夜明け -片割れ三ツ巴-   作:NIGHTMARE⭐︎

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54 繭

「神狩くん、なんかあったぁー?」

「なーんにも…」

2人は、死霊に滅ぼされた村を訪れていた。斜面を切り開いて作られたような小さな村で、小型の家が八つ並んでいる。すでに殺された住民たちは運び出され、商人たちに家も荒らされ、完全にもぬけの殻となっていた。

「導力残留物でもあればね…」

荒らされた家の中を覗きながら神狩が呟く。巴も頷いた。

 

「行き詰まってるネ〜」

聞き覚えのある声が背後から聞こえ、飛び上がる巴。振り返るとそこには見間違えようのない、ピンクと緑のツインテールの少女がいた。手には巨大なペロペロキャンディを持ち、柵に寄りかかって傍観している。

「いやぁぁぁ」

巴の声を聞きつけて駆け寄る神狩。右手がすでに刀の持ち手を握っている。

「あ…?なんでまたコイツ…」

「退屈だったから来ちゃった。困ってるなら助けてあげるヨ〜?」

神狩がジリジリと後ずさるのを見て、アコニは口元を手で押さえてあふふっと微笑む。

「何か知ってるの…?」

巴が妖刀を抜いたままアコニに問う。アコニは待ってましたとばかりにニヤッと笑った。

「実は見つけちゃったんだヨネ〜、繭」

「繭…?」

神狩が聞き返し、巴と顔を見合わせた。この少女の言うことが本当なら、敵はすでに羽化の準備を始めているようだ。神狩がチラリと横目でアコニを見る。とても信用には値しないように見える。

(…ま、そんなこと言ってる場合じゃないか…)

「案内してくれるか?」

神狩がアコニに尋ねると、巴が神狩を一瞬見つめた。アコニはペロペロキャンディをクルンと回し、反対の手でぴーんと指を立てる仕草をした。

「おまかせあれ〜」

 

「…ほんとに信用しちゃってよかったのかな…」

「……。」

アコニの後を追いながら小声で話し合う巴と神狩。アコニは村を出て、開拓の行き届いていない山へ向かっているようだ。

「…嘘とも断言できないし…可能性のある場所徹底的に潰してくしかないんじゃないか?」

静寂の後に神狩が口を開いた。巴は妖刀に手を触れたまま小さく息を吐いた。

「…まあそれはそうかもね」

巴の返答に頷く神狩。その瞬間、アコニはその場で3回転くらいしてこちらに向き直った。

「この山の中腹くらいかナ〜…」

アコニがキョロキョロと辺りを見渡しながら言った。

「…今更だけど君何者?」

神狩が痺れを切らしたようにアコニに聞く。

「ン?見ての通りダヨ」

アコニが笑う。巴は額を抑えて「やれやれ」というふうに首を振った。

「…で。繭はどこ?」

体勢を立て直した神狩がアコニに聞く。

 

「ソコ」

アコニが緑のグローブをはめた手で少し先の開けた場所を指差した。その指先には、真っ白の巨大な鞠のような繭があった。断崖にへばりついているらしく、大きさは2メートルはありそうだ。

「あれかぁ…結構でかいんだね」

巴が呟く。神狩は刀を抜いて、繭に向かって歩き始めた。

「…行こう」

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