デジタルワールドの管理者『ゲッターロボ』 作:マネモブ
ゲッターロボが休眠してから暫く経った後───。
デジタルワールド:エンペラーで生まれた究極体デジモンたちは自身と同系列の成熟期、完全体を従えて他の究極体デジモンへと戦いを仕掛ける。
各地で激しい戦闘が繰り広げられ、デジタルワールド:エンペラーは激動の時代を迎えた。
数十体のグレイモンがガルルモンと衝突し、喰らい合う。平和だった森も、静かだった山脈も殺しあいを繰り広げるデジモンで溢れ返った。
多くのデジモンが死に絶えて、その魂はゲッター線を介して新たに強くなれる状態へと誕生を繰り返す。
この世界の仕組みはそうなっているのだ。
そんなこの世界の仕組みに不満を感じた一匹のデジモンが現れた。その名は、ティラノモン。
何の変哲もないこの世界に生まれただけの一般デジモンだった。
彼の住む森はグランクワガーモンにより、沢山のデジモンが倒され支配され昆虫系デジモンの王国となった。
故にティラノモンは旅に出た。デジタルワールド:エンペラーの何処かにいるとされるこの世界の創造神『皇帝の欠片』と『ゲッターロボ』の探索。
道程は険しく、死ぬ危険性すら十分にあるその行い。ティラノモンはそれに希望を見いだした。
数多の試練を乗り越えて『皇帝の欠片』へと接触したデジモンは直談判が出来るのだ。
これを利用し、ゲッターロボにこの戦いを止めさせる。
ティラノモンはその為に様々な場所を回っていった。
砂漠の大地は、無数の砲撃が飛び交っていた。
静かだった森は、炎に包まれて灰が降っていた。
山脈は蟻地獄のようにデジモンがデジモンを踏み台に突き進む戦場だった。
沼地は猛毒と病原菌が蔓延して、最早個体同士のゲリラ戦となっている。
ティラノモンは、百に及ぶ激戦の末にマスターティラノモンへと進化を果たした。
身体中の傷が大戦の熾烈さを物語り、ティラノモンはグランクワガーモンに何も出来なかった頃より格段に進化し、強くなっている。その実感を噛み締めながらティラノモンは、唯一探索をしていない火山島へと船で向かった。
嵐が吹き荒れて稲妻が走る悪天候の海を渡り、マグマが吹き出る灼熱の大地を突き進む。
地獄の光景のような屍の橋を急いで渡り、空高く聳え立つ山を見上げる。
その熱に自身の体表を薄く焦がしながら火山の頂へと辿り着く。
グツグツと火口からマグマが吹き出て、黒煙が天へと登っていく。
そのまま大穴へと身を投げる。一瞬マグマに焼かれながら地底へと辿り着く。
ラヴォガリータモンやラヴォーボモンが迎撃の為に襲いかかってくるソレらに攻撃を仕掛けて自分は、地底空間に浮かぶ『皇帝の欠片』と思われる物体へとひた走る。
ヴォルケニックドラモンが周囲を飛び回り、火の雨を降らせて最後の試練を与えた。
ティラノモンは火の雨に何度も直撃して重度の火傷を負いながら『皇帝の欠片』へと────。
「もしかして力が欲しいタイプ?」
かつて森があった場所。現在はデジモンの屍が積み上がった場所。
そこは今、戦争所ではなくなっていた。
「ゴギャアァァァァン!」
突如として地面を突き破って現れた巨大デジモン『ダイナモン』。
ゲッターの力を借りれなかったのは残念だが今の己にはこれで良いと思考する。
永き戦いの末に磨かれた戦闘力により、数多のデジモンたちを蹂躙し、炎を纏わせた爪で接近戦を挑んでくる究極体デジモンの胸を焼き焦がし抉り取る。
その中には、グランクワガーモンもいたのだろう。燃やされた顎の残骸が地面に突き刺さる。
戦いによって疲弊したデジモン達にとってダイナモンの存在は悪夢となった。
次第にデジモン達は戦意を失って戦場から逃げていく。
ダイナモンは、それに呆れながら身をノソリと翻して海を目指す。
最早己は、ただの究極体デジモンではなくなってしまった。
『皇帝の欠片』を守り続けるヴォルケニックドラモンと同じく世界を守る使命を与えられたデジモンとなった。
彼の名前は『ダイナモン』、デジタルワールド:エンペラーの抑止力の1体である。