弐式炎雷と共に! ≪一時休載≫   作:ペリカン96号

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拙い文章で読みずらい、理解しずらい点多々あると思いますが、お楽しみいただければと思います。
感想、評価、是非お待ちしております!


第33話 厨二病

リ・エスティーゼ王国、王都。王城の訓練場。

 

ラナー王女専属の護衛騎士であるクライムは、ニシキとの修行を行う時以外は、ここで剣の素振りをして鍛えている。

 

しかし、今は違う。

 

同じくラナー王女専属の護衛騎士であるブレイン・アングラウスと、王国戦士長であるガゼフ・ストロノーフの姿があった。

 

しかも、ガゼフに関しては、今まさにクライムと剣を交えているのだ。

 

ブレインはというと、訓練場の壁にもたれ掛かり、その様子を見守っている。

 

が、その表情は驚愕に満ちている。

 

ほんの半年前まで、ガゼフはおろか、自分の足元にも及ばないような力しかなかった少年であったクライムが、何とガゼフと互角に近い戦いをしているのだ。

 

驚くなという方が無理がある。

 

というよりも、剣術以外で攻め立てているクライムが優勢に見える。

 

そしてその驚愕は、実際に剣を交えているガゼフも思うところであり、しかしその表情は思わぬ好敵手を見つけた嬉しさが滲んでいた。

 

両者が剣での押し合いを止め、一定の距離を取って身構えている。

 

ふっと息を漏らすようにガゼフが笑う。

 

「驚いたぞ…クライム…。まさかこれほど力をつけているとは…」

 

「全ては、ニシキ様のおかげです」

 

ガゼフは思わず思慮に耽る。

 

…クライムに才能はなかった。

 

それは、戦士として長年研鑽を積み、何度も死地を乗り越えた自分自身の目で見て、そう判断したのだから間違いはない。

 

そう、思っていた。

 

しかし、彼の御仁は見抜いた。

 

クライムに眠る、この上ない才能を。

 

クライムには、極度のストレスを経験することで、上限なく成長できるというタレントがあるらしい。

 

最初は眉唾物だと思っていたが、聖王国で英雄と呼ばれ、ヤルダバオトの一件で王国でもその名を知らぬものはいないほどの御仁が言ったとなれば、話は変わってくる。

 

現に、今目の前にいるクライムが、既に自身を追い越しかねない力を身に着けているとなれば、なおさらだろう。

 

しかも、クライムは剣術だけではない。

 

聖王国の英雄、ニシキ殿と同じ『忍術』を扱ってくる。

 

「(瞬身の術だったか…あの転移にもにた高速移動を連発されれば、攻撃を避けるのは容易ではないな…)」

 

正直に言って、一対一の、それこそ本当の殺し合いであれば、負けるのではないかという気さえしてくる。

 

そう考えていた矢先、クライムの切先が僅かに動いたことを察して、目の前の一騎打ちに似た試合にもう一度意識を戻す。

 

来る…。そう思った矢先であった。

 

1人の兵士が、訓練場に現れた。

 

「クライム殿。ニシキ様がお見えです。至急ラナー王女の私室にお戻りを…」

 

「承知いたしました。ガゼフ様、この続きは後ほど…」

 

クライムは握っていた剣をスッと降ろし、鞘へと納める。

 

ここぞというタイミングでのお預けに、ガゼフは思わず伝令役の兵士に不満を抱いたが、即座にその感情を捨て去る。

 

「…了解だクライム。ニシキ殿に、よろしく伝えておいてくれ」

 

「はい!お伝えさせて頂きます」

 

クライムはガゼフとブレインに一礼すると、兵士と共に足早に訓練場から去っていく。

 

クライムの姿が見えなくなったとたん、ガゼフは大きく息を吐き、肩の力を抜く。

 

「ガゼフよ…どうだった?」

 

「…聞かずとも分かっているだろう…」

 

ブレインの含んだ言い方に、ガゼフは思わず落ち込んだように言葉を放つ。

 

「…実戦であったなら、お前の負けか…」

 

「…剣のみならいざ知らず、忍術を使われてはな…。あのニシキ殿が教えたのが瞬身の術だけとは思えん。必ず攻撃用の忍術も叩き込んでいるはずだ…」

 

「それを使わなかったのは、被害がでかくなるから、か…」

 

訓練場に静寂が流れる。

 

両者とも、考えていることは同じであった。

 

故にその静けさは、そう長くは続かなかった。

 

