デジタルワールドの管理者『ゲッターロボ』 作:マネモブ
レガレクスモンはデジタルワールド:エンペラーで最初のラーメン屋である。
彼の朝は早い。レガレクスモンは料理の仕込みをまだ世界が眠りの余韻を残す時刻から始まる。
彼はゆっくりとシャッターを押し上げ、冷たい空気を胸いっぱいに吸い込む。
店内に灯りをつけると、わずかに残っていた湯気と、木製のテーブルに染み付いたスープの香りが静かに立ち上る。
寸胴鍋の蓋を開けると、夜のうちに寝かせた豚骨スープの芳醇な香りがふわりと広がった。
「はぁ〜〜…今日もいい感じだ」
彼は豚骨を煮込んで得たスープの香りに酔いしれながら動き出す。
水を張ったシンクでネギを洗い、料理に使うものではないであろう剣の音がトントンと小気味よく響く。
チャーシューの塊を力任せに切り分けると、脂の層が朝の灯りを受けて艶めいた。
「おいっ プチメラモン起きろ」
ガサガサと天井から吊るされたハンモックを揺らすとピョコリと身体中が燃えているようなデジモンであるプチメラモンが顔を出した。そのデジモンはまだ眠いのか欠伸をしながらもボッと火をつける。
寸胴鍋がゆっくりと再び息を吹き返す。
レガレクスモンはそんなプチメラモンにチャーシューの切れ端を朝飯として与えながら頭を撫でる。
「さあ、開店だ」
早朝から来るデジモンは多い。
ラピッドモンやガルゴモンが主な客だ。
自警団の仕事をしている彼らは夜間ずっと見回りしていることが多い為、朝食が実質の夕食なのだ。
仕事終わりに飲むアイスモンによって冷えたビールは美味い。
「やあレガレクスモン」
「………んあ?」
妙に聞き覚えのある声が聞こえて湯切りをしながら振り向く。
そこには鈍い青色の鎧に燃え盛る赤いマントを羽織った龍の盾と黄金の剣を持つ騎士のような見た目をした特異型デジモンの姿があった。
「某の名はラグナロードモン。最強の剣デュランダモンと最強の盾ブリウエルドラモンが合わさって生まれた存在なり」
「ふぅん……合体出来たのか。で、ご注文は?」
「超激辛地獄級豚骨辛味噌醤油特大ラーメンアブラカラメヤサイマシマシニンニクマシマシ麺普通トッピング全部盛りを頼もうか」
「頭おかしい注文だな 少し待ってろ」
ラグナロードモンは席に座って人間界の電波が繋がっている特別なテレビを見る。
ニュース番組がやっていて、そこでは気が滅入るようなニュースばっかりやっている。
頬杖をつきながらラグナロードモンの隣の席でチャーシュー丼を食べるヴェスパモンと弟子のロップモンがため息をつく。
「毎日毎日悲惨な事故ばっかだなぁ人間界は」
「ですねぇ……エンペラーでも早くテレビ撮影してくれませんかね。ピエモンのマジックショーとかが見たいです!ご馳走様!」
「ああ……まあ、この世界でそういうのやるのはまだ先らしいがな……店主〜!お勘定だ」
ヴェスパモンがロップモンが食べ終わったのを確認するとレガレクスモンに声をかけて腰巾着を渡す。
「ほいよ」
その中には大粒の砂金が7個ほど入っていた。
「また来いよ〜」
「ああ、またな」
「またね〜!」
レガレクスモンは砂金を壺の中に入れてラグナロードモンのラーメンを完成させた。
「客来るんですな」
「…失礼だな。ちゃんと来るに決まってんだろ
まだまともな料理がねぇんだぞこの世界は」
「確かに」
ラグナロードモンは豪快に超激辛地獄級豚骨辛味噌醤油特大ラーメンアブラカラメヤサイマシマシニンニクマシマシ麺普通トッピング全部盛りへと齧り付きハフハフと味わっている。
今日もラーメン屋は平和である。
次回、ラーメン