ベル・クラネルの父親に転生してしまった!?(本人は無自覚です) 作:カステラ
ランクアップ
遠い昔、それは『儀式』と呼ばれていた。
下界の住人、子供たちの可能性を広げるもの。ある種の促進剤。
ある神は言う、どうなるかはお前たち次第。
ある神は言う、お前たちの可能性は無限大。
ある神は言った、英雄の誕生をと。
だからこそ、神々は恩恵を授けたのだから。
まあ、なかにはそうでない神も居るが………。
そして今日も、ある神が眷属のファルナに
しかし、何時もとは異なるそれは下界全土を揺るがしかねないほどだった。
所要期間、三週間と四日。
それがこの少年が階位を上げるのにかかった時間。
下界では前代未聞のことである。
そしてあり得ないステイタスの数値。
もはやその神を何度驚かせれば気が済むのかと言うほどだった。
「………終わったぞ、ランクアップじゃ」
その神───ゼウスの言葉を聞き、眷属の少年は笑みを浮かべる。そして、起き上がりゼウスに向かってことばを発する。
「ありがとな、ゼウスのジッさん」
「神として当然のことじゃ、今さら礼を言われることではないわい」
そんな軽口を叩きながら、少年は自分のステイタス用紙を確認する。
アルバス・クラネル ランクアップ可能
Lv1
力:SS1058→SS1096
耐久:SS1099→SSS1201
器用:B763→A893
敏捷:A832→S999
魔力:SSS1103→SSS1103
《魔法》
・速攻/全癒魔法。
・雷属性。
・
連結詠唱:【我が約定よ、我が決意よ、出会いし
《スキル》
・格上との戦闘時早熟する。
・決意に応じて効果向上。
・約束を違えたとき効果消失。
・魅了に対する抵抗権。
・神威に対する抵抗権。
これがLv1の最終ステイタスであり、普通の冒険者ならあり得ない数値だ。
実のところ、あの病室の語らいから2日経っており。その間ザルドやマキシム、パァルにボコボコされてステイタスを鍛えていたという裏があった。
だが、どうしてもステイタスの限界突破はできずカンスト以上には上がらなかった。
何が原因なのかは分からないが、伸びやすいスキルと環境をもってしてこれなのだ。ほかの冒険者が伸びにくい理由がわかった気がする。
「───それで、ゼウスのジッさん。ランクアップした後のステイタスは?」
「ほれ、これじゃ」
そう言ってゼウスが渡してきたのは同じような羊紙。
だが、その内容は世界が違っていた。
アルバス・クラネル
Lv2
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
悪運:I
《魔法》
・速攻/全癒魔法。
・雷属性。
・
連結詠唱:【我が約定よ、我が決意よ、出会いし
《スキル》
・格上との戦闘時早熟する。
・決意に応じて効果向上。
・約束を違えたとき効果消失。
・魅了に対する抵抗権。
・神威に対する抵抗権。
・能動的行動に対するチャージ実行権。
・他者に対するフルチャージ時の譲渡権。
・チャージ時、一時的
「………モリモリだな」
「ほんとじゃよまじで」
そうふざけたやり取りをしながらも、しっかり驚愕しているゼウスとアルバス。
この【
実質【
ここまでくると苗字との関連性も疑うレベルである。
まじでベル君の親戚なんじゃないのこれと。
まあ、それがメーテリアとの約束を守る力になるなら悪くないと思っているが。
「……まあ、とにかくありがとなジッさん。さっそくダンジョンに行って調整してくるわ」
そう言って出ていこうとするアルバスに、ゼウスは真面目な雰囲気になって言う。
「………アルバス。お主の焦りは、なくなったようじゃな」
それを聞き、少し行動が止まる。
「だが、スキルにも出た通り。お主には更に強い決意が芽生えた」
「それを、大事にせい」
それを聞き終えたアルバスは、部屋のドアをあける。
そして顔をゼウスに向けて、言った。
「ありがとな、神様」
そう言って、今度こそアルバスは部屋から出ていった。
───────────────────────────
ホームを出発し、ダンジョンへ向かう。
しかしその前に、やりたいことがアルバスにはあった。
「……鍛冶師に頼みてぇな、
そう、この間戦った黒きインファント・ドラゴンのドロップアイテムだ。
実はドロップしていたものを、アルフィアたちが回収してくれていたらしい。
ありがたいことである。
「……と言っても、鍛冶師の知り合いなんていないしな〜……どうしよ」
悩んでいるのはそのことである。
ベル君のように偶然の出会いなどそうそうあるものではなく、それに賭けるほど純真ではない。
「……仕方ない、また今度だな」
そう諦め、アルバスは背中の
