【完結】カルカとモモンガに救済を!   作:ペリカン96号

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拙い文章で読みずらい、理解しずらい点多々あると思いますが、お楽しみいただければと思います。
感想、評価、是非お待ちしております!


第24話 聖王女vs王女

王国と帝国の戦争。そして聖と死の戦いから1週間が経過した。

 

ウルはエ・ランテルでの治療を受けたことで、なんとか一命を取り止めた。

 

しかし、意識は戻らず、敗走した王国軍一行と共に首都へと向かった。

 

なぜエ・ランテルに留まらなかったのか。

 

それは、エ・ランテルをアインズ・ウール・ゴウンに割譲することを決めたからだ。

 

アインズもまた生きており、エ・ランテルを割譲しない場合は、再度攻め込むという声明を出されたからだ。

 

しかも、今度は首都攻略も辞さないというモノであった。

 

あれだけの力を見せられ、王国軍の士気はどん底にまで落ちていた。

 

故に貴族派閥も王侯派閥も、割譲に反対する者などおらず、速やかに決定された。

 

また、アインズがエ・ランテルの住民に対して何をしでかすかわからないという理由で、漆黒の2人はエ・ランテルに残ることとなった。

 

ウルが首都に到着し、王城にて静養し始めた頃。

 

カルカ一行が王国首都へと到着する。

 

早馬でカルカ一行が赴くことを知りえていた王国側は、簡単な国王への謁見の後、ウルのいる一室へと案内される。

 

そこはなんと、ラナー王女の一室であった。

 

ラナーは、時間のほぼ全てを、ベッドで横になっているウルの手を握りしめ、見守っていた。

 

それを傍らで見るクライムは、ラナーの心情を思い、心を抉られるような感覚を宿していた。

 

…もちろん、演技である。

 

しかしなれど、ラナーからすると演技は半分程度のものであった。

 

演技内容は、言わずもがな、ウルに命を救われたことをきっかけに、ウルと結婚をしたくて仕方のない、恋する乙女ラナーというものである。

 

しかし演技でない半分は、自身の夢を叶えるための、本当の想いであった。

 

…その思いの中は、クライムと結婚してペットのように飼い慣らす、というもの以外に衝撃的なものも含まれていた。

 

ラナーとクライムのいる一室が叩かれ、許可を出すのと同時に、案内役であろうガゼフと、カルカ、ケラルト、ルカ、そして数人の聖騎士と神官たちが入室してくる。

 

「失礼いたします、ラナー王女。聖王国聖王女殿下、カルカ・ベサーレス様でございます」

 

「お待ちしておりました、カルカ聖王女陛下…。お久しぶりでございますね…」

 

ガゼフの紹介に、ラナーは美しい表情で答えて見せるが、その表情はいつもの明るさを持ち合わせてはいなかった。

 

眼は真っ赤で、加えて隈まで見える。

 

カルカ達は、それでどれほどラナーがウルを思って傍にいたのかを察してしまう。

 

と同時に、カルカは心の中でどす黒い何かが生まれるのを感じる。

 

「お久しぶりですね。ラナー王女…。早速ですが、我々はウル様を引き取りに参りました」

 

「まあ、そうだったのですね!…しかし、ウル様は聖王国をお捨てになられたと聞いたのですが…」

 

ラナーは、どこか素っ頓狂な様子で答えて見せる。

 

ラナーが頭脳明晰で天才、精神異常者というのは、一部の人間と異形種しか知りえない。

 

殆どの人間は、籠の中の世間知らずなお姫様、という認識を持っている。

 

それは、カルカ達も例外ではない。

 

故に、先の発言に悪気があるとは思っていなかった。

 

しかし、それでも特にカルカやケラルトの心情は穏やかではない。

 

「…確かに、ウル様は全てを置いて先の戦争に向かいましたが、私が聖王国を離れることを許したわけではありません」

 

「んー、彼は冒険者なのですから、他の国へ行くのは当たり前なのではないですか?」

 

「ウ、ウル様には、先日、貴族位も与えています!聖王女である私の許可なしに、聖王国を離れることは許されません」

 

「まあ、そうだったのですか!?私、知らなかったですわ!!」

 

ラナーは酷く驚いた様子で口を開いた。

 

