相方だった探偵の様子が少しおかしい   作:グラビトン

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ちょっと遅れて投稿になります。
色違い厳選やめらんねぇー。


やらかしたみたいだ

「…………先輩……」

 

「……ぐがー……」

 

「……おい先輩、起きろや」

 

「……ぐぅ……ぁ」

 

「……鳴らせ、マフォクシー」

 

 

 

パァンッ!!!!

 

 

 

「のぁがあ!!?」

 

突然の破裂音。

そのけたたましいアラームによって、泥のように深い眠りについていた俺の意識は一気に覚醒された。

 

さっきまでソファベッドに沈んでいたのに、条件反射で勢いよく上半身が起き上がった。

 

「えっあ!?またオヤブンが出現した!?」

 

「寝起き早々職業病かますな、寝坊助先輩」

 

「え?……あ、お前……普通に起こしてくれよ」

 

「死んでるように寝てるもんだから、さっきので起きなかったらそのまま火葬しようかと思った」

 

「穏やかじゃないな!てか他寝てる人居るだろ!というかどうやって鍵開けたんだよ!?」

 

「マフォクシーのサイコキネシスで開けた、それとあんたしか居ねーよ、今何時だと思ってんだ?真昼間だよ」

 

「嘘、そんな寝てたか!?」

 

慌ててスマホロトムで時刻を確認する俺を、後輩は呆れ果てた目で見下ろし、その隣にいる後輩の相棒のマフォクシーが口に手を当てながらクスクスと笑っていた。

 

「うわマジか……疲れが溜まってたとはいえ、寝過ぎたな……てか、今の破裂音もお前のマフォクシーが?」

 

「あぁ、軽い花火をパンッてな……っと、戻ってくれマフォクシー」

 

そう言いながら後輩はマフォクシーをボールの中へ戻した、こんな事の為に行使するなよな……。

 

「先輩……とりあえずとっとと仮眠室から出な、アンタに用がある人が外で待ってる」

 

「え?俺に……誰?」

 

「見りゃ分かる」

 

それ以上は何も言わず、後輩は仮眠室の外へ出た。

とりあえず俺は急いで壁に掛けてたスーツを羽織い、寝癖が無いかを確認し、仮眠室の外に出た。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

目の前にはポケットに手を入れながら立っている後輩の姿……あれ?誰か居るんじゃ無かったのか?

 

「あれ、待ってる人ってのは?」

 

「こっちだよ、寝坊助さん」

 

「えっ?」

 

聞き覚えしかない声の方へ振り向くと、仮眠室の入り口の隣にマチエールが壁にもたれて掛かりながら俺をジトっとした目で見つめていた。

え、待たせてる人って……お前の事だったの?というかなんで、クエーサー社に……?

 

「マ、マチエール?お前なんでクエーサー社に居るんだよ?」

 

「ふふっ、驚いた?」

 

「え、まぁ……じゃなくて、なんで居るのかって」

 

「なんか知らんけど、社長直々に依頼をしたらしいぜ、探偵さんに」

 

「え、依頼って……というか、なんでお前が?」

 

「たまたま社内でアンタを探している探偵さんに会って、ここに居る経緯を聞いたついでに知った、依頼自体は知らないけどな……んじゃ、後はごゆっくり」

 

「案内してくれてありがとうございます、後輩さん」

 

「礼ならそこの先輩に後で高い飯奢って貰うんで、お気になさらず」

 

「は!?なんで!?」

 

「昨日アンタの仕事片してやったろーが、そんじゃ」

 

そう言って手をひらひらさせてその場を去って行った。

くっそ確かに昨日俺の仕事を任せたけど、ていうかそっちがやるって言った癖に!

ていうか何時にもまして態度悪いんだけど、なんでだ!?

 

「お口は悪いけど良い人だね、後輩さん」

 

「悪すぎだよ、俺に一度も敬語使った試しないし……」

 

「あはは……まぁそれはそれとしてレンヤ、ネクタイ歪んでるよ?」

 

「え、あぁそう言えば寝る時緩ませてたんだった……」

 

「もう、じっとしててね」

 

「あ、悪い……」

 

マチエールはそう言うと俺に近づき、歪んでいたネクタイを解き慣れた手つきで締め直し始めた。

手馴れてるな……あぁ、ハンサムさんの時にもネクタイ締めてたっけ……あの時の事も考えると、やっぱ成長したよなぁ、マチエール……。

 

「……これでよしっ、じゃあ事務所に帰ろ?」

 

「おう……え?」

 

「まだ何も食べてないでしょ?久々にいっぱい作るからね!」

 

「いやいや待ってくれ、俺はこの後も仕事あるんだけど」

 

めっちゃ自然に俺とハンサムハウスへ帰ろうとするから一瞬頷いてしまったが、俺はまだ仕事が残っているから帰れない。

その事はマチエールだってわかってる筈だけど……?

