ボクはいつかキミのヒーローに   作:黎川暁明

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全話ヘンな切り方でしたね〜
多少短くなっても二分割するべきだったでしょうか
ああ、前話の最後の展開は描きたかっただけです。
主人公の永和くんがみてくれはまんま美少女だよっていう補完的なアレです。私のただの癖です。儚げな美男子が好きなんです。でも筋肉も好きです。まぁ早い話永和くんのナリが作者の癖なんで気にしないでください


第二話

「「「「個性把握……テストォ!?」」」」

 

 何人かのクラスの男子たちにささやかなイタズラをした後、ボク達はグラウンドに集合した。そこでボク達は相澤先生の言った内容に驚愕することになったわけだけど…。

 まさか入学式に出ることもないとは思わなかった。頑張ったかいあって首席で入試できたから新入生代表挨拶とか何かあるかもって思ってしっかり準備して来てたんだけどな。……まぁ、いっか。校長先生のお話とか聞いてると眠くなっちゃうし。

 

「首席の不士身……は不合理的だな。爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」

 

「アァ? ……テメェが首席かよ……。チッ、67m」

 

「じゃあ個性を使ってやってみろ」

 

 ヤンキーくん改め爆豪くんめちゃくちゃ睨んできてたな。そんな顔じゃ助けられた子供泣いちゃうよ〜?なーんて。もう失敗しないようにしなきゃね。お口にチャック!

 にしても個性を使った身体力テストか。種目は多分50m走、長距離走、反復横跳びにソフトボール投げ、あとは長座体前屈に…なにがあったっけ、ていうか何種目あるんだったっけ?

 

「よし。トータル成績最下位のものは見込みなしと判断し除籍処分としよう」

 

 考え事してるうちにデスゲームみたいなルール決まっちゃった……ボクの個性でなんとか出来るかな。

 

「出久くんは自信ある……って顔色悪いよ!?大丈夫!?」

 

「プレッシャーで死にそう……」

 

「が、頑張ろ?一緒に学校生活を謳歌しようよ!ね!?ね!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 まずは50m走を測るみたいだ。みんな色々と工夫してて凄い。天哉くんなんてもうめちゃくちゃ速かった。やっぱりわかりやすく身体能力が上がる個性は良いね。たくさん鍛えたんだろうな。

 

「次。不士身、緑谷」

 

 ボクらの順番が来て先生に名前を呼ばれる。やり方は決めてる。他にやり方がないとも言えるけど。

 

「オンユアマークス」

 

 グラウンドに一礼をして、目を閉じる。そしてあの日々を思い出すーーー

 

「セット」

 

 右足を引いて指をつき、前傾姿勢にーーー

 

「ゴー!」

 

 スタートの合図が耳に届いたその瞬間、異音と共に地面を蹴り砕いて前に進む。個性で折れ砕けた骨を治し、千切れた筋繊維を繋ぎ、裂けた皮膚を塞いでもう一度地面を蹴る。体は低く空気抵抗を少しでも減らしてーーー

 

 そして、グラウンドに引かれた50mの線を越える。

 

「ーーー不士身、2秒96。緑谷、7秒06」

 

「やった!思ったより出来た!」

 

 もっと遅くなるかと思ったけど、個性を鍛えてた努力を出せた!ほんの少しだけど天哉くんを超えられて嬉しいな。あれ、みんながぽかんとした顔でボクを見てる。

 

「「「「はっ………」」」」

 

「は?」

 

「「「「速えぇぇぇぇぇぇぇ!!?」」」」

 

「わっ!?」

 

「待って!?めっちゃ速えんだけど!」

「どういう個性!?どうやってんの!?」

「身体強化系か?めちゃくちゃ鍛えてあんな!」

「まさか走る種目で負けてしまうとは…俺ももっと鍛えなくてはな!」

「……走る姿……銀の弾丸が如し……」

 

「えっあっ、ちょっと待ってそんな一気に質問されても答えきれな…」

 

「全員落ち着け。授業中だぞ」

 

「「「「はーい」」」」

 

 相澤先生が止めてくれて助かった。あんなにみんなで来るなんて思わなかったからビックリしたよ。

 

「じゃあみんな、後でね」

 

「おう!色々聞かせてくれよな!」

 

 

 

 

 

 

 ……ハイ、薄々そんな気はしてました。握力測定、立ち幅跳び、反復横跳びは全然ダメでした。いやそうでしょ!ボク手ぇちっちゃいんだもん!立ち幅跳びは中学生のときに比べれば結構伸びたけどみんなも凄かったし!反復横跳びはボクの個性と相性悪いから自前の身体能力でやるしかないからちょっとすばしっこいぐらいじゃムリ!以上!

