「全く、少し目を離したら何故早速極限魔法を使おうとするんだい?」
やれやれ、と黒き魔法少女――ヴェニタールが肩を竦めた。
「だって、思ったより楽しかったからね~。仕方ないじゃん?」
白々しくプラントニアが言うと、ヴェニタールは深い溜息を吐いた。
「何がだい?勘弁して欲しいよ」
そう言い終えると、ヴェニタールは次にタイラントへと視線を向けた。
「無事壁を破ったようだね。早くて僕も驚いているよ」
だがタイラントは返事をせず、肩で激しく息をしていた。
目の焦点がズレる。
タイラントの身体が傾いた。
だが、それを樹木が優しく受け止めた。
「いや~傷を治された時は焦ったよ?本当に」
そう言って軽快にアハハ、と笑う様子からは到底そうは感じられない。
「そりゃそうだろう。極限魔法には極限魔法がテンプレだからね」
「それな~。ま、とりま疲れたから私ソファーで寝てくるわ~勿論タイちゃんと、ね」
そう言ってプラントニアはタイラントを載せている樹木に腰かけ去っていった。
「お気に入りになったみたいだね。取り敢えずタイラントの方はこれで決勝までは何とかいけそうだ」
一人残ったヴェニタールがしみじみといった様子で頷く。
「じゃあ後はイマジネーションの方かな?まぁあっちはフェアリーテイルがやってるし大丈夫だろう。じゃあ僕は決勝前に温泉巡りでもしようかな……」
幾分か楽しそうな表情をしているヴェニタールも、魔法陣と光に包まれて消える。
最後には、何もかもが消えた平らな平原だけが広がっていた。
◇ ◇ ◇ ◇
「はー疲れたー」
そう言って椅子に深く腰を降ろす一人の魔法少女の姿があった。
その耳では、彼岸花のイヤーアクセサリがキラリと輝く。
「またすぐに我々はやることをしなければならない」
どこからかの声が空間を木霊する。
同時に影からもう一人、少女が歩いてくる。
変わらず、フードで隠れて顔は見えない。
その隣では、大きな人型の魔獣が付き従っていた。
魔獣の影が、不気味に揺れる。
「あーわかってんよー。あれだろ?あれ……そうそう魔法祭」
「再三忘れるな。我々にとって非常に重要」
前者の魔法少女が、腕を頭の後ろで組む。
「つってもさ、組織長狙うんでしょ? 殺すの?」
「できれば殺せ、と言われている」
暢気な声と、真面目な声が静かな空間に木霊する。
「じゃあそれだけ覚えてたら良くね?」
「違う。我々の目的はあくまでⅥ級魔獣の魔力核をもう一つ回収すること」
アクセサリのカタリという音と共に、呆れたような息音がする。
「えーでもそれ私達関係ないやつじゃん。上の連中襲って時間稼ぎしたらいいんでしょ?」
「……覚えておくことが重要。魔力核が二つ集まれば、Ⅶ級魔獣の封印を解くのに必要な魔力が足りる」
「そーだったわそーだったわ。ま、なるべく覚えとく」
椅子を揺らしながら、ヒラヒラと手を振る。
フードの魔法少女は一瞬だけ沈黙した。
「……また連絡する」
そう言い残し、隣の魔獣に触れて霧のように消えていった。
静かになった空間で、一人椅子を揺らす。
またキシリと鳴った。
「いやー楽しみだね。遂に組織長とご対面。実に楽しみ」
そう言って、不気味な微笑みを何処かへ向けた。
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