弐式炎雷と共に! ≪一時休載≫   作:ペリカン96号

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拙い文章で読みずらい、理解しずらい点多々あると思いますが、お楽しみいただければと思います。
感想、評価、是非お待ちしております!


第28話 重爆

立ち寄る予定の村の騒がしさの原因が、まさかのデスナイトの殺戮祭りだと認識したヘロヘロは、モンクとしてのスピードを活かし、一気に地面を蹴る。

 

忍者であるニシキには及ばないが、それでもこの世界においては、まさに目にも留まらぬ速さであることに違いはない。

 

村の入り口に身を乗り出し、状況を確認しようと視線を動かしていたその時、一人の少女が今まさにデスナイトに殺されかけているのを発見する。

 

その少女の前に躍り出るようにして、ヘロヘロは左腕でデスナイトのサーベルを受け止める。

 

鋼の硬さなど遥かに超える強靭な肉体は、デスナイトのサーベルと衝突すると、ガギンッという音を立てる。

 

「ギリギリ間に合ったな…」

 

さらに力を籠めるデスナイトのサーベルは、ヘロヘロの腕と擦れるように、ぎぎぎっと音を立てる。

 

それを維持しつつ、ヘロヘロは右手に力を込め、拳を放つ。

 

「『正拳』!」

 

ゴガンッという音と共に、デスナイトの身体が遥か後方に吹き飛ぶ。

 

地面と激しく衝突しながら、デスナイトは吹き飛ばされ、その途中で塵となって消える。

 

デスナイトは、どんな攻撃でもHP1を残して耐えるという特性を持つ。

 

故に、本来であれば、今の一撃ではデスナイトを屠ることは、できない。

 

それを可能としたのは…。

 

「幾億の刃…やっぱりチートだなー…」

 

『あらゆる物理攻撃を三重にして放つ』という世界級アイテムの効果であった。

 

下半身が死体の下敷きになった金髪ショートカットの少女が、目を見開いてこっちを見つめている。

 

その少女にふっと笑いかけ、へロへロは視線を外してもう一体のデスナイトを見据える。

 

仲間が殺されたことを察したのか、目の前にいる少女の仲間らしき人を無視し、雄たけびを上げながらこちらに突進してくる。

 

ヘロヘロは再び右手を構え、振りぬく。

 

「『飛翔正拳』!」

 

ヘロヘロの拳から、空気の塊が吐き出される。

 

それは拳の様相を呈し、凄まじいスピードでデスナイトに迫り、衝撃する。

 

またも同じようにデスナイトは吹き飛び、そして消滅する。

 

それを見て、真下にいる少女だけでなく、先ほどデスナイトに無視された3人の男女も大きく目を見開いていた。

 

ヘロヘロは、バッと羽織っている特攻服をたなびかせ、口を開いた。

 

「もう大丈夫ですよ」

 

そうして、ニッと笑いかけた。

 

 

 

「(なに…何が起こったの…)」

 

アルシェが最初に抱いた感情は、困惑であった。

 

自身の命を刈り取る一撃を防いだと思われる、全身を見たこともない黒い服を纏った男が目の前にいた。

 

「(防いだの…素手で…⁉)」

 

しかもその男は、アルシェを襲う凶刃を片手で、それも素手で防いでいたのだ。

 

その時点で困惑は驚きに変わるが、その男が右手を突き出しデスナイトを吹き飛ばしたことで、更なる驚きを生む。

 

加えて、吹き飛ばしたデスナイトが消滅したことで、更に驚愕する。

 

男が振り向いたことで、アルシェと視線が合う。

 

アルシェは、視線が合った瞬間、今まで感じたことのない感情が胸に湧き上がる。

 

ドクンッと高鳴る鼓動は、決して嫌悪感を抱くものではなかった。

 

「(か、かっこいい…)」

 

そして思考と感情がマッチし、目の前の男に称賛の言葉が湧き上がる。

 

服の上からでもわかる、強靭な肉体。

 

まるで御伽噺に出てくるような整った容姿…。

 

それがアルシェの心に特別な感情を抱かせる。

 

しかし、その感情を味わうことを許さないと言った様子で、彼との視線が外れる。

 

その後すぐに、魔法に似た空気砲のような技で、もう一体のデスナイトも屠って見せた。

 

「もう大丈夫ですよ…」

 

彼が笑顔で笑って見せた途端、アルシェは自分の胸がギュッと掴まれるような感覚を覚えた。

 

 

「た、助かりました…ありがとう…」

 

「お気に為されずに…無事で何よりです」

 

