身体から大量に金属製のバッタが出てしまう女の子   作:鳥松

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七話

七話

「平和の象徴が教壇に立っているということで様子を聞かせて!」

 

「は?」

 

 朝、雄英高校に登校しようと校門前を歩いていると、沢山の記者たちが校門の前に集まっていた。

 記者たちは教師を始めたオールマイトのことが聞きたいようでいつものように登校しようとしていたコガネと麗日は記者たちにマイクを向けられた。

 

「様子!?えー……と、筋骨隆々!!です!」

 

「麗日、軽率に答えない」

 

「ええっ、引っ張んないでよ〜」

 

「ああっ、もう少し話を!」

 

 記者の質問に律儀にも答えた麗日の腕を引っ張って、校門へと入っていく。後ろからオールマイト、オールマイトと聞こえる気がするが無視して突き進んだ。

 

「麗日、あまりマスコミの相手しない」

 

「え〜どうして?」

 

「ああいうのに一回答えるとあることないこと書かれる」

 

「そ、そうなの?」

 

「そう。行くよ、遅刻する」

 

「あ、待ってよ虫明さん!」

 

 

 ◇

 

 

「昨日の戦闘訓練、お疲れ。Vと成績、見させてもらった」

 

 朝のホームルーム。

 いつも通りのスタイルで、教室で教壇に上がった相澤先生は、昨日の戦闘訓練の振り返りを始めた。

 と言っても全員ではなく、特に目立った者たち──具体的には爆豪と緑谷に苦言を呈しただけだ。

 

 

 しかし、いつものように、相澤先生は唐突に爆弾を投下する。

 

「急で悪いが、今日は君らに学級委員長を決めてもらう」

 

「「「学校っぽいのきたーー!!!!」」」

 

「やりたいやりたい!!」 「委員長!やりたいですソレ!」

 

「あ、ウチもやりたいっす」 「リーダーやるやる!!」

 

 HRの本題だと前置きして述べたのは、学級委員長という役職決めだった。

 

 普通科や他の学校では単なる雑務で、むしろ倦厭される役職だが、集団を導くというトップヒーローの素地を鍛えられる役としてほぼ全員がやりたいと思う職業だ。

 

 

 ほとんど全員が手を上げて、主張する中。

 他の声を押し退けて選定方法を提案したのは、真面目くんたる飯田だった。

 

「周囲からの信頼あってこそ、務まる聖務……! 民主主義に則り真のリーダーをみんなで決めるというのなら、これは投票で決めるべき議案!!」

 

 公平性を重視し、一見真摯な態度で正鵠を射た提案を述べる飯田天哉。

 

 

「そびえ立ってんじゃねーか!! 何故発案した!?」

 

 しかし、その腕は誰よりも高く挙げられていた。

 

 いくつかの反対意見も挙げられたが、飯田の「信頼関係の薄い今だからこそ、ここで複数票を取った者こそが、委員長に真に相応しい人間」という主張には逆らえず。

 相澤先生も許可したことで、投票をする運びとなった。

 そうして投票によって決められた結果は……

 

 

 緑谷出久 3票 耳郎響香 1票  葉隠透 1票

 八百万百 2票 蛙吹梅雨 1票 飯田天哉 1票

 尾白猿夫 1票 上鳴電気 1票

 爆豪勝己 1票 瀬呂範太 1票

切島鋭児郎 1票 常闇踏陰 1票

  峰田実 1票 砂藤力道 1票

 口田甲司 1票 芦戸三奈 1票

 障子目蔵 1票 青山優雅 1票

 

「僕、3票ー!!?」

 

 結果は緑谷が委員長。ついでに2票入っていた八百万が副委員長となった。

 

「なんでデクに……!! 誰が……!」

 

「まー、おめぇに入れるよかわかるけどな!」

 

「わからねーよ! クソモブが……!!」

 

「爆豪もオレらと同じでヒラだけどな」

 

 緑谷が委員長として選ばれ、結果に激怒する爆豪を横目にクラスメイトたちは選ばれた2人に納得しているような反応を見せている。

 

「緑谷、なんだかんだアツイしな!」

 

「八百万は講評の時のがかっこよかったし!!」

 

 

 

「1票……!自分に入れていれば副委員長……いやこんな考えではオレに入れてくれたものに申し訳が立たん!」

 

