「ヴェール…?どういう組織だそれは」
アビシャが聞き返した。アコニの提示した条件、それはヴェールの壊滅だった。
「ン〜…悪いヤツら。なんかを崇拝してて…なんか拉致とかネ…とにかく悪イ!」
アコニが大雑把すぎる説明をした。神狩が頭を抱える。巴も頭を抱える。アビシャは机を殴る。
「よし!神嵜隊員、喜烈隊員、すぐにその組織を潰すんだ!」
「は?」
思わず聞き返す神狩。巴は直立不動になっている。アビシャは当然と言わんばかりに胸を張った。
「情報のためだ、仕方ないだろう。それに悪いやつならまあ……?」
巴が一際大きくため息を吐いた。対照的にアコニはあっけなく交渉がうまく行って嬉しそうに笑っている。
「それじゃ…私があいつらの一団の拠点に案内するカラ…協力ヨロ!」
アコニが言った。巴は仕方なく頷き、少し遅れて神狩も頷いた。
真夜中の平原。月明かりは雲で隠され、背の低い草は紺色に色づいて見える。周りには何もない。
「ここら辺なはず」
アコニがつぶやいた。同行しているのは神狩と巴…そしてノーカル。
「一見何もないように見えるぞ?」
ノーカルが興味津々な様子でアコニに尋ねた。
「秘密犯罪組織の導力機器なんてきっと最先端のものに違いないさ!」
巴がそこらじゅうを手当たり次第探し回りそうなノーカルの腕を掴んで必死にその研究意欲を抑え込もうとしている。
彼は名目上は「対人兵器担当」として、実際は「ヴェールの導力武器」を求めて同行していた。というのも、死霊狩りのターゲットは基本的に死霊だけのため、秘密組織の人間相手の武器などほとんどなかったのだ。
「ノーカルさん…気を抜かないでくださいよ?一応結構真面目な任務なんですから…」
「こちらだって至って真面目なつもりなんだが…」
「あっタ!」
アコニがノーカルの声を遮った。3人がすぐにそこに駆け寄ると、地面に金属製のハッチが設置されているのが見えた。
「えい」
アコニが軽く巨大なペロペロキャンディでそれを殴ると、ガシュッという不気味な音と共にハッチは溶け落ちた。
「…すご」
巴が思わず本心を呟く。アコニはそれを聞いてニヤッと笑う。
「格 の 違 い」
アコニがハッチに開いた大穴から中へ入りながら言った。巴はむすっとして後を追いかけた。ハッチの奥には、真下に向かって続くハシゴがあった。こちらも金属製で、かなり深くまで続いているらしい。
「さて…ここからどうする?まともにやり合っても人数によってはきついよ…」
巴が囁いた。暗い地下へ続く通路に声が反響した。
「そうだね…アコニ…なんか策は無い?」
「ナイ!」
神狩の声に即答するアコニ。神狩は呆れた笑いを浮かべた。
「…だと思った」
「ア、でもでも。ヴェールの奴らってみんな顔をヘルメットみたいなので隠してるヨ」
アコニが慌てて付け加えるように言った。巴が考え込み、全員の顔を順に見た。
「ヘルメット…できるだけ静かにメンバー4人制圧して、ヘルメット奪えたりしないかな」
巴が囁く。ノーカルがすぐに頷いた。
「名案だけど…どうやって4人もバレずにやる?あんま音を立てるとバレるような…」
「私の能力で眠らせればいいよ!」
巴が神狩の声にすぐに答えた。アコニがニヤッと悪い笑顔を浮かべる。
「ヨシ、計画が決まったネ…!壊滅開始ぃ〜♪」
4人はヴェールの拠点へ向かって、ハシゴを降りて行った…。