【完結】カルカとモモンガに救済を!   作:ペリカン96号

12 / 37
拙い文章で読みずらい、理解しずらい点多々あると思いますが、お楽しみいただければと思います。
感想、評価、是非お待ちしております!


第11話 PVN

時は少し遡り、ウルがナザリックからエ・ランテルへ向かって歩みを進めていた頃…。

 

ローブル聖王国、首都ホバンス、宮殿の聖王女執務室。

 

「そうですね…そんなに離れていてもこんなに…。って!王国と帝国の国境近くにっ!!ど、どうしてですか!!!ま、まさか…聖王国を去るおつもりですか!!??」

 

ウルと伝言でやりとりをしていたカルカが、急に立ち上がり、大声を上げて狼狽する。

 

近くで執務に当たっていたケラルトと、同じく近くで護衛をしていたレメディオスはビクッと身体を震わせて驚く。

 

そして、カルカの発言を聞いて2人は非常に不安な様子見せる。

 

次第にカルカは落ち着きを取り戻し、伝言を終える。

 

「はぁ~…」

 

「大丈夫ですか?カルカ様…」

 

「ケラルト…ええ、大丈夫よ…」

 

「カルカ様…ウルは聖王国からいなくなったりしないですよね?」

 

ケラルトの心配をよそに、レメディオスは純粋な疑問をぶつける。

 

「ええ…あたしの早とちりだったみたい…」

 

「しかし…いつの間にか王国と帝国の国境にまで行っていたとは…」

 

ケラルトがカルカの発言を拾うようにして口を開く。

 

「なぁ…やっぱりウルを聖騎士団に入れた方がいいんじゃないか?」

 

「…それは難しいという説明を何度もしたでしょ…レメディオス…」

 

カルカは大きくため息をつく。

 

「では、カルカ様の直属の護衛にするというのはどうです?」

 

「それは素晴らしい提案…いえ、それもダメです」

 

カルカは一瞬我を忘れて本心を口にするが、すぐに冷静さを取り戻す。

 

「なぜですか!?ウルがいれば、怖いものなんてないではないですか!」

 

「姉さま…先の聖騎士団に入れられないのと同じ理由でダメなんです」

 

ケラルトはこれ以上にないほど呆れている様子である。

 

「同じ理由…?南部の貴族共か…?」

 

「そうです。ウル様をこれ以上カルカ様…引いては聖王女派閥に近づければ、必ず反発してきます。今の状態が…北部聖王国で冒険者をして頂くというのが最も最適な距離感なのです」

 

「むぅ…そんなもの圧力でねじ伏せればいいのではないか?」

 

「はぁ…それでは南部の国民が疲弊してしまいます…。最悪は戦争にもなりかねません」

 

レメディオスの考えなしの言葉に、ケラルトが再度口を開く。

 

「ですが、カルカ様はこのままでいいんですか?またいつウルが聖王国を離れるかわかりませんよ?」

 

「…わかっています。離れる際にはご一報をとお伝えはしましたが…彼が聖王国を離れて活動するのを禁止することもできません…。確かにそれは、痛いところです…」

 

カルカも非常に悩んでいる様子で、ゆっくりと俯いて見せる。

 

「…まあ、理由が理由ですし、それにウルさんが聖王国に赴いたのも、元を辿ればそれですからね…」

 

「ん?どれだ?」

 

「災厄の大魔皇よ…」

 

ケラルトとカルカの考え込むような表情とは裏腹に、レメディオスは非常に穏やかな表情をしていた。

 

「災厄の大魔皇…ウル様を以てしても勝てないと言わしめる…。一体どれほど凶悪な魔皇なのでしょう…」

 

「そうですね…。まあ、少なくともウルさんを抜きにして聖王国が立ち向かえるものではないことははっきりしていますね…」

 

「御心配には及びません!このレメディオスもいます!!」

 

レメディオスはえっへんと言った様子で大きな胸を更に張る。

 

「ええ…わかっているわ、レメディオス…。でもウル様がいないと困難な道のりであることは事実…。魔皇もそうですが、亜人や南部との関係性も…もはや聖王国はウル様の威光と功績で保っているようなもの…」

 

「そ、そんなことはないです!カルカ様のお力もあってこそです…」

 

「そうですとも!カルカ様のお力で、この聖王国の平和は保たれているのですから!」

 

カルカの弱気な発言に、ケラルトは少しオドオドした様子で、レメディオスは真っ向から否定する。

 

