ベル・クラネルの父親に転生してしまった!?(本人は無自覚です)   作:カステラ

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実力差

 

それは、少し前の日のこと。

 

アルバスはゼウスに聞きたいことがあり、ステイタス更新の後に時間を作ってもらった。

 

 

『時間作ってくれてありがとな。ゼウスのジッさん』

 

 

『特に問題ないわい、暇だったからの』

 

 

そう言ってゼウスは椅子の上であぐらをかいている。

相変わらず不真面目に見えるゼウス。

その答えを聞いたアルバスは聞きたかったことを聞くために、言葉を発する。

 

 

『単刀直入に聞くぞ、ジッさん───────俺に成長促進スキル発現しただろ?』

 

 

『───────』

 

 

その言葉を聞いたとき、ゼウスが少し固まる。

そして、ほんの少ししてから聞き返す。

 

 

『────なんで、そう思ったんじゃ?』

 

 

そう疑問を提示する。

そしてアルバスは答える。

 

 

『俺の成長速度は、ほかの冒険者とは比べ物にならないだろ?だからだよ』

 

 

それを聞いたゼウスは少しため息をつき、言った。

 

 

『なるほどのぉ……おぬしはほかの冒険者と関わりが薄いから、もう少し気づくのに時間がかかると思っておったんじゃがな〜』

 

 

「気づいてしまったんならしょうがないわい」と言い、ゼウスは本当のステイタス羊紙を渡す。

 

 

アルバス・クラネル

Lv1

 

力:E450

耐久:E495

器用:F398

敏捷:D567

魔力:I0

 

《魔法》

【 】

 

《スキル》

【制約邁進】(ギアス・ロード)

・格上との戦闘時早熟する。

・決意に応じて効果向上。

・約束を違えたとき効果消失。

 

【異界遊者】(トラベラー)

・魅了に対する抵抗権。

・神威に対する抵抗権。

 

 

そのステイタスを見て、少し呆然としてしまう。

 

 

(なんだこのヤバいステイタスは!?)

 

 

彼の胸の内は驚愕でいっぱいだった。

何か異常なことがあるから隠していたのはわかっていたのだが、これほどまでとは思っていなかった。

 

成長促進スキルはまだわかる。だが下の【異界遊者】の効果はわからない。

 

魅了に対する抵抗権?神威に対する抵抗権?なんだそのふざけた効果は、反則もいいところだ。

 

つまりは、下界の住人ならば絶対に抗えないそれを自分は抗うことができるということなのである。

 

 

(確かにゼウスのジッさんが隠すのもわかるわ……こりゃバレたらまずい)

 

 

そう納得しながら羊紙を机の上に置く。

 

 

『な?バレたらまずいじゃろ?』

 

 

内心を見透かしたようにゼウスが言う。

 

そして急に顔つきを真面目にして、ゼウスはアルバスに言う。

 

 

『お前のそれは、普通の神だけではなく悪神までもが興味を持つものだ』

 

 

『だから十分注意しておくんじゃ』とゼウスは言う。

 

 

それは紛れもない主神(おや)としての忠告であった。

 

それをありがたく受けとったアルバスは口を開く。

 

 

『わかった、注意しとくよ、ありがとなジッさん』

 

 

そう言ってアルバスは部屋から出て行こうとする。

 

その後ろ姿をみて、ゼウスは言う。

 

 

『アルバス……急ぐなよ』

 

 

その言葉に、アルバスは何も答えなかった。

 

 

───────────────────────────

 

 

深層、それは真の死線(トゥルー・デッドライン)と呼ばれる迷宮の最大危険領域。

 

Lv4の第二級冒険者パーティーからしか入ることをゆるされない真の死地。

 

ギルドによって冒険者の心が折れないように、徹底して情報規制がされるほどの場所。

 

そしていま、この場所に──────

 

 

 

 

 

 

「うお〜〜!???死ぬ死ぬ死ぬ!!」

 

 

 

 

 

 

少年の絶叫が響いていた。

 

アルバスがいる場所は37階層、5つの『大円壁』と呼ばれる壁からなる階層で、オラリオの土地がすっぽり収まるほどの広さを持つ。

 

それぞれの円壁は『第〇円壁』と称され、今彼がいるのは『第三円壁』、『戦士の間』である。

 

なぜそんなヤバヤバな階層にLv1の彼がいるのかと言えば、

 

 

【福音】(ゴスペル)

 

 

この破壊の鐘の音を撒き散らす才禍の化身に連れてこられたからである。

 

そして、その様子を見ていたサポーターの少女は彼に声をかける。

 

 

「あー、死にそうになってるとこ申し訳ないんですけどね?援護の邪魔になるんでどいててくれません?」

 

 

そんなことを言いながら、見れば魔法の詠唱を完了させてもう撃つ寸前である。

 

 

「あっ!はっはい〜〜!!」

 

 

アルバスは巻き込まれぬように、急いで離脱する。

 

その直後、アルフィアも射線上から離脱し魔法が放たれる。

 

放たれた炎は、骸骨どもを一掃し怪物の戦士さえも焼き払ってすすむ。

 

やがて壁に到達し、爆発を起こして止まる。

 

それをみたアルバスは思う。

 

 

(うは〜〜!!とんでもねえ〜〜!!やっぱり格が違うわ第一級冒険者って)

 

 