そう、彼常々足りないと思っていた攻撃の威力を補うため、腰に直剣と背中に大剣を背負うようになっていた。
「……こいつの試運転もしたいしな」
そう言って、彼はダンジョンへ向かっていった。
────────────────────────
時を同じくして、ヘラ・ファミリアのホーム。
そこの食堂にて、和気あいあいと会話が繰り広げられていた。
「ねえねえ!どうだったんですか?噂の彼は!」
そんな中、一人の団員が金髪に緑眼のエルフ───リュシーに声を掛けた。
その言葉を不思議に思ったのか、リュシーは聞き返す。
「噂の彼って……もしかしてアルバスのこと?」
「そうそう!その人ですよ!で?どうなんですか?どんな人なんですか!?」
そう興奮する少女に、リュシーは口に手を当てて黙らせる。
それはなぜかと言うと。
「いや、騒ぐのは辞めなさい……」
「?どうしてですか?」
「あれよ」
そう言って後ろ向きに親指を差し、ある人物を示す。
その人物は─────
「あ、アルフィアさん居たんですね」
「静かすぎて気づかないのも無理ないけど、あいつの周りで騒ぐのは辞めときなさい」
アルフィアだった。
当たり前だ、アルフィアの周りで喧騒をたてようものなら福音一発で吹き飛んで終わりである。
自分まで巻き込まれたくないため、リュシーは注意したのだ。
「じゃあ小声で聞きますけど、どうだったんですか?その彼の戦いは」
「そうね─────」
そう聞かれたリュシーは、暫し悩んだ後答えても問題ない判断して口を開く。
「もの凄かったわね」
「それは……どんなふうに?」
「………そうね、例えばだけど」
そう前置きして、彼女は話し始める。
その過程を。
「冒険者になって一ヶ月足らずで変異種だと思しきLv2相当の個体を討伐するって言えばわかるかしら、第一級冒険者にボコられた直後の満身創痍で」
「………へっ?」
団員の少女は思わず呆けた声を出してしまう。
それほど迄に先ほどの言葉は強烈だった。
「………それどこの化け物ですか?」
「うちのファミリアの同盟相手のところね」
「いやそういう事を聞いてるんじゃなくて」
そういう感じに話していたところ、リュシーが本題と言わんばかりに言う。
「あと……凄まじい冒険だったわ」
「!!」
その言葉は、冒険者ならば見過ごせない言葉だった。
第一級冒険者の、それもヘラ・ファミリアの幹部がそういうのだ。
「私、暫く寝付けなかったもの」
「……そこまで言わせるなんて」
「いったいどんな」と言葉を続けようとして、それはできなかった。
横合いから、静寂を纏った声が聞こえて来た。
「やつの話か」
「「!?」」
驚愕した。
話しかけられたの事自体にではなく、その話掛けた人物が問題だった。
【静寂】のアルフィア。
神時代最高の才能と謳われた人物が、傲慢で身勝手な人物が自分から話題に入ってきたからだ。
「……アルフィア、あんた大丈夫?」
「次にその言葉を発すれば魔法を撃ち込む」
「すんません」
超速の謝罪だった。
彼女といえど第一級冒険者だが、アルフィアとの間には隔絶した開きがある。
そんな人物の魔法を喰らえばひとたまりもない。
それに、アルフィアはやると言ったらやる人物だ。
冗談は通じない。
「……それで、やつのことだったな」
「は、はいぃ……」
かなり怯えながら団員の少女は言う。
アルフィアはファミリア内でも傍若無人に振る舞うため、恐怖の象徴として恐れられていたのだ。
そんなアルフィアが、他人の───メーテリア以外の話題を自ら出した。
そんな異常事態が今である。
しかし、アルフィアの口から語られた言葉は真剣そのものだった。
「やつは冒険をした………私たちにもできるかわからんほどのな」
「力、速さ、耐久、魔力、その全てにおいて相手に上回られ、勝つのは絶望的」
「加えて自身は万全ではなく、満身創痍でありながら」
「勝ってみせた」
更にアルフィアの言葉は続いていく。
こころなしか、少し興奮するように。
「技量を、ステイタスを、魔法を、持てるものをすべて駆使し自分より強大なものに打ち勝ってみせた」
「まさにあれは……冒険だった」
そんなことを語り終えたアルフィアには、驚愕の視線が集まっていた。
食堂全体から。
その中から代表するように、メリアがアルフィアに聞く。
「あの?アルフィアさん?」
「なんだ」
「違ってもぶっ飛ばさないで欲しいんですけど……」
一拍を置いてから、メリアは恐る恐る聞いた。
「嬉しかったんですか……?自分の言葉に応えてくれて」
「【
その瞬間、食堂が半壊した。
そのあとしっかりメーテリアに怒られた。
見て下さりありがとうございます。
今回は主人公のステイタスとアルフィアさん回でしたね。
あとフィン達ってこの時期Lvどのくらいなんでしょう?Lv3くらいですかね?