弐式炎雷と共に! ≪一時休載≫   作:ペリカン96号

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拙い文章で読みずらい、理解しずらい点多々あると思いますが、お楽しみいただければと思います。
感想、評価、是非お待ちしております!


第16話 モモン

ナザリック地下大墳墓。

 

弐式炎雷の壮絶な死に様を、モモンガの話と当時の映像をもってして知りえた守護者や僕たちは、まさに半狂乱と言った様相を見せていた。

 

咽び泣くもの、声を上げて泣くもの、悲痛に顔を歪めるもの…それぞれに状態は違うものの、普段の様相でないことだけは明らかであった。

 

至高の御方の一人であり、自らが忠義を尽くすべき相手である、神ともいえるお方の死…。

 

弐式炎雷様を蝕んだ『ガン』という病への憎悪。

 

弐式炎雷様の苦悩と苦痛。

 

そして何よりも彼らを苦しめたのは、そんな御方のお役に、何一つ立てなかったことであった。

 

しかし、いつまでも泣きわめいているわけにはいかない。

 

一番心を痛めているであろう、至高の御方々をまとめる存在であり、我らが絶対の主、モモンガ様が行動なされているのだ。

 

僕である我々が、悲しいと言ってお仕えしないなどということはあってはならない。

 

その思いは、どの僕も思っていることであり、実際にモモンガからの指示が為された今、それに従い行動を開始している。

 

第7階層守護者にして、ナザリック地下大墳墓の防衛責任者という役割についているデミウルゴスもその一人…。

 

彼は、今ある情報と状況について整理するようにして呟いていた。

 

「モモンガ様…いえ、アインズ様はこれほどまでのお考えをもっておられたとは…」

 

弐式炎雷様がお亡くなりになられ、焦燥しきっていたように見られたアインズ様であったが、そこからの行動は早かった。

 

御方とこのナザリック、そして我ら全ての僕に起こった異世界への転移という異変。

 

その異変に対しては、周囲の地形の確認、そしてナザリックの隠ぺい、周辺の生命体及び脅威となる敵の確認を主に指示された。

 

ナザリックが転移した場所から10㎞程のところにある人間の村。

 

アインズ様は、その村に直接出向かれ、村を襲っていた騎士を打ち倒し、村人を救った。

 

転移して早々に現地人とのパイプを作り上げたのだ。

 

「端倪すべからざるとはまさにこのこと…」

 

その後、アインズ様は『アインズ・ウール・ゴウン』に名を変えられ、お言葉から理解できる大きな目的は2つ。

 

1、世界にアインズ・ウール・ゴウンの名を知らしめる。

 

2、弐式炎雷様含め、この世界に来ているかもしれない至高の御方々の捜索。

 

この2つの目的と、デミウルゴスの類まれなる頭脳によって齎される結果は一つ。

 

『世界征服』

 

恐らくアインズ様は、いや確実にこの世界の全てを掌握しようとお考えである。という結論に至った。

 

我々僕に与えられた命令も、アインズ様が自ら行われている行動も、それらが全てかみ合うのだ。

 

世界を掌握すれば、アインズ・ウール・ゴウンの名を知らぬ愚か者は存在しなくなるだろう。

 

そして、世界を掌握していれば、御方々を探すのも容易になる。

 

「至高の御方々をおまとめになられていたアインズ様のお考えの全てを推察するのは不可能…しかし、必ずやお役に立って見せましょう…病に侵されてまで、このナザリックをお守りくださった弐式炎雷様のお慈悲に報いるためにも…ッ!」

 

デミウルゴスは、得も言われぬ感情を心に宿す。

 

それをすぐに落ち着かせ、命令を遂行するために動き出した。

 

 

さて、『弐式炎雷さんの生存、他の仲間もこの世界にいるかもしれない』という可能性を見出し、『ナザリックの存続』という目的と共に行動を開始していたモモンガ改めアインズ。

