I need you 作:花筏
なぁんでこんなに樋口くんは察しが良いんでしょうね。
一之瀬たちとの昼も過ぎたその日の夜、昨日の残りのカレーを食べ終えた竜胆が本を読みながら時間を潰していると、部屋にインターホンの音が響く。
(律儀⋯⋯⋯⋯)
テレビを消して立ち上がると、玄関ではなくキッチンでプラスチック製のグラスに麦茶を注ぐ。
「お、お邪魔しま~す」
控えめな声と共に開いたドアから入って来たのは、昼にも会った一之瀬だ。
「樋口くん、入っていい?」
「そんな気にしなくていいだろ。鍵は開けとくって送ったし」
「そんなんだけどね、やっぱり気を遣っちゃうよ」
授業が終わった放課後、今まで一度も連絡を取り合ったことのなかった一之瀬から連絡が来たのだ。内容を纏めると『話があるから、今日中に時間を取れないか』という内容。
昼のことの話だと察した竜胆は、目立つのを避けるために完全に日が沈んだ時間で、尚且つ竜胆の部屋で話すことにした。
鍵を開けておいたのは、一之瀬が竜胆の部屋に入るのをできるだけ見られたくなかったからだ。椎名との噂の件もあり、竜胆はそこら辺の警戒を強めていた。
それでもインターホンを鳴らすのは、両親の教育の賜物だろうか?
「麦茶くらいしかないから、これで我慢してくれ」
「ううん、全然大丈夫だよ。ありがとう」
小さめなテーブルにあるクッションに座った一之瀬に、麦茶を出す。竜胆の家にジュース類はないので、客人に出せるのは紅茶・コーヒー・麦茶しかない。その内紅茶とコーヒーは淹れる所からやらないと行けないので、基本麦茶一択になってしまう。
「で、話って?」
「今日の昼の話のことなんだけど、口止めされてるって話⋯⋯多分嘘だよね?」
「まず、どうしてそう思うんだ?」
思ったよりもずっと切り込んでくる一之瀬に、ひとまず竜胆は答えを濁す。わざわざ部屋にまで来て話す内容なら、それなりの根拠があるはずだ。
「えっと、樋口くんが噂になった話って、生徒会長の副会長と揉めたっていう話だよね?」
「そうらしいな、別に揉めた訳じゃないんだけど」
「でも、会ったのは本当なんでしょ?」
「まぁ、ちょっと会話したくらい」
あの時はそこまで長い会話はしていない。その場で何回か質問したくらいで終わったし、特別険悪な雰囲気だった訳でもない。
「南雲先輩が直接言ってたの、面白い一年がいるって」
「面白いねぇ」
その面白い一年が誰なのかはともかく、一之瀬と南雲先輩が接触していたのは初耳だ。そういえば、つい最近一之瀬が生徒会入りを希望していたが、落ちたという噂を聞いた気がする。
他にも同じように生徒会に落ちた生徒がいた気もするが、今はさほど重要な情報じゃない。
(接触したのは、一之瀬が生徒会に希望していたから?それとも⋯⋯俺関係か?)
