空島から降り、青海を進むメリー号。
早速現れたシーモンキーによる高波を回避した後、青海でウェイバーを試してみたり、ウソップの手に入れた
最後に、黄金の使い道を決めることとなった。ルフィが銅像を買いたいと言い、チョッパーが医学書を買いたいと申し出る。ほかにも様々な意見が出た結果、メリー号の修理を次の町で行うこととなった。それまでは、黄金の山分けは保留だという。
その流れで、ルフィが船大工を仲間に入れたいと言い出す。その言葉に、普段のおちゃらけ具合とは裏腹に、稀に核心をつくよなぁ…と呆れるのだった。
途中で旗も帆も航海士や船長すらいないのに、戦闘の跡一つない不審な船に遭遇しつつも、一行は次の島へと到着した。家屋一つ、山の一つもないその島に対して「何もね~っ!」と叫びながらも、大草原に興奮したルフィがチョッパーとウソップを巻き込み島の探索へと乗り出していった。
一方のマリー達は、おかしな連中に絡まれていた。狐を模した船首と旗の船にから、決闘を申し込まれたのだ。
「デービーバックファイト?」
「そうだ。その戦いの火蓋は互いの船の船長同士の合意の瞬間、切って落とされる。今、俺たちの船長がお前たちの船長、モンキー・D・ルフィに戦いを申し入れているころ…!」
「申し入れ…?何を眠てェ事やってんだ。ケンカなら買うっつってんだろ!」
「おい…お前知らねェのか?ケンカじゃねェ。デービーバックファイトは海賊の
「
「―――そうよ。海のどこかにあるという海賊たちの楽園、海賊島で生まれたというゲーム…。より優れた船乗りを手に入れるため、海賊が海賊を奪い合ったというわ」
ようは“人取り合戦 3本勝負”ということらしい。欲しい人材がいなかった場合、相手の旗を奪うことも可能。途中で出会った旗も船長もいない船は、彼らとの勝負に負けて様々な人員を没収された結果だったらしい。もともとキバガエル海賊団と呼ばれた男たちは、今はこのフォクシー海賊団として所属しているのだという。
ナミはそんなバカバカしいゲームの申し入れは絶対に受けないと返すが、船員たちは「バカめ!」嘲りで返す。
「泣けど喚けど、お前たちの船長、モンキー・D・ルフィが首を縦に振れば、お前たちも全員ゲームの参加者となるのだ!」
「―――その通りだナミさん…これは海賊の世界では暗黙のルール……!逃げ出せばこの世界で大恥をかくことになるぜ!」
「いいじゃない恥かくくらい!」
「同感ですね。わたくし、メリアとしてならともかく海賊としてのプライドなんてありませんし」
「生き恥を晒すくらいなら死ぬ方がいい」
「右に同じ」
「お二人ともー!?」
「諦めなさい…男ってこういう生き物よ」
「んもーっ!じゃ、ルフィを止めなきゃ!」
「ムダだあがくな。船長同士が同時に打つ2発の銃声が開戦の合図!」
相手のクルーがそう言った瞬間、2発分の銃声が鳴り響く。どうやら遅かったらしい。
そこから話はとんとん拍子に進んでいき、あっという間にお祭りムードとなる。雰囲気だけでなく、実際に屋台や軽食の売り子まで出てくるものだから手に負えない。
ルフィが屋台で買った焼きそばを食べているのも気にせず、司会の女性が宣誓を始める。
「さーて野郎共っ!騒いじゃいやん!!”敗戦における三カ条”を今から宣誓するわよ!!
ひとつ!デービーバックファイトによって奪われた仲間・印、全てのものはデービーバックファイトによる奪回の他認められない。
ひとつ!勝者に選ばれ引き渡された者は速やかに敵船の船長に忠誠を誓うものとする。
ひとつ!奪われた印は二度とかかげることを許されない!!
