虚無の先の魔法少女   作:おおは

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Ⅳ級魔法少女へのご挨拶

「さて、組織長として会うのは初めてかな?」

 

デスクに座る少女―――ヴェニタール組織長は、首を傾げながら微笑んだ。

 

その様子を、私達は驚きで困惑しながら呆然と立ち尽くす。

 

私達にとって組織長が魔法少女だったというのは初耳であり、非常に驚くべきことだった。

 

 

基本的に、魔法少女は文字通り十代の少女がほとんどの奇跡の産物。

 

それは、成人してから年を経るごとに魔力が減退していくためだ。

 

しかし、目の前にいるのは組織長である。

 

年端も行かない少女がなれるわけもない役職なのだ。

 

だからこそ、私にとっては今目の前にいる魔法少女が不気味で仕方なかった。

 

緊張で埋まっていた胸中が、僅かに凍り付く。

 

「……ふむ、今君たちが考えていることを当ててあげよう」

 

その魔法少女は、こちらを見ながら笑みを深めた。

 

組織長()が魔法少女であることに驚いているんだろう?」

 

思わず当てられたことに、私は一瞬たじろいだ。

 

それはイジーも同じようで、隣で無表情だが緊張感が伝わってきた。

 

「図星みたいだね」

 

組織長である魔法少女ヴェニタールが笑みを浮かべ、肩を竦めてみせた。

 

「ま、無理もない。僕が例外だと思ってくれればいいさ」

 

組織長がゆっくりと席を立つ。

 

その小柄な体には、何故だか積年の風格があった。

 

「さて。今回呼んだのは大層な理由ではなく、単に君たちに興味を持ったからだ」

 

彼女は足音を鳴らし、私達の前に立つ。

 

そして、突然言い放った。

 

「君達にはⅤ級上位の能力がある。僕が保証しよう」

 

「な、なぜそう言えるのですか……?」

 

「偶々君達の戦いを見た、と言っておこう」

 

私達は驚愕した。

 

いつの間にか、組織長は私達の戦いを見ていたと言うのだ。

 

そんな気配、微塵も感じたことがなかった。

 

それが猶更不気味に感じられる。

 

「大阪の試験はキツイらしいね。今度から少し緩めるように言っておいたよ。だから早くⅤ級になって東京本部で働いてくれよ」

 

堂々。

 

私達の前に立ちながら組織長―――魔法少女ヴェニタールは肩を竦めながら言い放った。

 

思わず緊張が解ける。

 

大阪の試験の緩和。

 

これは私達にとって僥倖な事だ。

 

大阪の試験官(ストレイトと言うらしい)は純粋な戦闘力以外を重要視しているらしく、戦闘に重きを置いている私やイジーにとっては天敵のような存在だった。

 

「本当ですか……!」

 

「あぁ勿論。これでも組織長だからね。これくらいは訳ないさ」

 

私は嬉しい気持ちで心が満たされた。

 

隣を見ると、イジーも僅かにホッとした表情を浮かべている。

 

組織長は私達を微笑ましい様子で見ていたが、やがて突如半回転した。

 

クルリ、と回り、組織長の視線上には端にいるフルフレイムが映った。

 

「ところで、君達の目標はフルフレイムなんだってね」

 

「は、はい」

 

私がそう返事し、隣でイジーがコクリと頷く。

 

「なるほど、なら―――折角の機会だ」

 

彼女がゆっくりと振り返った。

 

その表情に映っていたのは微笑ましい笑みではない。

 

小悪魔的な笑み。

 

何故か私はゾクリと背筋が震えた。

 

「――フルフレイムと模擬戦をしてみようじゃないか」

 

若干迷惑そうで、呆れた表情を浮かべるフルフレイムの隣で、ヴェニタールは叫んだ。

 

「見せてくれ、君達の言う実力を――――――」

 

 

 




※日常フォームと魔法少女フォームでは同一人物と断定できないのです。
凄いですね~魔法って。

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