sudoの先に在るもの   作:わるいおとな

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僕は幼少期から変わっていた。孤独ではなかったが、ずっと一人だった。だから「〇〇」と言う二文字とは程遠い学生生活を送った。だけど、心の何処かでは「〇〇」という物を求めていたのかもしれない。そんな僕の...."私たち"の「〇〇」を取り戻すお話。


終わりと始まり
プロローグ


僕は人と関わるのが苦手だった。決して話せないわけではない。ただ、僕の好きな事と他の人の好きな事が嚙み合わず、話題を合わせるのが嫌だった。

そんな僕にも自分を出せる場所があった。ゲームだ。ゲームという存在は瞬く間に僕の体に浸透した。FPS、フロムゲー、レトロゲームとか。色々な種類のゲームがある。その中でも好きだったのが、RPGだ。ストーリーが感動的で、世界観もしっかり作られている。そんなゲームが好きだった。

 

──そんなこんなで、色々なゲームを遊んで次に遊ぶゲームを探していたある日、ふとその広告が目に入った。

 

「ブルー...アーカイブ....?」

 

透き通るような世界観の学園RPG。そんな文言を掲げているゲーム。僕は惹かれるようにそのゲームをインストールした。

 

....正直言おう。物凄く感動した。

 

「面白過ぎないか?このゲーム!!システムも画期的で分かりやすいし、ストーリーも惹かれる。特にキャラクターもみんなかわいいし。特にコユキ!」

 

そう、文字通り惹かれてしまったのだ。特にコユキに。そして思ってしまった。

 

「僕もこういう青春を送りたかったなぁ....。物騒だけど。」

 

そんな叶うわけもない幻想を一人部屋で零した。

 

そして──

 

「さて、コ〇ケに来たぞ!!!コユキの本漁るぞー!!」

 

あれからブルーアーカイブは僕の生活の一部になっていた。前までは外に出る事は億劫だったが、本を紙で見たくなり現地にまで足を運ぶくらいに外に出れるようになっていた。

そんなこんなで、欲しい本をすべて買いつくし、帰路についた。

 

「いっぱい買ったなぁ、家に帰ってから読むのが楽しみだなぁ。」

 

そう独り言を零して駅に向かい、電車を待っていたその時。ふと背後から手が伸びてきた──

 

「え?」

 

気が付くと、僕の体は線路の上で横になっていた。

 

痛い、体が動かない、何が起きた?どうして線路の上にいるの?

 

そんな混乱した思考を巡らせていると目の前に電車が────

 

「私ではだめでした。」

 

そんな少女の声が聞こえる。

 

「何が凄いのか、当たり前をどう活かせば良かったのか、分かりませんでした。」

 

悲しい声で、静かに、訴えるように言う。

 

「ユウカ先輩やノア先輩、みんなが凄いって褒めてくれた、私にとっては当たり前に出来る事、それを活かせませんでした。」

 

どこかで聞いたことのある声がそう言う。

 

「にはは.....当たり前に出来ることなのに出来なかったんです、私。ダメですね。」

 

「怒られて当然ですね。」

 

ダメだ、そんな自分を卑下しては。

 

「きっと何度繰り返しても、私ではダメなんだなって痛感しました。」

 

そんな....そんな事を.....

 

"そんな事を言ってしまったら、君は...!"

 

「──なので、あなたにお願いします!」

 

"え?"

 

そんな一言と同時に光が戻ってくる.....その光はとても暖かく思えたのであった。

 

 

段々と光が強く、眩しくなっていく。そして、意識が深い底から救揚げるように覚醒していく。

 

"んぅ....一体何が....?"

 

そう目を覚ましたら、知らない天井が広がっていた。

 

"あれ?ここは...?確か駅で線路の上に.....?それに声も何か変だな...?"

 

目を覚ました僕は知らない部屋にいた。いや、僕はこの部屋を知っている、そう知っているのだ。

そこには散らかったおもちゃ、ゲーム器具。そして、絶対に開けられないような扉がある。

 

"ここは....反省部屋?一体何が起きた?"

 

どうして反省部屋に居るのか?さっきまで駅にいたのに?それに頭が痛い、どういう事だ?状況を吞み込めていないと、急に頭の中に何かが流れ込んでくる。

 

"──ッ!!これは....記憶....?"

 

それはミレニアムのみんなと過ごした思い出。それは反省部屋に入れられた思い出。それはリオ会長にスカウトされた思い出。次々と記憶が流れ込んでくる。それと同時に頭痛も酷くなっていく。

 

"僕は...私は.....!どうなるんだ!?"

 

しばらく経った後、頭痛は収まり落ち着きを取り戻した私は、改めて状況を把握した。

 

"今私は反省部屋にいる。そして、反省部屋に一人で居るという事はつまり、私は黒崎コユキになった...?しかもコユキ自身の記憶も引き継がれている。そもそもどうして私は黒崎コユキになったんだ?"

 

そんな事を考えながら、落ちていた手鏡で自分の姿を確認する。ピンク髪をツインテールに結び、ピンク色の目の中にダイヤマークのハイライトがある。華奢な身体つきをしていて、ミレニアムのセミナーの制服に身を包んだ少女。そこには確かに、黒崎コユキが居た。しかし、違うのだ。

 

"姿は一緒なのにヘイローが違う...?どうして?"

 

しかし、ヘイローは別の形をしていた。輪に十字を挟んだマーク。それは「先生」を顧問とし、キヴォトスで暮らす生徒の相談に応じる部活のシャーレのマークに似ていた。しかし、決定的に違う点があるとすれば、輪が一つ足らないのだ。シャーレのマークは十字の上に輪があるが、私にはない。一体どういうことなのだろうか?

 

"分からないことだらけだな....このことをよく反省部屋に来るユウカとかに説明しても理解されないだろうな。"

 

突然こんな突拍子もない事をユウカやノアに相談しても、軽くあしらわれるだけだろう。それならば──

 

"一旦コユキのフリを続けてみるか。"

 

そう決め、現在のキヴォトスの状況を確認するため、テレビを点けニュースを見る事にした。

 

「ニュースです。現在カイザーグループの元CEOが...」

 

"なるほど、現在の時系列的にはアビドス2章が終わった辺りか。つまり先生はもう居て、ストーリは進行している...と。"

 

つまり、次の章はパヴァーヌ編第1章。つまり....

 

"次ミレニアムの章じゃん!!先生来ちゃうって!!"

 

そんな叫びで私の、"私たち"の「青春」は始まりを告げたのだった。

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