「…ありがとう、2人共…。ですが、ウル様の存在が民に安寧を齎しているのは事実…」

 

カルカの言葉に、今度はさすがに否定できない2人は黙り込んでしまう。

 

「カルカ様…一つだけ…方法があります」

 

「方法?」

 

「南部貴族の反発を抑え、もし反発が強くとも押し返せる…。そしてウルさんをカルカ様のお近くにおき、更なる聖王国の安寧と発展につながる道が…」

 

「な、なんだそれは!?そんないい方法があるのなら早く言え!ケラルト!!」

 

ケラルトの発言に、レメディオスはさることながら、カルカも興味深々と言った様子で目を見開く。

 

「それは…カルカ様がウルさんと…ご成婚されることです」

 

 

 

時は戻り、ウルがクレマンティーヌのメイド姿をバカにして笑っていた日から一週間ほど経った頃。

 

冒険者として活動するアインズとナーベラル改め、モモンとナーベは漆黒の剣というチームと共に依頼を終える。

 

その際に、なぜかデカいハムスターを使役したという話を聞き、またも大爆笑するウルであったが、その笑いを抑えるような出来事が発生していたことを、アインズから聞く。

 

『大量のアンデットか…何かのマジックアイテムなのか?』

 

『ええ、死の宝珠?みたいななんか意思のあるアイテム…インテリジェンスアイテムを使ったものがいて、それが原因らしいんですよね…』

 

ウルはアインズの話を聞き、考え込むようにして口を開く。

 

『この世界にも、そういうアイテムがあるっていうのはちと厄介だな…。実はこの前話したクレマンティーヌってのも叡者の額冠ってアイテムを持ってた…っていうか法国からくすねてきたらしいんだ…』

 

『そうなんですか…。ちなみにそれはどういう効果なんです?』

 

『装着者の自我を封じることで、超高位魔法を吐き出すことができるらしい…』

 

『うっわ…なんだか物騒なアイテムですね…』

 

アインズはひえっといった様子で言葉を返した。

 

『ああ、こんなのユグドラシルにはなかったからな…正直破壊してやろうとも思ったんだが…もったいないから無限背負い袋にぶち込んどいたよ』

 

『そうですか…ちょっと今度機会があったら見せてもらえますか?』

 

『もちろん、代わりにその死の宝珠ってのも見せてください』

 

『いいですよ、ただ、何か知らないんですけど、その死の宝珠、私に忠誠を誓っているんですよ』

 

アインズの言葉を聞き、ウルは酷く納得して見せる。

 

『まあ、あんた死の支配者だしな…でっかいハムスターも…し、使役するwww』

 

『ちょっと、ほんとに笑わないでください!!怒りますよ!!』

 

『いや、すまんすまん。でもほんとにハムスターなのか?』

 

『ええ、まさしくでっかいハムスターです。でもエ・ランテルの住民も、ナーベラルですらすごい魔獣みたいな言い方するんですよ』

 

アインズは伝言でもわかるくらいの大きくため息をついて見せる。

 

『うわー…それなんか…他のプレイヤーに見られたら死ぬほど恥ずかしい奴ですね…』

 

『そうなんですよ…でも忠誠を誓っている者を無碍にはできないし…悩みどころです』

 

アインズは、またも大きくため息をつき、ウルに愚痴をこぼす様に呟いた。

 

 

ズーラーノーンによって齎された『死の凱旋』というアンデットの大量発生を、漆黒のモモンとナーベが撃退したことで、ミスリル級の冒険者へと昇格する。

 

その後、順調にゆっくりと事を進めていく予定であったが、アインズにとってもウルにとっても不測の事態が訪れる。

 

アインズからウルに対して行った報告はこうであった。

 

『シャルティア・ブラッドフォールンが精神支配されました…』

 

ウルがこの報告をを受け、まず最初に疑ったのはアインズの勘違いであった。

 

シャルティアは吸血鬼それも真祖の吸血鬼である。

 

精神支配など受けようはずもない…。

 

しかし、一つの可能性に気付く。

 

『…ワールドアイテムか…?』

 

『さすがはウルさんですね…私はその可能性に気付くのに、大分時間がかかりました』

 

アインズは自虐して見せるが、その声色には一切の感情が見られない。

 

それだけで、アインズがどれほどの怒りと焦りを抱いているのかが分かる。

 

アインズにとって、ナザリックのNPCは、ギルドメンバーが残した宝である。

 