「他に入れたのね……」

 

「おまえもやりたがってたのに、何がしたいんだ飯田……」

 

 コガネは委員長はやりたい訳ではなかったのでなんとなく委員長っぽい飯田に入れた。

 因みに緑谷に投票したのは飯田と麗日で、麗日はともかく飯田は自分に入れてくれよ、と少し思ってしまうコガネであった。

 

 

 ◇

 

 

 時は変わってお昼。

 生徒たちは食堂や教室で学食や弁当を食べる時間だ。

 コガネは学食でも弁当でもなく、教室でエネルギーバーを食べている。

 コガネは基本的に朝、昼とエネルギーバーで普通の食事は食べることは少なく、夜だけは最低限のタンパク質と野菜を食べているが、活動には全く問題はない。

 

「コガネちゃん、お弁当そんなに少なくて大丈夫なのかしら?」

 

 いつものように教室でエネルギーバーを食べていると、同じクラスメイトである蛙吹梅雨がお弁当片手に話しかけてきた。

 彼女の個性は『蛙』

 蛙っぽいことはなんでもできる個性で伸びる舌と跳躍力が特徴的だ。外見にも個性の特徴が表れており、大きな瞳と少し猫背な姿勢になっている。

 

「蛙吹……だっけ?」

 

「そうよ、梅雨ちゃんと呼んで」

 

「……梅雨ちゃん?」

 

「ええ、友達になってほしい人にはそう呼んでほしいの」

 

「……じゃあそう呼ぶね、梅雨ちゃん」

 

「ええ、よろしくねコガネちゃん」

 

 蛙吹はにっこりと笑い、コガネも柔らかく答える。

 そんな入学初日みたいな会話をしてから当初の本題へと戻っていく。

 

「それで、お弁当少なくないのかしら?よかったら私のを分けてあげようと思って」

 

「……いい。私はこれで充分だから」

 

「本当?」

 

「本当。栄養を摂取できればなんでもいい。普通の食事は時間の無駄」

 

 食事とは、栄養を摂取するためだけの行為。

 10年前からコガネは味とか食べ物の種類なんてどうでもよく、とにかく効率を考えるようになっていた。

 

「だから私はこれで――んぐっ」

 

「食わず嫌いではないかもしれないけれど、偏った食生活は身体に毒よ、コガネちゃん」

 

 コガネの口が開いた一瞬の隙に蛙吹は箸で摘んだミートボールを入れ込む。

 突然、口に食べ物を入れ込まれたコガネは困惑したものの、ミートボールの味が口の中に広がったことでそんな思いは消えた。

 

「美味しいかしら?」

 

「……まあ」

 

「明日も持ってきましょうか?」

 

「……好きにすれば」

 

 コガネは満更ではないといった表情で答える。

 蛙吹もコガネの表情を見てニコリと笑った。この日コガネの『食』に対する意識が変わり始めた。

 

 その時、突如として教室の放送用のスピーカーから警報が鳴り響く。コガネと蛙吹は同じタイミングでスピーカーの方を見る。他のクラスメイトも同様で教室の中に緊張がはしる。

 

 『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外に避難してください』

 

「セキュリティ3……誰かが校内に侵入したということね」

 

「じゃあ取り敢えず飛蝗飛ばして中を探す」

 

「ん?いや待て!あれってただのマスコミじゃねぇのか?」

 

「……ん、本当だ。先生たちが対応してる」

 

 コガネは校外に飛ばした飛蝗と視界を共有し、相澤先生とプレゼントマイク先生が殺到するマスコミたちと話している様子が見えた。

 

「チッ、つまんねーな!!」

 

 ヴィランの襲来ではないので安心するべきところなのだが、爆豪はヴィランと戦おうとでもしていたのかイラついたようすの舌打ちと暴言を出す。

 

 そして朝の委員長の決定は、昼にあった警報に関連して何かあったらしい緑谷のどんでん返しによって覆され、委員長の席は飯田天哉へと譲り渡された。

 

 昼にあった警報は小さな騒ぎとして処理され、殆どの人間がその原因を考えない。その原因がヴィランなどとは考えていなかった。

 

 




USJには行けませんでした。
次回USJ編、できるだけ早く出せるようにします
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