん」
私達の傍に、黒い服の魔法少女が現れる。
色覚の色が黒に染まったように錯覚する。
「君が極限魔法を使おうとしたからだ。全く、本当にここを緑化するつもりなのかい?」
仄かに感じる莫大な魔力の中で、彼女は呆れたように溜息を吐いた。
掲示板が欲しいかい?(by nihil)
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ego nescio ita(?)