よくある好感度逆転もの...?   作:寿司食べたい

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私からわたしへと

 

 

「なんでこんな所にいるんだろう…?」

 

そんな問いに答えたのは換気扇の音だった。辺りを見渡すが、目に入ってくるのは無骨なアスファルトのみ、雨が降る前兆の様なじめじめとした湿気の臭いが鼻を通っていく。この何日も続く光景に同じような言葉を繰り返す。飽き飽きとするが、そうしなければ、意識を失いそうだった。精神的にも身体的にも限界なのだろう…

 

「あっ…」

 

躓き、そのまま目の前のゴミ袋の山へと突っ込んでしまった。幸いにも生ゴミではないようで、今の疲れた身体には極上のベッドのように感じられた。そのまま意識を失ってしまうのは必然だった

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや〜危なかった…」

 

ギリギリの所で荷物を受け取ることが出来て安心した私は仕事を終わらせる為、シャーレへと戻っている。外は清々しいほどに快晴で、キヴォトスの近未来的な建物と合わさり、芸術品の様に美しい。初めてこの街の様子を見て何ヶ月も経つが何度でも感動できる。っと仕事とは関係ないことを考えて、未来の出来事(しごと)から目を背けているとシャーレへと着く

 

「ん?」

 

何とも言えない違和感が私を襲う。いつもなら、出迎えてくれて挨拶をしてくれる生徒達がいないのだ。『何かあったのだろうか?』なんとも拭いきれない疑問が私の中で思い浮かぶ。少し早足で向かっていき、ユウカを見つけ話しかけた。

 

「ユウカ、皆んないないけど、何「何故、貴女がいるですか!」えっ?」

 

私を認識したユウカはいつもと違っていた。身体を震えさせながら、私を睨みつけている。自分でも抑えきれない怒りの感情に身体を支配されているようだ。

 

「ど、どうしたのユウカ?」

 

「用がないならはやく出て行ってください!」

 

銃をこちらに向けてきた。彼女が何故こんなことをするのか分からないがとにかく、様子がおかしいことだけは分かる。

 

「はやく出て行って!」

 

「えっ…」

 

ついには、銃が撃たれてしまった。意外にも頭の中はクリアで、死に際というものは本当に周りがゆっくりと進んでいくんだなぁと呑気なことを考えてしまう。しかし、弾丸がゆっくりとこちらに向かってくる度に恐怖が生まれてくる。ふと、蘇ってくるのは前弾丸を撃たれた時の記憶、あの時は柳が助けてくれたんだっけ?あの時のお礼まだ出来てないなぁ…。

 

 

『先生!』

 

 

死を覚悟した瞬間スマホから声がして、目の前の弾丸が弾かれる。

 

「アロナ!?」

 

『すみません、先生、説明は後にしてとにかくシャーレから逃げてください!』

 

「───わかった!」

 

聞きたいことをグッと押し込み、私は走り出した。

 

 

 

手が震える…私が撃ったの?あの人を?分からない、時間が経つにつれ、自分が書き換えられていく様に彼女への嫌悪感が増していく。今この時でさえ、あいつを撃ったことに対する達成感が生まれてきている。

 

感じたくない…嫌だ…楽しい…楽しくなんかない…気持ちが良い。

 

「───助けて」

 

シャーレでは一人の少女が笑い泣いていた、それは人を撃った罪悪感なのか?それとも、大嫌いな女を撃った喜びなのか?それは、彼女自身でも分からない、一つだけ分かることは彼女は助けを求めている…。

 

 

 

今日は走ってばっかりだ。大人になってこれほど走るなんて、生徒達のような元気がないのはやはり歳のせいなのだろう、たった数年でここまで体力が落ちるなんて…くだらない思考はやめて、現状目の前で起こっている状況に目を向ける。

 

「…すごいね」

 

『そんなこと言ってる暇ないですよ!』

 

沢山の戦車やヘリコプターがシャーレのビルを囲んでいる、大犯罪者でも捕まえに来たのだろうか?