正直、ウルは過去のNPCにそこまでの思い入れを抱いてはいない。

 

しかし、アインズさんにとってはユグドラシルが全てだったのだ。

 

その思いは、例え理解はできても、ウルには計り知れないものであった。

 

故に、アインズに一つの提案をするに至る。

 

『…シャルティア、俺が殺るか?俺ならば容易だが…』

 

ウルの言葉を聞き、アインズは暫く黙る。

 

アインズからしてみれば、ウルはギルドは違えど、最後まで共にユグドラシルに残った友である。

 

互いが互いのことをよく理解している。

 

なぜ、ウルが先の提案をしてきたのか…。

 

アインズには手に取るようにわかる。しかし、だからこそ…。

 

『いえ、私がやりますよ…。子の失態は、親の責任です』

 

『…勝算は?』

 

『…私を誰だと思っているんですか?』

 

『…ふっ、愚問だったな…』

 

『そこまで言うのであれば…俺が行く必要はないか…』

 

『ええ、ウルさんの手を煩わせるわけにはいきません…』

 

『…とはいえ、この世界でのPVP…いやPVNになるのか?観戦してもいいですかね?』

 

『もちろんですよ、周囲の警戒に当たらせていないアルベド達にも、同じように見るように伝えてあります。アルベドには伝えておきますので、ナザリックまで来ていただけますか…』

 

『わかった…なあ、アイ…モモンガさん』

 

『…はい、ウルベノムさん…』

 

『…死ぬなよ』

 

『…はい』

 

伝言を切ると、ウルは上位転移を用いて、ナザリック地下大墳墓の地表部へと転移した。

 

ちなみに、この際カルカに一方的に短く『エ・ランテル付近に行きます。暫くは伝言できません』という伝言を飛ばし、即座に切ったため、余計な心配をかけることになる。

 

 

「その保証がどこにあるっ!!!!」

 

デミウルゴスが怒号を上げるのと同時に、ウルはナザリックの一室へと足を踏み入れる。

 

「珍しいな…お前が感情を怒りを露にするのは…。説明は不要だ、全て聞いてる」

 

「ウル様…お待ちしておりました」

 

ウルの姿を声を捉え、アルベドが立ち上がって敬意を表す。

 

少し遅れてデミウルゴスとコキュートスも同じように立ち上がる。

 

「…ウル様の前でとんだご無礼を…」

 

「気にするな…。お前の怒りは尤もだ…そこに間違いはない…」

 

デミウルゴスの謝罪を受け入れつつ、ウルは再度口を開く。

 

「そして、アインズさんの決断にも間違いはない…」

 

ウルは言葉を発しながら、コキュートスの隣へと移動する。

 

ウルはソファに座ると、3人にも座るように促す。

 

「…ウル様、一つお聞きしたいことがございます」

 

「…なぜアインズが単騎で向かったのか…か?」

 

デミウルゴスの質問に対しての回答に、アルベドとコキュートスも驚きの表情を浮かべる。

 

「…さすがはウル様…。その通りでございます。…なぜアインズ様はあえて単騎でシャルティアと戦うことを選んだのでしょうか?」

 

デミウルゴスの言葉に、すぐには答えずにアルベドを見つめる。

 

アルベドはその意図を汲み取り、首を横に振って見せた。

 

「そうか…。まあ、お前たちでは理解するのは難しいか…」

 

ウルは一呼吸おいて、再び口を開く。

 

「デミウルゴス…、アインズさんにとってお前たち守護者や僕はどのような存在だと思う?」

 

「はっ!アインズ様にとって、我々は忠実な僕であると認識しております」

 

「そうだな…。それは間違っていない…。だが本質ではない…」

 

「それは…どういう意味でございましょうか?」

 

ウルの言葉に、今度はアルベドが割って入ってくる。

 

「なぜアインズさんがこの判断をしたのか、それはお前たちを想ってのことなんだよ…」

 

「イッタイドウイウコトナノデショウカ?」

 

コキュートスは、アインズの行動の本質が自分たちにあることを聞き、酷く困惑して見せる。

 

「今回、アインズさんが単騎でシャルティアと戦うと決めた理由は2つだ…」

 

「2つ…でございますか?」

 

「ああ、その前に、理由を聞いて泣いたりするんじゃないぞ?」

 

「そ、それはどういう…」

 

アルベドも酷く驚いた様子で言葉を詰まらせる。

 

