ベル・クラネルの父親に転生してしまった!?(本人は無自覚です) 作:カステラ
『■■■!今日学校のテストでまんてんを取ったんだ!!』
そう自慢げに報告する
喜色に顔をほころばせ、その成果をある人物に報告する。
『あら、よかったわね■■』
そう言うのはベットに横になり、血色の悪い女性。
まるで死人のような肌に顔色、とても健康な状態とは言えなかった。
当たり前だ、ここは病院。
健康ではない者が来る、いる場所なのだから。
『……それで、大丈夫なのか?』
『大丈夫よ。最近は調子もいいし』
そう少年が聞くと、女性は言葉を返す。
しかし、少年にはそれが嘘だとわかっていた。
今までにもこういうやり取りはあったが、彼女が元気になったことを少年は見たことが無かった。
だから───
『……そっか、わかった……早く退院できるといいな!』
『ええ、ありがとう』
少年はその嘘を信じた。
それで■■■が元気になってくれるならと。
そう思ったから。
──────────────────────
「────ん」
瞼を開ける。
その目に映るのは木製の天井。
「ここは………」
そうつぶやき、体を起こそうとする。
しかし、
「いっ!?」
体中から発される痛みに、その行動は阻害された。
特に腹は深刻だ。ほかの部位よりさらに痛い。
当たり前だ、少年の体の傷は重傷そのものであり、容易に動いてはならない。
「いってて……俺、何してたんだっけ?」
「なんか懐かしい夢をみていたような」と言い、ベットから出ずに考える。
そして段々と意識が覚醒したのか、少年は思い出す。
「……そうだ!インファント・ドラゴンを倒して!………えっとそれから……」
そこまでは思い出せたものの、それ以上は分からなかった。
「……団長やザルドに聞くか……」
それが一番確実だと考えた少年、アルバスは言う。
そして、ベットから出ようとして───
「───あれ、俺泣いてた……?」
雫が頬を伝う。
それを、たった今気付いた。
少年は思う。
夢をみていたのだと。
(……なんか、悲しい夢だったような気がする)
その時、カツンカツンと足音が聞こえて来た。
「……誰だろ?」
(ここまで来るってことはザルドとかかな、団長もありうるけど)
そんなことを考えながら必死に立ち上がろうとするが、まだ痛む体がそれを拒む。
(いってぇな……あーあ、見舞いに来てくれるなら美女か美少女がいいなぁ……)
訂正、そんなことを考える余裕はあるようだ。
わざわざ見舞いに来てくれた相手に思うことではない。
普通に最低である。
そして、そんな考えをしている間に、足音が止まり病室のドアが開く。
「………えっ?」
そこにいたのは、白い衣を纏った天使───と見紛うほどの美少女だった。
その名は───
「メーテリア……?」
ヘラ・ファミリアの眷属、メーテリアである。
「アル……バス……?」
呆然とした様子で、こちらの名を呼ぶメーテリア。
手には花を持っており、恐らくはベットの横の花を変えに来たのだろう。
アルバスは呆然としてしまったメーテリアに首をかしげながらも挨拶をする。
「メーテリア、おは〜!───ッ!いっててて!?」
少し大きな声を出したとき、激痛にかられた。
その様子を見ていたメーテリアは、ゆっくりとこちらへ向かってきた。
変わらずメーテリアを見ていたアルバスは、その雰囲気がどこかおそろしく感じられビクビクと体を震わせる。
「……あっあの、メーテリアさん……?様……?ど、どうしたんでせうか?」
思わず変な敬語になってしまうほど、その雰囲気に恐怖を感じていた。
そして、メーテリアは言う。
「────バカ……」
「………えっ?」
「バカって言ったのよ!!このバカ!!」
突然の大音量。
大きな声を出したメーテリアに驚き、ひっくり返りそうになる。
何だなんだとメーテリアの顔を見てみれば、
「───な、泣いてんのか?メーテリア……」
泣いていた。
それに加えてメーテリアは言う。
「死ぬとこだったのよ!?なんであんなことしたの!!」
「えっ…いやその」
さらに言葉を続ける。