 

デミウルゴスや他の守護者や僕たちとの目的の齟齬が生まれていることなど知る由もなく、その身を地上に預けていた。

 

カルネという名の村を謎の騎士の軍団から救い、村を滅ぼそうとする謎の集団に立ち向かった王国戦士長のガゼフを救い、その謎の集団を滅ぼし、名をギルド名に変えて今に至る。

 

場所は、リ・エスティーゼ王国の東側に位置するエ・ランテル。

 

アインズはここで、冒険者として活動することに決めた。

 

冒険者としての地位を獲得するために、改名したからと言って支配者としての名を使うわけにもいかず、『モモン』という偽名を使うことに決める。

 

これが偽名になっているのかどうかは不明であるが、少なくともアインズはそう思っているらしい。

 

当初は1人でもいいか、と考えていたアインズであったが、守護者や僕たちがそれを許すはずもなく、一人の供をつけることで折合をつけた。

 

選ばれたのは、戦闘メイドプレアデスの一人であるルプスレギナ・ベータであった。

 

神官系の職業クラスを習得しているが、回復のみならず、ある程度の肉弾戦や攻撃魔法の行使もこなすことができる点から、選出された。

 

回復魔法については、アンデッドであるアインズにとってはただの攻撃と化すのだが、人間の冒険者モモンという立場をとる以上は最適解の一つであった。

 

ナーベラルと迷ったのだが、弐式炎雷の件があったため、選出を控えた。

 

冒険者モモンとルプスレギナ改め、ルプーの2人組の誕生である。

 

 

モモンとルプーがエ・ランテルで活動し始めた頃…。

 

ニシキはカリンシャの屋敷の一室で、ベッドに寝かせた、というか置いた黒い物体を見ながら、大きなため息をつく。

 

「まさか、ヘロヘロさんもこの世界に来ていたなんて…」

 

洞くつで発見した黒い物体は、まさかのゲーム仲間の一人だった。

 

ヘロヘロ…。

 

ニシキと同じ、アインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーの一人であり、『古き漆黒の粘体』と言われるスライムとしては最高峰の種族である彼。

 

スライムでありながら、モンク職という、一見すればよくわからない組み合わせであったが、彼が持ちうる圧倒的な酸は、対戦士に対し、PVPでは無類の強さを誇る。

 

理由は、耐性を無視して、武器や防具を溶かし破壊することができるからだ。

 

そんなヘロヘロの特性を思い出しながら、ニシキは近くの椅子を引っ張り出して座り込む。

 

「一体、何があったんですか…ヘロヘロさん」

 

彼に意識はなかった。

 

最初は眠っているだけかと思ったが、何をしても目を覚ますことはなかった。

 

それは昏睡といえる程で、もっと言えば植物人間、いや植物粘体と化していた。

 

あらゆる回復魔法も、アイテムも、何一つ効果はなかった。

 

ただ、生きていることは確実だった。

 

「どうすればいい…何が最善だ…」

 

ニシキがヘロヘロと遭遇した時に感じたものは驚愕であった。

 

この世界に来て、間違いなく一番の驚き。

 

しかし、その驚きはすぐに歓喜に変わった。

 

本当に自分以外にも仲間が来ていたのだ。

 

自分のことを、本当の自分を誰一人として知らない世界…。

 

色々なことがありすぎて考えもしなかったが、それは非常に悲しいことであった。

 

しかし、彼と出会ってその感情が強く芽生えてしまった。

 

漸く会えた、自分を知る存在。

 

嬉しくないわけがない。

 

またあの日のような、楽しかったあの時を過ごすことができる。

 

だが、その歓喜は絶望に似たものへと変化する。

 

「…なんで起きてくれないんだ…」

 

もう、ヘロヘロをこの屋敷に連れ込んで、1週間が経つ。

 

絶望が身体を支配し、項垂れていると、ツアレが部屋に入ってくる。

 