「お、お分かりになられましたら…。その、ウル様の御手をお離しいただいても?…これからウル様を聖王国にお連れ致しますので…」

 

「え、今すぐにですか?ウル様はまだ回復しきっていないのですよ?意識も戻られていませんし…それまでお待ちになってはいかがでしょう?」

 

ラナーの言葉は至極もっともである。

 

アインズとの戦いを間近で見て、且つ首都まで運んだガゼフの口から、戦いの苛烈さと、ウルの負傷具合を聞いていたのだ。

 

『死んでいてもおかしくなかった』

 

それを聞いた時のカルカ達の表情や心情など、語る必要はないであろう。

 

カルカが少し言葉を詰まらせたことで、ラナーは追撃とばかりに言葉を発する。

 

「それに、もしかしたら目を覚まされたら、私と一緒に居たいと仰っていただけるかもしれませんし…」

 

ラナーは唇に人差し指を当てながら可愛らしく口を開く。

 

カルカの表情が一気に崩れる。

 

「そ、そんなことは絶対にありません!!ウル様は私と…私と…」

 

「私と、何でしょうか?あ、そういえばお付き合いをされていたのでしたね!…でも、お振られになってしまわれたとか…」

 

「ふ、振られてなどいません!!あれは…そう、聖王国を巻き込まないための…う、嘘です!!!」

 

「そうなのですね!でも、振られたことに変わりはないのですよね?」

 

カルカとラナーの視線に火花が飛び交う。

 

カルカとラナー、互いに位の高いもの同士の苛烈な言い争いは、喧嘩に近いものに発展していく。

 

中々、間に割って入ることができなかった周りの者達であったが、クライムとケラルトが、ようやく動きを見せる。

 

「ラナー様…どうかその辺にしていただいて…カルカ様がお困りでございます」

 

「カルカ様も…どうか落ち着きになられてください…」

 

それぞれが矛先を2人に変更して向ける。

 

「むぅ…クライムはカルカ陛下の味方をするのですか?」

 

「いえ、そのようなことは…」

 

「ケラルト、ここは引き下がってはいけません!」

 

「それは、そうですけど…」

 

互いが互いの言葉を聞いてか、再度視線がバチバチに交差する。

 

この後も、暫く言い合いをして見せていたが、すでにウルを引き取って帰るというのは国王も承認していたこともあり、ウルが聖王国へ帰ることは覆らなかった。

 

しかし、ラナーの目的は王国にウルを留まらせることでも、ウルとの結婚をこぎつけることでもない。

 

その目的をカルカやその場にいるものに伝えた際…上記の内容の方がよっぽどましだったのでは?という程の喧騒と混乱を生むことになるが、それをウルが知る由はなかった…。

 

意識を失う振りをしているうちに、爆睡をこくという、本当に意識がない状態でいたからである。

 

…さらにもう一つ…。

 

カルカ達がウルを連れて行く去り際に、ルカがラナーの耳元で小さく呟いたのだ。

 

それはラナーにしか聞こえない声であったが、それを聞いたラナーは酷く驚き、取り繕っていた表情を崩しかけたのだが、その真相もまた、ルカとラナー以外が知るのは先の話となる。

 

 

「7万!!??」

 

官僚の報告を受けた帝国皇帝ジルクニフは、足の力が抜けるのを感じ、後ろにあったソファにドサッと身を預ける。

 

「…その後、魔法によって呼び出された醜悪な5体のモンスターが王国軍へ侵攻…それによって1万人の死者を生みだし、計8万もの王国軍兵士が戦士致しました…」

 

魔法一発で7万人の戦死者。

 

これはジルクニフの想定していた数を大幅に超えていた。

 

額に手を当てながら、ヒッヒと笑うような声を上げていたジルクニフであったが、続けてもたらされる情報に、先ほどとは違う驚きの感情を見出す。

 

「そして、聖王国のアダマンタイト級冒険者、白銀のウル殿が王国側へと参戦。先の5体のモンスターを討伐した後、ゴウン閣下自ら、ウル殿との一騎打ちを開始。例のダークエルフの側近と漆黒のモモン、ナーベの介入により、互いに痛み分けで撤退しております」

 