以上、これを守れなかったものを海賊の恥とし、デービー・ジョーンズのロッカーに捧げる‼守ると誓いますか!?」
「「誓う/誓う!!!」」
開戦の合図として、フォクシー海賊団の船長“銀狐のフォクシー”によってコインが三つ海に投げ入れられる。その瞬間、割れるような歓声がフォクシー海賊団から沸き起こった。
ルフィ達は競技内容が書かれた紙を見ながら、出場選手を決めることにした。勝負種目はレース・球技・戦闘の三つ。出場者は7人以下ということから、一人あぶれることになる。
レースは航海士のナミ・船づくりのウソップ・妨害役のロビン。球技は身体能力が高いゾロ・サンジ・マリー。船長は船長のルフィが出ることとなった。なお、チョッパーはマリーとの腕相撲に敗北し、お留守番となった。
第1回戦はボートレース『ドーナツレース』。オール2本と空樽3個を使って船を作るところから始まり、この島を一周することが勝負内容となる。しかも、妨害は何でもありとかいうカオスっぷり。レースが始まる前から、今か今かとフォクシー海賊団の面々が妨害してナミたちの船を沈めようと待ち構えている。
《位置について‼レディ~~~~、ドーナツ‼》
上空にいる司会、宴会隊長のイトミミズとやらにより、レースの開始が宣言される。瞬間、待ち構えていたフォクシー海賊団の砲撃などによりナミたちの船が妨害されるが、それをレディの危機を見過ごすサンジではない。海岸に集まっていたギャラリーはサンジの蹴りによって次々と沈められていく。それに続いてルフィ達もギャラリーの一掃を始め、マリーも妨害で使われる大砲を真っ二つに圧し折っていった。
そんな波乱の展開で始まったドーナツレース。序盤はフォクシー海賊団のキューティーワゴン号が優勢で進む。そんな中、突如としてナミたちのタルタイガー号が吹っ飛び、一気に前方に踊りでる。
「いや~~~~っ‼」
「ええ!?」
「な、何あのスピード‼」
突然の加速に、キューティーワゴン号の二人が唖然とする。
「ハァ…ハァ…ちょっとウソップ、何したの!?」
「驚いた…敵を抜いたわ」
「イ…“
どうやら、手に
しかしそのリードも一瞬、すぐに抜き返されてしまう。
そのまま付かず離れずの距離を進む2組。やがてコースの難関と言われる“ロングサンゴ礁”地帯が広がる場所までやってきた。どうやら海上に突き出たサンゴと複雑化した海流によって、間違ったルートを通ろうとすれば元の場所に戻されてしまうらしい。
そこにフォクシーの煙幕による妨害が入るが、いとも容易く突破した。ナミはどうやら海流の正しい入り口を見つけることによって、視界を確保する必要すらなく海流の迷路を抜けたようだ。サンゴを抜けた先の“ロング
キューティーワゴン号の二人はサンゴを壊して進むことでロングサンゴ礁を無理やり突破するが、これまで広がった差はゴールまでに届きそうにない。勝ちを確信したルフィ達だったが、なぜか同じようにフォクシー海賊団の面々も興奮していた。
その様子に対して疑問に思った瞬間、「“ノロノロビーーーム”‼」と叫んだフォクシーの手がピカッと光る。
そこから発射された謎のビームがウソップ達の船に当たった瞬間、船の速度が急激に低下した。その隙に相手がゴールしてしまい、第1回戦は負けとなってしまった。
船から上がってきたウソップ達に、何が起こったのか急いで問い詰めると、困惑しながら答えが返ってきた。
「おい‼ウソップ、ナミ、ロビン‼どうしたんだ!」
「勝ったと思ったらお前ら急にノロくなって…!抜かれちまったぞ!」
「―――ええ、勝ったと思った瞬間…あの男の手から光を浴びて…体の自由を奪われた…。というより、私たちとその周りのすべての動きが……遅くなった。船も、波も…」
