宇宙平和協会本部のBLUELINE協会部のオフィス。巴は部屋の端、窓際に設置された茶色のソファに腰を下ろしていた。隣には、韋駄丸の友達にして協会部の新人隊員のセリス。そして、向かい側には他の協会部の面々が並んでいる。
「今回の作戦に参加してくださる巴さんです…!」
セリスがベルトをひらひらさせながら言った。緊張しているのか表情が硬い。
「よろしくお願いします!」
巴が頭を下げると、黒髪に何かの動物の耳のある青年が軽く腕を組んだ。
「等級を伺ってもよろしいでしょうか」
青年が巴にまっすぐな声で言った。
「二級、ですけど…」
巴が曖昧に答えると、青年は眼鏡の男性と何かを話し始めた。
「協会員、申し訳ないがこの仕事が二級隊員に務まるとは到底思えない。増援を呼ぶか、最悪辞退してくれないか」
黒髪に眼鏡の男性が低く冷徹な声で言った。両手はその腰のあたりに当てられ、首には懐中時計を下げている。巴は改めて目の前の4人を順に眺めた。
黒髪に動物の耳と白いシャツの青年、髪色が白と黒に左右で分かれた無表情な女性、黒髪眼鏡の男性、駅員のような服装をした幼い人物。個性が強い。
「増援、ですか…でも拙悟さん…会長が許可したんですよ…?」
セリスが困り顔で言った。眼鏡の男性は腕をギュッと組み、口を真一文字に結んでセリスを見つめている。
「ああ、だがな…この任務の遂行難易度は当初の数倍まで上がっているのだぞ」
黒髪眼鏡の男性こと、BLUELINE協会部部長・拙悟急(セツゴ キュウ)は、眼鏡をくいっと上げて巴を上から見下ろしている。
「すみません巴さん…拙悟さんって時間厳守が心情ですから…協会部唯一の堅苦しい要素…」
「おい、なんか言ったか!?」
セリスの囁きに即座に反応する拙悟。セリスはぴゃっと座ったまま飛び上がった。
「増援は考えます…友人でいいですか?」
巴が拙悟に聞くと、彼は素早く頷いた。
「信頼に値するような人材を頼むぞ。出発時刻は明日の午前8:00分、時間厳守だぞ、忘れるな?8時きっかりだからな!」
拙悟がテーブルに片足を乗せて前のめりで巴に向かって叫んだ。巴は硬直した笑顔で座ったまま限界まで後ずさるように背もたれにピッタリと背中をつけた。
「わ、わかりましたぁ…!」
巴が気の抜けた声で返事すると、拙悟は瞬く間にいつものまっすぐな姿勢へ戻った。
「今回の任務は失敗できない…何せあの死霊を完全消滅させるチャンスだ」
拙悟が打って変わって落ち着いた声で言った。
「あの死霊…?」
「今西方で猛威を振るっている死霊で、名前はドレッドノート…巨体で飛行して、時々近くの村を破壊していくらしいです…」
セリスが悔しげに歯を食いしばった。巴は真剣な表情で頷いた。
「それは一刻も早く排除しないとですね…!」
数人が頷いた。
「というわけで話は以上だ。明日の朝増援と共にまた会おう」
拙悟の声に巴は頷き、軽く礼をしてオフィスを出ていった。