できることなら前者であって欲しい。後者なら竜胆は無関係ではいられなくなる。
「あの先輩が何を言ってたのかは知らないけど、仮に嘘だとしても何か問題あったか?」
「ううん、問題はないよ。樋口くんを責めてるつもりはないの」
一之瀬は小さく首を横に振って、竜胆の言葉を否定する。
「神崎くんから樋口くんを誘う理由を聞いた時、若干濁してたのが気になって」
元々昼に集まる予定があったのは、神崎と二人だけだったらしい。だが、神崎は竜胆を呼びたかったらしいが、理由は濁して答えてくれなかったそうだ。
最終的に、網倉・白波を呼んで一緒に話し合いがしたかったようだが、思っていたよりも重い雰囲気になってしまった。
「本当は、樋口くんが私たちよりも知っていることがあるんじゃないかって考えて、無理言って聞きに来たの」
入学式当日のカラオケと南雲からの話。他にも話していないこともあるかもしれないが、一之瀬は竜胆が何かしら情報を持っていると確信しているようだ。
「明日には分かることだろ?男の部屋に一人で来てすることか?」
「明日だからだよ。樋口くんが黙っていた理由があるなら、私はそれを尊重したい。でも、今日の昼みたいな誤解を受ける可能性もあるから⋯⋯クラスメイトとして、力になりたいの」
“心配”
一之瀬が今日部屋に来た理由の根本はそこにあった。真っ直ぐ竜胆を見つめる一之瀬の瞳に、偽るような感情は見て取れない。
「わかったよ。話す」
「ありがとう!」
竜胆からの返答に、一之瀬は何故かとても嬉しそうに笑顔を見せる。話したところで、一之瀬に大きいなメリットはない。どうせ明日にはある程度分かることだ。
『知ってるか?純粋ってのは、まるで良いことのように思われがちだが、実際は恐ろしいもんだぜ?合理じゃ読みづれぇのが特にな』
ふと、以前言われた数ある内の一つが思い浮かぶ。その時はいつもの謎の雑学だと聞き流していたが、一之瀬のような人間にこそ相応しい言葉なのかもしれない。
なんとなく⋯⋯⋯そう思った。
時は遡って入学式から次の日、前日のクラスメイトとのカラオケは20時辺りで解散となり、夕食は渡辺・柴田と三人でラーメンを食べに行った。
帰る頃には時間は21時30分を回っており、その日は備え付けのシャンプーとボディーソープで済まし、小さなバスタオルで我慢。入学前に郵送で送ったいくつかの私服から寝間着に着替え、慣れていないベッドと枕の睡眠も、思いの外すんなりと眠りにつけた。
翌朝、スマホ代わりの端末のアラームで目を覚まし、今日は絶対に必要な物を買おうと胸に誓う竜胆であった。
(とにかく必要なのは洗面周りの物だよな。備え付けの奴のは安いホテルみたいで嫌だし)
早々にもう一着の制服に着替え、早めに部屋を出る。買い物も大事だが、食べ物がなければ生きてはいけない。
(昼は校内にある食堂にしよう。残念ながら食事関係は後になりそうだな)
いくつかの調理器具は部屋にあったが、調味料や食材は何一つない。別に済ませたいことがある竜胆に両方を同時にやる時間はなかった。
寮近くのコンビニに入った竜胆は、事前に決めていた物に一直線に進み商品を取り、すぐ隣のレジに向かう。
「アメリカンドッグと肉まんと餡まんとピザまんを二つずつください」
「えっ、あっ、はい⋯⋯」
朝から大量の注文に、店員も接近を忘れて唖然とする。ちなみに、おかかのおにぎりを2個もあるので、計十点のお買い上げとなる。
時刻は朝の6時過ぎ、ホットスナック系を昼まで放置するとも考えられないので、竜胆は間違いなく朝にこの量を食べるつもりでいた。
コンビニから少し離れ、人気のないベンチに座ると、コンビニの側にあった自販機から購入していた無料の水を横に置き、何も付けていないアメリカンドッグを頬張る。
(この時間帯なら、朝練してる奴もいない。ひとまずさっさと確認して、後はいくつかの場所に行ってみるか)
竜胆の確認したいことはいくつかあるが、その内の一つは出来れば人のいない時間を狙いたかった。なのでこうして朝早くから寮を出た訳だが⋯⋯⋯⋯
(自販機とコンビニ⋯⋯これで二つ目)
昨日、自販機に売っている水が無料であることをラーメン帰りの渡辺と柴田と一緒に話した。実際に無料で買えたし、売れ残りの粗悪品という訳でもない。
一瞬行っただけコンビニには、無料コーナーがあった。そこにはボディーソープや髭剃りなどの商品も充実していて、なんとも太っ腹だと思ったが、逆に新たな疑問が出来てしまった。
