ハロウィン終了2時間前に書き始めるのはあかんかったか…
買い物をして家に帰る途中、俺はふと
「今日はハロウィンか」
そう思い出した。
陰気な俺にはあまりにも関係ない事だな……
友人と学校帰りに変な格好をした集団を電車で見かけたが、「やべえのいるな」ってそいつと話した程度で、完全に今日が何の日か忘れていたレベルだ。
しかし、気合の入り方はすごかったな。
電車内のあの場所は異様な空間になっていたのを思い出した。
例の交差点とかあんなのだらけなんだろうな……とか、今日みたいなコスプレ集団が軽トラとかバスとか倒すのに奮闘するのだろうか? とか、くだらないことが頭によぎる。
「そう思うと、何かハロウィンに関するもの買えばよかったな……」
重たいレジ袋を持ちながら、帰り道を歩きつぶやく。
例えばカボチャを買うとか、お菓子を買うとか……。あとは、ハロウィンが題材のホラー映画借りてくるとか……それはサブスクがあるからいっか。
そんなことを考えると、自分が今暮らしているマンションにたどり着いた。
高校入学時、とある事情があって両親に無理にお願いした、自分だけが住む部屋だ。
なんで実家暮らしじゃないの? って友人にも聞かれたことがあるが、実家はシンプルに学校が無茶苦茶遠いのと、今どうしても一緒に暮らしたくないやつがいるからだ。
あいつ来ていないよな……そんな事を考えながら自分の部屋がある階に泊まったエレベーターを降りると、自分の家の玄関が見えた。
やっと着いた……とか考えてると、奥に嫌な人影が見えた。
「あ、おにぃおかえり! ハッピーハロウィン! トリックオアトリート!!!」
嫌な予感というのは嫌なタイミングで的中するのだった。
俺は、ひとこと彼女にこう伝えた。
「……帰れ」
「ひどい!」
腕疲れたから休ませたい。てか、数分ごろごろしたい……。
まあ、できない事を嘆いても仕方ないがと思うようにしたが、結構労働ではあったので心には来た。
そうなったのも、目の前にいるうちの愚昧が凸ってきたせいなのだがな……。
「おにぃ、元気ないね。どれ、こっちきなさい。特別に慰めてやろう」
俺を床に追いやり、自分はベットの上でくつろぎながらそう手を伸ばすのはうちの愚昧こと、カンジャ・テルナ。
天真爛漫でいつも元気な、俺のかわいい妹だ。
「帰れ。てか、またおふくろとかに怒られるぞ」
「ふっ、今日の私は一味違うのだよおにぃ」
そういって、腕を組みながらふっふっふと笑い、右の親指をぐっとサムズアップさせる。
「ちゃんと許可とった来たぜっ!」
「いや、俺はしてねーよ」
「パパとママがしたからいいの!」
「なんでだよ!」
「この部屋の名義はパパの名義だし家賃は二人が出してるんだから、契約者に許可もらえば入ることができるのはとーぜんでしょーが!」
「うっ、確かにそうだけど……」
「だから、私がこの家に行く権利は二人が握ってるのだ! おにぃではない!」
「いや住んでるのは俺だからね!」
「そんなわけで、トリックオアトリートだよおにぃ!」
「そんな事って、そんなもんうちにはねーよ」
「え? 今日はハロウィンだよ。なんで、この家お菓子ないの? ばかなの?」
「忘れてたんだよ。てか、もしあったとしてもお前にやる菓子は一切ない。だから帰れ」
「は──────?????? じゃあトリートな、おにぃ!」
そういって、サインペンを持ちながらとびかかってくる妹。
それを見事に神回避した俺は、そのまま床に突っ伏す妹を持ち上げ、家の外に追い出した。
「じゃ」
俺はそう言って、ドアを閉めようとした。
「うりゃああああ!!!!!」
「あぶねえ!!!!!」
勢いよくドアを開けた。
こいつ、閉じようとしたドアに手を突っ込むとか正気か?
