塔が空から落ちてくる世界で、機動兵器に乗る傭兵やって生きてる   作:梅酒わいん

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日間オリジナルランキング2位まで来ました!みなさん本当にありがとうございます!

ところで、思うんですけど、この作品かわいい女の子居ないですよね。
これじゃ人気小説になれないかなーって前から思ってました。構造的欠陥です。

多分みんなそう思ってたはずです。

超絶美少女です。どうぞ。


45話:真実

 愚かな話をしよう。

 

 後から聞いた話であるが──

 

 

『ええ~! お前、増援二人も呼んだの!? ダッセェ~!』

『そんなことで名誉を守れると思っているのか! 男なら! 戦士なら! 当然! 一人で挑むべきだ!』

『戦いで死ねるのならば我らが名誉は守られる! 男なら助かろうと思うな!』

『男なら死ねぃ!』

 

 

 愚かな話だった。

 

 最初は過酷な荒野において、貧弱な装備で塔を攻略する刑だったらしい。

 だが受刑者を慕うものがいれば増援として受刑者を手伝うことが可能であり、それを攻略して生き残れる。

 逆に慕うものが居ない乱暴者であれば、そのまま荒野に朽ち果てる。

 

 そのような”名誉あるもの”への刑だった。

 

 だが、スクラップを捕らえる方法がある程度確立し、受刑者と戦える方式に代わり──

 ある一定の時期から、”生存”より、”名誉”への比重が高くなってしまった。

 

 生存者は居ないということになっているが、大昔は普通に居た。

 しかし、増援を呼ぶ。つまり自身一人では”名誉を守る”ことが出来ないと見なされるような風潮が出来てしまった。

 

 名誉を守れず、社会的に死んで行く。

 

 戦士の風上にもおけない恥と扱われ、記録にすら残されなくなってしまった。

 

 

 名誉を取るか、生存を取るか──

 そしてこの刑が執行されるような人物達は、よりにもよって生存より名誉を選ぶような愚か者ばかりだった。

 戦士たちは自ら望んで名誉を選んでいき──そして生存者が”歴史上”居ないということになってしまった。

 

 名誉を守るための刑は、マッチョイズムと同調圧力により歪められ、あらゆるものをすり潰す殺戮機構へと変貌してしまった。

 

 

 

 いやほんとうに愚かな話だった──

 

 

 

 *

 

 

 

 もしかして。もしかするとだよ──?

 

 

 これ、正式なルートを使えば普通に助けられた?

 

 

 わぁ。

 うわぁ──

 

 騎士サマも顔に手を当て、項垂れているな。

 いやそうだよな。そうじゃなきゃこんな工作する必要なかったもんな。

 

 

 みんな知らなかったのか──

 

 

 なんだか酷く脱力した。

 はぇぁー。萎えた。

 

 

『さて、これにて”処刑”は執行された。

 セドリック卿の名誉は守られた。これで終わりだ。

 ヴァレリアンよ。

 

 ──映像を切れ。

 

 ここからは個人的な話だ』

 

 

 “王”が、戦いの終わりを告げた。

 

 

『簒奪者よ。

 いや、友を助けんとした勇者よ。

 その姿を見せよ。よもや尋常のものではあるまい。

 ここには私とヴァレリアンの二人しかおらぬ。問題なかろう』

 

 

 その声は、俺に、その姿を晒せと言ってきた。

 騎士サマ。エルドレイン王の口ぶりからすると、完全にバレてるぞ。

 

 指示に従う理由は無い。

 しかも俺は今、反乱の首謀者の1人だ。

 

 顔を隠すことに越したことはない。

 その行動は無駄で無意味で、危険以外の何物でもないだろう。

 

 

 だが、俺は──

 

 

 かつての勇者に、そして未だに街を守り続ける英雄に、敬意を示すこととした。

 

 

 

【ハルバード】のコックピットを開く。

 

 

 深く息を吸う。

 まだ戦場の匂いが残るコロシアムの空気を感じた。

【ハルバード】のコックピットから、肩へと登り──

 

 

 俺は、観覧席にその顔を向けた。

 

 

 *

 

 

 王は白濁した瞳を開いた。

 その瞳に映るは光しか無い。

 だが、その全てを知覚することが出来た。

 

 

『おお、おお──!

 

【天使】か──【天使】が再び現れたか──!

