ボクはいつかキミのヒーローに   作:黎川暁明

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ここから本編です。半分以上妄想の垂れ流しになりますしキャラ崩壊とかもありかねませんがまぁ許容してください


第一話

「ここが天下の雄英高校……ボクが、三年間学ぶ場所……!」

 

 雄英高校の門の前に立ち、改めてあの雄英高校に合格したことを認識して胸がいっぱいになる。合格通知が来てから、近くに引っ越したこともあってボクの家から雄英高校までは割と近い。自転車で五分ぐらいの距離。今日はその道のりを20分ぐらいかけてゆっくり歩いて来た。今日はあまりにも早いうちに目が覚めてしまって、二度寝も出来ないぐらい気分がワクワクしてた。新品の制服に初めて袖を通して玄関を出れば、空は胸がすくような快晴。燦然と輝く太陽も新たな始まりを祝福してくれてるみたいだった。

 

「友だち、たくさん出来るといいな」

 

 誰に言うでもなく小さくそう呟いて、大きな門をくぐった。

 

 

 

 

 

 

「内装もキレー…っていうか全部ぴかぴかしてるなぁ」

 

 門をくぐって、入り口をこえて、廊下を歩いていく。ボクの背が低いのもあると思うけど、それを差し引いても天井が凄く高い。壁も真っ白でどこを見ても掃除が行き届いてる。さすがは国内一のヒーロー養成学校だ。

 クラス分けによるとボクはA組らしい。どんな人が同じクラスになるかな。入試試験で見かけた、あの茶髪の女の子とかいたらいいな。遠くからちょっと見えただけだけど緑髪の男の子がコケそうになってたのを助けてた。世界中の誰もがあんな優しい人だったら良いのにね。メガネかけてた男の子もいいな。ちょっと厳しいところもありそうだけど、それ以上に自分に厳しい真面目な委員長タイプだ。あーいう人もけっこう好き……

 だなんてそうこう考えてるうちに、いつの間にかクラスの入り口に着いていた。早めに行くつもりだったけどゆっくり歩いてたら思ったより遅くなっちゃったみたいだ。クラスの中はもう既に少し騒がしい。

 

「…ん?」

 

「ひゃっ!?」

 

 廊下の向こうから聞こえて来た足音に目を向ければ、入試の時に遠くから見かけた緑髪の男の子だった。

 

「初めまして、ボクは不士身永和。君もA組なの?」

 

「こっ、こちらこそ初めまして!緑谷出久っていいます!ぼ、僕もA組だから…その、よ、よろしく」

 

「あはは、そんなに緊張しなくて良いのに。声、裏返ってたよ?」

 

「あ…その、緊張、してて…」

 

「わかるよ、ボクも緊張してるし。じゃあ出久くん、一緒に教室入ろ!」

 

 出久くんのの手をとって-よく鍛えてることが分かる硬い手だ-軽く引くようにしながら、もう片方の手で教室ドアを開ける。

 

ーーと、

 

「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよてめーどこ中だよ端役が!」

 

「ボ…俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」

 

「聡明〜〜〜!? クソエリートじゃねえかブッ殺し甲斐がありそだな」

 

「君ひどいな本当にヒーロー志望か!?」

 

 入試のときの真面目な委員長タイプのメガネくんとツンツン頭のヤンキーが言い争っていた。

 

「わあ、ヤンキーって本当に居たんだ。髪型がリーゼントじゃないのが惜しいな」

 

「不士身さん!?声に出ちゃってるよ!?」

 

「あっ……、まあ聞こえないでしょ、多分」

 

 口に出しちゃってたみたいだ。しばらく人と会話することがなかったなかったからなぁ。心の声がだだ漏れになってるのかもしれない。気をつけないと。

 

「聞こえてんだよそこの白チビィ!」

 

「え? ボク?」

 

 自分を指差して問い返せば、

 

「てめえ以外に誰が居んだよクソがぁ!」

 

「ねぇ出久くん、もしかしてボクの声けっこう大きかった?」

 

「あ、うん。割と…普通に話すぐらいの大きさだった」

 

「なんてこった」

 

 どうやら『ちょっと気をつけておく』ぐらいじゃ足りないみたいだ。もっとしっかり心に刻んでおかないと。

 

「お望み通りてめえを一番目に殺してやろうかァ!」

 

「君には無理だよ」

 