「おま、あぶねえだろ!! 怪我したらどーすんだ!」
そう言ってる間に、
「お邪魔しまーす」
そそくさとドアの隙間から、入ってきた。
「あ、ちょ、帰れ!!!」
「ヤなこった。べー」
あっかんべーとこっちを向きながら律儀に靴を脱いで家に入る妹に対して、
「まったく……」とあきれつつも、
「なんだかんだ許可する俺も甘いか……」
そう呟きながら、一緒に晩御飯の準備を始めるのだった。
食事中。
一緒にテレビでバラエティーを見ながらご飯を食べてると、かちゃんと高い音が鳴った。
それと同時に、
「げ、やば!」
と鳴く声が聞こえた。
「……お前何してんだよ……」
「今、握力0だった」
本当に何してんだよ。そう思いながら、スプーンを落とした彼女にティッシュを渡す。
制服には、かぼちゃのシチューがまあまあついてしまっていた。
「やっべー、ママに怒られる……」
そういいながら、ぱたぱたとティッシュでシミを落とそうとする姿を見て、呆れとほほえましさを感じていたら、
「どう? おにぃ。ドキッとした?」
とこっちを向いて聞いてきた。
「ムカッとした」
「私もムカッとした」
ほっぺを思いっきりつかんでぎゅーってやる。
「あーん、いけずぅ~~」
愚昧もふにゃふにゃした声で甘えてくる。
「てかさ、俺もさ、お前みたいなちんちくりんじゃなくて、もっとこう、ムチムチのめっちゃきれいなおねぇさんにそうゆうことは言われてーわけよ」
「ふっ、いるさっここにひとりな!」
そう言いながら思いっきり服を脱ぎ捨て、やたらSNSとかで見るドスケベオオカミコスで、こっちに迫った。
「何ちゅう格好?! てか、妹はちょっと……」
目をそらして、罰のハンドサインをすると
「むぎゃああああああああああ!!!!」
と襲い掛かられたので、また投げ飛ばすのだった。
風呂あがり
「おーさっぱりしてきたかー」
堂々と、別途でスマホいじってる愚昧を見て、俺は聞いた。
「お前、皿洗いは?」
「10分後にやるよ」
「追い出すぞ」
「はいはい、今やりますよ」
めんどくさそうに、彼女は台所に向かった。
はあ……とため息をつきながら、自分もベッドで休もうとか考えてると、彼女がさっき来ていたコスプレ服とは違う服がそこに見えた。
「おーい、なんだあのパジャマ? お前、今日止まんの?」
「うん、そのつもりだけど」
「事前相談ぐらいしろよ……」
すべてが事後報告の妹にあきれる俺なのであった。
「おにぃー、ジュース入れたよ」
ノー天気な声で、さらに呆れたことをこいつは急に言い始めた。
「おまえさあ、皿洗い頼んだよな」
「後でちゃんと洗うから。ね」
「……マジで洗えよ」
そういいながら、彼女が出したジュースを飲む俺であった。
お互い風呂にも入ったし、明日出す宿題も済ませたので一緒に就寝することにした。
「おい、歯みがいたか?」
「うん、磨いてきたよ。てか、ガキ扱いすんなし」
そういってポカっと、どつかれた。
どつき疲れたのか、ふぅと一息ついたかと思ったら、もじもじしながらこっちを見つめてきた。
「……ねぇ、おにぃ。その……今日も」
「はあ……しょーがねぇな。ほら、こっちこい」
そういって、俺がかぶってる布団をがばっと開ける。
こいつは、昔から俺がいないと眠れない。
物心がつく前からそうしていたのだ。
小学校に上がってからは、俺もあいつも恥ずかしくなってきたのかやらなくなったが、あいつが中学に上がったときにまた一緒に寝るようになってきた。
「うん。ありがと」
そういうと、彼女も同じ布団に入ってくる。
正直、兄としてはこいつが心配だ。
こいつが、彼氏とかできた時に俺がいないと寝れないとかあほなこと抜かすんじゃないかって……。
それ以外でもそうだ。小学校の頃はそうじゃなかったのに、中学に上がったころには昔みたいにべったりくっつくようになってきた。
最初は可愛がっていたが、だんだん違和感を感じ始め、俺が中学を卒業したころにはとんでもないものまで作っていた。
そういうのもあって、俺は実家を出る決意をした。
親父もお袋も俺たちの距離感には、疑問を持っていたので意外とすんなり許可も下りた。
そして、それから半年がたった。
「電気消すぞ。おやすみ」
リモコンで電気を消した後、反対側に向いて俺は寝た。
今みたいな感じで、家に来るようになった。
とはいっても、最初は頻度も少なかったがだんだん来るようになり、今ではほぼ毎日家にいる上、3日に1回はこの家に泊まっていくようになった。
「おうおう、おにぃおやすみー」
後ろから聞こえてくる。
正直彼女はブラコンだ。
両親もそれがわかっているからか距離を置く手伝いをしてくれていたが、それでも最近のこいつはとてもおかしい気がする。
許可なんてこう連続で出さなかったのに……
そう、抱き着いてくる愚昧にたいして、今後の不安を抱えながら俺の意識は落ちるのだった。
……あれから、体感一時間は経過したな。
「さーて、寝たかな? ぐっすりだな、こりゃ」
手を放して、そーっとゆっくり起き上がる。
「強力な睡眠薬持ったからね……うん、こりゃあぐっすりだ」
しかし、ママたち怒ってるんだろうな……今日無断外泊だし。
そのためにおにぃのSNSで、両親をブロックしといて正解だった。
やっぱ仕込みは大事だよね。
さてさて、今日も夜の時間を始めますか。
おにぃの状況を確認しながら完全にベッドから出た私は、おにぃの本棚あたりを物色する。
「さーて、カメラカメラ……あった」
中からSDカードを取り出して、スマホに入れる。
「うんうんばっちり取れてるって、おやおやあ……? これはえっちなマンガじゃーないですかおにぃ?」
急いで本棚を確認すると、該当の本が出てきた。
「けっ、性欲ないふりしてスケベ兄じゃねーか。ここにいい女がいるのになあ……」
天真爛漫にただ抱き着いてるだけだと思ってんのか? この馬鹿兄貴は。
「でもまあ、さっきはオオカミ女のコスプレには少し反応があったし、コスプレ路線で攻め攻めするのもありなのか? 次いけそうなのはサンタコスか。ミニスカサンタさんから美少女のプレゼントだよー! なんっつて」
今日のはだいぶ恥ずかしいではあったから、頼まれでもしない限りはするのやめよう。
うん、やめとこう。
「ま、そもそもそんなプレゼントはあたしとか、そんな事をする勇気はないんですが。遅効性のお薬頼らないと」
ちゅって、彼の唇にキスをする。
「こんなことできないし……」
そういって、再び口づけを再会する。
さて、ムラムラも抑えきれなくなってきたし、ここいらで一発やるとしますか。
「じゃあ、今日もよろしくね。おにぃ」