「い、痛み分け!?そ、それは互角であったということか!?」

 

「はい、四騎士ニンブル殿の報告によれば、両者の力はほぼ互角だったとのことです…また…」

 

官僚は一呼吸置き、信じられないと言った様子で言葉を続けた。

 

「ゴウン殿は自らを『死の神』と呼称し、ウル殿の力をみたダークエルフの側近が、ウル殿を『聖なる神』と呼称していたそうです…」

 

「死の神…ゴウン殿がそう言うのも、言われるのは理解できる…。だが、まさか…あのウル殿が…」

 

官僚の方向に、ジルクニフは酷く震えた声を発する。

 

「死の神であるゴウン殿と…互角の戦いをしたともなれば…ウル殿が聖なる神であるというのも…納得できるところではあるが…」

 

四騎士が一人、バジウッドが、小さく呟くようにして見せる。

 

「…爺の見立てでは、ウル殿は第9位階の魔法を行使できるとのことだった…。まさか…本当に…ッ!」

 

ジルクニフは小さく息を整えると、決意に満ちた目を官僚へと向ける。

 

「今すぐにでも、聖王国とパイプを作りたい…。ウル殿は聖王国に復帰するのだろう?」

 

「はい、聖王女カルカ・ベサーレス様が直接、王都で静養中のウル殿を引き取ったとの報告を受けております…。復帰は確実かと…」

 

官僚は、予見に過ぎない発言であることは重々承知していたが、齎された情報をもとに、憶測を伝える。

 

「…レイナースとフルト家には感謝だな…。ウル殿と私を結び合わせてくれたのは、きっとこの時のためだ…。ウル殿とつながりがあれば、聖王国とのパイプは容易に作れる…。何より、ゴウン殿への牽制にもなる…」

 

ジルクニフは、些少の希望に手を伸ばすかのようにして、官僚に今後の策を相談し、行動に移す算段を始めた。

 

 

今回の戦争から王国を救ってくたお礼の一部として、王国から馬車が数台譲渡された。

 

その馬車の一つには、ウルとカルカ、ケラルトにルカが同乗していた。

 

本来は対面式の長いソファが基本の内装であるが、傷つき未だ意識不明(寝てるだけ)のウルが移動しやすいよう、片側がフラットなベッドの形に改造されていた。

 

この改造を施したのは、ガゼフ率いる兵士団であったが、その熱意たるや狂気じみたところがあり、小一時間で作ったにしては素晴らしすぎる出来栄えであった。

 

それほどに、ウルから賜った恩義を感じていたのであろう。

 

さて、聖王国に戻る途中の、そんな馬車の中で、ウルはゆっくりと目を覚まし、身体を横に傾ける。

 

それに最初に気が付いたのはルカであった。

 

「目を覚ましたわ…」

 

「「ッ!ウル様!!」」

 

ルカの言葉に、カルカとケラルトは大声で叫ぶ。

 

「…カルカ様…ケラルトさん…ルカまで…どうして…」

 

「ッ!!バカッ!ウル様のバカッ!!」

 

ウルの言葉に、カルカは大粒の涙を零しながらウルに乗っかるようにして抱き着く。

 

「カルカ様…」

 

わんわんと大泣きしているカルカを見て、ウルは全てを察する。

 

「申し訳…ございませんでした…」

 

ウルの言葉を受け、カルカは顔を上げる。

 

泣きながらも、キッとした目線をウルに送る。

 

「許しません…許せるわけが…ありません…!でも…」

 

カルカは再度ウルの胸に顔を埋める。

 

「無事で…よかった…。本当に…うぅ…」

 

カルカのそんな姿に、ウルは心がずきりと痛む。

 

予想通りの、自分が予期した通りの反応であった。

 

その痛みは、自身を心配してくれるカルカに対しての嬉しさである。

 

だが、同時に悲しませるような行動をした、自身の愚かさでもあった。

 

ウルは、ゆっくりとカルカの頭へと手を添える。

 

カルカは一瞬ビクッと身体を震わせるが、すぐにそれを受け入れるようにしてウルを抱きしめる腕の力を強める。

 

「…ウル殿…」

 

ケラルトが短くウルの名を呼ぶ。

 

ウルは、その声に反応してケラルトへと目線を向ける。

 