アルシェは非常に困惑し、緊張した面持ちで些少の震えを見せながら声を発した。

 

そんなアルシェの様子を、お構いなしと言った様子で、ヘロヘロは優しく、それでいて威厳のある声で答える。

 

思わず見惚れていたアルシェであったが、仲間が駆け寄ってきたことで、それは終わりを迎える。

 

「大丈夫か!アルシェ!」

 

ヘッケランが、アルシェの上に乗っている死体をどけながら、声を上げる。

 

「う、うん…大丈夫…。この人が助けてくれたから…」

 

ヘッケランは死体をどけた後、すぐさま立ち上がってヘロヘロを見据える。

 

「私達を救っていただき、ありがとうございます」

 

「いえ、ただの通りすがりですから」

 

ヘロヘロがそう答えると、長い金髪を大きなお団子にしてまとめている、絶世の美女が現れた。

 

それを見たヘッケランは、目を大きく見開いて見惚れる。

 

女神がそのまま体現したような美しさであった。

 

「お兄様…あっちにいたゾンビは全て片付けましたわ」

 

「そうか…なら行こう」

 

ヘロヘロをソーイを一瞥し、すぐに歩を進める。

 

それを見たアルシェが、思わず呼び止める。

 

「ま、まって…お、お名前だけでも…」

 

その声でヘロヘロは一瞬足を止めて振り返る。

 

ヘロヘロの容姿を再び見たアルシェは、小さく顔を赤らめる。

 

「名乗るほどのものじゃないですよ、それじゃあ…」

 

ヘロヘロは、アルシェの質問に答えることなく、そのまま去っていった。

 

 

 

デスナイトの脅威から救われたテルユ村では、村人たちが潰れた家や荒れた村の復興作業を開始していた。

 

村に些少の落ち着きが戻り、デスナイト襲撃とその撃退の報告を、生き残った兵士隊の隊長が帝都に馬で駆けて行ったのは、つい先ほどのこと。

 

「それにしても、何者なのよ、あの2人」

 

「ただものでないのは、確かですね」

 

イミーナとロバーデイクが呟くと、ヘッケランが神妙な面持ちで答える。

 

「カッパーの冒険者プレートを付けていた」

 

「はぁ?カッパー?あんな強い奴が?」

 

「…登録したばかり、なのかもしれません」

 

イミーナがそんな馬鹿な…、と言った表情を浮かべ、ロバーデイクが実力とのチグハグさの推論を立てる。

 

「なるほどな…それなら確かに、カッパーってのも納得できる」

 

「そうねー…あれだけ強ければ、すぐにでもアダマンタイト級になるんじゃない?」

 

「それは、間違いないですね。あのデスナイトをたった一撃で屠れるものなど、他には双黒の大英雄と言われている黒金のニシキと漆黒のモモンくらいなものでしょう」

 

ロバーデイクの新たな仮説に、ヘッケランが何かに気付いたような素振りを見せる。

 

「…なあ、黒金のニシキも、漆黒のモモンも、確か2人組だったよな?」

 

「ええ、確か黒金の方がナーベラルで、漆黒の方がルプーという女性でしたね…。どちらもかなりの美人だとか…」

 

「……ちょっと似すぎね。男女の組み合わせってだけなら、模倣してるってことも考えらるけど、あの強さと美しさは、そうとは思えないわね…」

 

ロバーテイクとイミーナが、悩むよう顎に手をあてて唸る。

 

「黒金のニシキは…仲間を探してるって噂を耳にしたことがある。漆黒も昔からの仲間だとも聞いたな…。もしかすると…」

 

「あの2人が、黒金の探している仲間である可能性は高いわね…」

 

ヘッケランとイミーナが一つの結論を出したところで、ロバーデイクがふと横に目をやる。

 

一緒にいるのに全く会話に入ってこない仲間がいたからだ。

 

普段からそんなに喋る方ではない彼女であったが、会話に入らない程ではない。

 

故に、心配になり声を掛ける。

 

「アルシェ、まだ痛みますか?」

 

「ッ…。いや、問題ない…ちょっとボーっとしてた」

 

「それならばよいのですが…」

 

アルシェの言葉を聞き、ロバーデイクは些少の安心を得るが、何やらイミーナが不敵な笑みを浮かべる。

 

「ねえ、アルシェ。…もしかして惚れたの?」

 

「…ッ!な、なにを…私は…別に…」

 

アルシェは真っ赤に頬を染め、杖をギュッと握りしめる。

 

「わっかりやすいわねー、アルシェは!」

 

「イ、イミーナッ!…もう…」

 