 

「貴様は完全に包囲されている!出て来ない場合、即時砲撃を行う!」

 

ヴァルキューレ警察学校の局長であるカンナが異名である『狂犬』の名に恥じない姿を見せてくる。どうやら大犯罪者とは私のことらしい…。どうするなんか考えている暇がなく、まだ、ビルの中に生徒がいる時点で飛び出して行くしかない。

 

「待って!中には生徒がまだいるの!」

 

『先生!?』

 

「出てきたか…総員!配置につけ!」

 

その掛け声ともに周りが一気に囲まれる。逃げ場はどこにもないようだ。

こんなにも銃を向けられるなんて、この世界でもそんなにないだろう。

 

「その場から動くな!」

 

彼女の向ける目は完全に犯罪者を見る目になっていた。どうやら私の身柄を確保したいのだろう。

 

「待って!一回話を聞かせて!ここまでやるの!?」

 

「あなたが一番分かっていることだろう!」

 

「分からないよ!話を聞かせて!どうしてこんなことになっているのかを!」

 

「貴様!」

 

私とカンナが話していると、包囲してくる中の誰かが痺れをきらしたようでこちらに向け発砲し始めた。それに釣られて、取り囲んでいた生徒達も

こちらを撃ち始めた。

 

「…!?待って!即刻射撃中止せよ!」

 

カンナの言葉も興奮した生徒達には無駄だったようで止まらない。数分ぶりに死を感じた。1日に何度も死を覚悟するなんてこれからもないだろう。

 

『…脱出シーケンス発動します!」

 

アロナのその言葉が皮切りに目の前が眩しくになっていく、その眩しさに思わず目を閉じてしまう。

 

(もう嫌になるなんで、私がこんな目に合わなきゃいけないんだ)

 

(──駄目だ!私は先生なんだ!生徒を守らなきゃいけないんだ!)

 

頭の中は混乱している。一人間としての思い、先生としての責務、様々なものが混じり合い私の心はめちゃくちゃになっている。それでも、私は先生なのだから、生徒を守らなきゃいけない。

 

『──先生!もう目を開けて大丈夫です!』

 

目をゆっくりと開ける、目の前には誰一人としていない自然が待っていた。

 

「──ありがとう、アロナ」

 

『これぐらい朝飯前です!私はスーパーアロナちゃんですから!』

 

携帯を取り出し、彼女の頭を撫でる。嬉しそうに笑みを浮かべ、自信満々に胸をはる彼女はいつもと変わらない。

 

『先生…私がバリアで守れるのも後一回ぐらいしかありません、普通の携帯端末ではそう何度でも発動出来ないようです…』

 

アロナは申し訳なさそうな顔を浮かべる。やはり、シッテムの箱でもない普通の携帯端末でバリアを展開を行うのは無理をしているのだろう

 

「…うん、分かった!」

 

無理矢理にでも、笑顔を向ける。これから私に襲いかかる困難に目を背ける。いつも、隣に居てくれた彼は今はいない…はやく、会いたいよトオル

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開ける、どうやら私は寝てしまったようだ。何時か確認する為に携帯をつけるが割れた真っ黒な画面が映るだけだ。アロナはもういない。最後に守ってくれた後、何も答えてくれない真っ黒の画面を残してくれた。

 

「…いっ、た」

 

立ちあがろうとするが、体の節々が悲鳴をあげている。疲労もあるのだろう。しかし、彼女達、生徒に撃たれた傷が身体を蝕んでいる。行き先もなく、何処かへ歩いていく。ただ、ここで野垂れ死ぬのだけは勘弁だった。

外では身体を突き刺すような雨が降っていた。

 

「…これじゃあ、風邪ひいちゃうなぁ」

 

私はこの雨の中に入っていった。身体は行くなと言ってる、死にたいのかた。それでもこの雨の中に向かっていったのは希死念慮でもあるのか?それともこの先に運命でも感じたのか?その答えはすぐに分かった。

 

「トオル…?」

 

君にだけはこんな姿見られたくなかった。君にだけは嫌われたくなかった。

 

