<現代:5/2>
「あ、ありがとうございました……」
その声とともに、俺はカズヨと一緒に店から出た。
そういえば。
今日のアキミヤ、ずっと変だったけど大丈夫かな……。
後で連絡を入れておこう。
そんなことを考えていると、
「いやーハンバーグおいしかったね、ショーヤ。今度また行こうよ」
「ああ、そうだな」
にこりとするカズヨがこちらを見てきた。
「あ、そういやさ」
俺は彼女に聞きたいことができたので、聞くことにした。
「お前とアキミヤって知り合いなの? そんな反応してるように見えたけど」
「えー? 僕、あの人の事はまったく知らないけど」
「そっか……」
全く知らない人ですって言いたげな彼女表情を見て、俺はさっきの反応は何だったんだろうとか考えながら、アキミヤへさっきはどうしたのか聞いてみようとかいろいろと考えていた。
そんなことを考えながら歩いていると、西矢央子駅前についた。
カズヨとも、そろそろお別れか……。
そんなことを考えていると、
「え?」
「……え?」
あれ。今すれ違ったの。
驚いた表情でこちらを見つめる少女。
髪型とかは変わっているけど、見間違えるはずがなかった。
「待てユキノ!!!」
後ろに走り出す彼女に向かって俺は、追いかけようと
「ダメだよショーヤ!」
「離せカズヨ! 俺はあいつに!」
冷静じゃない俺を羽交い絞めにして、冷静な彼女は俺に説いてきた。
「あいつに会って、ショーヤは何をするのさ……」
頭が少し冷える。
でも、ここは、
「ここは、会わないとダメな気がするんだよ! わかんねーけど、でも会って話さないといけない気がするんだ!」
「ショーヤ! 落ち着いて冷静になれ!」
そういって、カズヨは俺のほっぺを無理やりつねってきた。
「あの子は危険なんだよ……大人しく、あの刑事さんを頼ろうよ」
指を無理やり引きはがし、俺は彼女が消えていった人ごみを見つめていく。
「クソッ! くそっ……くそ……」
何もすることができなかった自分を悔やみ、あのことを思い出して俺は静かに涙するのだった。
<3年前:5/2>
麦茶を差し出して、渡すと
「ありがとう」
彼女は一気にグイッと飲み始めた。
家隣だったのだけど、ショウヤってお茶出さなかったのかな……。
「で、私たちから話せることは大体ショウヤから聞いてると思うけど、これ以上私は何を話せばいいのかしら? ソフィー」
「はっ倒すわよアンタ」
「いやさっきリラックスして最悪ため口とかでもでもいいって、案内しているときに言ったじゃないですか……」
「限度があるでしょーが、まったく……じゃあ本題に戻るけど、あなた達って、たしか最初の発見者であってるわよね」
「ええ。ですが……」
「貴方の目線から知っている事を詳しく聞きたいの。聞いてもいいかしら?」
「……最初の事件の時は……確か昼休みに、カズヨが「像を見た」って話をしてて、そのまま成り行きで行くかーって話になりました」
「ふーん。ちなみに言い出しっぺは誰かしら?」
「……たしか、カズヨだったかと……。先生のお手伝いをしていて私だけ合流するのが遅れたんですよ。ついたときには行くか・行かないかの話をしていました」
「ありがと。続きを聞いてもいいかしら?」
「……そこからは彼女を頼りに、死体を見つけて、通報してって感じです」
「ちなみにどうして、死体ってわかったのかしら?」
「……カズヨが間違えて死体に触れた時、石がはがれたんですよ。それで肌が見えて……」
「そう……ちなみにだけど、どうして探偵ごっこなんか始めたのかしら?」
「一応、それも成り行きです」
そういったとたん、今まで見た死体を思い出し、ぐっと歯を食いしばる。
「でも……こんな、命をおもちゃみたいに扱うことが許せないってのが一番強いです。本音を言えば、この手で叩きのめしたいくらいに」
「ふーん、そう。漫画かなんかの影響?」
「……小さい頃に交通事故で妹を亡くしているんです。相手側がルールを守っていなくて……私もちゃんと見てあげられていなくて……」
昔の事を思い出し、それにあの像が……死体が重なってき怒りがふつふつとわいてきた。
「そう……。まあ、無茶はほどほどにしなさいな。危険だと判断したら、すぐに連絡しなさい」
そういって彼女は、私に1枚のメモを渡し立ち上がった。
「これ、ショウヤに渡した連絡先と同じものが書いてあるわ。気になることがあったら、これですぐに相談してちょうだい」
そういって、彼は「帰るわ」といい玄関へ向かっていった。
私も一緒に玄関へ行き、彼女を見送る。
「あの……」
「ありがとう。お茶おいしかったわ。……できれば、事件の事は忘れて」
「それはできません」
「……そう、じゃあまた」
「ええ、また」
近くに停車してた、真っ白な高級車に乗った彼女を確認した後、私はすぐにドアを閉じて今のことをみんなに伝えたのだった。
夜の11時。