「すべて元通りになった時にはもう…敵はゴールに…」
「フェ~~ッフェッフェッ…何も不思議がることはねェよ。その原因は“ノロマ光子”‼」
フォクシー曰く、彼は“ノロノロの実”を食べた“ノロマ人間”。触れたものがみな遅くなるという未知の粒子、“ノロマ光子”を手から発せられるという。ウソップ達はその光線に当たったことによって船が遅くなってしまったようだ。
「…畜生、つまりあれにやられたのか……」
「あんなのでレースを妨害されたら…!」
「こいつらのこのゲームへの妙な自信の根源はこれか…!ふざけた
「第1回戦決着~~!!」という勝利の宣言が響き渡る。これによってフォクシーはクルーを一人、麦わらの一味から引き抜く権利を得た。
誰が選ばれるのかと息をのむ。
フォクシーが指定したのは、チョッパーだった。珍しいしゃべるトナカイを得たことによってフォクシーたちが沸き立つ。
チョッパーを取り戻すため、次のゲームでは負けられない。「さっさと始めろ!」と声を上げて動き出すゾロと静かに立ち上がるサンジ。その二人に続いてマリーは気合を入れるため頬を叩いてから歩き出した。
第2回戦は「グロッキーリング」。球役となった人間を、フィールドの端にあるリングにぶち込めば勝ちという、球技とは何ぞやと問いたくなるようなゲームであった。
「おめェら誰が“球”やるんだ?」
「ん」
「ホイ、球印!」
「勝手に決めてんじゃねぇよ!球はテメェだろ、マリモ!こら!」
「…おふたりとも嫌なら、わたくしが代わりましょうか?」
「いやいや、マリーちゃんに危ない役はやらせられないよ!」
球役を決める段階で揉めだすゾロとサンジ。誰が球役をするのかと問う男に、ゾロが勝手にサンジを親指で指し示したせいでサンジの頭の上にスボッ!とボールのついたベルトが乗せられる。
直後にコンダバダバダバ、コンダバダバダバとフォクシー海賊団の船からメロディが流れる。司会が「おっと聞こえてきたぞ、やつらの入場テーマ曲!」と会場を盛り上げる。
海賊船の船首がエレベーターのように上下する上で、大きな人影が見えた。“グロッキーモンスターズ”と呼ばれた男たちが三人、会場に現れる。
3人とも巨大な体を持ち、特に球印をつけている最後尾の男は魚人と巨人のハーフである
「…マリモ、不足は?」
「ねェな」
「マリーちゅわんは俺が絶対守るからねぇ~!」
「ありがとうございます。ですがわたくし、力比べで負けるつもりはありませんよ?」
ゾロは首をゴキゴキと鳴らし、敵を見据える。その目には、かけらほどの怯えも見えない。それどころか、微かな笑みを浮かべてすらいた。
『我らの誇るグロッキーリング最強軍団に対するは、一回戦でお邪魔軍団を蹴散らした”暴力コック”サンジ!!そして六千万の賞金首”海賊狩り”ロロノア・ゾロ!!そして希少種族メリアの女の子“麗しのクロユリ“マリーだ!!』
「一流コックと言え…」
「…………」
「同郷の子はいないのかしら…残念」
コイントスによって、初期位置が決定する。麦わらチームの“球印”を頭につけた“ボールマン“が相手陣地に入った状態で始めるらしい。
「“ボールマン”さっさと位置につけ」
「おいおい、てめェが勝手に決めただけだろ!まだおれは“ボール”なんて引き受けてねェ!こんなダセェのつけてられるか!!」
「ゴチャゴチャ言うな!!……お!ボール似合うぞ?」
「そんなんでのるかボケ!!」
「……公平に、じゃんけんで決めてはいかが?」
「はぁい!そうしますぅ!」
「チッ、しょうがねぇ。おらさっさと決めるぞ、あほコック!」
「誰がアホだ!マリモの分際で!」
「あ゛あ゛ん?」
