BLUELINE組織長『ミスト』。年齢はおろか本名すら判明していないミステリアスな人物。下手すれば未成年にも見える華奢で儚い容姿だが、本部内では尊敬を集めている。噂では、カーフが宇宙平和協会会長に就任した時にはすでにBLUELINE組織長だったらしい…。
「それじゃ、早速いこ」
ミストが来た道を戻ってオフィスを出ていく。拙悟が大股で後を追いかけた。
「作戦開始だそうだ!」
巴と美甘が混乱している間に、他の隊員も拙悟の後に続いて続々とオフィスを出ていった。最後尾のセリスが巴と美甘の前で立ち止まった。
「あれがBLUELINEのリーダーのミストさんなんです…同行するんですかね?えっと…とりあえず行きましょう!」
セリスの言葉にとりあえず頷く巴。美甘はため息をついて巴の後に続いた。
「遅いぞ協会員!」
エントランスの裏口を出るや否や拙悟の声がした。
「わあ…ここ久しぶりに来た…」
巴が呟く。そこは、いつものエントランスの正面入り口とは正反対の場所にある、隊員のさまざまな移動手段が停車している駐車場のような場所だった。手前にはバイク型の浮遊装置が多く並び、奥の方にはトレーラーのような大型輸送車もある。巴は考えもしなかったが、今回の任務は西方の荒地。かなり距離があるので、こういった乗り物で向かうのは当然だった。
「…どれに乗るんだろ」
美甘が呟くと、セリスも同意した。彼のベルトが思考中のようにくるくると動いているのを、美甘はぼーっと眺めていた。
「こっちだ」
拙悟の声が聞こえた。巴がその方向を見ると、バスのような巨大飛空艇だった。三階建ての一軒家ほどの大きさがあり、全体的な形状は直方体に近い。窓はかなり上部にあり、コックピットの様子は下からではよく見えない。ボディは真っ白で、側面には宇宙平和協会のシンボルマークが刻まれていた。
「…家?」
「家ではない!今回使用する飛空艇だ」
巴の声に拙悟が食い気味に答えた。すでに他の隊員は乗り込んでいるらしく、あたりに姿は見えない。
「…でか」
美甘がつぶやいた。彼女は半身を地面に埋めているので、普通の人視点よりもこの飛空艇が大きく映っていた。
その時、プシューと音を立てて側面の入り口が開いた。
「さあ乗れ!時間厳守だぞ!」
拙悟が急かすように言い、セリスのベルトを2本まとめて鷲掴みにして中に引きずっていった。巴と美甘はそれを見てすぐに中に飛び込んだ。
入り口を入るとすぐに正面に鉄製のはしご、右側に扉が見えた。
「そこの扉は休憩室、上は操縦室だ。ほとんどの隊員は上にいる。船内を見て回ってもいいが、見学時間は15分までとする」
拙悟がハシゴを登りながら言った。
「中見て回る?」
「…いや、わたしはいいかな…」
テンションが上がった巴の問いかけに、逆にテンションの下がった美甘が答えた。
「先に操縦室行ってる」
美甘がハシゴを上がっていく後ろ姿を巴は見送った。再びプシューと音がして、巴の背後の乗車口のドアが閉まっていた。
(せっかくなら見てこうかな…)
巴は右側の休憩室の扉に手をかけながら思った。
巴が扉を開くと、かなり広い部屋が目に入った。白いカーペットが引かれた部屋で、左右に青いガラスがあった。大きめなソファの前にはテーブルがあり、ソファの上には……。
「巴チャン!遅かったネ!」
…毒々しいピンクと緑のツインテールのなんかがいた。