 え?言い訳くさい?その通りですけどなにか!誰だって得手不得手ぐらいあるでしょ!もう次の競技に切り替えます!

 次の競技はソフトボール投げ!このうっぷんを晴らしてやる!

 

「次。不士身」

 

「はいっ!」

 

 大きく返事をして白線のサークルに入る。意気込んだはいいけどボクの個性じゃ筋力自体は強化出来ない。ならどうするか。答えはこうだ。

 

「「「「「っ!!?」」」」」

 

 左手を固く握りしめ、右の前腕の真ん中あたりを叩き折る。上腕も真ん中で。次に左手を右肘に当てがって関節を外す。肩関節も同じように。そうしたらボールを握りしめて白線の円の中でぐるぐると回転する。ぐるぐる。ぐるぐるぐるぐる。ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるーーー。最初はゆっくりと、少しずつ速くなるように回って回って回って……左足を踏み出し、左手で右腕を全力で引っぱって加速を乗せて……全身を捻って……投げ…っ飛ばすっ!

 

 ボクが全力で投げたボールは、空を切り裂いて地平の先に飛んでいった!例え記録はどうでも、今ボクが出せるの全力を尽くした一投。

 数秒経って、相澤先生の手もとからピピッと電子音が響き、続いて記録が読み上げられた。

 

「……705.1m」

 

「あー、悔しいな。バクゴーくんは超えられなかったか。うん、まあでも、あぁ、いい気分だ」

 

 ぐぐ…と伸びをしようとして……右腕の違和感に気付いた。腕全体が画像を縦に引き伸ばしたみたいに間伸びして、手の部分は遠心力で血が寄ったせいで内出血して青黒く染まってる。かなりグロい。

 

「あ、そうだ。腕折ってたんだった。ここから直すのは面倒だし…」

 

 ジャージのズボンのポケットから愛用のカッターナイフを取り出して、ちきちきちき…と刃を伸ばす。そして折った上腕部の真ん中あたりに一閃。ぼとり、と鈍い音と共に腕が落ちる。それと同時に個性で腕を再成して軽く具合を確かめて完成!

 

「コレはまあいつも通り山にでも埋めに行こっと」

 

 切り落とした右腕を拾い上げてそう呟く……めちゃくちゃ静かだ。息づかいが聞こえそうなぐらいしんと静まり返ってる。引いたかなー、引いたよなー。不完全燃焼が続いてたから熱くなってつい本気出しちゃったもんなー。はぁ……三年間ぼっちか……3分前の自分をぶん殴ってやりたい気分だ。

 

「あのー」

 

「「「「「はいっ!?(ひゃいっ!?)」」」」」

 

 ちょっと声裏返った人居たな…何なら相澤先生も若干表情が固くなってるように見える。でもとりあえず説明しなきゃ解ける誤解も解けないし説明をしよう。人は未知を恐れる。知って貰うことが全ての第一歩だ。

 

「あの、ですね、引いたと思うんですけど……、これがボクの戦い方です。個性は再成って言って、怪我が治るのが凄く速くなるから体が壊れるような方法でもほぼノーリスクで使えます」

「多分、みんなも今そう思ったんじゃないかな。そうです、戦いに向いた個性じゃないです。派手でかっこいい個性じゃないし、これと言って強力な個性でもない。現代社会で言えば弱い個性に分類されるような、お世辞でもヒーローに向いてるって言えるような個性じゃないです」

 

 一旦言葉を切って、大きく息を吸う。

 

「でも、ボクはどんな個性でも自由に未来を選べる世界を作りたい。だからボクは絶対にヒーローを諦めない。誰に何と言われても、ヒーローになる。ボクみたいな弱い個性でも、ヒーローになれるって証明する。なって世界を変えてみせる」

「それにはみんなの助けが必要です。お互いに高め合って最高のヒーローになりたい。だから、これからよろしくお願いします」

 

 そう締めくくって、ぺこり、と頭を下げた。……間違いないボクの本心。言ってないこともまだあるけど、全部心からの本音だ。伝わってほしい……のにまったく反応がない。

 頭を下げたまま何か失敗したかと思い悩んでいたら、肩を強く叩かれて顔を上げた。

 

「お前、漢だなぁ!かっけぇよその夢!全力で協力するぜ!」

 

 ニッカリと笑ってそう言った赤いツンツン髪の男の子に、「俺も」「僕も」「私も」と他のみんなも続いてくれた。

 

「みんな…!ありがとう…!」

 

「良い原点だな、不士身。だがお前はまだまだ未熟だ。少しずつ、成長していけば良い」

 

「はいっ!」




むじゅい
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