sudoの先に在るもの   作:わるいおとな

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第二章 6話

"──くっ!流石にキリが無さ過ぎませんか...!?"

 

あれから、ミカと協力してユスティナ信徒を相手にしている私は、少し愚痴を吐いていた。それはそうだろう、こちらは消耗するばかりだが、相手は無限に湧いて出てくるのだから。でもまだマシな方だ、ミカが強敵の「バルバラ」と「アンブロジウス」を相手にしているため、私は普通のユスティナ信徒の相手をしているだけで大丈夫だからだ。

 

"でも流石にキツ過ぎますって!!"

 

相手は制限なしの無限湧き。ヘイトを買っているだけだと、無限に増える為、確実に数を減らしていかなければならないのだ。すると、強敵と戦っているミカから突然一言飛んできた。

 

「あれだけかっこいい事言っておきながら、もうバテちゃったの~?」

 

"......あー!!分かってますよ!!頑張ればいいんでしょう!?頑張りますよ!!"

 

煽られた私はムキになる。私は......この体は戦闘向きではない。それはそうだ、戦闘訓練も、筋トレもしたことのない華奢な体。その体は弾丸一つ当たるだけで激痛が走るため、激しいゲリラ戦には不向きなのだ。

それに、私の性格も戦闘向きではないのだ。だが、助けると決めた以上、曲げるのは良くない。だから──。

 

"やれるだけやってやりますよ!!"

 

「うん!その意気だよ!」

 

そう言った私は、改めてユスティナ信徒達を見やる。SMGや、AR、SRなど、色々な武器を持ったユスティナ信徒、暴走したくまロボなど、人間ではないようなものもいるが、この際放っておこう。私は気合の帯を締めなおし、戦闘を続けるのだった。すると、ミカからまた言葉が飛んでくる。

 

「──そういえば、貴方......名前は?」

 

"あーそういえば名乗ってませんでしたね...。"

 

そう言えばそうだ。ここに着いた時にはすでに乱戦状態、名乗る暇など微塵も無かったのだ。しかし、私が加勢したからか、戦況は有利になりつつある。お陰で、彼女の喋る余裕が出来たという事だろう。ここは素直に名乗っておこう。

 

"私は黒崎コユキです!よろしくお願いします!"

 

「そっか......コユキちゃん!助けに来てくれてありがとうね!」

 

ミカは素直にお礼を言う、さっきサオリと戦った時に見た怖い表情は何処へ行ったのか...。そんな事を思いながら戦っていると、すでに日が昇っているのが見えた。すると、後ろから走ってくる足音が聞こえた。

 

"──二人とも!!大丈夫!?"

 

「せ、先生......なんでここに......!?ど、どうして......!?」

 

どうやら向こうの戦いは終わったようだった。様子を見るに、無事彼女達は過去の因縁を断ち切ったのだろう。

 

"先生!待ってました!!"

 

先生は私たちを見て安堵の表情を浮かべる。そして、ミカに一言零す。

 

"言ったでしょ?私はいつもミカの味方だって。"

 

「......!!」

 

そう言った先生は戦闘態勢に入る。

 

"さて、コユキ、ミカ。準備はいい?これから反撃開始だ!"

 

"はい!"「OK!」

 

私たちは先生の合図と同時に本当の反撃を開始した。

 

あれから私たちは、無事アリウス・バシリカから脱出し、暴れまわる剣先ツルギとそれを見る仲正イチカに保護され、アリウス修復作戦の指揮本部まで来ていた。

 

「先生......!!ミカさん......!!それに、コユキさんまで......!?ご無事でしたか!」

 

"はい!先生のお陰で!"

 

私が軽い返事をしていると、ミカが質問をする。

 

「ど、どうやってここに来たの......?」

 

すると、横から声を掛けられた。

 

「私が教えたのだよ。」

 

"セイア......!!?"

 

どうやら先生も驚いたようで、大声をあげていた。

 

「せ......セイア......ちゃん......。」

 

たじろぐミカにセイアは言う。

 

「本当に愚かだね、ミカ。常のように、衝動で動いて事を過つ。それが君の悪癖だよ。」

 

それから、何故ここに皆がいるのか...セイアからすべて聞いた。

 

「私たちも、先生の力を借り続けていてはならない。彼の人の道先に光を灯せてこそ、理想的な関係足り得るからね。」

 

そう言った彼女は、「病弱」とは言えぬほど活気に満ちていた。

 

「だから......君を救うために来たよ、ミカ。」

 

すると、ミカから突然の罵倒と、友情がぶつけられる。その一言は、彼女の一杯の謝罪でもあったのだった。

 