「なあ、ガゼフ…。俺たちもニシキ殿に教えを請えば、強くなれると思うか?」

 

「ニシキ殿に稽古を付けていただければ、間違いなく強くはなれるだろう。だが、クライムのように急激に力をつけることは叶うまい…」

 

「タレントか…俺にもクライム君のようなタレントがあればと、酷く嫉妬したよ…」

 

「俺もさ…。クライムが俺たちを超えて更に強くなるのは、そう遠くない未来かもしれんな」

 

ガゼフとブレインは、大きくため息をつき、だがどこか嬉しそうな表情で笑っていた。

 

 

 

 

 

王都にある最高級宿屋の酒場にて、蒼の薔薇のリーダーであるラキュースとガガーランは、ある人物と待ち合わせをしていた。

 

以前より、ラナーにその人物が次に王都に来た際には、会いたいという要望を出しており、今日はそれが叶った形になる。

 

まだ予定の時間には大分余裕があるが、ラキュースはどこかソワソワとした様相を見せている。

 

そんな様子を、ガガーランが見逃すわけもなく、ニヤッと男のような下品な笑みを浮かべる。

 

「そんなにニシキが待ち遠しいのか?」

 

「え、べ、別にそういうわけじゃないわよ…」

 

唐突に、しかし的を得た仲間の発言に、ラキュースは思わず羞恥を露にする。

 

「『早く来て!』って顔に書いてあるぜー」

 

「なっ!そ、そんなこと…ないわよ…」

 

ラキュースは思わず両頬を包むようにして触るが、すぐにバッと手をテーブルの下にしまう。

 

ガガーランは、恋の一つも知らないラキュースのそんな様子を見て、大きくため息をつく。

 

「おいおい、そんなんで告白できるのか?」

 

「こ、告白⁉な、何言ってんのよ!そんなことできないわよ!」

 

ラキュースは、友人がとんでもない勘違い?をしていることに気付き、思わず声を張り上げる。

 

「…しない、とは言わないんだな…。しかし、告白するつもりじゃないなら、一体何のために待ち合わせてるんだ?」

 

「そ、それは…しゅ、修行をつけてもらおうかなって…」

 

「…女としての?」

 

「違うわよ!戦いよ!た・た・か・い!!」

 

ガガーランのいやらしいニヤニヤ顔に、ラキュースは目を鋭く尖らせる。

 

しかし、即座に冷静さを取り戻し、打って変わって目を大きく見開く。

 

「そういえば、ガガーランはなんでニシキさんに会いたがっているの?…私みたいに修行を付けてほしいってわけではないのでしょう?」

 

ラキュースの言葉に、ガガーランは思わずうーん、と唸る。

 

もちろん、修行をつけてもらおうという気はない。

 

彼との修行に興味がないかと言えば、それは嘘になるが、彼の戦闘スタイルは自分とは根本的に違う。

 

自分はどちらかと言えば、モモン寄りだ。

 

故に、修行をつけてもらうのであれば、モモンにお願いをするだろう。

 

つまり、目的はそれではないのだ。

 

それを今ここでラキュースに伝えるべきか悩み、しかしどうせニシキが来たら聞くことになるのだからいいか、と思い口を開く。

 

「俺の目的はな…」

 

「お待たせして申し訳ありません、ラキュースさん、ガガーランさん」

 

しかし、良くか悪くかそこでニシキが姿を現したことで、それは杞憂に終わった。

 

「いえ、全然待っていませんので、お気になさらず!」

 

ラキュースは、先ほどよりも明らかに声が高くなっている。

 

自分で気づいているのだろうか?

 

ガガーランはふとそんな風に考えながらも、ニシキを視界に捉える。

 

「悪いな…忙しいのに…。クライムに修行をつけてたんだろ?」

 

「今しがた終えましたので、お気にされずに…」

 

ニシキは、強大な力を有する英雄とは思えない謙虚な姿勢でカラッと笑っている。

 

ガガーランはちらっとラキュースをみる。

 

遠目でもわかるくらいには、頬が赤く染まっている。

 

「(あれで周りに好きとかじゃない、とか言ってんだから、冗談きついぜ…)」

 

ガガーランは、心の中でやれやれと思っていると、空いている席にニシキが座ったのを確認する。

 

ニシキは椅子に座り、店員に水を注文すると、さて…と言った様子でラキュース達を見つめた。

 

「私にお聞きしたいことがあるとお伺いしたのですが…何でしょうか?」

 

