ノーカルが全くの無傷で手にした銀色の輪のような器具を見せつけるように立っていた。セルザヴォークがゆっくりとその方向を見る。
「何のつもりだ…」
セルザヴォークは、ノーカルが戦闘に長けていないことくらいとっくにわかっているらしく、さほど気にしていないらしい。ノーカルはニヤリと笑う。
「これを人間に使うのは少々残酷だと思っていたが…仕方なし!」
ノーカルの言葉に、セルザヴォークの表情がわずかに変わる。油断から、警戒へ。
「なんだそれは…」
「もちろん俺の研究成果さ…俺は導力研究をしていてね。まさに成果を試すチャンスってわけさ!」
マッドサイエンティストが倫理観のかけらもないことを言ったかと思うと、例の器具の側面を押してセルザヴォークに向かって投げつけた。
「チッ…!」
セルザヴォークは自分に向かって飛んでくる未知の物体に焦りを見せ、その禍々しい触手でそれを殴り飛ばした…。
その瞬間、器具が掃除機のような音を立て始めた。巴には何が起きているのかわからなかった。セルザヴォークは悶え苦しんでいるように見える。
「ぐぅおおオ…なんだこれはァ…」
「導力吸収装置、名付けてシンドローム!お前の導力は今、こいつに吸い取られ続けている!」
ノーカルが得意げに言った。セルザヴォークはがくっと膝をつく。アコニが上体を起こして、先程の攻撃で真っ二つになったヘルメットをぶん投げた。
「ぅく…」
セルザヴォークはついに気を失い、床に死んだように倒れ込んだ。ノーカルはそれを確認すると、シンドロームの側面を押して停止させた。アコニがノーカルに駆け寄る。
「…ほんとに倒しちゃっタ…!」
達成感を感じているのか、珍しい表情でセルザヴォークを見下ろしているアコニ。
「…やったな、アコニ…」
神狩が巴の元にゆっくりと歩み寄りながら言った。アコニは嬉しそうに頷いた。神狩が巴の手を掴んで立ち上がる手助けをしている。
「…まさかトドメがマッドサイエンティストだとは…」
巴が呆れたような顔で囁いた。ノーカルはシンドロームをカバンにしまい、自慢げに2人に近づいた。巴はノーカルの姿を上から下に眺める。
「あんな危険なものを開発してたなんてね…」
「んー?ああ、本来は失敗作だったんだが…役に立ってよかった」
ノーカルが何気なく言った。その瞬間、アコニが3人にまとめて抱きついた。神狩は足を負傷した巴がバランスを崩さないように咄嗟に抱き寄せた。
「3人とも本当にアリガト!!」
アコニが強く抱きしめながら言った。自然と全員が優しく微笑んだ。
「さて…任務は無事完了。本部へ帰ろう」
神狩の言葉に皆頷いた。