SCP-████ - 『神に最も近く、最も嫌われたもの』
オブジェクトクラス: Euclid → Neutralized(記録上)
レベル: 4/████
担当研究員: Dr. ██・補佐神学部門
最終更新: 20██/██/██
特別収容プロトコル
SCP-████の実体は確認されていない。
過去に存在したと思われる記録・映像・音声はすべて断片的であり、完全な実在性は証明されていない。
当該記録群は、財団アーカイブ・セクター██の「理解災害観測群」内に封入。
再生・解析・宗教的解釈の試みはすべて凍結状態にある。
説明
SCP-████はかつて「聖職者」と呼称されていたヒト型存在。
外見的には中年男性、宗教的装束を常時着用。
しかし、内部構造は不明であり、生物学的検査の全てが「検体の存在を確認できず」と記録している。
SCP-████は人間社会において一貫して嫌悪され、排除され続けていた。
その理由は明確ではないが、接触した人間は全員、SCP-████への“説明不能な不快感”を訴えている。
暴力・迫害・信仰の否定などの行為が繰り返される中、SCP-████は抵抗することなく観察を続けた。
「私は人を知るために、人として在る。
だから、嫌われるのもまた一つの観測だ。」
SCP-████は、人間という存在を理解するための器であった可能性が高い。
それは「神」でも「悪魔」でもなく、ただ観測と理解の構造そのものだった。
行動記録抜粋
毎朝、同じ祈りの言葉を発する(言語不明・構文不定)。
周囲の人間に対して一切の敵意を示さない。
動物・植物・機械に対しては好意的反応を示す。
他者から向けられる嫌悪・暴力を静かに受け止め、記録する。
「嫌悪は愛の欠片。
それを知らぬ私は、人を知らぬことになる。」
終末記録:20██/██/██
財団はSCP-████の観測中、“返礼”と呼称される現象を確認。
同時刻、██名の人間が意識停止、生命活動のみ継続。
非人間的存在には影響なし。
現象後、SCP-████は完全に消失。
遺された音声記録は以下の通り。
[音声記録████-Ω]
私はもう十分に見た。
どの土地も、どの言葉も、どの肌も関係なかった。
そこにあった嫌悪が、人間的で、美しかった。
始まる理由は、ただの興味。
理解する理由は、ただの事実。
別れる理由は、ただの終わり。
きっと何もなかった。
何も——。
それでいい。
[記録終了]
以降、SCP-████の痕跡は一切検出されていない。
「Neutralized」として分類されているが、観測班の一部は**「終了」ではなく「整理」**と呼称している。
補遺██-後報
Dr. ██ 記録抜粋:
彼は世界を救ったわけではない。
ただ、理解し、整理した。
そして残ったのは、形だけだ。
動く肉体、止まった思考。
中身は、すべてどこかへ渡っていった。
それが終わりであり、最も正しい“祈り”だったのかもしれない。
O5評定結語
SCP-████は「災害」でも「奇跡」でもない。
それは観測の終了報告である。
“何もなかった”。
それは恐らく、最も完全な理解の形だ。
──報告書閉鎖。
すべての観測データは保存済み。
再調査の必要なし。
“終わり”は完了した。
ただの理解は事実を認知すること。
人であるが故にそこに感情を移入する。
タイトル:SCP-████ - 『神に最も近く、最も嫌われたもの』
作者: ぬどん
ソース: http://www.scp-wiki.wikidot.com/
ライセンス: CC BY-SA 3.0