「否定は、しないのですね」

 

「ま、あれだけのイケメンでハンサムで、それでいて強いとなれば、そりゃそうだわな…命も救ってもらったわけだし?」

 

イミーナの意地悪な言葉に狼狽して見せるアルシェであったが、ロバーデイクとヘッケランもそれに些少の乗っかりを見せる。

 

「……名前、聞きそびれた…」

 

「あー、そういえばそうだったなー。『名乗るほどのものじゃない』って、名乗るほどのものだっつーの…」

 

アルシェのションボリとした表情に、ヘッケランも少し残念そうにしている。

 

「…なら、聞きに行きますか?」

 

「え…?」

 

ロバーデイクの言葉に、アルシェはバッと顔を上げる。

 

「そうねえ…あの方角だと、帝都方面だし…いくら強くても受けれる依頼はカッパーでしょ?となると、帝都で活動している冒険者以外はこの辺にはいないわ」

 

「帝都がホームってのは確実だなー」

 

イミーナとヘッケランは、2人組が去っていった方向を思い出しながら呟く。

 

「……もし、迷惑じゃなければ、会いにいきたい…ちゃんとお礼も出来てない」

 

「お、積極的じゃないの!お姉さんが応援するわッ!」

 

なぜかイミーナが乗り気になって身を乗り出す。

 

「まあ、お礼ができてないってのはその通りだしな…。帝都ならすぐそこ…。息抜きがてら、探してみるか!」

 

「たまにはそういうのもいいかもしれませんね…」

 

フォーサイトの4人組は、帝都に戻ってからの当面の活動を決め、未だデスナイト襲撃の爪痕が残る村で夜を明かしたのであった。

 

 

デスナイトを討伐したヘロヘロ一行は、大量の薬草をギルドに納品した後、安めの宿屋(個室)で一泊した。

 

ちなみに、100を超える薬草を納品し、受付嬢を驚かせたのは、言うまでもない。

 

帝都と言っても、未だその殆どを見て回っていなかったヘロヘロは、情報収集も兼ねて、ソーイと一緒に散歩していた。

 

黒金や漆黒のように、有名な冒険者ではないヘロヘロ達であったが、その美貌は街ゆく人の視線を奪っている。

 

しかし、特にそんなことを気にする様子のないへロへロは、隣を歩くソーイをじっと眺めていた。

 

「…?お兄様…どうかしました?」

 

「ん?…これって、実質デートなんじゃないかなと思って…いや、何でも…」

 

ヘロヘロは言いかけた言葉を止めたが、すでに遅かった。

 

「まあ、ヘロヘロさm…お兄様、今、デートと…///」

 

ルプスレギナに次ぐ、ノーベル演技力賞受賞候補であるソリュシャンが、思わず演技を忘れるくらいに喜びを表現する。

 

ソリュシャンがキラッキラした目で見てくるため、ヘロヘロは思わずたじろいでしまう。

 

「あー、うん…」

 

「うふふ…お兄様とのデート、このソーイ、とても楽しいですわ」

 

「そ、そうか、ならよかった」

 

忠誠心が天元突破している僕に、今のような発言がNGであるということは、アインズから散々聞かされていただけに、失敗したと思うヘロヘロであった。

 

しかも、ソリュシャンはただの僕ではなく、ヘロヘロが創造したNPCなのだ。

 

創造主に対する忠誠心は、さらにそれを超える。

 

気を付けなければ…大変なことに…、と思っていると、とある建物から不穏な空気を感じ取る。

 

足を止め、それを注意深く感じ取る。

 

呪い…か?と、その感じ取った不穏に仮説を立てる。

 

「お兄様、こちらは、魔導品店ですわ」

 

「魔導品店…。スクロールとか、魔法のアイテムを売っている御店か…」

 

なるほど、魔法の品を扱うお店であれば、この呪いのような不穏も納得がいく。

 

魔法のアイテムの中には、邪悪な品も数多くある。

 

そう納得したヘロヘロであったが、やはり気になったのか、ソーイに提案をしてみる。

 

「少し入るか…ソーイ」

 

「はい」

 

 

ヘロヘロが店に入ると、中に女性の客が一人だけいた。

 

「いらっしゃいませ」

 

「…少し見てもよろしいですか?」

 

「もちろんです」

 

優しそうな店主のおじさんの許可を得て、店内にある品々を見て回る。

 

以外にもヘロヘロが知らないアイテムや魔法があり、且つて王国の王都で情報収集をしていたソーイが、横で色々と教えてくれた。

 

