塔が空から落ちてくる世界で、機動兵器に乗る傭兵やって生きてる 作:梅酒わいん
あと本当に突然、敵の姿を思いついてしまい、大修正することになって、予定更新が崩れました。
出さないより出したほうがいいので短いながら更新です。
水にぶち当たった衝撃と共に、機体はどっぷりと、暗い海へと潜り込んだ。
飛び込む衝撃と、荒れた風が叩きつけられた波は砕け、大量の気泡が溢れ、白に包まれた。
気泡によるノイズで、視界は閉ざされた。
暗い深海にも対応できる
この瞬間に攻撃されたら、なんも視認出来ないぞ。俺と【ヒュドラ】の勘的には大丈夫だけど。
海に沈むと、荒れた海の水流に振り回されそうになる。
地響きのような音と共に、前後左右から激しい水流が、機体をデタラメに殴りつけてきた。
脆い機体だと、水の中へ入り込んだだけで、バラバラになってしまうだろう。
だが、二基構成基のコアフィールドは、衝撃を柔らかく緩和してくれている。
そして、【ガトリングヒュドラ】の、重量と堅牢な装甲はそれに全く動じなかった。
それどころか、どんどんと水をかき分け、押しつぶすように沈んでいった。
ちょっと早すぎない? と思うが、地上で使った時の重量からすると、むしろ遅いくらいだ。
深く潜っていく手触りは、ビルや塔からの自由落下の感覚とは違う。
少しの浮遊感と、機体全体を包み込む水圧の抵抗。いまいち慣れない感覚だ。
脆いクッションを重ねているように、水の抵抗が沈む速度を弱く緩めてくれている。
「お義姉様。今は急速潜航モードのため勢いよく沈んでいってます。
ですが、コアフィールドを調整することで、沈下速度はなんとか調整出来ます。緩めますか」
──ほんの少しだけ弱くしてくれ。速すぎてちょっと戦闘するのは難しい。
「りょーかいです。【ヒュドラ】は重量があるので、浮かぶのは無理です。
ですが、静止に近いくらいまでならなんとかしてみせますよ」
セレネは自信満々に答えた。言動からすると結構細かい微調整が必要そうだ。
だが、水深の調整のために、エネルギー残量のことで、集中力を裂く必要はなさそうだ。
水中戦は始めてだからな。考える要素が一つでも減るのはありがたい。
そこそこの深度まで沈んだ。
張り付いていた白泡は消え、
そして、その瞬間に俺は強烈な殺意を感じ脳みそのギアを一気に戦闘体勢に切り替えた。
おい、来るぞ。来たぞ。来たね。はは、戦いだ。怖そう。強そう。壊そう。気持ち悪いやつだ。喰らうか。マズイぞあれ。やめとこうぜ。そうしよう。やろうぜ姫さん。いくぞ代理の乗り手よ。
全ての首がケタケタと歓喜し、恐怖し、狂喜しながら嗤い警告してきた。
──うるせえな。分かってるよ。来るぞセレネ。迎撃の
「えっ? あ、本当だ! 来ます! なんでソナーより先に!?」
俺の掛け声と共に探知をしたセレネは驚愕しながらモニターを操作した。
──勘だよ。敵の種別を教えてくれ、海の奴はさっぱりわからないんだ。
「分かりました──うわ、最悪!!