 

「あっ、ごめん伝え忘れてたね、実はさっきジェット社長に依頼を受けた際にさ、レンヤに今日は休みを取らせるから二人で過ごしてって言ってくださったの、だからレンヤは今日の仕事はお休みだよ、なるべく休日出勤もさせないように言っておくって」

 

「…………………………休み?」

 

「うん、なんか気を遣わせて貰っちゃったけど、お言葉に甘えよ?」

 

「………………………………」

 

 

休み?え、休み?

今日もワイルドゾーンに振り回されると思ってたのに、明日が一応休日になるから頑張ろうと思ってたけど、休み?

休みの日も大体ワイルドゾーンが原因で出勤して、ゆっくり休める日なんて無いに等しかったのにそれもない?

2日、休める?

何も考えずに休める?

 

 

「ッッッッッッシャアッァッ!!」

 

 

「うわっ!!?」

 

2日も普通に休める。

その事実に身体が震え、喜びが声に溢れ出してしまった。

 

よっしゃあ休める!!会社でじゃなくて合間とでもなくて自由に休めるぞ!

ここで働いて1年弱………マトモに休める日なんて両の手で数えられるレベルだった!どんだけ休もうとしてもワイルドゾーンのポケモンの様子が変貌したり市民に危害が及ぶ可能性が考慮されたりオヤブンポケモンがこっちの事情も考えずに抜け出したり!!

 

例え結果的に何も無い休日だったとしても、いつでも休日出勤を命じられるという恐怖に駆られて全然リラックス出来なかった………でも今回それが無い!!やったぜぇぇっ!!

 

「レ、レンヤ、嬉しいのはわかったから落ち着いて……?」

 

「マチエール!」

 

「はっはい!?」

 

「きっとお前がきっかけだ!まじでありがとう相棒!」

 

「ふぇっ!?あ、ちょっ!!」

 

思わず隣のマチエールを抱きしめてしまった。

大分テンションがおかしくなってるが致し方無い、ここ最近で1番嬉しい出来事まであるのだから。

 

「ちょ、レンヤ、待って1回、離れて?」

 

「…………あ、ごめんいきなり、脳と身体が言うことを聞かなかった」

 

はい、冷静になりました。

いかんいかん……変なテンションになってしまった、抱きしめるとかマチエールじゃなかったらセクハラものだった。

…………アイツの口が何時にもまして悪かったのは、俺が休みになったことを知ってたからかな……まぁ、考えないようにしよう。

 

「もー、そんなに切羽詰まっているなら早く私のバディとして戻って来てよ」

 

「はは、ごもっともだけど状況がな……まぁとりあえず、懐かしのハンサムハウスへ行こうか」

 

「えぇ、もこおも待ってるからね」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

探偵事務所、ハンサムハウス。

5年前のあの日から私の家となっている大切な場所。

 

今日、やっと私のバディがここに帰ってきた。

 

「……マチエール」

 

「なぁに?」

 

「料理……何時にもまして多くね?なんか1年前よりも……」

 

「別にー?レンヤは大食らいだからこれくらいいけるよねー?」

 

「いや流石に全部は……おいリザードン、こっちも手伝ってくれ」

 

テーブルに並べられたコロッケ、パスタ、シチュー、パン……私は確かに料理を作りすぎることがあるけど、今回はかなり気合いが入ってしまった。

 

完全な休みを告げられたレンヤみたいにテンションが上がった結果かもしれない、さっきから私の顔はニマニマして止まらない。

 

テーブル越しに対面するレンヤは隣のリザードンに助けを乞いながら、テーブル上の料理を皿に寄せて差し出す。

 

「グルル……?」

 

「にゃふー♪」

 

