夜明け -片割れ三ツ巴-   作:NIGHTMARE⭐︎

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82 避難誘導、そしてコーティング

「BLUELINEだ!今すぐ避難しろ!」

拙悟が声を張り上げながら村の中心、監視塔に駆け込んだ。この場所に2人の人間が未だ残っているらしいのだ。拙悟の後ろを追うのは巴、美甘、セリス。

監視塔の一階はまさにもぬけの殻だった。人はおろかそれが先ほどまでいた形跡すら消えかかっている。

「上か…!」

拙悟が素早く螺旋階段を駆け上がって行った。巴は浮遊して後を追う。

「BLUELINEだ!南広場に集まれ!」

拙悟が鋭い眼光で監視塔の最上階、周囲が柵で囲まれた展望デッキのような空間に颯爽と現れた。

 

「あ?BLUELINEだぁ?何の用だよ」

派手な赤い髪の男性が威圧するように立ち上がった。茶色い革のジャケットを着て、手には銃を持っている。人里離れた砂漠の真ん中にポツンとあるこの村では、武装をすることなど普通なのだろうか。その後ろに立つ暗い紺色の髪の40代くらいの男性は無言でそれを見つめていた。

「銃を捨てて立ち去れ。戦艦の死霊に潰されたいのか」

拙悟が冷静に眼鏡に手を添えながら言った。赤い髪の男性が獣のような息遣いで銃を構える。

「あ“ぁ??死霊だぁ?」

拙悟が咄嗟に後ろの仲間を庇うように手を広げた。

「んなこと気にしてる暇ぁねんだよこっちはよ!」

「まぁまぁ、落ち着きたまえよ」

噛み付くように言う赤い髪の男を宥める紺色の髪の男。紺色の髪の男が、拙悟に軽く頭を下げた。

「私たちは退去すればいいのかな?」

男性が拙悟に言った。巴はその様子を無言で眺めていた。赤髪の男とは違って、この男性からは殺意も戦闘力も感じない。

「ああ、そういうことだ。南広場へ、急げ!」

拙悟が言うと、紺色の髪の男性は赤髪の男性を納得させようと話しながら螺旋階段を降りて行った。拙悟が頭を抑える。

「全く危機感のない住人もいたものだ…!こうしてはおられん、すぐに飛空艇へ戻るぞ!」

拙悟が螺旋階段を駆け降りて行った。セリスは決意しているような覚悟しているような真剣な表情でその後を追い、巴は美甘を抱き上げて飛空艇まで飛んでいった。

 

「全員避難できた?」

「はい。ご指示通り全村民を南広場へ集めることができました」

飛空艇の前、ミストに報告する拙悟。両手を後ろにまわし、まっすぐに立っている姿がいかにも治安維持組織という感じがする。ミストが無言でぺぺぺぺと拍手のような動きをした。

「あと数分で輸送車が到着する。村民24人全員を安全に輸送できるよ」

ミストの言葉に首を傾げる巴。

「失礼ですが…それって本当に安全なんですか…?それこそドレッドノートとの戦闘に巻き込まれたりは…」

拙悟が止めようとしたが、ミストがふるふると首を振った。

「その心配はない。輸送車を導力盾で守ってもらう」

威牙がぴくっと反応した。

「今聞いたんですけど…」

「今言った。それくらい急に言われてもできるとわかってたから」

ミストが身長差から威牙を見上げるようにして言った。威牙は無言で両手に青く光る半透明な盾を展開した。テネブルタウンアウト発生時、禁止条例器具を持った螺旋煌を奇襲から守ったのも彼の能力、『コンダクターシールド』だ。導力量に応じて強固な盾を生成することができる。導力がある限りいくらでも展開が可能だが、それらの耐久値は全て共有される。そして彼は今、遠隔で輸送車をそのシールドでコーティングしたらしい。

 

「飛空艇もコーティングできる?」

ミストが言った。威牙の反応からして、これも知らされていなかったらしい。

「大丈夫ですか?耐久値が共有なので、飛空艇のシールドが壊れたら輸送車のシールドも…」

「大丈夫。それよりも先に輸送車は安全圏まで行けるはず」

ミストの言葉に押し負け、威牙は飛空艇をコーティングした。水面のような水色の光が飛空艇を包み、その表面がまるでシャボン玉のようにキラキラと半透明に輝き始めた。

「準備は万端。行こっか」

ミストが言った。

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