「あ゛ァ゛!?」

 

「ボクは、死なないから」

 

 真っ直ぐに彼の目を見つめて言った。

 

「……チッ、冷めたわ」

 

「そう。分かってくれたみたいで良かったよ」

 

 ……教室の気温が下がった気がする。もしかしなくてもボクのせいだよな……、少しでも挽回しよう。

 

「そっちのメガネの君は? 入試の実技試験のときちょっと見たよ、先生に質問してた人だよね?」

 

 空気を変えたいのもあって、置いてけぼりになってたメガネくんに目を向ける。…背高いな、頭二つ分ぐらいは違う。凄く羨ましい…

 

「ハッ、ああ。俺は私立聡明中学の飯田天哉だ。一年間、よろしく頼む」

 

「こちらこそよろしくね。ボクは不士身永和。よろしくね、天哉くん。こっちの彼は……」

 

「僕は緑谷出久。一年間よろしく、飯田くん」

 

「ああ。よろしく頼む。それにしても…」

 

「「?」」

 

 何やら悔しそうな天哉くんに、出久くんと二人で首を傾げる。

 

「緑谷くん…、君はあの実技試験の構造に気付いていたのだな」

 

「実技試験の構造…? …あれかあ! 救助(レスキュー)(ポイント)制度! 出久くん気付いてたの!? 凄いや!」

 

「俺は気付けなかった…! 君を見誤っていたよ! 悔しいが君の方が上手だったようだ!」

 

 あれ、出久くんちょっと汗かいてる? 気のせいかな。

 

「あ! そのモサモサ頭は!」

 

 教室の入り口から聞こえて来た声に振り返れば、一人の女の子がそこに立っていた。ボリュームのあるボブくらいの長さの茶髪、丸っこい目と輪郭。入試の日にコケそうになってた出久くんを助けていた女の子だ。出久くんはめっちゃわかりやすくビクッてしてた。

 

「地味めの!」

 

「プレゼント・マイクの言ってた通り受かったんだね! そりゃそうだ! パンチ凄かったもん!」

 

「いや! あのっ…! 本っ当あなたの直談判のおかげで…僕は…その…」

 

「へ? 何で知ってんの?」

 

「出久くん顔真っ赤っか」

 

「そっちの君は?」

 

 ボクに矛先が向いた。

 

「ボクは不士身永和。よろしくね」

 

「永和ちゃんね! 私は麗日お茶子。こちらこそよろしく!」

 

「ねえねえ、お茶子ちゃんって入試のときコケそうになってた出久くん助けてた人だよね!」

 

「見てたの?入試の日にコケちゃったら縁起悪いかなって思って」

 

「離れたとこからね。見てたこっちまであったかい気持ちなったよ!お茶子ちゃん優しいんだね!」

 

「えへへ、ちょっと照れちゃうな〜♪」

 

 入試のときに気になってた二人とは同じクラスになれた。このままクラスの全員と友達になれたら良いな。目指せ!先生含め学校全制覇!なんてね。

 

「今日って入学式とかガイダンスだけなのかな。早く終わったらみんなで遊びに行きたいな」

 

「本当に早く終わったらそうしよ! 担任の先生どんな人だろうね。緊張するよね」

 

「「ねー!」」

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」

 

「ここは…ヒーロー科だぞ」

 

 ………はっ!? フリーズしていた。何だコレは。

 

「…妖怪人面イモムシ?」

 

「「「ブフッ!」」」

 

「声に出てるぞ不士身。ハァ…内申書通りだな。悪気は無いようだが思った事をそのまま言ってしまうきらいがある…」

 

 自覚あるから何にも言い返せないな。とりあえずちゃんと人間だったみたいだ。…何であんなところに転がってたのかは謎だけど。

 

「ハイ、静かになるまで十二秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね」

 

 先生なのこの人!? しまった先生を妖怪よわばりしてしまったみたいだ。

 

「てことは…この人もプロのヒーロー…?」

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

 しかも担任!? 何だか全体的に不健康そうな人だけど大丈夫なのかな、どこかのタイミングで倒れたりしない?