頭の上にもこおを乗せたリザードンもその量に少し戸惑いながら皿を受け取る。

もこおも一緒に食べるのだろう、やっぱりこの二匹は仲良しさんだ。

久々に彼のリザードンに会えたもこおも喜んでいる。

 

「さぁレンヤ、食べて食べて」

 

「……だな、いただきます…………うん、やっぱ美味いな」

 

「ふふ、良かった」

 

嬉しい事を言ってくれながら、レンヤは並べられた料理をバクバク食べ進んでいく。

この光景も久しぶりだなぁ、レンヤがクエーサー社に入ってから食事は私ともこおだけだったから。

 

だからまたこうやって一緒に食事が出来て嬉しい。

1年前まではこれが当たり前になっていた筈なのに、今はとてつもなく愛おしく感じてしまう。

 

………これも、1年という空白の期間があったせいなのだろう。

そして私の恋心が次第に膨れ上がっている証拠でもある。

 

「…………」

 

じっと、ただひたすらに食べ進めるレンヤを見つめる。

普段は頼れるお兄ちゃんだけど、食事の時は少し子供っぽく感じる。

 

「……ん、マチエールは食べないのか?さっきからじっと見てるけど」

 

「ん?いやいやそんな事ないよ、ちゃんと食べてるよ」

 

いや嘘だ、ずっと君の食べている姿を見つめてました。

 

「そうか?とりあえず一人で食い切るの無理だから、お前もちゃんと食べろよな」

 

「もちろんだよ、さぁ食べよーっと」

 

…………あぁ、なんというか、この場所で何時も通りのやり取りが出来るのがこんなにも嬉しく感じるなんて。

しみじみ、好きなんだなって思ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも。

 

 

まだ、私のバディとして帰ってきて無いのだとしても。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「……あ゛ーー……やっぱ作りすぎだって……」

 

「あはは、でも殆ど食べ切ってくれたじゃん」

 

「お前今回に限らず飯を作る量がおかしいんだよ……確かに俺は結構食べるけどさ」

 

「ごめんごめん、気をつけるよ」

 

ランチを食べ終えた後、私達はコーヒーを飲みながらゆっくりと時間を過ごしていた。

私が作った料理は殆ど完食したが、その代償に彼は少し苦しそうだった。

 

私の料理を食べたリザードンも満腹になって仰向けで寝ている、そのお腹の上でもこおも横たわって寝ていた。

 

「もこおもリザードンに会えて嬉しそうだったね、ここ最近で1番元気だよ」

 

「まぁアイツらも5年の付き合いだったからな、久しぶりだってこともあるだろう」

 

「……君だって、ここに来るのは1年ぶりじゃん」

 

「あー、だな」

 

そう……街中で会うことはあっても、彼がクエーサー社に入社して以降、今日に至るまでこの家に帰ってくることは無かった。

厳密に言えば別に住んでいる家はあるのだけれど、彼にとってはここは第2の家みたいなものだ。

 

一度くらい、顔を見せてくれたって良かったのに。

 

もちろんそんな暇が無いくらいの激務だったのは理解している。

仕事も何も無い日も、何も考えずに自分の家で過ごしたい事だって。

 

 

でも……………私はずっと、寂しかった。

 

 

「……ねぇ、レンヤ」

 

「うん?」

 

「やっぱりまだ、ここに戻ることは出来ないよね?」

 

「…………まぁ、そうだな」

 

私の問いに静かに応え、コーヒーを1口飲む。

分かりきってた返答だと言うのに、両手を添えてるカップに力が籠ってしまう。

 

「うちの課だけ変に人員不足の上激務だし、ミアレシティにはどんどん野生ポケモンが住み着き始めるし、その度にワイルドゾーンが増設していくんだ……たった一人でも抜ける穴は大きすぎるんだよ」

 

「人は増やせないの?」

 

「……なんか最近、今ZAロワイヤルでバトルをしている有望なトレーナーをスカウトして、俺達が今までやってきた業務データを教材の元にして、ある程度この過酷な環境に対応出来ようにする人材を作るという案が可決されつつあるけど……形になるのはまだ先かな」

 

「…………そっか、それが形になったとして、安定するのはどれくらい掛かりそう?」

 

「‪どうだろうなぁ、そもそもこのミアレシティの環境が不安定だからさ……この先どうなるかはまだ未知数だ」

 

「…………」

 

「まぁお前も知っての通りだけど、今となっちゃクエーサー社はただこの都市再開発計画を本気で取り組んでるだけの会社だ、裏が何も無い以上俺もそこで頑張ってみたいとも思ってるんだよ……労基は守って欲しいけどな」

 

ハハハと乾いた笑いを浮かべるレンヤ。

……………なんなんだ、彼と私のこの温度差は。

 

私は、貴方が隣から消えて、寂しくて寂しくて仕方ないのに…………貴方は、平気なんだ。

 

私が居なくても、離れてても何も感じないんだ。

 

ずっと…………バディとして私の隣にいてくれたのに。

 

私が何も言わないから?

