偉大なるソビエト連邦は魔女マキマの手からチェンソーマンを奪うべくモルモットと呼ばれる工作員を送り込んだ。爆弾の武器人間、レゼ。彼女なら完璧に任務を遂行してくれるだろう!!!

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信じて送り出した工作員が色ボケ浮かれポンチになって帰ってこない

 

「デンジ君、私の他に好きな人いるでしょ」

「え?」

 

 きょとんとした、しかし図星を突かれたような表情をするデンジ君。

 

 そろそろタイムリミットだ。最後にキスをして、それでおしまいにしよう。

 せっかく一緒に学校行けるように祖国に掛け合おうと思っていたのに。

 私の誘いを断る悪い舌は、悲鳴を上げられないように噛みちぎってしまおう。

 

 花火が上がる。

 

 私はデンジ君に駆け寄り、唇を奪った。

 

 

 びっっっくりした!

 

 

 私はモルモットとしてとてもとても訓練を積んできたし、今回デンジ君をターゲットにしたハニートラップの訓練も積んできた。当然その中には性的なあれこれも含まれている。

 キスだってしっかりと訓練させられた。

 ヤニ臭くカサついた唇、訓練という名目で私を貪ろうとニヤつくイヤらしい視線。そういったものを耐えて、手練手管でターゲットを籠絡するのだ。

 

 しかし、これは。この唇はなんだろう? すっごいプルプル!

 え、なにこれやわっこくてきもちいい。うわー。うわー!

 

 ちらりとデンジ君の様子をうかがう。驚愕と、興奮だろうか。同じ情欲に駆られた顔だというのにデンジ君は可愛く見えた。余裕なく揺れる瞳。ふふ。

 

 まあ待てレゼ。まだ唇を合わせただけだ。舌を噛むにはまずディープなやつをしないと。しかもデンジ君の舌が私の口内にがっつり入ってないと噛みちぎれない。でもデンジ君慣れてないからいきなり私の中に舌を入れてこないだろう。そういうあたり純情なのだ。私のデンジ君は。

 そんな純情なデンジ君が私の中に入って来てもらうにはどうすれば良いか? 手本を教えてあげるのだ。つまり最初は私からデンジ君の中に入って、じっくり蹂躙して差し上げるのだ。

 

 まずちろちろと舌先でデンジ君の唇を触る。びくっと身じろぎをするデンジ君かわいい。

 何度かノックするように唇をつつくと僅かに開いた。だめだなぁデンジ君。そんな隙を見逃すソ連の工作員はいないぞう?

 すかさず舌を突き入れる。開ききっていない唇を割開く。前歯を、歯茎を舌先でなぞる。

 くすぐったかったのか城門はあっさりと開ききった。

 開いた口内を突き入れた舌で蹂躙する。なぶる。ねぶる。奥歯も口蓋も歯茎も内頬も丹念に味わっていく。所在なさげにひくひくと震えるデンジ君の舌を私の舌でエスコート。デンジ君の口の中でワルツを踊るように絡めて、

 

 なにこれおいしい!!!!!

 

 訓練の時何人も男も女も相手にしたけど、その時は唾液のにちゃついた触感と口臭でとても味わえるようなものではなかった。控えめに言ってゲロ味だ。

 しかしデンジ君はどうだろう? なんか甘い。勿論唾液だって訓練相手と同じように出ているのだが、まるで極上の蜜のようだ。

 なんでだろう。先ほどわたあめを食べさせたからそれだろうか。だったら今度マスターにキャラメルマキアートとか作ってもらってデンジ君に飲んでもらおう。その後キスをしたらほろ苦甘い味のキスができるかも。レモネードでレモン味のキスとかも良いかもしれない。

 

 おいしい。気持ちいい。もっとしたい。

 

 そんな気持ちを押し殺して、一度舌を引く。

 デンジ君の下唇をはむはむと私の唇でマッサージ。舌を絡めるのは一休みだ。

 危なかった。訓練のことを思い出せレゼ。こういった行為には緩急が重要だ。何よりちょっとあのまま舌を入れていたら腰が抜けそうだった。とんだトラップだ。公安恐るべし。

 

 しばらくそうしてテンポを落としていると、私の唇にツンツンと遠慮がちな感触がきた。

 

 おや? おやおやおや?

