夜明け -片割れ三ツ巴-   作:NIGHTMARE⭐︎

3 / 19
3 動向

依頼者の家の前に到着した巴と韋駄丸の2人。

「ここっぽいですね」

巴が躊躇いもなく家のチャイムを押す。韋駄丸は無言で立っている。その表情からは何の感情も読み取れない。

扉がゆっくりと少しだけ開く。警戒しているらしい。

「宇宙平和協会の巴です」

「同じく協会の韋駄丸…」

それを聞いて依頼者は安心したのか、扉を開いて姿を見せた。白いドレスを着た少女。

「ど、どうぞ…!詳しくは中で…!」

少女は2人に手招きする。巴はお辞儀して玄関に上がった。韋駄丸は少し躊躇っていながらも、巴の目線に気づくとすぐに家に入る。

「さて…依頼内容の確認ですが…」

巴が言うと、少女は目線を落とす。

「…私の妹が攫われましたっ…」

「そのなんかやばい組織にですか?」

韋駄丸が聞き返す。先月入隊したばかりなので、知識が明らかに足りていない。少女はほとんど目を閉じて頷いた。

「夜でした。11時すぎくらい…私の妹は夜遅くまで出かけていて…うちに帰ってくる途中に…黒いマントのやつに」

「わかりました。必ず妹さんを連れて帰ってきます!」

巴が、依頼者が辛そうなのに気づいて遮るように言った。韋駄丸もわずかに頷く。

「ありがとうございます…!」

「黒いマントのやつ、の居場所はわかるんですか?」

「それは分かりませんが…妹の場所はわかります。CEで現在地情報を送ってもらえるので…」

少女はCEで開いたマップを見せる。位置情報は、山の中腹あたりを示しているらしい。

「ここに奴らの拠点があるかもしれませんね。協力ありがとうございます」

頭を下げる巴と、何かを考えているような韋駄丸。少女は期待するような、寂しそうな表情で2人を見送った。

 

「こっちですね」

街を出て樹海を突き進む2人。韋駄丸は全然喋らない。返事してよ、私がずっと独り言を言ってるみたいじゃん。

木々はどんどん深くなり、人の手が行き届いていないような大自然が広がっている。隠れるにはちょうど良さそうだ。

「近い…この辺のどこかにヴェールの拠点があるはず」

「そうなんですかね」

韋駄丸がキョロキョロしながら言う。巴はあたりの地面や木々をくまなく調べている。やがて山の急斜面、壁のように聳え立った崖の前で、巴は足を止めた。

「…見つけた」

巴が小さく呟く。韋駄丸はそこに駆け寄る。

2人の頭上、地上4mほどの場所に穴が掘られているようだ。巴は無言でそこまで飛んで行こうとしたが、ふと足を止めた。

「…来れる?」

「これない」

韋駄丸は即答した。当たり前のように飛行しないでよ…。

巴はふわりと地上に降りて、手を差し出す。絶対掴まれってことだろうと韋駄丸は思った。

韋駄丸がその手を握ると、案の定巴は彼を掴んだまま飛行を開始する。

(…この人大丈夫か?)

韋駄丸が感じた時には、その体はすでに穴の付近にまで浮上していた。無言で穴に入る韋駄丸。巴が息を切らしているのが聞こえる。穴の中はかなり狭く、なんとか這っていける程度の広さしかない。奥へ続いてるようだ。

巴の声が後ろから響いた。

「奥へ進もっか」

2人は穴を這って奥へと進行していった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。