へロへロを屋敷に連れ込んだ際のツアレの反応はというと、これ以上にない悲鳴であった。

 

敬愛する主人であり殿方でもある彼が、大きくて真っ黒などろどろとしたスライムを両手に抱えて現れたとなれば、その反応も当然と言えよう。

 

しかし、そんなツアレの悲鳴に見向きもせず、ニシキは使われていない屋敷の一室に入った。

 

全く相手にされないツアレは、非常に大きな不安を抱いたが、3日たった辺りからニシキがゆっくりと話してくれた。

 

あの黒いのが、仲間であること。

 

ヘロヘロという名前であること。

 

元は人間であること…。

 

別に嘘は言っていない。そう、これっぽっちもだ。

 

だが、普通の人間がこれを聞いたらどう思うだろうか?

 

ニシキの仲間であるヘロヘロ、ずっと会えなかった仲間が、人間とは思えない醜悪なスライムと化し、しかも目を覚まさない。

 

ツアレはきゅっと心がこれ以上にないほど締め付けられてしまった。

 

本当の意味で本当のことを話していないニシキが悪いのであるが、ユグドラシルとかゲームとかプレイヤーなどという言葉をツアレに伝えたところで、今は理解されてはいなかっただろう。

 

その判断は正しい。

 

しかし、それがツアレを勘違いさせてしまう。

 

ツアレからすれば、見るも無残な姿になった仲間を想い、絶望に打ちひしがれている敬愛する主人、それが今のニシキなのだ。

 

ニシキからしても、やっと会えた仲間が原因不明で昏睡状態にあるという状況下なので、絶望していることに変わりはない。

 

両者には大きな齟齬があったが、要所要所でそれが合致していた。

 

ツアレは、ギュッと汗がにじむ手を握りしめる。

 

どう声を掛けていいかわからなかったからだ。

 

結局かける言葉が見つからず、ニシキの傍に行き、その手を添える。

 

「ツアレ…」

 

ニシキはそこでようやくツアレに意識を向ける。

 

「悪いな…気をつかわせて…」

 

「ッ!いえ…そんなことないです」

 

ツアレは弱弱しいニシキの言葉を聞き、うっとこらえていた涙が溢れる。

 

「…どうして泣いてるんだ?」

 

「だって、ニシキ様が悲しんでいるから…」

 

ニシキは大きく目を見開いた。

 

ツアレはニシキを見ることができず、表面がウネウネと動いている黒い粘体に目を向ける。

 

最初こそ驚いたものだが、実害がなく、且つニシキの仲間だと知って、怪訝な感情は今は一切なかった。

 

まあ、彼は種族という意味では、人間からしたら害しかない存在なのだが…。

 

「ありがとう…ツアレ」

 

ニシキは、そんなツアレの頭にポンッと手をのせると、優しく撫でた。

 

 

 

エ・ランテルで冒険者となったモモンとルプー。

 

宿屋で他の冒険者に絡まれた際には、ルプーの類まれなる美貌に劣情を抱いた冒険者に対して、ルプーは『穢れを知らない弱弱しい神官』を演じて見せた。

 

最高峰ともいえる美貌に、弱弱しくオドオドとした様相は、男達に劣情を抱かせるには十分であった。

 

そんなキャラを浸透させることに成功したルプーは、演技力で言えばプレアデスの中でも1,2位を争うだろう。

 

それ以降は絡んできた冒険者をモモンが投げ飛ばしたり、その投げ飛ばした先にいた女冒険者のポーションを破壊してしまい、代わりのユグドラシルポーションを渡したりするなどして、騒々しく過ぎていく。

 

その後、『漆黒の剣』という銀級冒険者チームと、とある薬師の護衛任務を行ったり、その際に出会ったでっかいジャンガリアンハムスターを従えたりといろいろあった。

 