なんでも、生活魔法というユグドラシルにはない、第0位階なる魔法やスクロールがあるのだという。

 

一緒に情報収集に当たっていたセバスが、すでにその多くを買い、ナザリックに持ち帰っているという話であったが、ヘロヘロは個人的に気になったこともあり、アインズやニシキから分けてもらったこの世界の通貨を使って、それらを買い漁る。

 

あらかた物色し終えた後、ふと1人だけいた女性に目がうつる。

 

何やら店主に話しかけているが、慣れた手つきで色々と見せているところを見ると、その客はこの店に来るのが初めてではないのだろう。

 

女性は茶色の全身鎧に身を包み、長い金髪を有していた。

 

顔立ちは非常に美しいものであったが、異様に伸びた前髪が、顔の右半分を覆いつくしている。

 

ソリュシャンに似て、綺麗な女性だな…と思っていたが、へロへロは一瞬で顔をこわばらせ、何かに気付く。

 

「(外で感じた呪い…この人だったのか…)」

 

ヘロヘロは、彼女の顔の右半分に呪いの力を感じることに、興味を抱き、店主とのやり取りを邪魔立てしないよう、タイミングを見計らって、声を掛けた。

 

 

女性は、休日の日課としてマジックアイテムが売られている店舗へと足を運ぶ。

 

理由は、自身の顔にかけられた呪いであった。

 

魔導品店には、基本的には生活魔法のスクロールや低位魔法のスクロールしか売っていない。

 

しかし、ごく稀に希少なスクロールが置かれていることもある。

 

一抹の希望を持ち、女性は足繁く通っているのだ。

 

店に入ると、店内に客はいなかった。

 

少し店の中を物色してから、店主に声を掛けようとしたが、タイミング悪く、店の扉が開かれる。

 

入ってきたのは、この世のものとは思えない、絶世の美男美女であった。

 

身なりも非常に珍しい格好をしており、且つ美しかった。

 

自分とその2人を対比して、女性は小さく舌打ちをする。

 

だが、その感情もすぐに収まりを見せた。

 

美男美女に対する嫉妬や劣等感はあるが、そんなものはこれまでも同じであった。

 

そう、この呪いを受けた、あの時から。

 

呪いを解くためだけに、何年も生きてきたのだ。

 

再び自身の顔を取り戻し、人生を取り戻すために。

 

店主に話を聞くが、めぼしいスクロールは見当たらない。

 

分かっていたことであるが、あからさまにため息をつく。

 

店主が申し訳なさそうにしているが、女性は特に責めることはしなかった。

 

そのまま店を後にしようと思った時、先ほどの客に声を掛けられた。

 

「すみません…。もしかして、呪いを解くアイテムを探していたりしますか?」

 

「は…?」

 

女性は見ず知らずの男に、美形の男に話しかけられた嫌悪感と、なぜ呪いのことを知っているのかという不信感で男を睨む。

 

胸元に光る冒険者のプレート。

 

しかし、色はカッパー。

 

容姿と装備品が立派なだけに、非常に不釣り合いに思える。

 

貴族の道楽か?とも思ったが、帝国の貴族がそんなバカげた真似をする暇はないはずだ。

 

「…なぜ私の呪いのことを?」

 

怪訝さを隠すこともなく、その男にキッと睨みを聞かせる。

 

瞬間、凄まじい殺気を感じ、思わず背中に冷や汗を流す。

 

男の後ろにいる、これまた美女の中の美女である女性が、ジトっとした目でこちらを睨んでいた。

 

この殺気は、間違いなくこの女から出ている。

 

「(あの女は…強い…ッ!)」

 

女性がその美女を警戒していると、男が慌てたように口を開く。

 

「ソーイ、やめろ!」

 

「…はいお兄様」

 

「申し訳ありません、うちの連れが…」

 

放たれている殺気が一気に収まりを見せる。

 

女の一言で、この2人が兄妹であることを知った女性であったが、またも新たな疑問が浮かぶ。

 

「(いくら兄妹とはいえ、これだけの殺気を放つ妹を一瞬で…もしかして、この男の方が強い?)」

 

得体のしれない2人組に、少なくともただものではないカッパーの冒険者に、女性は警戒心を強めつつも、興味を抱く。

 

「いや、こちらこそ申し訳ありません。どうか、気にしないでください。…私はバハルス帝国、帝国四騎士が一人、レイナースといいます」

 

「レイナースさん…ですね…。私はヘロヘロと申します。こっちが妹のソーイです。最近この帝都に流れ着き、冒険者をしています。よろしくお願い致します」

 