ニシキの言葉に、ラキュースとガガーランが一度目を合わせる。

 

ガガーランは視線だけでラキュースに先を譲ると、それを察してラキュースがニシキを見つめ、口を開く。

 

「もしよろしければ、クライムと同じように、私にも修行を付けていただけないかと…」

 

「修行…ですか?私がラキュースさんに?」

 

ニシキにとっては思わぬ願いであったのか、大きく目を見開いている。

 

「はい…。王都襲撃の一件で、私は自分の無力さを痛感したんです…。もっと力がほしいのです。どうか、お願いできませんでしょうか?」

 

ラキュースは非常に真剣な視線をニシキに向ける。

 

その点においては、ガガーランも納得するところである。

 

王都襲撃…、魔皇ヤルダバオトが現れたあの日、蒼の薔薇は思い知らされたのだ。

 

『本物の強者』というものを。

 

ヤルダバオトの圧倒的な強さはさることながら、それを撃退せしめた目の前のニシキとモモンも、もちろんその本物の強者に入る。

 

自分たちでは、逆立ちをしても、奇襲をしても、寝込みを襲っても勝てないだろうと思わせるほどの力と戦いを、まざまざと見せつけられたのだ。

 

ニシキは、少し考え込むような様子を見せる。

 

「ラキュースさん。私があなたに修行を付けるということ自体は、喜んでお引き受けしたいと思っております」

 

「ほ、本当ですか!ありがとうございます!!」

 

ラキュースはぱっと顔に花を咲かせて頭を下げるが、それをニシキは手を前にかざして制止する。

 

「ですが、もしクライムと同じような成長をお望みであるのなら、それは諦めて頂きたい」

 

「…承知しております…。クライムのあの急激な成長はタレントによるもの…。私ではあれほどの成長は見込めない、そう仰りたいのですよね?」

 

ラキュースは、いや蒼の薔薇は知っているのである。

 

クライムがなぜあれほどの、それこそアダマンタイト級である自分たちと同じレベルにまで成長したのかという、その理由を。

 

ラナーの私室で、一から十まで説明を受けたラキュースであれば当然と言えば当然である。

 

「はい。彼以外で、あれほどの成長をするのは無理です。もちろん、私の知りうる戦闘技術などを教えることはできますし、成長のための的確な相手を用意することも可能でしょう。しかし、やはりクライムのように大幅に力をつけることは、ラキュースさんには難しいと思います」

 

「それでも、それでも構いません。私は、少しでも強くなりたいのです」

 

ラキュースは、それを承知の上で頭を下げる。

 

その必死さに、ガガーランは思わず胸が締め付けられるような思いであったが、ピキンッと閃いたような感覚を覚える。

 

ラキュースは、真剣さの中に、些少の緊張と惚気の様相を見せている。

 

修行を付けてほしい、強くなりたい、というのは本音であろう。

 

そこに嘘はない。

 

だが、ガガーランはそれ以外の目的があることに気付いたのだ。

 

「(なるほどな…修行をつけてもらえれば、その間は一緒に居られるって寸法か…)」

 

恋愛のレの字、いやrすら知らない、清純な貴族の令嬢であるラキュースではあるが、彼女もバカではない。

 

というよりも、大分頭は回る。

 

邪な…というと語弊があるが、その意味もあってのお願いであることに、ガガーランは今になって気づく。

 

「(はっ、リーダーも意外に積極的だったってことか…)」

 

ガガーランはそう思うのと同時に、自身の目的の達成にもなるな…と別の閃きを感じ、思わず口を挟む。

 

「なあ、ニシキよ。どうかうちのリーダーの願いを聞いてやってはくれねえか?あんたがそれを受けてくれりゃあ、今日俺があんたに伝えたい話の目的ってのも果たせるんだわ」

 

「お受けするつもりではありますから、ご安心ください。…それで、ラキュースさんの望みを受け入れることで、ガガーランさんのお話ししようとしていることも果たせる…とはいったいどういうことでしょうか?」

 

ニシキが修行をつけてくれるという言質を取れたことで、ラキュースは再度パアッと嬉しそうな表情を浮かべるが、ニシキと同じ疑問を持っているのか、その視線をガガーランへと移して見せる。

 

