玄関前で女性が男を押し倒している…男女逆の方が正しい。そんな今の多様性社会には合わない偏見をもっていることはおかしいだろうか?とにかく、傍から見れば、凄くいけない場面にしか見えない。
「せ…先生…?」
「ねぇ…誰と会ってきたの?何をしにいったの?」
目に光はなく、真っ黒な闇だけが彼女の目に居座っている。声色も冷淡でありながらも、内なる嫉妬を宿している。力ではこちらが勝っているのにも関わらず、動くことが出来ない。蛇に睨まれたカエルのようなにただ、死を待つことしか出来ない。
「ご…ご飯の材料を買いに言ってました!」
「そっか〜、ありがとうね、でもね、匂いが違うんだ…」
「に、匂いですか…?」
「変な甘い香りがするの?」
長年キヴォトスで過ごしてきた経験が悲鳴をあげている。答えを間違えれば、死待つのみ。冷や汗が体を上から下へと通っていく。ひんやりとしていて、気持ちが悪さだけが体に残る。
「ねぇ、どうして?」
自分に残された選択肢は、正直に話すか、誤魔化すか、どちらかは明白だ。こんな状態の先生相手に嘘なんかつけるわけない。ついた瞬間
「…買い物している時、ばったりユウカに会って、少し会話をしました。そ、その後…事故で、少し抱き合う形になってしまいました。」
数秒が経つ、目の前の先生は何もはなさない
数十秒が経つ、目の前の先生は何もはなさない
時計の針の音だけが聞こえてくる、数秒が数時間に感じられる。死刑台に立つ囚人の気持ちはこんなものだろうか?
「───ふ〜ん、そっか!」
数十秒の静寂が明るい声によって、断ち切られる。さっきまでの、ドロドロしい雰囲気が消え、明るい笑顔をこちらに向けてくる。その変わりように呆気をとられて何も話せない。
「どうしたのトオル?風邪ひいちゃうし、部屋戻ろう?家主じゃない私が言うのもおかしいけど」
「そ、そうですね!」
どうやら、ギリギリセーフなようで、このまま刺されてNiceなboatが流れることはないらしい、冷え汗をかいたせいで身体が冷んやりしていて、とにかく気持ち悪い
「あっ、先生雨に濡れてましたけど、体の方は大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、でも、少し服が雨に濡れて気持ち悪いかな…?」
「そうですか。やっぱり、一回シャワー浴びた方が良いで…」
気づいてしまった。こんな状態でどこでシャワーを浴びるのか?替えの服は何を着るのか?どちらも、一つしかない。
「じゃあ、服とお風呂借りていくね?」
うちの家と服しかない…。弁明しようとするが、先生は何かを言う前にクローゼットから服を取り出し、風呂場に向かっていく。この一連の動作は何よりも素早かった。そこまで、服が気持ち悪かったのだろうか…?
「あと、一つ言っておきたいことがあるんだ」
「なんですか?」
「トオル、私が魅力的でも覗いちゃったら駄目だよ?」
「覗きませんよ!」
食事の準備をしようと台所に立った瞬間、風呂場のドアから半身を出した先生が揶揄ってきた。その様子に少しイラっときたが、いつもの調子が戻ってきたようで安心し、料理を始めようと袋から食材を取り出した。
「ていうか、お粥じゃなくてもよかったかもなぁ…」
あの元気な先生の姿を見ていると、もっとガッツリとした物の方がよかったのだろうか?、そんなことを考えながら、お粥を作っていく。ご飯をレンジで温めている間に卵を溶く。
レンジからレンチンご飯特有の匂いが匂ってきたら、ご飯を鍋に放り込んで、火をつける。その中に溶いた卵を入れて、全体を混ぜて、最後に醤油で味を整え、小ネギを乗せたら完成だ。何とも味気ない久しぶりの料理だった。
「…流石に、もう一品ぐらい作った方が良いな」
タブレットから、鶏肉を取り出す。鶏の照焼きでも作るか…
「あぁ、やっぱり覗いてこないかぁ…」
何日かのシャワーを浴びて、スッキリとした気分と何とも言えない残念感が入り混じる。やはり彼は、私のことを先生としてしか見てないのか?他の女には色んな反応をしてるのに…、
「…まぁ、いいかぁ」
彼の服を着る、彼の匂いがわたしを包んでいる。それだけで幸福で胸がいっぱいになっていく。今、彼を独り占めにできている。そう、実感できるからだ。離したくない、遠くに行ってほしくない、もっと近く、もっと、もっと、その先の関係に…
「───だ、だめだ!?」