 

「早速だが、体操服(コレ)着てグラウンドに出ろ」

 

 何の説明もないまま始まっちゃったよ……

 

「男子と女子でそれぞれ更衣室があるからそこでさっさと着替えてこい。俺は先にグラウンドに出てるからな」

 

 それぞれクラスのみんなで机を見ると、確かに中に体操服が入っていた。青字に白いラインが入ってるシンプルなデザインだ。うん、結構好きなデザインかも。

 

 内装を覚えてきたという天哉くんの後ろを、ぞろぞろと団子になりながらみんなで進む。多少歩いて男女で部屋が並んだ更衣室についた。男女それぞれに列に並んで、更衣室に入ろうと閉じ始めたドアに手を伸ばす…と、肩を叩かれて振り返ると、お茶子ちゃんだった。

 

「お茶子ちゃん、どうかした?」

 

「永和ちゃん、女子更衣室はこっちやよ?」

 

「え?」

 

「?」

 

 お茶子ちゃんと鏡みたいに揃って首を傾げる。………もしかして気づいてない?

 

「あの、お茶子ちゃん、ボクの性別どっちだと思ってる?」

 

「え? 女の子じゃないの?」

 

「ボク男だよ?」

 

「え? ええええええェェェェェェェェェ!? ウソ!? そんなに可愛いのに!? 顔だってちっちゃくて髪の毛サラサラで肌も羨ましいぐらい真っ白なのに!?」

 

「あー、うん。一応褒め言葉だから良いけど、気にしてる事だからあんまり言わないで欲しいかな」

 

「あ! ごめんね!」

 

「良いよ、また後でね」

 

 ……こうなると他の人も勘違いしてそうで怖いな。

 

 

 

 

 

 

 

 ドアノブに手をかけ、ガチャリと回して男子更衣室に入る。その瞬間

 

「うおおおおおお!?」

「うおっ」

「わあぁぁぁぁぁあ!?」

 

 更衣室の中が阿鼻叫喚の大惨事になった。慌ててすっ転ぶ人、顔を真っ赤にして隠そうとする人、ロッカーの影に逃げようとする人、ヨダレを垂らしつつニヤニヤした顔でボクを見る人、エトセトラエトセトラ...... ちょっと待って変な反応の人居なかった?

 

「何で女子がコッチに居るんだよ!?」

「女子更衣室と間違えたのか?」

「間違えねえだろ普通」

「じゃあどういうことだよ!」

「っヘェイ女子だあ!」

「不士身くん、女子更衣室は隣だぞ!」

 

 うーん、懸念してた事が現実になってしまった。……気のせいじゃなしに変なのいるな。まずは誤解解かなきゃ!

 

「ボク男なんだけど…?」

 

「そのナリで!?」

「女子にしか見えねえ…」

「不士身さん男の子だったの!?」

「嘘だろ!? え!? こんなに可愛いのにちんこついてんの!?」

「不士身くん、それは性自認が男性ということか? それとも体も男性なのか? もし前者ならば俺たちは壁を向くなりして配慮したいと思うが」

 

 褒められてるのやら貶されてるのやら。ボク自身、自分の外見は重々承知してるから怒りはしないけど。それにしても天哉くんは頼りになるなぁ…。やっぱり委員長タイプだ。そして案の定出久くんは気付いてなかったね。わかってたけどさ。

 

「大丈夫、身も心も男だよ。恋愛対象は女の子だし、ちゃんとちんちんもついてるし。信じられないって言うなら…」

 

 そこで一旦言葉を切り、クラスのみんなを見回して、ボクのできるさいっこうの笑顔でもう一度口を開く。

 

「見てみる?ボクのコ・コ♡」

 

 トン、トン、と人差し指の腹で下腹部の辺りを叩きながらその下を指差し、とびっきりに甘い声で問かければ、

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!やめろぉ!脳が壊れる!」

「え?こんな可愛いのに男?あれ?男って女の子って意味だっけ?」

「チクショォォォォォォォォォォ!男かよぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 面白いぐらいの大惨事だ。ふっ…、あまりボクを舐めるなよ?お墨付きの可愛さだぜ。どやぁ…! 特に反応が大きいのが三人。他の人たちも赤くなったりいい反応を…、あれ、思ったほどでもないな。……なんか悔しいしどこかのタイミングでめちゃくちゃ狼狽えさせてやる。

 

「ほら、出久くん、早く着替えちゃおうよ。あの先生厳しそうだしさ」

 

「えっ?あっ、うん、そうだね、着替えよっか」

 

 そのまま着替えて、出久くんと更衣室を出た。

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