さて、そんな風にして冒険者として着実に少しずつ活動していたモモンとルプーであったが、とある事件を解決したことで、加速度的な状況変化が起こる。

 

始まりは、ズーラーノーンという謎の集団が起こした、アンデッド騒動であった。

 

事の発端は、強力なアンデッドを含む、大量のアンデッドと、それを生みだしたカジットというズーラーノーンの高弟の一人を打ち倒したことで、ミスリル級冒険者に昇格したことから始まった。

 

 

 

エ・ランテルの冒険者ギルド長であるアインザックは、現在とある冒険者チームを呼び出している。

 

そのチームは、登録からわずか1週間足らずでミスリル級に昇格した2人組であった。

 

その2人を呼び出したのは、ミスリル級への昇格に賛美を送るためではない。

 

それよりも重要なことであった。

 

もしかしたら間違いかもしれない。

 

しかし、可能性はある。

 

聖王国の大英雄とまで言われるようになったあの人物が求めているかもしれないそれを、確かめないわけにはいかなかった。

 

暫くして、ギルド長室のドアを叩く音が聞こえる。

 

使者がモモンを連れてきたことを告げると、アインザックは椅子に座りなおしながら口を開く。

 

「入りたまえ」

 

「失礼します」

 

扉が開かれると、そこには漆黒のフルプレートを纏った戦士と、純白を基調に、金の装飾が施された神官であるルプーが入ってきた。

 

「すまないね、急に。さ、こっちに座ってくれたまえ」

 

アインザックは、彼を来客用のソファーに誘導する。

 

「いえいえ、大事なお話があると聞いて」

 

モモンはアインザックと対面する形で、ルプーとソファーに腰かける。

 

「ああ、とても大事な話だ…。まず、君は聖王国という国を知っているかね?」

 

「…名前を聞いたことがある程度ですね。確か、王国の南西にある国だとか…」

 

「そうか…。では、その国にいるアダマンタイト級冒険者のことは知っているかね?」

 

「…申し訳ない、存じておりません。ミスリルのプレートを頂いた時にも申し上げたのですが、南方の遠いところから来たもので、まだその辺りの情報には疎いのです」

 

モモンの反応に、アインザックは確信にも似た感覚を覚える。

 

「ふむ…。実はその聖王国のアダマンタイト級冒険者も、南方から来たという御仁なのだ…。しかもその御仁は、チームを組まず、たった一人でアダマンタイト級にまで上り詰めた…」

 

「一人で…ですか?」

 

モモンは驚きはするが、胸の内に秘めた警戒心を面に出すことはしなかった。

 

もしかしたら、自分と同じユグドラシルのプレイヤーかもしれないという警戒心をだ。

 

「その御仁は、仲間を探していてね…。半年くらい前になるが、ここに訪ねてきた」

 

「仲間…ですか…。失礼ですが、その方のお名前は?」

 

モモンは、落ち着いた様子で、それでいて些少の怪訝をもって呟いた。

 

「名は、ニシキ。ニシキ・エンライ殿だ。聖王国では、黒金の英雄と言われている」

 

…アインザックの言葉、その後半部分はモモンの耳には入っていなかった。

 

隣に座るルプーは、大きく目を見開いて固まっている。

 

「彼は、モモンガとナーベラルという仲間を探しているらしい。他にも、アインズ・ウール・ゴウンやナザリックという国か都市の名前も聞いているが…。何か心当たりはないかね?」

 

「ニシキさんだ…!弐式炎雷さんだ!!」

 

モモンガは、ガバッと立ち上がって大声を張り上げる。

 

ルプーに至っては、目に大きな涙を浮かべながら歯をガタガタと鳴らしている。

 

「ッ!や、やはり、モモンくんがニシキ殿のお仲間だったのか…となると、君はまさか…」

 

「そうです!私がモモンガです!!ナーベラルは彼の…む、娘のようなものでッ!!」

 