一瞬でも、気を抜いた瞬間抑えていたはずの感情が表へと漏れ出していく。嫉妬?独占欲?、どんな言葉でも言い表すことができない感情だ。心地よく、一度入ってしまったら、二度とは戻れない底なしの沼のような不思議で気持ちのいい感情。
一人芝居をしていると、美味しいそうな臭いがしてきた。その匂いにつられて、風呂場を出る。
「あっ、先生ご飯できてますよ」
待っていたのは、光が油に反射し、ピカピカと琥珀色に輝く照り焼きとホカホカのお粥、何日も満足にご飯を食べれなかった私には、それは黄金以上に価値があるものに感じられた。
「いただきます!」
「落ち着いて食べてくださいね…」
居ても居られなくなった私はすぐに椅子につき、我武者羅にご飯を食べる。照り焼きを噛み締めるたびに作ってくれた彼の思いを感じる。お粥を啜るたびに彼の優しさが身に染みる。そして、目の前には私を見て呆れて笑う彼がいた。
「先生、美味しいですか?」
「うん、とても美味しいよ!トオル、食べないなら貰っていい?」
「いや、俺も食べますよ…先生、幾ら何でもお腹空きすぎですよ?」
「嫌だって、トオルが作ってくれたから…」
「嬉しいですけど、食べ過ぎないでくださいね!?」
その言葉を聞いた彼は嬉しそうに笑っていた。幸せな時間は私と彼だけのものだ。誰にも渡したくない。この時間が終わってしまうなんて考えたくない。そう思ってしまう私は手遅れなのだろう
「ごちそうさま!ありがとう!」
「あっ、自分が持っていくのでそのまま置いといてください」
「申し訳ないよ…」
「いいですから、先生は休んでてください」
先生の食べ終わった皿を見ると、米粒一粒もないようだった。自分が作ったものをそんなに食べてくれた嬉しいが、先生がこの数日間どのように過ごしているか間接的に分かってくる。どんなものを食べ、どんな所で寝て、どのような扱いを受けたのか、この数時間の間だけでもどれだけ辛く、苦しかったのか分かってしまう。
自分がいたらこんなことは起こらなかった。なんて、驕った考えを持っている訳ではない。それでも、先生の苦しみや孤独を少なくできたのではないのか?あの時、もっと速く帰ってくることが出来たら…そんな
たらればの話が頭の中に生まれていく。無駄なことだと分かっている。それよりも、この先どうするかを考えていかなければいけないということも分かっている。そのはずなのに…
「ん?」
洗うべき食器は無くなっていたことにすら気づかず、思考に浸っていたなんて、少しネガティブすぎたなと反省する。何とも言えない感覚にむず痒さを覚え、逃げるように先生へと視線を向ける。どうやら、先生は限界のようで船を漕いでいた。
「先生、寝て良いですけど、ベッドで寝てくださいね」
「う〜ん…」
先生をベッドへと誘導するため、手を取り、寝室へと向かう。その間も先生は眠そうに目を細めている。こんな無防備な先生を見たのは、五徹して一緒に仕事を終わらせた朝以来だろう。人間って睡眠取らないとヤバいんだなぁと疲れ切った脳みそで考えていたことを覚えている。
「…え?」
ベッドの前に着いた瞬間、さっきまでの眠そうな様子から一変して素早すぎる動きで先生に押し倒された。デジャヴを感じ、先生の顔を見ると、やはり目にハイライトはなかった。抜け出そうと踠くが、まったく動ける気配がない。
「無駄だよ…?」
「ど、どうしたんですか?」
動揺して、数時間前と同じような声を紡いでいくことしか出来ない。
「どうしたも何も普通じゃない…?」
「まっ、待ってください!一体何をするつもりなんですか!?」
「他の女の匂いを私の匂いで上書きするの」
それが、さも当然であるという口ぶりにこちらが間違っているのか一瞬思ってしまう。どうやら、玄関前で許されたと思っていたものは全然そんな事はないようだ。このままだと、何かとてもいけないことされるということは分かる。
「ねぇ…トオル、そろそろ分かってよ?」
先生のことを分かっているつもりだった
「もう、限界なんだ…!、何も知らないこの世界にやって来て、君に助けられながらなんとかここまで来て、やっと…みんなと暮らせるとおもったのに、こんな状況になって…」
どんなに辛かったのか
「『私は先生なんだ』、『こんな所で死ぬなんて教師失格だ』って壊れてないと大丈夫なんだと思っていた。でも、私は私が思うより脆くて情けなかったんだ…数日だけで壊れてしまうほど弱い人間なんだ!」