だが、ウルは特にその疑問には答えず、話しを進める。

 

「1つは、お前たち守護者が、僕が大事だからだ。アインズさんは、お前たちを比喩表現ではなく、本当の子どものように思っている。それは至高の41人、ギルドメンバーが残したNPCだからだ…。アインズさんはな、自身の子ども同士で殺し合わせたくなかったんだよ…。それが、お前たち守護者を討伐に向かわせなかった理由だ…」

 

アルベド、デミウルゴスそしてコキュートスは、開いた口が塞がらないといった様子で大きく目を見開いた。

 

「もう一つは、アインズさんは子の失態は親の責任だと考えているからだ。…とは言え、今回の一件、アインズさんは全ての責任がシャルティアにあると考えているわけではない。ワールドアイテムの存在を知っていながら、その対策が不十分だったこと。シャルティアの血の狂乱への対策不足…。自身の対策の不足によって、このシャルティアの失態を促してしまった。そう考えているから、アインズさんは責任を取る形で、単騎でシャルティアと戦う決断をした…ということだ」

 

アルベド達は、驚いた表情を浮かべたまま、固まってしまう。

 

本来であれば、守護者や僕は御方である至高の41人の役に立つべく生まれたものである。それ以上でもそれ以下でもない。

 

役に立つのは当たり前、役に立たなければ排除。故に、反旗を翻すなどもってのほかである。

 

だからこそ、ウルの言葉が、アインズの言葉が、いい意味で理解できないのである。

 

そんな風に固まっている3人に対し、ウルは最後の一手をお見舞いすることになる。

 

「わかるか?…アインズさんが抱く、お前たちへの愛は…それほどまでに重いということだ…!」

 

 

 

シャルティアの精神支配を発端として始まった、シャルティアvsアインズの一騎打ちの対決。

 

結果は、アインズの圧勝に終わる。

 

相性や勝率の話でいえば、3対7でアインズが不利であった。

 

しかし、課金アイテムやシャルティアの能力の完全把握など、情報戦におけるアインズの圧倒的優勢さに加え、シャルティアの実戦経験のなさが仇となった。

 

シャルティアは、アインズの手によってナザリックの玉座の間にて復活を果たし、とりあえずは一件落着となった。

 

そして、この事件によって発生した、冒険者モモンの新たな設定を盛り込む(マッチポンプ)必要が出てきた。

 

そのため、アインズとウルは再度スイートルームにて今後の…自分たちの方針について語っていた。

 

「ホニョペニョコか…なんでそこで災厄の大魔皇って言わなかったんですか…」

 

「…すみません、色々と気が動転してて、謎の名前を持つ吸血鬼を生んでしまいました…」

 

「しかも2体のうちの1体って…後1体どうするんだよ…シャルティアにするのか?…まあ、どっちもシャルティアなんだけどよ…」

 

「それもありかなー…とも思ってます…。なんかこう、色々あってナザリック入りした…みたいな…」

 

「だとしたら、だ…アインズ・ウール・ゴウンは結構有名にならないといけないぞ?…現状、ナザリックは誰も知らないんだからな…。まあ、平和的にことを進めたとしても無理ではないが…少なくとも小国でもいいから立ち上げないと…」

 

「そうですよねー…。まあ、先のことはとりあえず置いといて、今は冒険者ギルドに行って、今回の件の報告をしないとですかね…」

 

アインズの言葉に反応せずにウルは悩んで見せていたが、まるで天啓が降りてきたような顔つきを見せると、悪いことを考え付いた子どものような表情を見せる。

 

「へへ…いいこと思いついた…」

 

ウルの言葉に反応するようにして、アインズが尋ねる。

 

それを聞いたアインズは、『なんかさらに悪化してませんか?』と感じたのだという。

 

 

シャルティア事件があらかた落ち着きを見せた頃、モモンとナーベは、強大な吸血鬼、『ホニョペニョコ』の討伐を報告にエ・ランテルの冒険者ギルドを訪れていた。

 

ミスリル級となったモモンとナーベは、『漆黒』という二つ名で呼ばれるようになり、エ・ランテルの街で名声を獲得している。

 

そのため、モモンとナーベが街を歩けば、羨望の眼差しが向けられるのは当然のことである。

 

しかし、今回はそれ以上の眼差しに加え、一種の歓声のようなものまで聞こえている。

 

理由は2つ。

 

1つは、モモンの漆黒の全身鎧がボロボロになっていることである。

 