夕方に眠りから目覚めた俺は、ちょうど同じタイミングに親が帰ってきたので、夕飯を食べて、風呂に入って、そこから自分の部屋のベットに入って再び眠りにつこうとした。
だが……
「寝落ちなんてするんじゃなかった……」
昼間、眠ったのが仇となっていたのだった。
めちゃくちゃ眠れない……。
「やべぇ、どうしよう……」
そんなことを考えていると、ピコんと何かが届く音がした。
何だろう……。
そう思いながら、スマホの画面を見ると、グループのメッセージが表示されていた。
「ああ、やっぱ二人のところにもソフィ姉が来たのか」
そう思いながら過去ログをあさってみたが、俺が寝落ちしてからは二人のもとにも姉さんが来て俺と同じことを聞かれた事くらいしか情報がないみたいだった。
「まあ、そうなるよな……」
スマホを投げて、仰向けに寝転がった。
うーむ、暇だ……
ふと、
俺は、通話アプリからユキノのアイコンを選択し、
『今、夜なんだけど』
「あー、もしもし。ユキノ、今話せるか?」
『もう……急にどうしたの?』
連絡することにした。
「いや、なんつーか声聞きたくなってな」
『え? 何急に……とりあえず部屋の窓開けたから、そこから入って』
「は?」
『いいから。この時間に電話するよりはましでしょ』
そういって、ぶつっと切られてしまった。
「マジかよ……」
こんなくらい時間に飛び乗れって……
「とは言っても、急に電話したのは俺だしな。お邪魔するか」
俺は寝巻から私服に着替え、自分の部屋の窓を開け、隣の空いてる窓に飛び移った。
「よ、ユキノ」
「ほんとに来た……」
「いや、お前が来いっていったんだんだろ」
「そうだけど……まあ、続きはなそ」
その後、俺たちは今日聞かれたことについて深堀することにした。
だが、結局何もわからなかった。というか、この話ってレンとかカズヨも交えて話さないといけないのではって話になったので、このことについてはまたグループチャットで明日話し合うことにした。
さてと。
日も変わり、いい時間になってきたので眠くなった俺は、ユキノの部屋の窓に手をかけた。
「じゃあ、また明日」
「待って!」
急に彼女が俺の手をつかみ、引き寄せてきた。
「どうしたんだ?」
「……今日さ、もう遅いし止まっていかない?」
「はあ? でも俺、外出してるのバレたら」
「今から戻るのも危険だし、別に戻るのは明日の朝のほうがいいでしょ。ベットも空いてるし」
そういって、彼女が目をやった方を俺も見つめる。
「……いいのか? あいつとのスペースだろ」
ふと、脳裏によぎった疑問をぶつける。
渋い顔で彼女は、
「……許可とったから」
と、明らかに許可とかそんなものを、とったとは思えない表情をし、遠い目をしながら返答してきた。
「……罰当たるぞお前」
「それなら」
そういって、ユキノが俺のことを、ベットに押し倒して来た。
「三人で川の字で寝ればいいんじゃん。貴方、私、あの子で」
いいのかよそれ。
そんなことを思いながらも、いろいろと眠気も限界に達していたので俺は眠りについてしまったのだった。
<現代:5/2>
俺の家についた俺達。
ソフィ姉にユキノを駅前で見かけたことを伝えた後、
「お邪魔しまーす」
カズヨと一緒に家に帰ってきた。
「ここに来るまでに誰かの気配とかもなかったから、大丈夫だと思うよ」
「そっか。すまねえ、こんなところにまで」
「友人のメンタルがやられてるのに、一人にするとかふつうしないでしょ」
……マジか。
「お前……3年ですげー変わったな」
「は? 動揺してたからついてきたのに心配して損した。てかはっ倒すぞ」
「はは」
「まったく……」
でも、あそこで冷静に対処してくれたカズヨがいてくれたこと。それがとてもうれしかった。
「あ。今日さ、止まってもいい? もう、夜も遅いでしょ。それに一人にするのも、気分悪いからさ」
多分これも心配してくれて言ってるんだろう……
普段の俺なら断っていたと思う。
でも、今日は
「ああ、ありがとう。布団用意するよ」
その優しさを断ることができなかった。
<3年前:5/3>
チュンチュンと、鳥のさえずりが聞こえて俺たちは目が覚めた。
「……頭と頬が赤くはれてるぞ、お前」
「……夢でユキアに説教されたわ」
「やっぱり怒られてるんじゃねーか」
ほんとこいつは……そんなことを考えていたら、
「そういって人に説教するお兄ちゃんは、一体ここで何してるのさ」
後ろの声に反応して、俺たちは同じ方向を向いた。
窓の外には
「「うわあああああああああああっ、て、テルナ!?」」
びしっと張り付いている妹がそこにはいたのだった。
<現代:5/3>
朝焼けに包まれた神社。
まさか、カズヨとショーヤが一緒にいるなんて思いもしなかった。
あまりの事態に、ついとっさに逃げ出してしまった……。
「早く、何とかしないと……」
「貴方も、出会ったんですね」
「アキミヤ・ココノ……」
「あんな挑発、乗っちゃダメなのはわかっているんですけど……でも怒っても仕方なくないですか?」
「何する気なの?」