なるほど、最近帝都に来たというのであれば、私のことを知らないことも、気安く声を掛けてきたというのも納得がいく。

 

加えて、随分と物腰の柔らかい、それでいて所作も美しい男性である、というのがレイナースの最初の印象であった。

 

と同時に、レイナースの中で再び蠢くようにして闇が生じる。

 

その美しい顔立ちに、嫉妬に似た感情を覚えたのだ。

 

その感情を抱きながら、レイナースは先のヘロヘロの質問に質問で返す。

 

「…それで、なぜ私が呪いを解除するアイテムを探していると思ったのですか?」

 

「それなんですが…どうでしょう?いったん場所を移しませんか?」

 

レイナースはヘロヘロの言葉に些少の不信感を抱いたが、傍に妹もいるし、何より帝都のど真ん中で変なことはしないだろうと考え、その提案に乗ることにした。

 

ヘロヘロは店を出て、大通りの端にレイナースを誘導する。

 

警戒されているのを悟ったヘロヘロは、笑顔を絶やすことなく話しかける。

 

「それで…さっきの話ですが…」

 

「はい。私は少々感知スキルには自信がありまして…。それで、大変失礼なのですが、レイナースさんのお顔から呪いを感じ取ったので、もしかしたらと思った次第です」

 

なるほど、筋は通っている。

 

盗賊スキルや感知スキルには、罠や隠し扉、毒物や呪いを看破する力がある。

 

それに、最近帝都に来たばかりの彼が、先の話以外で自身の呪いの情報を得ることは難しいということもあり、それを信じることにした。

 

「なるほど。その話、信じましょう。この通り、この呪いを解くため、解呪するアイテムを探しています」

 

レイナースは、長い前髪で隠れた顔をヘロヘロに晒す。

 

拭った白いハンカチが、真っ黄色に変色する程の濃い悪臭の膿を、常に分泌し続ける醜いモノが、レイナースの顔にはあった。

 

しかし、ヘロヘロはそれを見ても、何の驚きも嫌悪感も見せなかった。

 

こういったものを見慣れているのであろうか?

 

そう思った矢先、ヘロヘロが後ろ越しに手を回しながら口を開いた。

 

「もしよかったら、これを使ってみてください」

 

「これは…?」

 

渡されたものは、ポーションに似た、しかし真っ白な液体であった。

 

「これは、上級解呪薬です。それならば、その呪いを解呪することができるでしょう」

 

「…え?」

 

レイナースは、ヘロヘロの言葉の意味を理解できずに聞き返す。

 

そして徐々にその表情は驚きに満ちたものとなる。

 

ニシキは聞こえなかったのかと思い、もう一度説明する。

 

「えっと、それは上級解呪……」

 

「ほ、本当に⁉」

 

「は、はい…。『その程度』の呪いであれば、すぐに治るかと…」

 

レイナースはようやく意味を理解し、ヘロヘロの言葉を遮って大声を出す。

 

レイナースは興奮したように息を荒くしていたが、少し落ち着きを見せる。

 

「失礼…。お見苦しいところを…。しかし、これを飲めば治るというのは本当ですか…?」

 

「あー、まあ、見ず知らずの男に白い液体を渡されれば、そう思いますよね…」

 

ヘロヘロは、且つての仲間のぺロロンチーノから聞いた、一生理解できないであろう癖の一つを思い出しながら、苦笑いをする。

 

「そちらの解呪薬、もしよかったらお知合いの錬金術師や魔法詠唱者に確認してもらってください…。それからでも遅くはないと思いますから」

 

レイナースは、その言葉を聞きながら、手元にある白い解呪薬を見つめる。

 

「わかりました。ではそのようにさせて頂きます」

 

へロへロの言葉に嘘は感じられなかったが、ことこの呪いについては、レイナースは慎重を期していた。

 

「…それでは、私はこれで…。何かあれば、冒険者ギルドの方に訪ねていただければ、連絡はつくと思うので…」

 

「そうですか…。ひとまず、お礼を申し上げますわ」

 

「いえいえ…では…」

 

そのまま立ち去るヘロヘロとソーイの背中を見送った後、レイナースは足早にとある場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 




※現在の弐式炎雷のレベル
・Lv97

※新しく得た忍術 (Mは上限の意味)
・写輪眼Lv3M ・万華鏡写輪眼Lv1 ・体術Lv1 ・形態忍術Lv2M ・時空間忍術Lv3M ・火遁忍術Lv3M ・雷遁忍術Lv3M ・風遁忍術Lv3M ・水遁忍術Lv2 ・土遁忍術Lv1
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