モモンは、作り上げた名が偽名であることを即座にばらし、酷く狼狽して見せた。

 

「なるほど…酷く名前が似ているからそうなのではないかとも思たんだが…やはりそうであったか…。ならば話は早い。モモンくん…いや、モモンガくん。君はすぐに聖王国のカリンシャに行んだ…。ニシキ殿は、君を、君たちを血眼になって探していたんだ…ッ!」

 

「…ッ!!」

 

モモンは、その言葉を聞き、流れるはずのない涙が溢れるのを感じた。

 

それは弐式炎雷が生きていることに加え、自分を、自分たちを探してくれていたことに対する感動でもあった。

 

「もちろんです、アインザックさん!そ、それで…彼は、ニシキさんは、聖王国のどこにいるのですか!?」

 

「聖王国のカリンシャという街だ。彼はそこのギルドを本拠地にしている」

 

アインザックの回答を聞き、モモンは光の如く立ち上がり、一室を後にする。

 

ルプーは流れる涙を拭いながらモモンの後を追いかける。

 

モモンはルプーがついてきているのかの確認もせず、こめかみに手を当てて、『伝言』を発動する。

 

相手は弐式炎雷…。

 

しかし繋がらない。

 

なぜだ…という感情が湧くが、アインズ・ウール・ゴウンにナザリック、モモンガにナーベラルの名を知りえていて、それらを探していたニシキという名前の冒険者が、即座に自分の探している弐式炎雷さんでないはずがないという結論に至り、そのまま別の人物に『伝言』を飛ばす。

 

『アインズ様、アルベドでございます。いかがされましたでしょうか?』

 

モモンはアルベドの声に些少被せる形で、興奮した様子で言葉を発する。

 

『弐式炎雷さんと思われる人物の情報を得た!信ぴょう性は非常に高い』

 

『そ、そんな!本当でございますか!アインズ様!!』

 

アルベドも酷く狼狽している様子で、言葉だけでそれが読み取れる。

 

『ああ。私は今すぐに弐式炎雷さんを迎えに行く。あと、外に出ている僕を全て戻せ!…そして、ナーベラルだ。ナーベラルを連れていく。すぐに準備させるんだ!』

 

『しょ、承知いたしました!アインズ様!』

 

 

 

聖王国、城塞都市カリンシャ。

 

そこには、黒金の英雄や聖王国の英雄と称される男がいて、その男が住む、家というには大きく、屋敷というには小さい場所があった。

 

その屋敷には、今大きな緊張が走っている。

 

その緊張をもってしているのは、その屋敷でメイドとして働いているツアレという少女であり、その緊張を齎しているのは全身を真っ黒なフルプレートで身を包んだモモンと、純白に金色の装飾が施されている神官のルプー、そしてまるで卵のようなメイド服に似た防具を纏っているナーベラルであった。

 

「では、今は君がニシキさんの身の回りの世話をしているということかな?」

 

「は…はい…。ニシキ様のメイドとして、働かせていただいています」

 

ツアレの回答に、モモンは特に思うところがなかったが、ナーベラルは嫉妬とも憎悪とも言えるオーラを放っていた。

 

「下等生物が…弐式炎雷様のメイドなどと…なんとおこがましい…」

 

「ナーベラル!そういう態度はよせ!!」

 

「も、申し訳ありません…。モモンさーーん」

 

どこか間延びしたような、それでいて酷く落ち込んだ様子で、ナーベラルは頭を垂れる。

 

「あ、あの…あなたがナーベラルさん…ですか?」

 

「そうだけど…何?」

 

ナーベラルは心底嫌なのか、じろっと睨むようにしてツアレを見つめる。

 

「ッ!え、えっと…お話は聞いています…。ニ、ニシキ様があ、愛してやまない、最高の女性…だとか…」

 

ツアレはどこか悔しく、そして苦しい様子で口を開く。

 

