機能全然把握出来てないのでおかしなレイアウトになってたら申し訳ありません。
ブルアカ本編最終章までと常設イベントは読んでますが、正直記憶とキャラ把握が大分怪しいので生暖かい目で御覧いただけると幸いです。
守月スズミは珍しく錯乱していた。自身の置かれた状況が混沌としてしまったからだ。
目前に広がる銃撃戦。自警団としての活動でよくある状況であり、何ならこのキヴォトスでは日常ですらある。
相手は自警団に恨みを持った(自業自得である)スケバンの集団と、それに笑顔で大立ち回りを演じるスズミと同じ自警団員の宇沢レイサ。彼女を知る者としてはこれも普通に見る光景だ。
「シュガーマジカルクラーッシュ!」
「「「うわあああああッ!?」」」
···衣服がいつもの制服ではなく、魔法少女の物でなければ。そしてノリノリで魔法少女を演じている事も。
「今度は何なんだよ!守護者とか騎士とか戦士とか言ってたら今度は魔法少女か「テルミットパーンチ!」ゴブッ!」
また一人のスケバンが無慈悲な殴打で黙らされる。最早スケバンの誰にもツッコむ余力は何一つ無く、数で圧倒的な優位に立っているはずなのにひたすらレイサに翻弄されていた。
レイサは普段の制服ではなく、二つの薄紫の大きなリボンが印象的な、薄い青と白のロリータファッションのようなドレス···今度の魔法少女ステージでの衣装を身に纏っていた。髪型もいつものツインテールを渦巻きにしているのもあって普段より少し幼い印象を与えている。
そしてスズミも同じように魔法少女衣装を着せられており、レイサと対になるような、羽根を思わせる装飾が付いた白とピンクのショートドレス。そして背中には付属の杖が背負われて真っ直ぐ伸びていた。
その顔は先程からずっと真っ赤に染まっており、羞恥心で遮蔽にした木の陰でぷるぷると震えていた。
「ぁぅ···ぅぅ···!」
同じ自警団員である宇沢レイサと共にステージの参考にと魔法少女モノのアニメを一気見したまでは良い。とても面白かったしレイサが好きな理由も分かった。そこまでは良かった。
いざ任務のためとはいえと試着を躊躇った瞬間、何をどう思ったのか
『でしたら今のうちに着て慣れちゃいましょう!私も着ますから!』
とレイサが曰い、そして居合わせていた先生からは
“いいんじゃない?二人とも絶対可愛いよ!”
···スズミの予想に反して賛同されてしまい、しかも
『それ良いですね!正義の魔法少女マジカルスズミ、マジカルレイサ、ここに降臨!みたいな!』
盛り上がるレイサもあって流れに逆らえず、今日のパトロールで本当に着る羽目になってしまった。
元々スズミは人並みの羞恥心に加えて自己肯定感がそこまで高くない事もあり、可愛らしさに振った服に興味はあっても袖を通すのには抵抗があった。
···それがいきなり色んな段階をすっ飛ばして魔法少女の服、しかもそれをパトロールで着る羽目になり、そして今トドメにスケバンの集団に見られているわけで。
「······マジカル···」
「あ···?」
スケバンからは仇でこそあるが今は震えているスズミより、大暴れするレイサをどうにかすべきと放って置かれていた。
だがその考えはすぐに出くわした時点で逃げればよかったという後悔に置き換わった。銃撃戦の中では聞き逃しそうな声。羞恥心とヤケの暴走···守月スズミの理性が弾け飛ぶ合図だった。
偶然スズミの呟きに気づいた一人のスケバンがそっちを見ると、赤い顔のまま特製閃光弾のピンを抜くスズミと目が合った。
「マジカル閃光弾っ!」
「まずい!皆目を逸らせ!」
「すっ、スズミさん!?」
警告とレイサの悲鳴に近い叫びが虚しく響き、銃撃戦に一つの閃光が炸裂。一瞬だけ閃光と静寂がその場を支配した。
「ぐ···うっ···」
爆音と閃光に視界が奪われ、酷い耳鳴りがするものの耐えきったスケバンが周囲を見回す。完全に不意打ちだったせいで気絶させられた者がかなり多い。
「あぅ···」
だが同時にレイサもモロに閃光弾を浴びたようで目を回して倒れていた。
いつになくハイテンションで厄介なレイサが同士討ちで倒れてくれて、あとは憎き走る閃光弾、もといスズミのみ。
眩む頭でそんな事を考えたスケバンは、逆に耐えてしまった事を後悔することになった。
「マジカル閃光弾っ!マジカル閃光弾!マジカル閃光弾ーっ!」
「ちょっ···」
ピンを抜いては投げ、ピンを抜いては投げ···羞恥心の果てに全ての感情が決壊したスズミが絶叫と共にひたすらに閃光弾を投げてきていた。こうなると最早スケバンにとって正義の魔法少女どころか悪い魔女のような姿である。
「マズい!走る閃光弾の気が狂った!」
「全員逃げろ!急げ!」
「眩しくてうるさゥ゙バッ!」
白い爆発が何度も何度も通りに迸る。眩い光が視界を奪い、衝撃波に近い爆音が呑み込まれた者の意識を奪っていく。
二桁はあるスズミの閃光弾が無くなるまで炸裂音は続き、全てが収まるとスズミ以外に立っている者は誰もいなかった。
「はぁ···はぁ···はあぁぁぁぁ···」
崩れ込んだスズミの大きなため息が死屍累々となった通りに溶ける。周囲に動く者がいないことを確認した彼女は真っ赤な顔のまま自警団としての仕事に取り掛かった。
スケバンを一人残らず街路樹や電信柱等の柱上の物体に縛り上げ、スマホにお気に入りの曲を送り付け、イヤホンやヘッドホンを自前を持っている者にはそれを、持っていない者には安物だが持ってきたイヤホンを耳に入れ、普段より大爆音で再生させる。
あちこちにヘッドホンやイヤホンを付けて縛られたスケバンが連なり、音漏れが重なってバンドステージを遠くから聞いているような音が響くという、トリニティ自治区の表通りとは思えない混沌とした様相になってしまった。
「レイサさん。起きてください、レイサさん!」
ヘタな裏路地より余程治安の悪そうな通りの惨劇は一切気にせず、スズミは閃光弾に巻き込まれて気絶したレイサを揺さぶり起こす。
「ぅぁぅぁぅ···ぁ···スズミさん···」
「一度戻ります。パトロールは制服に着替えてから再開です」
「ぅぇ···はぃ···」
スズミの鬼気迫る表情に圧されたレイサはヨロヨロの足でスズミと共に現場を離れた。
その後のパトロール中、レイサの立ち回りが控えめで堅実な物になったのはまた別の話。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
蛇足だったので没にしましたが、実はレイサのマジカルロケットランチャーを見て某伝説社の魔法の杖(物理弾頭)を思い出してあの世界の子供向け番組を参考資料に見せようとしてました。