(あと二つくらいあれば役満だよなぁ、どっち優先しよう)
悩みながら食べ進め、残りは餡まん一つのみになった辺りで水を飲み干してしまう。考えながら食べるんじゃなかったと後悔し、残りの餡まんを口に運ぶのであった。
その日の放課後。そそくさと一人で教室を出た竜胆は、早速目的地に向かう。朝食後に確認したかったことを一つ確認し、昼にはもう一つ確認出来た。
後はドラッグストアで買い物を済ませながら、出来ればスーパーに寄りたいと考え向かっていた。
「おいおい、また不良品に遭っちまった。どけよ、こっちまで不良品になっちまう」
「アァ!?もう一度言ってみろよ喧嘩なら買うぞ!」
「不良品は耳まで遠いのか?病院に行ってジジババ共と混ざってろよ」
ドラッグストアの付近で見掛けたのは、何やら言い争っている生徒たち。一方は赤髪で竜胆と同じくらいの背丈の男子生徒と、もう一方は三人組の男子生徒たちだ。
「先輩を敬えよ、Dクラスのバカでもそのくらいは分かるだろ?」
「誰がテメェらなんか敬うかよ!そっちがその気なら買ってやるよ!」
喧嘩を売られたと思ったのか、赤髪の男子生徒が先輩と思われる男子生徒たちに殴り掛かろうと距離を詰めるが、そこで竜胆が間に入る。
「あー、ちょい待った」
「あ!?なんだよお前!関係ない奴がしゃしゃり出てくんな!」
怒りで興奮気味の赤髪の男子生徒に近づき、後ろにいる先輩たちに聞こえない声で竜胆は話す。
「まぁ待てよ、手にぶら下げてるビニール袋にあるのはバッシュだろ?バスケ部志望なら、いきなり喧嘩は良くない」
「だから、テメェには関係ねぇだろ!」
「いきなり新入生が暴力なんて振るったら、こっちにも何かとばっちりがあるかもだし、まったく関係がない訳じゃない」
理由は嘘でもこじつけでも何でもいい。とにかくこの場を治めるために、強引にでも止めたい。竜胆は赤髪の男子生徒の肩を掴んで力を込める。拳を振り上げようともしたが、振り上げる前にもう片方の手で掴んで止めた。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯チッ」
二人の目線がぶつかり合うが、やがて赤髪の男子生徒の方が目を逸らし竜胆の手を払う。一度舌打ちをすると、手をポケットに突っ込み納得のいかない顔で黙った。
「おいおい、あんだけ威勢の良いこと言ってて逃げんのかよ。不良品共」
先輩たちの挑発の言葉を無視し、そのまま赤髪の男子生徒を無理矢理押しながら、二人はその場から離れた。
赤髪の男子生徒を物で釣りながら冷静にさせて、愚痴混じりの話を聞くこと30分。その後は連絡先を交換して別れ、竜胆はもう一度さっきまで揉めていた先輩たちに接触を試みる。
「すみません、先輩方。ちょっといいですかね?」
「あ?お前さっきの」
「伊藤です。1−Dクラスの伊藤って言います」
時刻は既に日が傾きオレンジ色に染まる夕方。ケヤキモールと寮との間に無数にあるベンチの所に、先輩たちはたむろしていた。竜胆がクラスを伝えると、先輩たちは馬鹿にしたような目つきに変化する。
口元もニヤニヤと緩んでおり、こちらを見下していることが伝わってくる。さっき赤髪の男子生徒⋯⋯須藤健を止めたことから、竜胆がクラスメイトであることを疑っていないようだった。
そう誤解するように振るったので問題はないのだが、ここまであからさまな反応を見ると、逆に予想が間違っているのではないかと思ってしまう。
「で?何のようだよ」
「先輩に聞きたいことがあるんです」
「何でお前の質問に答えると思ってるんだ?自分の立場を自覚しろよ」
「そう、そこなんですよ。どうして先輩方は、須藤を見てDクラスだと思ったんですか?さっき須藤から聞きましたよ、昨日も因縁をつけられたって。そして何故か知り合いでもないのにDクラスであることを知っていたんですね?何故なんでしょう?」
竜胆の言葉を聞いた先輩方は、先程までニヤニヤと緩めていた口を閉じ、嘲るような態度から途端に落ち着きがなくなっていく。
「それに、不良品っていう表現をちょっと変ですよね。失礼ですけど、先輩方が使うならもっと直接的な言葉もあったと思うんです。なんというか、自分の言葉というより、他人の言葉をそのまま使った薄っぺらさがあるというか、自分たちより下の人間を探しているようなそんな感じがするんですよ」
