最高企業団、実質的なこの世界の「国家」。
BLUELINEや喜帝軍を含む、あらゆる公認組織の上層部にあたる。その名の通り複数の中枢企業が、防衛、市場、インフラなど全てを管理し指示を下している。
最高企業団『筆頭』、斜予双(サヨナラ)。400年前の「死霊狩り」…のちの宇宙平和協会会長にして、「史上最強の能力」を持つと名高い。
斜予双は、ゆっくりと上を指差していた手をギュッと握る。その途端、天井に張り付き、声を上げていた商人は気を失った。
「君たちが商人団が来るって予測して護衛してたの〜?すごぉい…」
斜予双が床に倒れた韋駄丸と側に座る巴に話しかける。巴は斜予双の存在を理解したらしく、頭が全く上がっていない。
「君らは協会で休むべしっ!!!」
斜予双が宣言するように言い、BLUELINE隊員たちの方に走っていった。
「韋駄丸くん…」
巴が気を失いかけている韋駄丸に声をかける。返答はない。美甘は韋駄丸の服の裾をがっちりと掴んで離そうとしない。いつのまにか部屋は天李がいた。相変わらず神出鬼没。
「みんなお疲れ…」
天李がその場にしゃがんで、韋駄丸の額に手を当てた。
「…韋駄丸くんは無事…?」
美甘が天李に尋ねると、天李は頷く。
「韋駄丸はそこまでやわじゃないよ…導力も命に関わるほどの消費じゃないし」
天李の言葉に肩を撫で下ろす美甘。目が潤んでいる。
「それじゃ…戻ろうか」
天李が寄り添うように言った。巴が頷き、少し遅れて美甘も頷いた。
10分後、韋駄丸とイオラは協会の病室に運び込まれた。
「うん…導力も体も安定してるしそこまで重症ではないけど…頭に攻撃を受けたから目を覚ますのは数日後かもね」
医療班のサリネラが2人の様子を診察しながら言った。巴、そして同行してきた美甘はその様子を待合室の椅子に座って眺めていた。
「…なんか。わたしのせいでこうなったみたいでまじでやだ」
美甘がふと呟いた。何の感情も読み取れない表情で俯いている。巴はすぐに首を振る。
「美甘ちゃんのため、だったけど美甘ちゃんのせい、ではないよ。私も韋駄丸くんも美甘ちゃんが無事でほっとしてるんだから」
真夜中だというのに協会の病室は息もつかず稼働していた。白いライトが部屋を照らし、滑りにくい床と安心感のある大きなベッドが並んでいる。壁際には待合室のようなソファが設置され、2人はそこに腰掛けていた。
巴は隣の美甘をぼーっと眺めながら、過去のことを思い出していた。自身が封印される前の、200年前の世界を。