マリーの提案で、じゃんけんでボールマンを決めようという話になったが、いざそれで決めてみるとサンジが「おそ出ししたじゃねェか!」と騒ぎ出し、ゾロもサンジを挑発するばかり。
マリーはキリがないと判断して、無言でサンジの頭にあったボールを自分の頭に乗せてコートに向かう。途中、心配したサンジが止めようとするが「お二人ともボール役は嫌なのでしょう?わたくし頑丈ですので、心配には及びません」と跳ねのけた。
これ以上ボール役をめぐって争ってもしょうがないと判断してコートに向かうゾロに、審判から声がかけられる。
「おいお前、武器は反則だぞ!刀を外せ!!」
『そう!これは球技、武器を持っちゃゲームにならないよ!!』
「ん?そうなのか」
注意を受けたゾロは、腰に差していた三本の刀をウソップたちへと預ける。
「……ま、別にどっちでも構わねェが……!」と拳をゴチンと合わせてみせた。
「おい…大丈夫か?剣豪が刀を失うってことは…」
「何だ」
「ヘナチョコの出来上がりだな」
オォラアアア!!と声を上げて素手と蹴り技の応酬を始める二人に、ウソップが「大概にしろお前ら‼」と怒りの声を上げた。マリーも呆れて「大丈夫でしょうか、この二人…」と頭を抱えてため息をついた。
・
・
・
いよいよ試合が始まる。マリーは敵陣のコートの中で、敵である3人からの視線を受けながら佇んでいた。
『さぁ、“ボールマン”マリーは敵陣でどう動く!?引くか攻めるか!?』
「やるどー!“
『まずは【タックルマシーン】ピクルスが行った~!可憐なレディに巨体が迫る!』
「マリーちゃん、危ない!」
真っ先に動いたのは、中くらいの大きさであるピクルス。肩の鎧を前面に押し出しながらのタックルが、ドォン!と音を響かせながら猛然とマリーに迫る。
その様子を自陣から見たサンジが、急いでマリーを退避させようと走り出す。
しかしそれより早く、マリーがピクルスの真正面に走り出した。
正面衝突する二人。対格差から圧倒的に有利であるとほくそ笑んでいたピクルスが、ぶつかった瞬間、一瞬思考が停止した。
二人が衝突し、壁に激突したかのような衝撃に体が弾かれる。弾かれた
「…
「おれのタックルが、こんな簡単に防がれた…!?」
「へェ、やるじゃねェか」
二人の衝突地点から動かずにいるマリー。その顔に焦りはなく、最初と変わらない余裕な表情で佇んでいる。
巨体のピクルスと衝突しても後退することもなかったマリーの怪力に、ゾロがヒュウ、と口を鳴らした。
「じゃあ、今度はこちらから行きますね!」
「くっ…!“スピニングタックル”~~~~‼」
警戒して後ずさるピクルスに、マリーのほうから勝負を仕掛けに行った。それをピクルスは両腕を振りまわして迎撃する。
マリーはその竜巻の如きラリアットを、またも真正面から受け止める。腰を低くし、受け止めた腕を抱きしめた。そのまま腕を離さずに、ピクルスの巨体を砲丸投げのようにぐるぐると振り回し始めた。
「マリーちゃんだけに任せておけねェ!”
「なにっ!?グワァァァ!!」
「ならオレはあのデカブツだ!」
マリーの動きからこの先の狙いを読み取ったサンジは、ピクルスの惨状に気を取られていた一番小さい男――といっても、サンジよりだいぶ大きいのだが――ハンバーグに勝負を仕掛けに行く。黒いズボンがハンバーグの後ろではためく。よそ見していたハンバーグに、サンジの蹴りが直撃した。首を蹴られ脳を揺らされたハンバーグは脳を揺らされ、意識が朦朧とした。
ゾロは一番大きなビッグバンに向かって走り出す。ゾロの存在に気が付いたビッグバンがゾロを踏みつぶそうとするが、それを素通りしビッグバンの背後――ゴールとの間に入り込んだ。
「あああ!?あああああ!」
「せ、え、の、っと!」
「おらァ、飛んでけェ!”