どんなに苦しかったのか
「壊れてしまった私は貴方に会ってから、もう段々と貴方以外の人間のことなんてどうでも良くなってきてる。先生の立場なんかより、貴方が大切になってきてる。貴方がいないと私は自分が保てない!」
分かっているつもりだった。それでも先生は大丈夫なんだと思っていた
「だから、だからさぁトオル…」
でも違ったんだ。だから、だからこれは…
「──私を受け入れてよ…?」
一番近くに居ながら気づく事ができなかった俺の罪だ。
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一人の少年が立っていた。
真っ赤に燃えている。周りには自分以外存在していない。身体はもう限界なのか、目は開かず、手は自分の血で血だらけ、足は引きずるように歩いている。幸いなことに脳が麻痺していて、痛みは感じない。
逃げ道なんかない。このまま、炙られ死ぬのか?、気が狂って火に突っ込んで死ぬのか?はたまた、想像も出来ない死に方が待っているか?何処までも、火の海で死に向かうのは確実だろう。
それでも、人間という生き物は死を簡単には受け入れない。このまま諦めて、死ぬ方が楽なのだろう。それは分かっている。しかし、身体が動いてしまう、本能が生きたいと願っている。どこまでも足掻いてしまう。
手足はこの地獄から抜け出すため、千切れそうになりながら動く
肺は限界を超えて、脳に酸素を送るために働く
脳は最後の時まで、思考を止めない
しかしそれを嘲笑うかのように、最期の時はやって来た。結末は炙られ死ぬでもなく、気が狂って火に突っ込んで死ぬでもなく、落ちて来た瓦礫に押し潰される。なんとも言えないものだった。
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「──はっ!?」
起きた。いや、痛みによって起こされたの方が正しいだろう。その痛みは胸の激しい痛みなのか、愛刀が倒れてきた痛みなのか、どちらなのか分からない。
周りを見渡す。横には先生がいた。あれから一緒に寝たのだろうか?ハッキリとしない意識の中、目的のものを見つける。そこまでを歩いていこうとするが、上手く立てない。何とか棚を伝い、目的地へと向かう。
あとちょっとで手が届きそうな位置まできたその時だった。
「……っ!」
内側から何かが溢れ出すような引き裂く痛みで足がもつれ、勢いよく倒れてしまう。これまでも、この夢を見る時は胸を痛むことはあった。それでも、身体が動けなくなるほどではなかった。
運が良かったのか、目の前には棚から落ちてきた薬の瓶が転がってきてくれていた。それを、手で取り、蓋を開け、口の中へと入れていく。容量なんて考える余裕なんてない。
数分が経ったのか?目が覚めた、痛みは収まっているようだ。ものが散乱している。棚に頭をぶつけたせいで、ズキズキと痛む。幸いにも先生は寝ている。
「はやく、直さなきゃなぁ」
物を全て片付けるため、立ち上がり、体の確認をする。さっきまでの痛みが嘘のように快調だ。
「もって後3ヶ月か…」
それまでに、生徒達を治さなきゃいけない、先生が俺が居なくても、生きていけるように…
ヤンデレってどんな感じで書けば良いか、分かりません。どうしてもポエムみたいな感じになってしまいます。♡つけるのもなんか、某ハンターの変態ピエロに思い出しちゃうし、困ちゃうよね…♤
本当にどうしよう…。
読んで頂きありがとうございます!コメント、評価とても励みになります!少しずつですが、投稿できるよう頑張ります
一応キャラ説明です
柳 トオル
連邦生徒会所属の副会長兼会長代理、色んな学園を転々としていたところを会長に推薦され、副会長になった。会長がいなくなった現在、代理を副会長だからと(会長に)押し付けられた。神秘が馬鹿ほど多く、自分でもよく分からない夢を見る。ブルアカの世界へ転生した時、荒野に一人、近くには一振りの刀が置かれていた。後三ヶ月しか生きられないらしい…?
先生
ある日いきなり、生徒達から嫌われ、殺されかけたことで、誰かに縋ってないと生きていけなくなった人。今は先生である自分とトオルに依存する自分の2つの心が同時に存在しており、精神が不安定になっている。原作先生よりも少しだけメンタルが弱かったから。年齢は二十代前半、黒髪ロングの可愛いより綺麗め。