「あと少しで、あの人の拠点が特定できそうなので、一緒に待っていただけないかと」
「必要ないわ。貴方よりも先に、あいつを殺す」
「そうですか……目的が同じなら協力するべきだと思いませんか?」
「そんな事は私が決めるわ。それに今、待っている人がいるの。どこか行ってくれないかしら?」
「奇遇ですね。私も同じところなんですよ」
バチバチと、一触即発の空気になる。すんだ空気が台無しだ。
どこかに行ってくれないかしら……
そんなことを考えていたら、
「ういーっす」
気の抜けた声が、階段のところから聞こえてきた。
「ユキノせんぱーい、もってきうげっ!?」
「おはよう、テルナちゃん」
よりによってそれも同じか……
「あ……アキミヤ先輩、なんでここに……?」
「いやー、昨日用事があるとか言ってたから会う時間ずらしたんだけど、これなら手間が省けていいね」
「ちょ、いや、その……」
「……茶番はいいから。彼女の出没箇所と、拠点候補のリストをわたして」
「……はいはい」
「わたしにも後で頂戴。紙で」
「……はーい」
めんどくさそうにするテルナのことは無視して、私はアキミヤ・ココノに話しかける。
「ところで、あなたはテルナになにを頼んだの?」
「貴方と同じ拠点候補の捜索と、あと協力者がいないかどうか」
「ふーん、ちなみに協力者は居たの? テルナ」
「あー、そこはわかんなかったです」
「ふーん。そっか……」
そういって私たちは、テルナの持ってきた情報を読む事にしようとした。
気まずそうにしてる彼女に目が行く。
「……どうかしたの?」
「あ、あ……やっぱ言っとくか」
「「?」」
もじもじとして、何かを言いずらそうにする彼女。
何かあったのかな?
そうおもいながら、しゃべりだすのを待っていたら、
「そのー、カズヨさんなんですけど、今おにぃの部屋に泊まってますよ」
「「は!?」」
あまりにも衝撃的な行動に、もうどんなリアクションをとったか忘れられないくらいの大きな声が私たちは出てしまったのだった。
<3年前:5/3>
「お前今、朝の4時だぞ!?」
「私は、何してんのさって聞いてるんだけど? おにぃ」
「テルナ、ごごごごかいなの。これは違くて……」
「ユキ姉は黙ってて!」
「あーもう、お前には関係ねーだろ。てかそこ、あぶねーから早く部屋戻れ」
「は? 関係ないって何? てか、戻るならおにぃも一緒でしょーが!」
ギャーギャーわめき始めてきた。
これはまずい。
そう思った俺は、急いで自分の部屋に戻る準備をした。
窓を開けた後、テルナが無事に俺の部屋にたどり着いたのを確認し、
「じゃあ、俺も戻るわ」
「う、うん。じゃあまたね」
「おう、また」
俺も自分の部屋に戻ることにしたのだった。
……その後、俺はまた親父にぶん殴られることになったのだが、それはまた別の話だ。
<現代:5/3>
チュンチュンと、鳥のさえずりが聞こえて俺たちは目が覚めた。
友人が寄り添ってくれたおかげで、昨日やられたメンタルも少しは改善の道に進んでいけた。
「……まさか、マジで手を出さないなんて思わなかったよ」
当の本人は、少し不満そうにしていたみたいだが……。
「出すわけねーだろ。俺は一応、まだ高校生だからな」
「俺はってなんだよ! 人を学生じゃないみたいな扱いしないでくれる!?」
「じゃあ、今どこに通ってるんだよ」
「どこにも通っていないけどさ……」
「なんも問題ねーじゃねーか!」
「そうだけど、むかつくじゃん」
「ああ、そうかい」
「……ふっ。やっぱ変わんないな、ショーヤは」
「何だよ急に」
「なんでもない。僕当分はここら辺にいるから、ほら連絡先」
「いつでも連絡しなよ」
そういって、彼女はそそくさと自分の荷物を手に取り、
「じゃあね」
といって玄関から出ていったのだった。
「ああ、またな」
俺は起き上がり、朝ごはんの準備を行うことにしたのだった。
<3年前:5/4>
熱い太陽が俺の部屋を照り付ける。
ネットサーフィンをしながらゴロゴロしていると、
「ん?」
レンから、急に今から会えないかと連絡が来た。
「急にどうしたんだ? あいつ」
俺はいったん、わけを聞くために電話をすることにした。
結論としては、何でも見せたいものがあるから会いたいとの話だったのだった。
「でも、どうやって出ようか……」
『ふむ、では今から俺がお前の家に行くのはどうだ?』
「……別に構わねーけど」
『では住所を教えてくれ』
「わかった。ちょっと待ってろ……」
そういって、俺はあいつに住所を教えた。
『俺の家からだと少し遠いが……、まあいい。待ってろ、1時間以内には着く』
「おう」
そういって、通話が切れた。
「……マジか……あいつ行動力あるな……」
そんなことを思いながら、俺はレンが来るのを待つことにしたのだった。
そして、50分後
「待たせたな」
「おう、久しぶりだなレン」
そろそろ、夕方になるかならないかの時間に、彼は俺の家にやってきたのだった。