「二人ともありがとう......そして、ごめんね......。」

 

そして、ある程度話し終わった後、セイアは私と目を合わせ、突然頭を下げた。

 

「改めて今回の件、お礼を言わせてくれ。」

 

突然頭を下げたセイアを見た皆は驚いていた。

 

「せ、セイアさん!?どうしたのですか......!?」

 

頭を上げ、顏を見せたセイアが皆に説明する。

 

「彼女......黒崎コユキはね、実は私が呼んだのだよ。」

 

衝撃の一言に、話を聞いていた彼女たちは呆気にとられていた。そんな彼女たちを気にしていないのか、セイアは言葉を続ける。

 

「私は例の暗殺未遂で、動けなくなってからは、ただ行く末を見守るつもりだった。きっとそれは、内乱で壊れていくトリニティの未来はどうしようもないと諦観していたのだろう。でも、そんな中で私は『変数』を見つけたんだ。その希望はとても小さかったのかもしれない。でも、私は彼女に賭けてみたいと......そう思ったんだ。だから協力を要請した。」

 

そして、セイアは笑みを浮かべた。

 

「結果は御覧の通りさ、私たちは賭けに勝ち、トリニティの平穏は戻りつつある。」

 

セイアはまたこちらに向きなおし、改めてお礼を言った。

 

「今回の件、本当に感謝をしてもしきれない程の恩が出来た、ありがとう。困ったときは、いつでも連絡をしてくれ。いつでも駆けつけよう。」

 

そう言った彼女に合わせるように、ミカ、ナギサも頭を下げた。流石にそこまで感謝をされると、小っ恥ずかしいな。

 

"ちょ、ちょっと!頭を上げてください!私はそんなに感謝されるような事はしてませんよ!それに、今回の件は私が勝手に関わったようなものなので!"

 

すると彼女たちは頭を上げ、再び「ありがとう」と零し、別の話題を切り出した。

 

それから、聴聞会までの時間も迫ってきたようだった。

 

「では、そろそろ参りましょうか。ミカさんの聴聞会まで、もう時間がありませんから。」

 

"では、私はここで失礼させていただきますね!"

 

そう言って私が帰路につこうとした時、先生から声がかけられた。

 

"......コユキ"

 

"はい?なんでしょう!"

 

先生は間を置いて言う。

 

"...ありがとうね。"

 

"──!!にはは、どういたしまして!またミレニアムでお会いしましょう!トリニティの皆さんも、お世話になりました!"

 

そう言って私はミレニアムへの帰路を辿るのだった。

 

「はぁ、はぁ......うぅっ......。上手く逃げられたよね...?」

 

私は、アリウス自治区で起きた紛争に乗じて、自治区から逃げ出していた。それは、私の希望を......楽園を見つける為だ。

 

「外に出れたら、きっと何かが変わるよね。きっと......うまくいくはず。」

 

逃げた先に楽園が......夢がある事を信じて。

 

そんな希望を胸に、私は...立木マイアは外の世界へと足を進めるのだった──。

 

あれから、無事ミレニアムまで帰ってきた私は、ノアに正座させられていた。理由は明白だ。勝手に他校の自治区へ行くのでは飽き足らず、エデン条約にまで首を突っ込んだのだ。怒られるに決まっている。

 

"あの......ノア先輩......。そんなに怒らなくても......。"

 

「私は怒ってませんよ?7時13分に『トリニティに行ってきます、探さないでください!』というモモトークをしたっきり返信が4日間無かったり、エデン条約に関わったり、その上勝手にトリニティの制服を着て帰って来たりしていますが、私は怒っていませんよ?」

 

"ひぃ!!"

 

怖い!怖すぎる!!!怒ったノア先輩怖すぎるよ!!

 

"すみませんでした!!モモトークは色々ハプニング続きで見る余裕が無かったんです!"

 

必死に謝る。正直、これしか出来る事が無いからだ。するとノアは、急に私に抱き着いてきた。

 

"の、ノア...先輩......?"

 

すると、ノアは少し寂しそうな声で言った。

 

「心配したんですよ...。」

 

"──ッ!!"

 

そうか、私を心配していたのか。

確かにそうだ、トリニティに行ってくるという連絡をして以降、音沙汰が無くなってしまったのだ、心配だってする。私はゆっくりと抱き返し、言葉を紡いだ。

 

"ごめんなさい、ノア先輩。"

 

するとノアは、強く私を抱きしめ、こう言った。

 

「次はありませんからね。」

 

"はい、気を付けます。"

 

そうして、私たちの日常が戻ってきたのだった。

 

第二章 完

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