「ああ、俺があんたに話したいってのは、リーダーの持つ魔剣キリネイラムについてなんだ。実はあの剣は、暴走すると都市一つを包み滅ぼすほどの力を持ってるって話なんだわ…。しかも、リーダーの精神まで蝕んで、身体を乗っ取ろうともしてる…。それをリーダーが苦しそうに抑え込んでいるのを見てたもんだから、心配でな…。ニシキの力でそれを何とかできないものかっていう相談なんだが…」

 

ニシキとラキュースは、それを聞いて大きく目を見開いて驚く。

 

「魔剣…ですか…。なるほど…。確かにそれは心配ですね…」

 

ニシキは考え込むような表情を見せ、ラキュースを見つめた。

 

しかし当のラキュースは、目と口を大きく見開き、なぜか顔を真っ赤にして震えている。

 

「そ、それはッ!し、心配ないわ!も、もう抑え込めてきているのッ!だ、だからニシキさんにお力添えを頂くほどのことじゃないのよ!」

 

息を荒げ、肩を上下に揺らしている。

 

両の手をわなわなと自身の身体の前で左右に振りながら、必死に言葉を放つそれは、ニシキからしてもとても心配になるものであった。

 

「ラキュースさん、一度その剣を見せて頂いてもよろしいですか?」

 

「え⁉えーっと…その、い、今は手元にはなくてですね…」

 

ラキュースは何とか感情を押し殺すようにして言い訳を口にする。

 

「そうですか…。でも、大分抑え込めているというのであれば、安心はできますが…。一応、写輪眼でラキュースさんの身体や能力を確かめさせていただいてもよろしいですか?」

 

「ふぇ⁉い、いえ、そんな…そこまで深刻な状況ではないので…⁉」

 

ラキュースは、今までにない窮地に立たされていた。

 

ガガーランが心配するような症状?が出始めたのは、魔剣キリネイラムを手にして、少し経った頃であった。

 

内なる素質が芽生え、かっこいいと思う技名を必死で、いくつも考えて叫んでみたり、意味のないアーマーリングを装着したり、仲間に内緒で日記に何かをつづったりなどし始めた。

 

加えて、英雄譚や姫騎士なんかの執筆活動も盛んに行い始めた。

 

…いわゆる、厨二病というやつである。

 

しかし、今のところはそれが周りにバレてはいない。

 

必至に考えた技名などは、『そういう技』と捉えられているし、意味のないアーマーリングも『魔剣の邪念を封じ込めるため』という理由で信じられている。

 

日記に関してはバレていないし、執筆活動に関しては、自身が英雄の領域とも言われているため、特に変な感情は抱かれてはいない。

 

だが、今はどうだろうか。

 

自身を遥かに超える力を有し、あまつさえ些少の恋心を抱いている相手に、それを看破されかけている。

 

彼の持つ写輪眼は、自身が妄想する力や魔剣の邪念などとは違い、本物なのである。

 

写輪眼の能力が、相手のタレントや能力などを見透かすことのできる力をもつと聞いている以上、『そんなことはないですね』などと言われてしまえば、『じゃあ今までのそれは何だったの?』ということになりかねない。

 

嘘でした…などと死んでも言えない。

 

恥ずかしくて死んでしまう。いや、何なら殺してほしい。

 

そんな風に、やばいやばいと悶々としていると、ガガーランが止めの一撃を放ってくる。

 

「写輪眼で思いだしたんだけどよ、ラキュースの奴が『邪気眼』がどうのとかって言ってたのを思い出したわ。ニシキは邪気眼って聞いたことあるか?」

 

「邪気…眼…ですか?…聞いたことのない力ですが…。写輪眼とは違った瞳を用いた魔法のようなものなのでしょうか?…ラキュースさんよろしければお聞かせいただけませんか?」

 

「(いやあああああああああぁぁぁぁ!!!!)」

 

ラキュースは、心の中で強大な悲鳴をあげた。

 

そうだ…。

 

いつぞやかの宿屋で、ガガーランにそれを聞かれていたことを思い出す。

 

「(やめてえええ!!ニシキさんの写輪眼とは違って、私のはただの妄想なのッ!!!)」

 

ラキュースは思わず両手で頭を抱えて悶える。

 

「お、おい!ラキュース!大丈夫か⁉」

 

「ラキュースさん!!」

 

ガガーランとニシキは、頭を抱えて身を捩らせているラキュースを見て、大きく目を見開いて心配する。

 

「だ、大丈夫!大丈夫だから!!ニ、ニシキさんッ!ガガーラン!この話はいったんやめて頂けますかっ!」

 

ラキュースは2人の心配を振り切るように、そして話がこれ以上前に進まないように必死の形相で訴える。

 

