虚無の先の魔法少女   作:おおは

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戦いと災禍①

チェシャ猫が大きな鳴き声を上げながら突進する。

 

勿論その向かう先は、敵であるロロック。

 

そして大きく腕を振りかぶった。

 

ロロックはそれを紙一重で交わす。

 

「ッ掠っただけで頬が切れるとかどんなんやねん!」

 

風圧でロロックの短し髪が暴れ、煙が舞う。

 

反撃とばかりに槍の形をした鉱石がチェシャ猫を襲う。

 

だがチェシャ猫が腕を振るだけで粉々になった。

 

「一応ダイヤモンドよりも固いはずやねんけどなッ!」

 

魔力を巡らし、地面を隆起させる。

 

それを波のようにうねらし、チェシャ猫へとぶつける。

 

チェシャ猫は吹き飛んだものの、再び無傷で立ち上がった。

 

「うわぁ……マジかいな」

 

ロロックの額を冷や汗が流れる。

 

「―――――――私を忘れないで」

 

「ッ分かっとるわ!」

 

いつの間にか背後に立つイマジネーションへロロックが裏拳をかます。

 

だが当たったはずの裏拳は空を切り、イマジネーションは霧のように溶けた。

 

驚いて振り返ると、前からチェシャ猫。

 

そして、上から”本物の”イマジネーション。

 

「不味いな、態勢が悪いわ……」

 

驚愕の表情を浮かべるロロックを二人の攻撃が襲った。

 

 

 

 

 

「……やった?」

 

隣にいるチェシャ猫を撫でながら、煙の先を見やる。

 

イマジネーションのチェシャ猫は圧倒的なフィジカルが強みだ。

 

魔法に弱いという難点があるが、物理派であるロロックにとっては相性が悪い。

 

攻撃を与えた時の、感触は確かだ。

 

煙が晴れていく。

 

「――――ハハハッ。やっぱ流石やん」

 

立っていた。

 

あちこちから血を流しているものの、立っていた。

 

「そのチェシャ猫とは相性悪いなぁ。まぁでももっとギアあげていこうや」

 

ギラギラと輝く目がイマジネーションを射貫く。

 

その圧に、イマジネーションは一瞬体が痺れた。

 

「まだまだいこうや!」

 

ロロックが大地を波のように動かし、飛び出す。

 

イマジネーションも迎え撃とうと魔法を準備する。

 

その時だった。

 

ズズン、と闘技場全体が揺れ始めた。

 

「……?何や」

 

攻撃の手を止め、周囲を見渡すロロック。

 

次の瞬間、闘技場の一部が凄まじい音と共に弾け飛んだ。

 

瓦礫が闘技場に散らばる。

 

「何が起きとるんや……」

 

ロロックとイマジネーションが煙の舞う方へ視線を向ける。

 

そこから、何かが姿を現した。

 

「……お邪魔する」

 

それはフードを被った少女だった。

 

その隣には、筋骨隆々とした大きな人型の魔獣が付き添っていた。

 

魔法少女。ロロックの頭をある言葉がよぎる。

 

「まさかあんた……アンチマギカか」

 

「その通り」

 

あっけからんとした返答に、ロロックの表情が険しくなる。

 

「わざわざ捕まりに来たんか?それやと嬉しいんやけどなぁ」

 

「そんなわけない。あくまで私は任務を遂行するだけ」

 

「それこんな場所で遂行できる思てるん?」

 

ロロックが魔力を迸らせる。

 

「……Ⅶ級一人で何ができる。その上疲労困憊だろう」

 

「そのⅦ級一人にあんたは負けるんや」

 

次の瞬間、辺りの台地がまるで水のごとく盛り上がった。

 

「……愚か。我が魔獣の力を見せてやろう」

 

フードをはためかせながら、少女が右手を振る。

 

それに従って人型の魔獣が今、唸りを上げた。

 

 

 

◇     ◇     ◇

 

 

 

同時刻。闘技場から場所は移り。

 

一人の少女が、暗い道を進んでいた。

 

歩く度にイヤーアクセサリがカランと鳴る。

 

やがて少女は広い部屋に出た。

 

「……初めまして、だよな?」

 

少女は不敵な笑みを浮かべながら、部屋の奥へ視線を向ける。

 

「……そうだね。僕に何か用かな?」

 

座っていたのは、黒を纏った魔法少女。

 

モノクルを光らせ、支配者たるオーラをその身に纏う。

 

少女は愉快そうに笑い、イヤーアクセサリをカランと鳴らす。

 

「なに、ちょっと死んで貰おうと思っただけ。組織長さんよ?」

 

その発言に、黒の魔法少女――――ヴァニタールは不気味に笑った。

 

「いいよ。明日の観戦の余興として遊んであげる。けど―――簡単に死んでは困るよ?」

 

 

 




ちょっと急展開ですが、ご容赦を

掲示板が欲しいかい?(by nihil)

  • たくさん欲しい!
  • 本文書け
  • そろそろ欲しい
  • 何それおいしいの?
  • 既に私は掲示板にいる
  • ego nescio ita(?)
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