それだけで、ホニョペニョコが強大な力を持った吸血鬼であったかを窺い知れるからであった。

 

そしてもう1つが、モモンと同等かそれ以上の冒険者が一緒に歩みを進めていたからである。

 

『白銀』の名を冠する、聖王国のアダマンタイト級冒険者、ウルである。

 

白銀のウルと、漆黒のモモンが旧友の仲であることは、冒険者ギルド関係者と、ウルが冒険者ギルドを訪れた際にギルド内にいた冒険者くらいしか知りえない。

 

故に、なぜ白銀と漆黒が一緒にいるのかを知るものは、住民の中にはいなかった。…今はまだ、であるが。

 

さて、受付嬢を通じてアインザックの部屋に入ると、簡単な挨拶と再びモモンと会えたことを伝え、互いに席に着く。

 

まずは、モモンからホニョペニョコ討伐完了がアインザックに告げられる。

 

そしてその経緯と流れを伝えていく中で、ウルが登場する。

 

ウルとモモンの関係を確立するため、モモンがホニョペニョコを追い込んだが、死に際に放たれた強力な一撃を避けることができなかった。その一撃を、ウルが済んでのところで防いだ、というモノであった。

 

そしてホニョペニョコは死に絶え消滅し、モモンは何とか生還した…という設定であった。

 

アインザックは、モモンの全身鎧から見て、その話を疑うことはなかった。

 

しかし、一つだけアインザックには疑問があった。

 

それは、なぜホニョペニョコの出現に合わせ、ウルが近くにいたのかであった。

 

この質問を予見していたウルは、『自分のスキルによるものだ』というに留めた。

 

もちろん、大嘘ではあるが、『これについては詳しくは言えない』と伝えられ、アインザックは大人しく引き下がる。

 

アインザックは、ウルがどのような人物であるのかを、本当の意味では知りえていない。

 

しかし、聖王国での活躍や公式で発表されている功績から、人類に仇なすような存在でないことを理解していた。

 

故に、大した追及もせずに一幕を終える。

 

次にモモンから齎された情報は、無理やりついてきたミスリル級冒険者『クラルグラ』が巻き込まれて全滅したというモノであった。

 

この報告を受けたアインザックは、驚いたものの、自業自得であるといった様子で、モモンを宥めていた。

 

そして最後の報告、これが非常にアインザックを驚かせる。

 

それが、ホニョペニョコと同格の強さを持つ吸血鬼に加え、三魔皇という三体の凶悪な大悪魔…そして、それを束ねる災厄の大魔皇の話であった。

 

モモンは2体の吸血鬼を、ウルは3体の魔皇を追っており、最終的には災厄の大魔皇と戦うことになるだろうという話であった。

 

これだけでも驚きであるのに、2体の吸血鬼と3体の魔皇はモモンとウル、それぞれが一対一で戦えば何とか勝てる、というモノであった。

 

実際に、ホニョペニョコの戦闘で全身鎧をボロボロにしてまで、ギリギリで勝利を収めたモモンが言うのだから説得力は高い。

 

そして極めつけは、災厄の大魔皇は、ウルとモモンが2人で戦っても勝てるかわからないというモノであった。

 

アインザックからしてみれば、モモンはウルと同格の強さを有しているという話を聞き、信じているため、ランクの差は気にしてはいない。

 

それどころか、今回の調査が終わり、功績に疑いがなければ、アダマンタイトは確実であろう。

 

だからこそ、戦慄した。

 

人類の守り手であるアダマンタイト級冒険者。

 

しかも片方はチームを組まず、片方はチームと言っても2人組…。

 

はっきり言って、他のアダマンタイト級冒険者とは比較にならない強さを持つ二人であると考えている。

 

その2人が…いや、この場合はナーベを入れて3人であるが、それでも勝てるかわからないというのだ。

 

一体どれほどの悪魔なのか…そもそも悪魔なのかすら怪しいくらいであった。

 

…こうして話し合いが終わった後、アインザックは即座にこの話を、ホニョペニョコ討伐と共に、アインザック、白銀のウル、そして漆黒のモモン連名で、各国の冒険者ギルド、そして各国の中枢へと報告することになる。

 

後に報告を受けた冒険者ギルドや、各国の反応は警戒や頭の片隅に置く程度など様々であったが、近い将来発生する、リ・エスティーゼ王国での動乱にて、真剣にこの災厄に対応を始めることになる。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。