目尻に涙をため、必死に。
「あの場には姉さんもいたのよ!?わざわざ危険なことをすることはなかったでしょ?!」
「あの、メーテリア!聞いて───」
「嫌です!聞きません!!なに!格好つけでもしたかったの!?」
「姉さんやみんなは美人だのもね!?」と半ばヤケクソになりながら言うメーテリア。
自分でも何に怒りたいのか分からなくなっていったのだろう。
それに対して、アルバスは言う。
「違うよ、いくら俺でもそんな理由で命を掛けたり───冒険をしたりしない」
「じゃあなんで!なんでなの?!なんで───」
「そんな危ないことをしたのよ……」
とうとう本格的に泣き出してしまったメーテリアは語気を弱めて言った。
「……メーテリア」
「……私、姉さんみたいに強くないから。何の力にもなれないけど……弱いままでも許される環境で生きてきた私が、なにかを言えることじゃないかもしれないけれど……」
「でも」とメーテリアは前置きして。
「貴方みたいな優しい人がそんな無理をする必要、ないじゃない……」
(……ああ、メーテリアは優しいな)
こんないい子が自分の事で泣いてくれている、それが少し信じられないけど。
アルバスはそう思いながら、メーテリアに対する答えを言う。
ある人物とメーテリアを重ねていたことを自覚しながら。
自分にとっての罪を明かす覚悟をしながら。
「………メーテリア、聞いてくれ」
「……………なに?」
メーテリアが顔を上げる。
美しく儚い顔を涙で濡らしながら、アルバスの方をむいた。
「……俺さ、母さんがいたんだ」
「……アルバスの、お母さま?」
そこでメーテリアは疑問に思う。
いた、つまりは過去形だ。それが意味することはつまり──
「どんな時も笑顔で、叱るとこはしっかり叱って、自分だって辛いはずなのに優しさを忘れなかった」
「俺にとって、一番に尊敬する人なんだ」
「……すごい人、だったのね」
そうメーテリアが言うと、アルバスも笑顔を多くして語る。
まるで懐かしむように。
「そうなんだよ、俺にとっての
その次に告げられた言葉に、メーテリアは驚くほかなかった。
「……母さんは、体が弱くてさ。いつも床に伏せってたんだ」
「───!」
今までの表情と一変して、悲しそうな顔をしながら言う言うアルバス。
その顔は、悲しみのほかにも、無力感や絶望感などが混じった表情だった。
「……俺はいつも、母さんが弱っていくとこを隣で見ていただけだった」
「魔法が発現したときも、なんでもっと早くこれがなかったんだって理不尽にも憤ったさ……笑えるよな?全てを癒すと言われる魔法が、手遅れになったあとに発現したんだ……」
「だから強くなれるとは思っても、嬉しくはなかった」とアルバスは語る。
強くなるのに重要だから魔法を求めて
「……すべては約束を守るためにやったことだから、な」
「………約束って、なに?」
メーテリアは彼の地雷になるかもしれないとわかっていながら踏み込んだ。
いつもふざけている彼が、こんなに真面目に話してくれる機会なんて、早々訪れないから。
これを逃せば彼はまた、飄々として仮面の下に本音を隠すだろうから。
そしてアルバスは答える。
「『ほんの少しでいい…困っているひとの力になってあげて?』」
「!!」
「『お母さんを助けられなかったなんて気に病まないで。お母さんは、立派な貴方と居られて幸せだったわ』」
「『だから貴方も、幸せになってね』だってさ……」
それは世界の何処かではありふれたことだったのかもしれない。
今もどこかで、同じような状況で苦しんでいる人がいるかもしれない。
だが、彼らにとってその瞬間は無二の時間だ。
その人達にしかない、特別な物。
だから、
「その時間をもっと幸せにしてやれたんじゃないかって、そう思ったんだ……」
「勝手にメーテリアを母さんに重ねて、治してやれたらってそう思ってた」
「ほんと、勝手だよな……」
それを聞いたメーテリアが立ち上がるのに気づかず、アルバスは言葉を続ける。
そして、メーテリアはゆっくり近づいていき───
「そもそも俺がいなけりゃ、もっと────」
パシンッ!
