デジタルワールドの管理者『ゲッターロボ』 作:マネモブ
あの色褪せた白色の怪物の事を『皇帝の欠片』は、『不進化体』と名付けた。
ヴォルケニックドラモンが『皇帝の欠片』に何故“不進化体”なのだと聞けば己の子供と接するように『皇帝の欠片』がこう答えた。
『忌々しき不進化体は、デジモンや人類が不要と切り捨てた遺伝子と因子にて構成された怪物』
『奴らは己を切り捨てた者達を恨む者であり、進化を引き止めようとする邪悪である』
『ゲッター線は不進化体を進化させてしまう』
『私が奴らに触れられればこの世界の終わりが訪れる』
『故に………私を不進化体に触れさせるな』
『不進化体は絶対通すな』
それを聞いたゲッターロボが叫ぶ。
「そんな異常事態だったなんてワタシは聞いてないよッ」
まさか自分たちが戦っていた相手が世界に滅亡を齎す相手とは知らずに戦っていたのだ。
対してダイナモンは、「やられる前にやるべきである」。攻撃こそ防御の理論である。
どんな不進化体でさえも、今回で殺せたのだから殺せる。
概念だったら殺せなかったが、“怪物”なら殺せるだろう。
ダイナモンは、戦争を止めるための力を求めた割には好戦的のようだ。
ゲッターロボは、ため息を吐く動作をしながら排気する。
その後のあーだこーだと議論は続くが、不進化体への対処は『ファイアーウォールを強化して、それでも潜り抜けてきた不進化体を倒す』という事で固まって解散となった。
ヴォルケニックドラモンは、空を悠々自適に飛んでいた。
普段地底で『皇帝の欠片』の絶対守護を任されているヴォルケニックドラモンだが、ダイナモンが一時的にその任を交代してくれたのだ。
心地良い微風が吹く満点の青空のなんて居心地の良いものか。定期的にダイナモンと交代しても良いかも知れない。そう考えながら飛んでいるとふと、森の方で激しい戦闘音が聞こえてくる。
なんだなんだと覗けば、そこにいるのは森でよく見かけるデジモンのファンビーモンの群れとクライモンの縄張り争い。
普段ならばその争いに介入する事は無いのだが、今日は気分がとても良い。
気まぐれに追い詰められているファンビーモン達へと加勢することにした。
数度の爆発の末、立っているのはヴォルケニックドラモン。
唸り声を上げながら己の武器とする炎を一切使わずに相手を撃退した彼は、ゆっくりとファンビーモンの方へと向き直る。
その姿にはぼ全部のファンビーモンが怯え、影に隠れるがたった一匹の片目を失ったファンビーモンだけが勇猛果敢に…或いは無謀にヴォルケニックドラモンへと針を、突き立てる。
ふぅ…と息を吐いたヴォルケニックドラモンは、まあ当たり前かと思考する。
まだデジモンの全てが我々と同じ知性を得た訳ではない。
強敵との死闘に身を投じていたら見知らぬ怪物がいきなり現れてその強敵をあっと言うまに倒す。
警戒されても仕方がない…が、面白そうな個体が見つかったのでまだまだ機嫌が良い。
ヴォルケニックドラモンは、自身を攻撃する勇気あるファンビーモンを捕まえると自身の身体を流れるゲッター線をその小さな身体に流し込んだ。ジタバタしているファンビーモンを横目にヴォルケニックドラモンは、飛び立つ。
デジモンは何に成長するかわからない。成長が楽しみだ。