先輩たちは、竜胆の馬鹿にするような言葉に怒りを見せる訳でもなく、不気味な存在でも見たかのように顔は青褪めて、言葉を失っている。
「だとしたら、二日連続で須藤と会ったのも納得ですね。最初から、そういう落ちこぼれそうな相手を探してたんじゃないですかね。それとも、須藤を馬鹿にしていたのは他に理由でもあったんですか?」
「な、なんなんだよお前⋯⋯!」
さっきと同じような質問でも、意味合いは大きく違っていた。見下していたはずの後輩が、何故か当たり前のように自分たちの考えを当てているのだ。不気味に映るのも当然なのかもしれない。
「そこで何をしている?」
竜胆があと一押ししようとした時、この場の誰でもない声が聞こえてくる。全員が声が聞こえてきた方向を見ると、そこには一人の男子生徒と、そこから少し離れた自販機にさっきまでいなかった男女の集団が見えた。
「な、南雲⋯⋯これは違っ⋯⋯⋯」
「俺はそこの一年に聞いてるんだ。お前だよ、一年」
何か弁明しようとしたのか、言葉を詰まらせながら話そうした先輩の一人の言葉を遮り、南雲と呼ばれた男子生徒が竜胆に目を合わせてくる。
「先輩に少し質問があっただけです」
「質問ね。その割にはそいつらは怯えているようにも遠目から見えたが?」
「さぁ?いたっておかしなことをしたつもりはないんですけどね。ねぇ先輩?」
「あ、あぁ⋯⋯そんなことは⋯⋯⋯」
「聞こえなかったのか?今、俺はこの一年と話してるんだ。黙ってろと言われないと分からないか?」
話を濁すために先輩たちに話を振ったのだが、南雲先輩の言葉で先輩たちは先程よりも顔を青褪めさせて一言も喋らなくなった。
(先輩たちの行動は、思ったよりもずっと不味かったのか?やけに怯えてる。それとも、怯えてる理由は
「話が逸れたな。知ってると思うが、俺は南雲雅。この学校の副会長をしている」
(知らねぇよ。入学式に登壇したのを見ただけで、名前までは知らねぇって)
「入学式に、前の方にいましたよね?見覚えがありました」
「よく知ってるな。さっき自分で言ったが、普通はそこまで見ないものなんだがな」
(まったくだよ⋯⋯)
自意識過剰なのか、試されているのか微妙な態度の南雲先輩は、竜胆に興味の視線を向けながら話す。
「生徒会に属している以上、生徒同士のトラブルには対応する必要がある。一応、確認させてもらうぜ?」
「いいですよ」
ここで断って立ち去るのは簡単だ。しかしそれは、やましいことがあると言っているようなもの。
(まぁ、あんまり意味なさそうなんだよな⋯⋯)
「まず一年、クラスと名前は?」
「樋口竜胆、Bクラスです」
「さっきそいつらに質問をしていたと言ったな。具体的に何の質問をした?」
「その前に、聞いておきたいことがあります」
「⋯⋯いいぜ、言ってみろ」
萎縮するどころか、先に質問しようとする竜胆を観察するような視線を向ける南雲先輩は、一瞬の沈黙の後に話の主導権を明け渡す。
「南雲先輩がケヤキモールで俺を見つけた時、何故声を掛けずにずっと後をつけて来たんですか?」
「何の話だ?俺に男の尻を追う趣味はないぜ?」
「先輩は生徒会の副会長ですよね?先輩に男の尻を追う趣味がないのだとしたら、理由は堀北先輩くらいしか俺には思いつきません」
先程から置いていかれている二年生三人組の行動が問題行動であり、それを咎めるために見張っていたという可能性も無くはないが、それならケヤキモールから俺を追うような行動が不自然に映る。
一番の可能性が高いのは、堀北先輩絡みだろう。仮に違っても、誤魔化せるのであればそれでいい。
「面白い奴だな一年。そんな生意気な口を叩く奴はそういない」
「誠実な対応されれば、俺だってそうします」
ストーカー紛いのことをする相手に払う敬意など、竜胆にはない。だが、南雲先輩はますます面白そうにパチパチと手を叩いて竜胆を称賛し始めた。
「入学して早々にここまで気づくのは、堀北先輩が高く評価するだけはあるな。可愛げがなさそうなのが残念だ」
恐らく他意なない発言なのだろうが、話し方や見た目・ストーカー紛いの行動を踏まえると、とんでもない変態のようにも聞こえるような発言だ。
「何の話ですか?」
「惚けるなよ。この学校の歪さに気づいたからこんなことをしてるんだろ?安心しろ、何も知らない後輩を虐めたりはしない」
(駄目だ⋯⋯やべぇ変態の言葉にしか聞こえなくなってきた)
さっきから、ワードチョイスまでそういう人間の言葉に聞こえるのだ。とんでもない偏見だが、竜胆の南雲先輩への第一印象は完全に固まってしまった。
