100年前の裏切り柱   作:高橋夏帆

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それは、大正の世、遊郭にて上弦の陸が倒される100年前のことだった。


裏切り者

 桜の花の舞う穏やかな日のことだった。半年に一度の柱合会議のため、9人の柱は鬼殺隊の本部へと集まっていた。今回はお館様のご意向もあり、それぞれの柱は継ぐ子も連れてきていた。

 

「鳴柱の継ぐ子も随分大きくなったなぁ」と炎柱は言うと、継ぐ子の頭を撫でた。「お名前はなんだったかな?」

 

「重三郎だよ。煉獄家のご子息も御壮健で何より。」と鳴柱は笑った。

 

「それにしても鳴柱殿、足を怪我されておいでと聞きましたが」

 

「実は足だけではなく身もぼろぼろで……。冗談抜きに、次に1の型を使う時は私の寿命の可能性も」

 

「まさか……」と炎柱は言った。

 

 本部の屋敷の中はいつにも増して賑やかだった。皆半年ぶりの無事の再会を喜び、会話に花を咲かせていた。

 

「お館様のおなりです」

 

 柱たちは一斉に頭を下げた。

 

「おはよう私の子供たち。今日は大勢の人が集まって嬉しいよ」

 

「お館様におかれましても御壮健でなによりでございます」と水柱が言った。

 

「ありがとう」とお館様は言った。「さて、今日は継ぐ子も含めて大勢に集まってもらったね。理由は他でもない。この中に、裏切り者がいる」

 

 え!?、と柱たちは一斉に言った。

 

「なぜそう思われるのです」と水柱。

 

「勘だよ」とお館様は言った。

 

 柱は一斉に刀に手をかけた。お館様は落ち着くように言った。

 

「本来なら名乗り出てもらいたいところではあるが、そうは行かなさそうだね。私から誰なのか言わなくてはならないようだ。非常に残念だよ。煉獄剛寿朗」

 

「お館様!!」と煉獄は驚いていった。「私が裏切るわけがございません!私は、代々鬼狩りを務める家系、煉獄家当主です!そんなことがありましょうか!」

 

「そ、そうです!父が裏切るなどとあり得ません!」と息子の草寿朗も訴えた。

 

「嘘をついておりますな」と水柱が言った。「私は鼻が効く。お前の見え透いた嘘など聞きたくはないわ!」

 

 お館様は顔を顰めた。水柱は剛寿朗を何度も蹴った。剛寿朗は抵抗することなく、うっとくぐもった声を漏らした。足から血が滲み出て、ついに剛寿朗は動けなくなった。

 

「いっそのこと、私が手打ちにいたしましょう」というと水柱は刀を抜いた。

 

「待て。聞きたいことは山ほどある。捉えて牢に繋いでおくように」

 

 そういうとお館様は部屋を去っていった。

 

 水柱は手際良く剛寿朗を縛ると地下牢へと引っ張っていった。父上!という草寿朗の声が屋敷に響く。

 

 他の柱たちもその様子をただ呆然と見ることしかできなかった。

 

「柱から裏切り者だと……それにしてもあの穏やかな水柱があそこまでするとは」と岩柱は言った。

 

「裏切りってどんな裏切りだ」と風柱。

 

「鬼よ、鬼に情報を売ったのよ」と花柱。

 

「あの、煉獄が!?」と風柱は言った。

 

「だからあそこまでお怒りなのでしょう」と花柱が血の滲む畳を見ながらつぶやいた。

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