あれだけいたモンスターを一瞬にして吹き飛ばし、なおかつ威力を残したまま壁に激突するとは。

 

さすがはヘラの眷属、とんでもない。

 

 

(─────だがそれ以上にアルフィアがバケモンだ)

 

 

先ほどの魔導師にしてサポーターの少女の魔法も凄かったがアルフィアは前衛で戦っていたのだ。

 

魔導士が(・・・・)である。

 

 

(前衛で戦える魔導士ってなんだよ、無茶苦茶じゃねえか)

 

 

アルフィアが本気になれば、一人でも殲滅することは容易かっただろう。

 

それが面倒くさかったのかなんなのか知らないが、サポーターの少女に任せていたが。

 

 

「……終わったな」

 

 

そうアルフィアが呟く。

 

そして、2人に指示を出す。

 

 

メリア(・・・)そして蛆虫、さっさと魔石を回収しろ」

 

 

「はいはいーい!了解しました!」

 

 

「はいはいわかりましたよ、って誰が蛆虫だ!?」

 

 

そんなことを言いながら、彼らは魔石を回収していく。

 

その途中、アルフィアに聞こえないようにアルバスが毒づく。

 

 

「くっそ、メーテリアがいないからっていい気になりやがって…」

 

 

「なにか言ったか?うん?」

 

 

「何でもありません!!」

 

 

思いっ切り聞こえていたようで、危うく制裁されるところだった。

 

 

「もう諦めましょう?アルフィアさんに何言ったって無駄ですよー」

 

 

そうサポーターの少女は言う。

 

 

「ああもう!わかったよ!……」

 

 

それにアルバスも渋々ながら同意し、魔石拾いを再開する。

 

その中で、アルバスは思う。

 

 

(それにしても、すごい量の魔石だな、これ売ったら何ヴァリスになるんだろ?)

 

 

そんな金のことを考えながら、拾い集めていく。

 

さらにアルバスは思考する。

 

 

(今回のは遠征後の金稼ぎと言ったところだろうか、なにか破損でもしたんだろうか?)

 

 

遠征はただでさえ時間と資金がかかるのに、武器などが破損した場合はさらに金がかかる。

 

修理費というやつだ。

 

 

(まあ、そんなこと俺が考えることじゃないか……)

 

 

アルバスはそこで思考を打ち切り、魔石拾いへと戻る。

 

その時、アルバスは何か視界の端で動くものを捕らえる。

 

 

 

 

 

 

「──ッ!危ない!!」

 

 

警告が響く。

 

少し遠くで魔石集めをしていたメリアが見たのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

今にも襲いかかろうとしている一匹のスカル・シープであった。

 

 

(皮でカモフラージュしてたのか───ッ!)

 

 

そう思考し、咄嗟にバックステップで距離を取ろうとするが遅い。

 

彼が動き出すより、スカル・シープのほうが早い。

 

 

(くそっ!避けられないッ!!)

 

 

そうして、被弾を覚悟し目をつむった。

 

抵抗しようとするが、恐怖に身がすくむ。

 

 

(───ッ!くそくそくそ!!)

 

 

ダメだ、勝てない、その一瞬でわかってしまった。

 

そして、その時彼の脳裏に浮かんできたのは、ある者への謝罪だった。

 

 

(ごめん、■■■。約束、守れないかも………)

 

 

そう思ったとき───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【福音】(ゴスペル)

 

 

 

 

鐘の音が響く。

 

いっそ暴力的なまでに力強いその音は、その死の隠者をバラバラに吹き飛ばす。

 

 

「………えっ?」

 

 

なにが起こったのか分からない様子でアルバスは呆然とする。

 

凛とした声が響く。

 

 

「情けないな、そのように簡単に諦めるとは」

 

 

「メーテリアがなぜこんなやつを気に入ったのかわからん」と口にしながら、その才禍の怪物は言う。

 

アルバスは呆然として言葉が出ない。

 

 

「何をやっている、冒険者ならさっさと未知を既知に変えろ」

 

 

「────────ッ!」

 

 

言葉を続ける。

 

 

「ステイタスが足りないなど言い訳だ、そんな言い訳は本当の死地では通じない」

 

 

「貴様は己より強大なものとの戦いで、諦めるのか?」

 

 

「────────ッ!?」

 

 

さらに言葉を重ねる。

 

 

「力が及ばないからといって、潔く死ぬのか?」

 

 

 

 

 

そんなわけ無いと言ってやりたかった。

 

たが、自分はあきらめた。

 

本当の命がかかった戦いを。

 

より強大なものとの戦いを。

 

冒険者としての冒険を。

 

 

だから言えなかった。

 

 

「貴様を連れてきたのは私だ。故に私には貴様を守る義務がある」

 

 

そう言って才禍の怪物は言葉を続ける。

 

 

「………だがまあ、連れてきたのは早まったかも知れんな」

 

 

その言葉は、今までのどんな言葉よりも。

 

彼の胸に敗北感を刻んだ。

 

 

「もういい、撤収だ。メリア、準備しろ」

 

 

そう言ってアルフィアは呼びかける。

 

 

言われたとおりに撤収の準備をする間。

 

アルバスはずっと、自分の力不足をかみしめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




すみません、アルフィアさんが好きな人からしたらアルフィアさんがきつく見えるかもしれませんがご容赦ください。
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