「……え?」
思いっ切り頬を叩いた。
それからさっきの語気で言葉を叩きつける。
「……何よそれ……」
「ふざけないで!アルバスがいなければもっと幸せだったかもしれない?そんなことは絶対にないわ!!」
「───ッ!?」
それを聞いたアルバスから、怒気が溢れ始める。
滅多に他人に対して怒ることのない彼が、はじめてメーテリアの前で怒りを顕にした。
「それを決めるのはお母さま自身!貴方が勝手に決めていいものじゃない!!」
「────ふざけんな!!」
アルバスは怒鳴る。
メーテリアにこんなことをしてはいけないとわかっていながら───これは八つ当たりだとわかっていながらそう言う。
だって、そうしなければ───
「俺と居られて幸せだった……?そんなわけないだろ!!俺が母さんの負担になっていたことは明らかだ!!それを部外者のお前が────!!」
「ええ!私は部外者よ!!でも、私は今アルバスに出会えて幸せよ!!」
「はぁ!?」
怯まずメーテリアが言い返した言葉にアルバスは明らかに狼狽する。
少し顔を赤くなり、恥ずかしいのか勢いが弱まる。
そしてさらに、メーテリアは言葉を続ける。
「あのとき、自分が酷い目にあうかもしれないにも関わらず、貴方は真っ先にファミリアの皆に知らせに行った!!」
「優しい貴方を、私は尊敬していた!!」
「そんな貴方にであえて、私は幸せだった!!」
「だから!!」と更に言葉を募らせる。
今までの想いをぶつけるように。
「そんな貴方が、自分を卑下しないで!!!」
そう万感の想いを込めた言葉を、アルバスにぶつけるメーテリア。その言葉を聞いたアルバスは、しばしの硬直の後───
「────ぁ」
今までの言葉が蘇ってくる。
『いつもありがとうね、
『すごいじゃない!流石は私の息子ね!!』
『……そんなに自分を責めないで、貴方のせいなんかじゃない』
『……あのね、お母さん…貴方といられて幸せだったわ』
そんなやり取りが、浮かんでは消えて行く。
大切なもの、宝物のようなもの、忘れてはならなかったもの。
「あ、あぁ!ああぁ────!!」
「うぁぁぁぁぁ──────!!!」
それを彼はようやく、しっかりと思い出せたのだ。
─────────────────────────
その後。アルバスは─────
「すんませんでした……」
バチクソに暗くなり土下座していた。
それに対し、メーテリアは慌てて言う。
「だ、大丈夫よ!スッキリできたならよかったわ!」
「まじすんません、もう今から死のうと思います……」
「それはダメ」
「はい」
急に語気を強くするメーテリアに思わず敬語で返事をしてしまうアルバス。
それでも、彼の顔からは憑き物が落ちたような印象を受けた。
「……なあ、メーテリア」
「………なあに?
そうメーテリアは笑顔で応えた。
それに対してアルバスは言う。
「俺、必ずメーテリアのこと治すから……だから、もし治せたら────」
「母さんに、一緒にありがとうって言いに行ってくれないか?」
「……ふふ、ええ。こちらこそよろしくね、アル」
そう言って、二人の少年と少女は微笑んだ。
─────────────────────
アルバス・クラネル ランクアップ可能
Lv1
力:SS1058
耐久:SS1099
器用:B763
敏捷:A832
魔力:SSS1103
《魔法》
・速攻/全癒魔法。
・雷属性。
・
連結詠唱:【我が約定よ、我が決意よ、出会いし
《スキル》
・格上との戦闘時早熟する。
・決意に応じて効果向上。
・約束を違えたとき効果消失。
・魅了に対する抵抗権。
・神威に対する抵抗権。
これで第一章は終わりです。
こうゆう展開書くのは初めてなので、至らないところがあってもご用意ください。