私と彼とじゃ、生まれ育ちが違うから……こんなにも意識が違うの?

 

何も言わずに私の事わかってくれてるって、勝手に期待していたんだ。

…………苦しい、でもこんな胸の内を晒しても、困らせるだけだ。

 

でも、もう少し時間が経ってしまえば。

また…………私から離れるんでしょ?

 

 

 

嫌だ。

いやだ、いやだ。

 

 

 

おじさんたちみたいに、またとおくへいっちゃう。

あなたとずっと、ずっといたいのに。

 

なんでなの、なんであのときわたしのことをゆうせんしてくれなかったの。

いやだよ、もういやだ。

 

もう、ひとりはいやだ。

 

 

 

 

「……マチエール?」

 

「…………」

 

「マチエール?おい、どうした?さっきから俯いて……」

 

「帰ってきてよ」

 

「え?」

 

「もう、帰ってきてよ、また一緒に居てよ」

 

「っ…………?」

 

あぁ、ダメだ。

黙っていようと思ってたのに、言葉が、勝手に出てくる。

 

「私、おじさん達が居なくなった後も、レンヤが居てくれたから今ここに居るんだよ、1人じゃないって思わせてくれたから」

 

「1年前のあの時、貴方が正しかったから私は何も言わずに頷いたけど、本当は行かないで欲しかった」

 

「だから…………だから、帰ってきてよ」

 

「…………お前……」

 

暫く、沈黙だけが流れ続けた。

彼も何も言わない、こんな事……突然言われたら困惑するのは当たり前だ。

 

でもダメだ、抑えきれ無かった。

…………どうしよう、面倒な子だって思われたかな。

いやだ、こんなこといってきらわれるなんて……!!

 

「……あー、その、えっと」

 

レンヤが口を開き始めた。

思わず、肩が跳ねてしまった。

 

「そんな事、言われるとは思ってなかった」

 

「…………」

 

「正直俺、お前にそこまでの事をしたとは考えてないんだけどな……拾ってくれたのもハンサムさんだし」

 

「そんなこと、ない、となりにいてくれただけで、すくわれてた」

 

「…………そっか、でもお前はもう立派な探偵だろ?だからさ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、俺が近くに居なくてもいいと思うんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え」

 

「だってお前、前々から俺の手助けなしで依頼とかこなしてたし、今だって一人で立派にこなしてるじゃないか」

 

 

なにを、いってるの?

 

 

「そう言うのは、自信が無いだけだと思うんだ、だってお前が頼れる奴じゃ無かったらさ、ジェット社長に依頼が来ることもないだろ?」

 

 

ちがう、ちがうって。

なんで、そうやってとおくにいこうとするの?

 

 

「大丈夫だって、俺もクエーサー社の仕事全般が落ち着いたらまた戻るつもりだ、そう心配するなよ、何もお前の前から消えるわけじゃないんだからさ」

 

 

まえじゃ、ない。

となりじゃなきゃ、いみ、ないんだって。

 

 

だめだ、なにも…………わかって、ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そっか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わからせたら、いいんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レンヤ」

 

「……うん、どうした?」

 

優しい声で答えてくれ彼に、私は……酷いことをする。

でも、これがいちばん、こうかてきだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいしてる」

 

「………………え」

 

 

 

 

 

 

「だいすきだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だからさ、いいよね」

 

「これなら、どれだけはなれても」

 

「あなたはわたしのそばに」

 

 

 

 

 

席を立ち、固まる彼の手を取り立ち上がらせる。

行く先は決まってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もこお達は寝てるから、だいじょうぶだよね。




次は番外編としてカナリィを描こうかなーって思ってます。

ひかるおまもりは取れました?

  • はい
  • 取れるわけねーだろ
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