 

 どうやらデンジ君が勇気を振り絞ってノックをしてきているようだ。ふーん? デンジ君、私の中に入りたいんだー。ふふふ。

 まあ? この分野でもお姉さんなので? 全部教えてあげるって昨日プールで言ったし? 教えてあげなきゃなー!

 

 おずおずと差し出された舌先に舌先を掠める。私の口の中にデンジ君の舌を誘いこむ。

 私だってわたあめを食べた。きっと甘い。甘くて、柔らかくて、とても美味しいお菓子の家。ゆっくりしていけば、鋭い牙でパクリ。

 さあおいでデンジ君。最後の甘くて美味しいて楽しい夢を見よう?

 

 誘い込まれた哀れな少年の舌先を、深く深く引き込んで、

 

 腰が砕けた。

 

 思わずデンジ君に抱きつき体重を預ける。

 

 あれー???

 

 遅れて甘い痺れが全身を襲う。花火のように意識が弾ける。

 曖昧になる五感の中、ただ口内のデンジ君の存在だけが確かに感じられる。

 なんてことだろう。誘い込まれた純朴な少年は哀れな羊かと思いきや羊の皮を被った狼だった。

 

 デンジ君の舌がぞりぞりと私の口内を削る。丹念に丹念に歯茎をなぞり、口蓋をくすぐり、内頬を愛撫する。

 

 さっきまでのおぼつかないデンジ君はどこ? どこで覚えたのそれ!? 私か!

 

 知らず知らずのうちに敵に塩を送ってしまったらしい。何よりデンジ君は天才だったようだ。あっという間に私の弱いところを見つけてなぶっていく。もう足腰に力が入らなくてデンジ君に縋り付くようにしてなんとか立っている状態だ。

 

 ちょっともう今日はダメかもしれない。このまま舌を噛み切ったところで追い討ちできそうにない。何より噛み切る力すら入らない。

 

 また今度にしようかな。大体ハニートラップが1週間やそこらで完遂するわけないのだ。

 偶々デンジ君がちょろ可愛かったから一気に距離が縮まったけど、まだ出会ってからたった1週間程度しか経ってないんだ。

 

 それに昨日のこともある。夜の学校デート。

 せっかく良い雰囲気にして一気に籠絡していたのに台風に水をさされた。デンジ君と裸の付き合いをして良い気持ちだったのに、絞め殺す為とはいえ連れションしたがる気持ち悪い男に抱き付かなくてはならなかったのだ。

 

 またデートをやり直さないと。今日はお祭りデートだったから、今度は水族館とかどうだろう。動物園もいいかも。遊園地も楽しいだろうな。

 

 そうだ! 祖国に掛け合って本当に学校に通えるようにしてもらおう。それで日本政府に圧力をかけてデンジ君も一緒の学校に通えるようにしてもらう。

 魔女のいる日本でまともな支援もなく単独で潜入しているのだ。それくらいはしてもらわなくては。

 

 そうと決まれば。

 

 口内に深く入り込んだデンジ君の舌。甘く柔らかく魅惑のそれに歯をたてる。噛みちぎるのではなく、しかし傷になるくらいに強く。

 

 痛みに驚いたデンジ君が足をもつれさせ尻餅をついた。

 

「っ! 何すんだよレゼ!」

「……デンジ君、他の人とキスもしたことあったでしょ」

「っ」

 

 また図星。通りで適応が早いと思った。

 

「痛いね、ごめんね。……これから誰とキスしても舌の痛みを思い出してね、デンジ君」

 

 いつのまにか、花火は終わっていた。

 

 踵を返し、その場を立ち去る。

 これから祖国に掛け合ったり、デンジ君とのデートプランを組んだりと忙しくなる。けれどきっとそれは楽しい。

 田舎のねずみと都会のねずみ。田舎のねずみには平穏が。都会のねずみには刺激がある。私は田舎のねずみがいい。

 しかし田舎に引っ込む前に都会のねずみと刺激を楽しむのも悪くないだろう。

 

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

「なあポチタ。俺はこれから先、舌噛んだら勃っちまうかもしれねぇ……」

 

「パンツ変えねえと……」

 

おしまい




ビーム(なんかボムの臭いかと思ったけどこんなザラメが溶けたような臭いは違うよな? チェンソー様嬉しそうだし、まあいいか!)

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