「ぶガァァッ!?」
マリーがピクルスを、サンジがハンバーグをビッグバンへと叩きつける。ドンッ!とすさまじい衝撃とともに、ビッグバンの体が一瞬浮き上がり地面に座り込んだ。
体勢を崩したビッグバンにゾロが迫る。倒れた状態からからだを立て直そうとするビッグバンにその隙を与えず、ゾロはビッグバンの髪の毛を鷲掴む。
「いててて~~~!はなせ~~!」
「このまま、飛べェ!」
髪の毛を掴まれる痛みに耐えかね、ビッグバンはゾロを追い払おうと後ろ手に掴みかかる。それを待ってましたと言わんばかりに、ゾロは自分に襲い掛かる腕の片方を抱え込む。
そのまま全力で体をひねり―――ビッグバンの巨体を、ものの見事に持ち上げた。
「何ィ~~~~!?!?」
『ビッグバンの巨体が浮いた~~!?すさまじい一本背負いだ~~!』
ビッグバンの体が一度垂直に持ち上がってから、ゴールに腹から叩きつけられる。
一瞬の沈黙。両陣営の観客が思考を止めた。
ゲームが終わったことに気が付いた審判が、試合終了の笛を鳴らす。その瞬間からじわじわと、数秒の後に一気に歓声が爆発した。
『ゴール!ゴール!ゴ~~~~~~~ル!!!』
「やったー!勝ったぞ~~~!」
「やったぞー!うおーーー!こんちきしょー、うおーーー‼」
ゾロたちが勝利したことに、ルフィとウソップが歓声を上げる。遠くを見れば、嬉しさのあまり涙を流しながら解読困難な声で三人を呼ぶチョッパーの姿があった。
「スゲー!スゲーぞあいつら」
「バキヤロウ!敵を称えるヤツがあるかおめェら!」
ゾロたちの圧倒的な勝利に、敵の陣営からもゾロたちを称える声が聞こえた。フォクシーはそんな仲間たちに文句を言うが、それでも歓声は止まなかった。
『デービーバックファイト二回戦!無敵のチーム、グロッキーモンスターズを下し!ゲームを制したのはな~~んと!麦わらチ~ム!大勝利~~~っ!!!圧倒的な瞬殺だ~!』
「んナミさ~~~ん♡ロビンちゃ~~~ん♡見てた⁉ホレた⁉」
「素敵だったわよ」
「マリーもやるじゃない!あんな大きな男たちをぶん投げるなんて!」
「ふふっ、腕力と耐久力には自信があるんですよ」
『さー、それじゃあ二回戦の勝者麦わらチームにはフォクシー海賊団から船員一名もしくは海賊旗を奪う権利が与えられるよ~! 麦わらの一味船長はだ~れが欲しいのかな!?』
ドラムロールが鳴り響く中、ルフィはチョッパーを指名しようと声をあげたが、それを「ちょっと待ってルフィ‼」とナミが抑えた。
「三回戦は一対一の決闘よね。出場選手はルフィとオヤビンだけ。じゃあ今オヤビンを取っちゃえば三回戦は不戦勝になって、もうこれ以上戦うこともなくチョッパーを取り戻せるんじゃない?」
『ピ…ピーナッツ戦法だ~~!!信じ難い!!耳を疑う悪魔の提案、人に非ずその女!!その名も“外道”!!航海士ナミ~~~‼』
ナミの提案に、どよよっ!とフォクシー海賊団の観衆が困惑し「見損なったぞおめェら~~っ‼」「このピーナッツ野郎~‼」とブーイングが飛ぶ。さっきまで散々卑怯な手を使っていた彼らの手のひら返しに、ナミがいい加減疲れたらしくロビンに泣きついていた。「ピーナッツ‼ピーナッツ‼」と攻め立てる声にルフィやサンジが怒りをあらわにしようとするが、その前に立ち直ったナミが一喝して沈めたのだった。
「ねェ航海士さん、あなたの提案、確かにここで決着をつけられるけど、同時にオヤビンが仲間になっちゃうわよ」
「「「あれはいらねェ」」」
唐突な流れ弾にオヤビンが撃ち抜かれた。そのまま地面に頭をこすり始めたが、麦わらの一味はだれも気にしなかった。
「うわー‼オヤビンが気持ちの重さで地面にメリ込んでるぞー!!」
「いやんオヤビン!私たちにはあなたが必要ですよ!!」
「オヤビン!三回戦のコンバットで目にもの見せてやりましょうよ!!」