目を見開く。

 

ケラルトも号泣していた。

 

しかし、カルカとは違い、冷静さを保っての号泣であった。

 

「…ッ!カルカ様を悲しませた責任は…取っていただきますよ…」

 

涙を流しながらも、そこには本物の怒りが込められていた。

 

ウルは何の言い訳もできず、寝そべったままゆっくりと頭を少し動かす。

 

「…承知、致しました」

 

「よろしい…。…ご無事で、何よりです…」

 

ケラルトの言葉から怒りが、消え、優しくも健気な声へと変貌を遂げる。

 

「ルカも…すまなかった…」

 

「…私は別にいいわ…あなたのことだから、何も考えずに行動するとは思っていないから…」

 

ルカの言葉は酷くウルに突き刺さる。

 

実際は、ウルが精査し、考えて行動したことなど、あまりない。

 

その場の思い付きと、些少の思考に留まる。

 

今回の件ですら、その多くはデミウルゴスの策である。

 

よく考えて行動しなかった結果が、デミウルゴスの策を覆しきれなかったことに繋がっているのだから。

 

「…でも、ツアレには、しっかり謝りなさい…。あの屋敷では、あなたを一番心配していたわ…。あなたがあの子を精神的に追い詰めて…どうするの…」

 

「…すまない。そうさせてもらうよ…」

 

その後も、3人の気持ちを汲み取りながら、ウルは聖王国へと帰還した。

 

…ちなみに、アダマンタイト級のプレートも、白銀の称号も、短剣も…その全てをお咎めなしで返還されることになる。

 

その際、もう一度受け取ることはできない…。などと発言するものだから、カルカ達にどやされ、半ば強制的に押し付けられる形となったのは言うまでもない。

 

 

聖王国に着いたウルは、カルカが中々離れないというアクシデントはあったものの、一度屋敷へと戻ることとなった。

 

ルカに支られえながら帰ってきたウルに、屋敷の者は皆涙混じりに喜びを露にしていた。

 

しかし、一人だけ反応の違う者がいた。

 

ツアレである。

 

ツアレはウルの姿を確認すると、ズカズカとウルの目の前に行き…。

 

強烈なビンタを浴びせた。

 

ウルが驚いたのはもちろん、屋敷の者も皆一様に、時が止まったように驚いていたが、一番目を大きく開いて驚いたのはルカであった。

 

ルカの頭脳を以てしても、この行動は予測できなかったのであろう。

 

ウルはヒリヒリと頬の痛みを感じながら、ゆっくりとツアレに向き直る。

 

「ツアレ…すまなかった…」

 

「ッ!!…ッ!!!」

 

ツアレは言葉にならない感情をウルへと向ける。

 

そして、ガバッと思いっきりウルに抱き着く。

 

ツアレが抱き着いたことで、ウルへの支えが必要なくなったとばかりに、ルカがゆっくりとウルから離れる。

 

ツアレの鳴き声が、しゃっくりが小さく聞こえる。

 

そして…、

 

「…ッ!おかえりなさい…ウル様…」

 

ウルは大きく目を見開いて驚く。そしてすぐに表情を戻し、微笑する。

 

「…ただいま、ツアレ…」

 

ツアレとウルの、様子を見ていた他の者達は、一様に顔を見合わせ、安心したように笑顔を見せた。

 

…ちなみに、一夜明けた明日、とあるバカから、カルカとケラルトが心配するくらいの正義の鉄拳を同じく頬に喰らう。

 

しかし、初めてそのバカ、レメディオスの泣き顔を見ることができたため、ウルが少し嬉しくなったという話であった。

 

 

 

スレイン法国、とある一室。

 

そこには、歓喜に満ちる女が一人、高らかに笑っている。

 

その傍には、長髪で顔の整った男が見て取れる。

 

「遂に…遂に私を超える男が、神様が現れた!!」

 

「ええ、ついに降臨為されましたね…」

 

女の狂気に満ちたような笑顔と発声に、男は冷静に、しかし嬉々が混じった声で返す。

 

「しかも、片方は人間!!加えて聖なる神!!!私とも子を()すことができるわ!!!」

 

「はい、その通りかと思います…」

 