しかしそれを聞いたナーベラルは、対照的に大きく目を見開き、顔を赤らめて狼狽する。

 

「あ、愛してやまない…ッ!に、弐式炎雷様がそのように…ッ!」

 

「むはーッ!最高の誉め言葉っすねー、ナーちゃん!!」

 

ルプーは、いいもの見たさと言った様子で興奮している。

 

ナーベラルの態度が一変したのを見て、ツアレも驚いたが、やはり何か思うところがあるのだろう、ちょっと、いや大分落ち込んだような表情を見せる。

 

そんな空気を、モモンは崩すようにして口を開いた。

 

「それで、ニシキさんはいつお戻りに?」

 

「え、えっと…詳しくはわからないのですが、もう戻ってくるかと…」

 

「曲がりなりにも弐式炎雷様のメイドを名乗っておきながら、弐式炎雷様の行動を把握されていないと?」

 

ナーベラルは先ほどまでの狼狽はどこへやら…と言った様子で、再びツアレを睨む。

 

「も、申し訳ありません…」

 

ツアレはその瞳と眼光が酷く恐ろしく、またも縮こまってしまう。

 

「おい、ナーベラル。さっきも言ったが、そのような態度は…ッ!」「今戻ったぞ、ツアレ」

 

ナーベラルへの叱責は、聞きなれた声によって遮られる。

 

ばっとモモンはその声がした方向へと顔を向ける。

 

しかし、そこに写ったのは彼が思っていた姿の人物ではなく、身軽な服装を纏った人間であった。

 

一体どういうことなのか…。そんな風にして考え始めたモモンをよそに…。

 

「ニシキ様…!お、お帰りなさいませ」

 

ツアレは、ニシキの姿が見えたことで緊張がほぐれたのか、ホッとした様子で笑顔を見せる。

 

「ん?お客さんかな?…すみません、急に現れてしまい…あ、私は…ッ!」

 

一瞬であった。

 

黒い髪を有し、メイド鎧を着た女性が、ニシキの胸に飛び込んできた。

 

突然とはいえ、ニシキの強さと力をもってしても、何とかその場で踏ん張ることのできた衝撃。

 

その衝撃の元を探ろうとニシキが視線を下におろす。

 

「に、弐式炎雷様!!!よがった…よがったああああ!!!!」

 

「な、なんだ…って、ナ、ナーベラル⁉ナーベラルなのか!!」

 

ニシキは自身に抱き着き、泣きじゃくり、声が裏返っている女性に驚いていたが、その風貌に、一瞬でそれが誰であるのかを認識する。

 

「はい!ナーベラル・ガンマです!…もう、もう会えないのかと…!!」

 

「ま、まさか本当に!え、なんで動いて…いやそもそも喋って…ッ!」

 

そこで、ようやくモモンも目の前の人物が、自分の知る弐式炎雷であると悟る。

 

そして、ゆっくりと身体を向ける。

 

「弐式炎雷さん…!」

 

「え?」

 

泣きじゃくり抱き着いてくるナーベラルに戸惑っているニシキは、その存在に気付くのが遅れる。

 

しかし、その声が耳を通り、脳に伝達され、処理する。

 

知っている声であった。

 

探していた仲間の声であった。

 

「…ま、まさか…。モモンガさん…なのか…?」

 

「本当に、弐式炎雷さんなんですね…!」

 

2人は、互いに思っていた風貌とは違う格好と種族であったため、それを理解するのに些少の時間を有した。

 

 

 

 

 

 

 

 




※現在の弐式炎雷のレベル

・Lv96

※新しく得た忍術 (Mは上限の意味)

・写輪眼Lv3M ・万華鏡写輪眼Lv1 ・体術Lv1 ・形態忍術Lv2M ・時空間忍術Lv3M ・火遁忍術Lv3M ・雷遁忍術Lv3M ・風遁忍術Lv3M ・水遁忍術Lv2
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