「そうだぜ!!楽しみだ!!三回戦!!」
「そうすりゃオヤビンだって勝利の祝福にキスがもらえるさ!!」
「愛してるぜオヤビーン!!」
「お、お前ら……!!」
「茶番はいいから次いけよ」
「「「オヤビーン‼」」」
仲間たちの励ましによりやる気を取り戻したらしいフォクシーは、サンジによって再度沈められた。しかし仲間に励まされたことで耐性が出来ていたのか、すぐに起き上がった。
「いいかお前ら……!!三回戦の“コンバット”、俺に勝つことは“不可能”だと言っておく!!最終戦で取られた船員はもう取り返せねェ。
「何を!?おれがお前に敗けるかァ!!」
「フェッフェッ……ケンカとゲームは……違うんだぜ」
三回戦“コンバット”のルールは次の通り。明らかに不正だろう大砲によって決められた場所から直径100mの“円”がバトルステージ。武器でも兵器でも、何でもありの中で範囲から叩き出せば勝ちという、なんとも物騒な相撲だった。
バトルが始まる前にフィールドメイクが行われ、その間は自由時間となった。サンジやルフィ達は屋台を楽しみ、ナミはいいから早く始めなさいと吠えていた。グッズ販売とか誰が買うんだとナミは見ていたが、ノリがいいのかルフィとウソップは買っていた。
『ライン設置完了、お待たせ致しましたァ‼本日のメ~~インイベントッ‼「コンバット」‼ま~~もなくゴングだよ~~っ‼』
開幕の黒煙が大砲により打ち上げられ、それを背景に船長二人の手配書が並べられる。
『さ~~て、今回の対戦はこの二人‼計らずも船長対決~~~‼
まずは来る者拒まず!コンバット無敗伝説920勝!全ての勝負に勝つ男!フォックスヘッドのレフトコーナーより入場!我らがオヤビン、”銀ギツネのフォクシー”!!!』
盛大な歓声の中、グローブを付けたフォクシーが現れる。フェッフェッフェッと笑いながら、愉快な音楽と紙吹雪とともに歩みだす。
『さァそして対するは“
「うがーーーーーっ!!」
ウソップをセコンドに、ルフィがマントから姿を現す。いつの間に整えたのか、それともカツラなのか、その頭には大きなアフロが乗っていた。ウソップはウソップで、なぜか「根性」と書かれたパーカーを着ている。なぜだ。
『さ~~~‼待ちに待ったメインイベント!両選手がバトルフィールドに足を踏み入れたよ‼』
シュッシュッ!とルフィがシャドーボクシングをくりかえし、ウソップはルフィに「ワキを締めてけ‼そして見せてやれ‼黄金の右!!」と声援を送る。対するフォクシーはコキ!コキ!と首を鳴らしながら、ルフィの格好を「何て野性的なスタイルだ!」と敵ながら天晴だと称えた。
「……ウソップがセコンドについたのが間違いだろ」
「……!!」
「やるなァ!ブラザー
「……あの髪型、意味があるんでしょうか?」
「まじめにやってほしいわ」
「ウフフ、素敵じゃない」
司会の指示により、そうそうにセコンドは退場する。そして会場には対戦相手の二人だけが残された。
『一本勝負、コンバット~~~!! 広い決闘場に残されたのはたった二人の海賊!!』
「! え…何!?」
「客席が……上がっていく…!」
司会の声に合わせ、巨大なフォクシー海賊団の船を上から見れる位置にまで客席が上がっていった。
「頼むぜオヤビーン!」
「コラ麦わらァ!ナイスファッショ……!ノされちまえ!」
「ルフィ!!勝て!とにかく勝て!!」
「ビームに気を付けるのよ!!ビーム!!」
『さァさァさァ!会場を熱気が包み込むよ‼仲間を奪るか奪られるか!!もう後がない!!デービーバックファイト最終決戦!!銀ギツネのフォクシーVS麦わらのルフィ!両海賊団主力対決にその全ての命運がかかる!!
―――そして今…!決戦のゴング~~~~ッ!!!』
カァーン!!と試合開始のゴングが鳴り響いた。