「いや、でもよう…」

 

「本当に大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫です!私自身の問題なので!本当に心配しないでください!!」

 

ラキュースが声を張り上げて主張するため、酒場にいる者達が何事かとざわざわし始める。

 

王都で有名な蒼の薔薇と、聖王国の英雄であるニシキが同じテーブルを囲んでいるだけでも注目の的であるにもかかわらず、それが只ならぬ様相を呈しているとなれば、当たり前であろう。

 

「と、とにかく…!ニシキさんが修行をつけてくれるということで、大変うれしく思います!!ありがとうございます!!では、私今日はこれから大事な用があるので、失礼させて頂きます!!」

 

ラキュースは、ガタッと椅子から立ち上がり、スタスタと酒場を後にする。

 

「お、おい!ラキュース!今日はそんな予定は…。すまねえ、ニシキ。今日はありがとうな…。俺はラキュースの様子を見てくる!」

 

「え、ええ…。こちらこそ…」

 

ニシキは、テーブルに数枚の金貨を乱雑におき、足早に去っていくガガーランの背中を眺めながら、ポカーンとした表情を浮かべる。

 

「なんだったんだ…一体…?」

 

ニシキは、突然一人ぼっちになった席で、呆然とするのであった。

 

 

 

 

 

聖王国南部のとある街の郊外。

 

人が寄り付かない謎の洞窟の中で、数人の人間と、人間のような見た目をした悪魔が、密談のような雰囲気を醸し出していた。

 

良くないことを話しているのは間違いないだろう。

 

そもそも、悪魔と会話をするということ自体が、普通ではない。

 

数人の人間の中には、一人だけ、妙に高貴な男がいた。

 

身なりも言動も、そして所作も、相当な位に立つものであることを物語っている。

 

他の人間が片膝を突いている中、その高貴な人間だけは、悪魔と対等に近い形で話し合っているのを見ても、それは間違いない。

 

「なるほど…。では、あなたであれば、南部のほぼ全てをまとめ上げられると?」

 

「はい。私の力を使わずとも、賛同してくれるものが半分。私の力を使って無理やり従わせられるものが2割…。些少の裏工作が必要なものが1割…。残り2割の保守穏健派や聖王女派については、非常に難しいと思われます。」

 

「そうですか…。つまり、あなたが本気になれば、少なくとも7,8割の南部保守派を従わせられるということですね?」

 

「はい。ですが、賛同者以外の3割は、なんの脅しもないとなると、難しいと思われます」

 

「その点に関してはご心配なく。私の配下である悪魔達に、あなたに協力するように命令しましょう」

 

「ありがたきことにございます」

 

「お礼はいりませんよ。私は私の目的があって、あなたに協力をするのですから。所謂、利害関係の一致、ということです」

 

「はっ!それでは、行動に移ってもよろしいですかな?」

 

「ええ。時間を無駄にすることを、私は望みません。すぐに行動を開始してください」

 

悪魔の言葉に、高貴な男は深く頭を下げたのち、数名の人間を引き連れて、暗くじめじめした洞窟を抜ける。

 

洞窟を出ると、太陽が一番高い位置に昇っているのが確認できる。

 

雲一つない晴天…。それが今日の天候であった。

 

酷く明るい空の下に身を乗り出したことで、その高貴な人間の顔がはっきりと見える。

 

その顔は、何かに執着した、それでいて強大なことを成し遂げようとする邪念に満ちた表情を有していた。

 

「あのお方の協力を仰げれば…黒金も怖くはない…」」

 

男はくくっと短く不穏な笑い声を漏らす。

 

「あの三姉妹の台頭も、もうすぐ終わることになる…。私が全てを奪ったら、あの三姉妹はどんな歪んだ顔を見せてくれるのか…。その後は、民の面前で壊れるまで犯しまくってやろう…。ああ、王の座を奪い、あの艶めかしくも生意気な身体と心を、すぐにでも汚したいものだな…」

 

 

 

 

 

 




※現在の弐式炎雷のレベル
・Lv97

※新しく得た忍術 (Mは上限の意味)
・写輪眼Lv3M ・万華鏡写輪眼Lv1
・体術Lv1 ・形態忍術Lv2M 
・時空間忍術Lv3M ・火遁忍術Lv3M 
・雷遁忍術Lv3M ・風遁忍術Lv3M 
・水遁忍術Lv2 ・土遁忍術Lv1
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