「そいつらにこれ以上質問することは諦めろ。でもまぁ、それだと可哀想だからな。可愛い後輩が勘付いた褒美として、代わりに俺が教えてやる」
(コイツ、わざと言ってねぇか?頼むからストーカー紛いの行動をした自覚をして欲しい)
「じゃあ三つ聞いても?」
「聞く回数は何でもいいが、答えられない質問には答えない。あくまで、先輩として後輩に教えるだけだ」
質問の仕方には気をつける必要がある。須藤に絡んだ先輩たちに質問した時の反応や南雲先輩への態度からして、学校の制度を隠しているように感じる。直接的なことを質問するのは避けたほうがいいかもしれない。
「まず、退学者が多いのは問題行動以外に理由はありますか?」
「YESだが、これ以上は答えられない」
今朝、竜胆は上級生の学年の教室を見に行っていた。椅子は一年生よりも少なく、クラスごとにバラバラだった。朝に行ったのは目立つのを避けるためだ。この学校に無料の商品がやけに多いのは確認済み。
仮に実力主義で支給されるポイントが変動するとして、そこに退学の可能性などがあるのかどうか、一番に確認しておきたかった。
実力主義の学校ならば、特定の場合に退学する可能性が絶対にあり得ないと断言することが出来なかった。だからこその確認であり、当たって欲しくなかった質問でもある。
「次に、この学校は個人主義だと思いますか?それとも集団主義だと思いますか?」
「残念ながら、集団主義だ」
これはポイントの変動が個人単位かクラス単位か聞くためのものだ。南雲先輩も分かった上で答えているし、竜胆も堀北先輩と同じ生徒会で副会長をしている南雲が答えられないと思っていない。
「最後に、今ポイントをどのくらい持ってますか?」
「容赦ないな、残念ながらそれも答えられない。ただ、そうだな一つゲームをして勝てば答えてやってもいい」
「それ、やらないといけないんですか?」
お互いに堀北先輩との繋がりがあるだけで、二人は初対面だ。そんな相手にいきなりゲームを提案しだす南雲は馴れ馴れしいというか、これ以上関わりたいと思えない。
竜胆としては、質問をしてさっさと終わらせたいのだが。南雲はそれを許さない。
「焦るなよ。今の時期は俺も忙しい。しばらく先にはなると思うが、それでもいいならしてやってもいい」
「⋯⋯わかりました。今日は帰ります」
上から目線の物言いの南雲の話に乗るのも嫌な感じがしたが、断るのもそれはそれで面倒なことになりそうだと判断した竜胆は、渋々受け入れる。
ポイントの詳細は知っておいて損はない。今は大した情報ではなくとも、今後の指標になる可能性が最も高い項目だ。
質問を答えるだけのはずが、無理矢理約束を取り付けるのは詐欺師か何かみたいだ。これ以上付き合いたくなかった竜胆は、足早にその場を去っていくが、南雲がこれ以上追ってくることはなかった。
南雲「さて、これからは俺が次回予告のコーナーの司会を務めさせてもらう。南雲雅だ」
竜胆「一回きりのゲストで、よくそんな無駄発言出来ますね」
南雲「一回?この俺がたった一回の出演なんて、それこそあり得ないだろ」
竜胆「自信たっぷりなのはいいですけど、今回の先輩はどう見てもあんまり関わりたくないって思うくらいには不審者みたいでしたよ」
南雲「一年には分からないだろうが⋯⋯情報収集はクラスの対抗戦で必須だからな」
竜胆「コワイナー」
南雲「ところで⋯⋯いくら堀北先輩のお気に入りとは言っても、流石に察しが良すぎるな。クラスの対抗戦があることも驚いた様子ないし、教師から何か聞いたんじゃないだろうな?」
竜胆「先生からは何も聞いてませんよ。そもそも、体育祭とかでポイントもらえたりしないかな〜って思ってましたし、ほぼ妄想に近い予想までしてました」
南雲「他にも何か理由があるんじゃないか?」
竜胆「先輩に話すことは何もないですよ」
南雲「まぁ、今はそう言うことにしといてやる。
次回『真実と嘘を使ってこそ、本当の優しさを得る』しばらくは一年に出番を譲ってやるよ」
竜胆「あの人、先輩風吹かすためにだけに出てきただろ⋯⋯⋯」
好きなよう実キャラ
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平田洋介
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