「…何の用?」
10分ほどで美甘が到着した。流石に3日連続で会うとは思っていなかったらしい。いつも通りのため息。一見だるそうに見えるがちゃんと来てはくれる。
「美甘…改造死霊を作ってたのは商人団らしい」
「…ふーん」
韋駄丸の言葉にさして関心もないような美甘。
「改造死霊っていうのは?」
巴が美甘と韋駄丸に聞く。
「前の任務で捕まえたやつが趣味で作っていたらしい」
韋駄丸の言葉に美甘は何かを思いついたようにわずかに顔を上げた。
「あのさぁ…あいつ改造死霊を『誰かに買ってもらってる』とか言ってなかった?やっぱ商人団関連なんだね」
「ああ…」
「私の趣味は『改造死霊』を作ることでねぇ。ある人物にその力を買われて、それを高額で買ってもらっているんだ」
韋駄丸の脳裏にグレファルの言葉がよぎった。彼自身が商人団の一員で、常連のような人物にそれを売っているのか。あるいは彼は密輸ルートで、彼から買った改造死霊を商人団が使っているのか。
「…んー」
巴は考え込む。美甘はふわーっとあくびして地面へ少し体を沈めた。
「…ま、相手が商人団なら思いっきりやっていいっしょ」
美甘が呟く。半竜にしては珍しく高い戦闘力を持つ彼女からすれば、やはり商人団は軽蔑に値するらしい。韋駄丸は黙って頷いた。
「…とにかくあいつらの活動が活発になってるっていうなら…ぶっ潰すチャンス」
巴は先ほどの戦闘で散らばった商人の持ち物を慎重に拾っている。よく素手で触れるな…。
「ひとまずこれを協会に持ってって鑑定してもらお」
不意に巴が口を開いた。
「それ触って大丈夫なやつ…?」
「…たぶん」
巴の曖昧な返事に呆れのため息を吐き、地面へ戻っていく美甘。韋駄丸は、巴が持つナニカが原因だろうか、周りの空気に違和感を感じた。気分が悪くなりそうだ。
「…協会戻る」
「そうしよ」
2人は協会に向かって走り出した。切断された銀の檻だけがその場に残されていた。
「それにしても…導力結晶が改造死霊に何の関係があるんだろ…。具体的に何に使っているのかが見えてこないよね」
走りながら巴が韋駄丸に話しかけた。確かにそうだ。商人の男とグレファル、どちらも導力結晶を持っていた。しかしそれを何に使っていたのかはわからない。
「そういうことに詳しい人って協会にいたっけ?」
巴の問いに韋駄丸は無言で思考を巡らせた。そもそも韋駄丸は協会の隊員をあまり知らない…いくら考えても、準一級隊員の『あの人』意外浮かばない。
「…いないこともないけど」
「え、ほんと?」
韋駄丸の言葉に思わず驚きを見せる巴。
「…導力の流れを目で見る能力。結晶を見せれば、その導力が何に注がれたか大体わかる」
韋駄丸が回答する。
「ええ、すご…っていうか韋駄丸なんでそんなこと知ってるの?」
巴の問いに韋駄丸はわずかに俯く。
「…俺の兄だから」