【
知らない形状の外装の名を聞き、警戒度を極限まで高めた。
そして、
水中に"鐘"が浮かんでいた。
サイズは距離から推測するに、大型機である【ガトリングヒュドラ】の二倍を超える巨体だ。
つるりとした表皮に装飾は無く、上部は丸く膨らんでおり、下に行くほど大きく開いている。
まさに"鐘"と呼ぶにふさわしい外観だったが、その鐘の下に異様な光景が広がっていた。
鐘の下部から十本を超えた数の、太い"管"の群れが触手のように蠢いていた。
ひとつひとつの管は相当に長く、あの巨体の数倍の大きさになるだろう。
そして、その先端には奇妙な人型の物体の"首"を締め上げるようにぶら下げていた。
二本の太腕。ずんぐりした二本の脚。分厚い太った胴体。
そしてガラス質の窓があるヘルメットのような硬質の素材で覆われた頭部。
力なく項垂れた知的生命体を模した人形を、【ベル】の下部からぶら下げていた。
管はそれに絡みつき、首を締め上げるように巻き付き、その腹部に接続していた。
「【ベル】が操る端末【スーツ】です。10機──! 確認された中でも最大級──!」
【ベル】と呼ばれた外装の外付け端末の【スーツ】は、異様な嫌悪感を感じる見た目をしていた。
後で聞いた話だが、タコ野郎曰く「主星での潜水服を模してるんや。キッショいわ」とのことだ。
その感想は同感だった。今まで見た
明らかにこちらを視認しているのに揺蕩っているような挙動だが、気持ち悪すぎる。
なにせ、水中を高速で潜行し続けている【ヒュドラ】と、相対距離が全く変わらない。
俺たちに狙いを付け潜航速度に合わせて一緒に沈んでいるのだろう。
つまり完全にこちらと同様の速度が出ていることは間違いないはずだ。
だが、やつの"鐘"の部分は水流の影響が全く存在しないかのように、静止していた。
せめて揺らげよ。嵐のせいで水流めちゃくちゃなんだぞ。
うようよと動く管に繋がれた【スーツ】どもは横に並べられ、虚ろにうな垂れている。
十の並んだガラス質の顔はどこも見ておらず、力なく海底に視線を揺らしていた。
まるで知的生命体が首を吊るされたかのように、ぶらぶらと揺られている。
俺達を補足しているのに関わらず視線はない。
"鐘"にはつるりとした表皮しか俺には見えていないし、【スーツ】は下を向いている。
感覚器は【ドグウ】と違って見えないのは確実だな。俺達を完全に補足しているが目がない。
だが、舐めつけるように俺達を観察しているのは間違いない。
無視はできない。
下で泳いでる巨大な【バハムート】と呼ばれたスクラップの親玉を叩きに行きたい。
ダメージを与え撤退に持ち越させたいが、それにはコイツを振り切らなければならない。
だが、これは相手はもっと高速で動けるだろう。速度差で不利なら打倒するしかないようだ。
戦闘の開始はあちらから文字通り"告げて"くれた。
そして、数瞬の時を経て【ベル】から、まるで鐘のような音が聞こえてきた。
その"音"は"波"となって、"海全体"を揺らして行く。
──音響兵器! この周囲の水全体を揺らすなんて、なんて出力だよ!!
「【ベル】は振動で"削って"きます! 【ヒュドラ】のフィールドなら耐えれます!
ですが、5分もすればこちらの防御力を貫通されます! そして!」
虚ろな顔を向けてきた【スーツ】達が一斉にそのヘルメットをこちらに向けた。
ガラス越しの黒い虚ろな漆黒の顔が、モニタ越しに映し出された。
そこには虚無しか感じない。だが俺達を害そうという殺意を色で表現していた。
「──【スーツ】に接触されないでください! 振動で直接削られます! 」
振動兵器か。それはコアフィールドの防御を無効化してこちらの装甲を確実に削ってくるな。
そしてその両腕を広げ、両手で掴みかかるような動作のまま、高速で迫り寄せてきた。
巨大な島の如き魚が泳ぐその真上の深海。
そこで、俺達が駆る多頭竜と
なんか使っていたプラウザでスペルチェックが入ってたので前半の文章がかなり変化しています。
文章は読みやすくなりました。と思うと同時に、めちゃくちゃ書きづらかったので不採用です。
海中コマンダーの最初の案は【テトラポッド】でした。
純粋質量と重量と頑丈さ任せに、体当たりを仕掛けてくるやつです。
問題だったのは、テトラポッドが商標だったことを、後から知りまして……