 

 なるほど。ヴァレリアンがこんなにはしゃぐとは何事かと思ったが──』

 

 

 王は静かに呟いた。

 

『遥か昔は破滅──前回は福音だったな──今回は──ははは』

 

 王は笑った。

 

『ははははははははは! どちらでも無い、戦士か! 愉快だ──そろそろ死に時かな──』

 

「王よ、そのようなことはありませぬ」

 

 ヴァレリアンが王を諫めた。

 

 

『命の使い所は自分で決める──

 そう決めたが、よもやここまで使い時がなかったとは思わなかった。

 そろそろ老人を楽にさせよ。昨今、間違い続きだ。さっさと誰か”反逆”せぬものかな』

 

「王よ、お戯れを──まだ貴方の”守り”が必要です」

 

『貴様らが独り立ちせぬのが悪い──

 ”王”の名などいつでもくれてやる。そもそも私は自称したことすらない。

 お前がやるか? ──ヴァレリアン』

 

「それこそお戯れを──」

 

 

 ここまで饒舌な王は久々に見た。

 

 王は”生き続けなければ”ならない。

 

 肉体は朽ち果て、友も妻も子供も先にすべて死に、光はすべて失った。

 だが魂だけは腐らず、街を生き残らせるためだけに、そのすべてを捧げていた。

 

 そして未だこの魂だけは戦士のまま生き続け、”時”を待っているだけなのだ。

 

 

『しかし──容姿は見えぬが。私にははっきりと”見える”。”似ている”ではないか』

 

 

 王は一人で納得した。

 

 

『そこの”娘”に母の面影を見たかヴァレリアン』

 

 

 王は、はしゃいだ。

 

 ヴァレリアンは苦い顔をしながらも、沈黙を貫くことしか出来なかった。

 

 

 *

 

 

 反応が薄いな。どうしたんだろう。

 放送はあれ以降無いな。戻っていいのか?

 

 

「あ──どうなった──」

「起きたかセドリック」

「従兄弟のグラハム兄さん──? 何故ここに──?」

 

【クロスガード】の足元に居るセドリックが呟いた。

 

 おお、ようやく起きたのかセドリック。

 お前さ、この処刑増援呼べるんだってよ。知ってた?

 

 

「──? 知っている。呼んだんだが──」

 

 え?

 

「僕は、自分でこの刑を選んだ。そして、生き残るつもりだったぞ──?

 ただ、何故か”来なかった”だけで──」

 

 ──わぁ。

 

 

 え。

 ちょっと、待った。

 もしかして、もしかすると──

 

 

 

 うわぁぁ〜。

 

 

 今、タコ野郎たちが抑えてる”騎士たち”が増援──?

 

 

 

 ははは。

 あはははははは!

 

 

 

 ──痛恨の作戦ミス──!

 

 

 

 

 なんだよ!

 

 この襲撃、本当にやる必要無かったんじゃねぇか!!!

 

 

 

 *

 

 

 あー、まぁいいや。

 もう疲れた。やる気ゼロだよ。

 

 

 経緯はどうあれ、結果オーライだろ。

 

 

 ほれ。起きろ。ヒーローが助けにきてやったぞ。

 ヒロインになった気分はどうだセドリック。

 

 

「────あのさ。

 

 ────逆じゃない?」

 

 

 あーん? なんだお前。俺じゃ不満か?

 

 

 

 

 超絶美少女が助けに来てやったんだぞ。喜べよ。

 

 

 

「自分で言うのかバカガラス──」

 

 

 いいじゃねぇか。事実なんだからさ。

 俺が可愛いのは昔から知ってるだろうが。

 お前、俺を嫁にしてやるとか言ってなかった?

 

 

「おまえ!! 二度と!!! それ言うなっつったろ!!!!」

 

 

 叫ぶな叫ぶな。傷口開くぞ。

 若気の至りだったなー。いや本当に生意気だったぜお前よ。

 

「趣味が悪いぞセドリック」

「うわぁぁぁ! 知られたくなかった! マジで一生の恥だ──死にたい──!」

 

 

 おいおい、今、生き残ったんじゃねえかよ。

 貸し一つで良いぜセドリック。

 

 

「最悪だ──!」

 

 

 

 

 はー。

 

 

 マジで茶番だったな。

 

 俺史上最高にグダった戦いは、これで終わりを告げた──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんか、バカが、落ちてきた。

 

「ハーッハッハッハ!!! 俺様! 参上!! くたばれ【ハルバード】!」

 

 

 ──あー。

 

 

 ──あのさ。

 

 

 ──空気読めよバカ野郎が!

 

 

 

 

 

 もうちょっとだけ、このグダったバトルは続いた。

 

 

 




俺だよ!カラスだよ!

【挿絵表示】


やっと出せた……長かった……
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