「ああ、早く会いたいわ…。そしてボコボコにしてもらいたい…。敗北を味わって…全てを捧げたい…」

 

「…刃を交えるおつもりですか?」

 

男は些少の嫌悪感を滲ませる。

 

「…もちろん、無理にとは言わないわ…。でも、確認は必要でしょ?…あなたから見て、というより、予想はどうなの?」

 

「占星千里の報告が全て正しいのであれば、間違いなくアンティリーネ様を上回る力を有していると思いますよ」

 

アンティリーネと呼ばれた女の表情がグニャッと歪む…。

 

「あなたからもよく言っといて頂戴…そんなに長くは待てないって…」

 

「…承知いたしました」

 

再びアンティリーネの高笑いが一室に響き渡る。

 

その声を聴きながら、男はこのアンティリーネの行動を決めることのできる人物たちへと向かうため、その場を去った。

 

 

アーグランド評議国、とある一室。

 

一体の竜が、老婆と思しき人物と会話をしている。

 

「百年の揺り返し…不幸中の幸いなのは、その片方が世界に協力するものであったことじゃな…。彼に接触する必要があるのー。ツアーよ」

 

「そうだね、リグリット…。彼との接触は、早めに済ませたいと思っているよ…。ユグドラシルの情報も聞きたいしね…」

 

「それに、彼が追っているという災厄の大魔皇…あれは本当だと思うかね?」

 

「ユグドラシルのモンスター、ワールドエネミーの可能性もあるね…。彼と一緒にこの世界に来ている可能性は捨てきれない…。リグリット、一つ頼みがあるんだが…」

 

「…何じゃ?」

 

リグリットは、少し首を傾げてツアーに言葉を投げかける。

 

「まずは君が、彼に接触をしてみてくれないか?彼であれば、私の鎧の真実を見抜き、警戒される可能性がある…」

 

「なるほどのー、だが、少し時間がかかると思うぞ?」

 

「ゆっくりでいいよ…。君たち人間の時間の感覚など、私にとっては短いものだからね…」

 

リグリットは、「はっ」と嫌みのある返事をすると、ゆっくりと一室から姿を消した。

 

 

スレイン法国、とある会議室。

 

6人の神官長が、テーブルを囲んでいた。

 

「遂に降臨為されたか!!それも聖なる神が!!!」

 

「やはり神であった…。もっと早くに拝謁させていただくべきであったな…」

 

「早合点がすぎるぞ…。占星千里の報告に、偽りがないとも限らない…」

 

「偽りなどあるものか!!…調査隊の報告と合致しておる!!」

 

「しかし、なぜ聖王国なのだ…。我が国ではなく!!」

 

「そんなことよりも、死の神を謳うアインズ・ウール・ゴウンへの対処も考えなければ…こちらもプレイヤー、神であることは間違いないのだぞっ!」

 

議論は過熱に過熱を重ねていた。

 

ずっと待ち続けていた神の降臨である。

 

しかも、片方は人間で、聖なる神であるという。

 

これが歓喜しないわけはなかった。

 

しかし、懸念もある。

 

「死の神と聖なる神は、敵対しているのか…?」

 

「となると、どちらにつくかだが…」

 

「そんなもの!聖なる神に決まっておろう!今回の戦争への参加も、死の神は領土の主張、聖なる神は罪なき人間を守るためだったというではないか!!」

 

「確かに、どちらか一方というのであれば聖なる神に忠誠を誓うべきですが、どちらもという選択肢もすててはならぬと思いますよ」

 

「我らスレイン法国が両神に接触を図り、仲介をするというのはどうだ!?」

 

「そうだな…。だがどちらにせよ、先に接触すべきは聖なる神だ…。死の神との接触は危険が高すぎる!!」

 

神官長たちの議論は、長い時間の白熱を催したが、その議論の中で、聖なる神と死の神がズブズブなのでは!?という結論には…どころか議題にすら上がらなかったのは言うまでもない。

 

そして、両神ともに、スレイン法国は大きな地雷を…特に死の神側に有していることなど、想像もしていなかった。

 

故に、聖なる神の方に優先して接触を図るというのは、意図せずスレイン法国を救う、唯一の道である選択であったことも、今はまだ知りえなかった。

 

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