「───先生!」

 

出会った喜びと哀しみが心の中を埋め尽くす。その正反対の感情に揺さぶられる。出会ってしまったのだ。今、一番会いたかった人。一番会いたくなかった人に…。

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

「───ごめん…」

 

「待ってください!先生!」

 

「心配はいらないから…」

 

「心配がいらないって、そんなわけないじゃないですか!」

 

会いたかったのに会いたくない人、逃げ出したくなる、彼に嫌われるぐらいなら逃げたかった。身勝手な言葉だけ残してゆっくりと彼から離れていく。

 

「そんな姿を見て、『はいそうですか』と引き下がれるわけない!」

 

彼の言葉を聞くたびに、足を止めたくなる、言葉を紡ぎたくなる。逃げ出したい思いがなくなっていく。

 

「あの時、言ってくれたじゃないか!『辛い時は、他の人に頼っていいんだよ。人と人は助け合いだからね!』って…」

 

(そうだね、でもね、私はただ、君を助けて、もっと仲良くなりかっただけなんだ…)

 

「だから、先生…。先生が辛い時は俺を頼ってくださいよ!」

 

あぁ、やっぱり駄目だ。彼の言葉を聞くたびに堕ちてしまう。先生なんて上っ面だけのものなんて投げ出し彼に依存したくなる。彼の言葉を否定したい、ここから逃げ出したいなんて薄っぺらい気持ちを彼は剥がしていく。

 

「教師が生徒を 頼って(依存して)いいの…?」

 

「当たり前ですよ!」

 

ずるいとは思っている。言葉を濁して彼を騙して、こんなの教師失格なんて分かってる。でも、私はダメだった。彼の変わらない優しさ、彼の真っ直ぐな気持ち、彼の全てに頼り(依存)したかった。

 

「先生、大丈夫ですか!?」

 

安心して力が抜けた。疲れで鈍った身体でもトオルが私を支えてくれてるのはわかる。彼に触れられただけでも、嬉しい気持ちが身体を包みこんでいく。彼の匂いや彼の温もりが私を安心させてくれる…。

 

「トオル…私のこと助けて…」

 

「もちろん!任せてください!」

 

意識が遠のいていく。よかった、彼だけは変わっていない。あぁ、嬉しい…

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

目が覚めた。ここがどこだか分からないが、そんな事はどうでもいい。彼がいない、助けてくれると約束してくれたのに、誰の家なのだろう、寝室、リビング、キッチン、トイレ、風呂場、玄関、何処にも彼がいない…。

 

「何処にいったんだろう…?」

 

不安が私の心を満たしていく。身体が震え、あの日々を思い出してしまう。アロナが居なくなり、一人ぼっちで生徒達に殺されかける、やっと終わったと思ったのに、やっと…やっと…会えたのに…。その時、ドアが開く音が聞こえてきた。

 

「先生、大丈ぶっ───」

 

声が聞こえた瞬間、私の身体は勝手に動き出していた。彼を抱きしめる、あぁ、よかった、帰ってきてくれた、安心したその瞬間、彼の匂いではない女の子特有の甘い香りが私の鼻へと届いてきた。

 

 

 

 

なんで?

 

 

 

 

なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?

 

 

 

 

 

なんで私を置いて、他の女(生徒)と会ってるの?

 

 

 

 

 

「先生!元気になっ「誰?」えっ?」

 

「───トオル、誰と会ってきたの?」

 

教師として失格なはずの生徒への嫉妬で私が私じゃなくなる。

───いや、先生()ではなくわたしへとなるんだ。一人の恋する女性へと変わっているだけだ。

 

 

 

トオル、大好きだよ、人として一人の女性として…

 

 

 

 

 




遅れた理由としては某運命の作品にハマってしまいました。面白かったです。

やっぱり、先生は何よりも生徒を大事にしてるカッコいい人ですよね、それを根本からグチャグチャにしてぶっ壊すのは、これはもうS◯X以上の快楽だッとおばあちゃんが言ってました。

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