「さて、いよいよだね。決勝戦も」
遠くのネオンと生活音がホテルの大きな窓越しに響く。
組織長として稼いだ大量の金を惜しみなく使って借りた高級ホテル。
観光での有終の美としていいのではないだろうか。
「そうですね。しかし、明日からは組織長も観戦ですよ。観光はもう控えてください」
隣で僕を漸く見つけてきたフルフレイムが呆れ表情を浮かべながらもそう言う。
いやはや、慣れというのは恐ろしいものだ。
「流石に分かっている。それに、君の決勝戦の戦いも楽しみだからね」
僕がフルフレイムを横目で見ると、彼女は礼儀正しく一礼した。
「そうですね。……前と同じ、されど相手は成長しましたから」
そう言うフルフレイムの表情は真面目そのものではなく、懐かしい、といった類のものだった。
まるで愛着のある弟子が成長した姿を眺めている師匠のような目である。
僕はその様子を見て、思わず笑みを浮かべてしまった。
「フフフ……いやぁ実に楽しみだよ。あの時とは違って僕は単純に戦いを楽しみにしているんだ」
「恐れ入ります」
フルフレイムがまた一礼する。
だが、その姿勢のまま言った。
「しかし――私はこれでも世界1位の魔法少女です。まだ負ける気は毛頭ありませんよ」
その声には確かに、暫定世界最強を自負するに足る威厳があった。
思わず僕の笑みが深くなってしまう。
「いいね……本当に楽しみだよ――――アンチマギカの連中がいなければね」
そう、やつらがいなければゆっくりと観戦できるのである。
故に結構鬱陶しく感じている。
「やはり、決勝戦で何かしら起きるんですね」
「ま、そう考えるのが無難じゃないかな?」
肩を竦めながら、窓の外を見る。
変わらない景色で、平和。
これもまた、魔法少女あってこそである。
「おかげでダミー僕を作る羽目になったからね」
「……例のⅥ級の件で、内通者がいる可能性が高いですからね」
僕は一度大きなため息をつく。
「別に一斉に来てくれても構わないんだけどね」
「魔法省全体で考えてください」
「はいはい」
近くのコップに冷えた牛乳を注ぎ込む。
白い液体は波打ちながらコップへと溜まっていく。
それを僕は口に含む。
……一体どんな魔法少女が鴨としてやってくるのだろうね。
今僕の前には、少しボヤけた盤面が広がっていた。
◆ ◆ ◆
その次の日の昼頃。
決勝戦場となる拡張空間の闘技場に、二人の姿があった。
Ⅶ級、世界5位の魔法少女――ロロック。
そして、Ⅳ級魔法少女―――――イマジネーション。
二人が、一定の距離を空けて向かい合う。
『さぁそれでは決勝第一回戦、一体どんな戦いになるのか』
解説の声が消える中、ロロックが不敵な笑みを浮かべた。
だが、それは嘲笑の類ではなかった。
「……何や、めっちゃ雰囲気変わってるやん」
油断の消えた空気が、二人の間を吹き抜ける。
『今ゴングが鳴った!』
ゴングが観客の歓声の中ひと際強く鳴った。
その次の瞬間。
イマジネーションが右手を上げると同時に、闘技場を覆うほどの巨大な岩塊が突如現れ、空から降り落ちた―――――
掲示板が欲しいかい?(by nihil)
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そろそろ欲しい
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既に私は掲示板にいる
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ego nescio ita(?)