久しぶりに故郷に帰ったけどなんか変 作:ZZZAAAA
「あ、別に路上パフォーマンス程度だったら許可とか要らないです」
「マジですか」
秒で用事が終わってしまった。てか路上パフォーマンス程度って……いや、5年前も割とそんな感じだったか。やっぱちょっと以上に治安が終わってるよなミアレシティ。
にしてもどうするか、暇になってしまった。時間かかると思って早めに市役所に来たが、ここまで早く終わると時間が微妙すぎる。朝食に
「「暇だ……ん?」」
うお、そのシャンデラ帽子イカすね。
「やっと終わった……」
まさか朝から市役所に行く羽目になるなんて……割とよくあることだから困る。
「全く、シローはもう少し自分の大きさを考えるべき」
声も体もついでに力の種族値と努力値も大きい。その大きさのせいで毎回市役所に行かされるあたしの気持ちにもなって欲しい。無理か。
それにしても、思ったよりは早く終わった。スマホロトムを見れば時間はまだ昼食には早いくらい。シロー達は今頃演説中だろうし、カナリィは配信中。
「「暇だ……ん?」」
わ、シャンデラのポーチ可愛い。
「玄人同士多くは語らない、シャンデラ良いよな……」
「良い……」
互いに手持ちにシャンデラが居る、そして凄まじく暇という2点でついさっき意気投合したムク嬢と近くのカフェでティータイムである。シャンデラ、良いよね……俺のシャンデラはちょっとアホみたいに俺の魂燃やしてるけど。別にいいんだけどね、多分3000年くらい寿命あるから。
「にしても、そのシャンデラ帽子イカすねムク嬢。メガストーンもあるし、もしかして手作りだったり?」
「そう、可愛いだろ」
「さいっこうに可愛いね」
いや、実際マジで上手いと思う。裁縫上手いの羨ましいぜ……旅してると裁縫技術結構使うからな。俺の場合しょっちゅう服破けるし。
「そっちのシャンデラのポーチもなかなか可愛い」
「だろ? イッシュ地方を旅してる時に知り合いのシャンデラ使いが教えてくれた店に売ってたんだよ」
あの黒くて声がデカい兄の方は元気してるだろうか。ちょっとの間だけ行方不明になってたらしいから心配。
「それなんて言うお店?」
「それがな、どうしても思い出せないんだよ……2回目に行ったときは跡形もなかったし」
「なるほど……ゴーストタイプ関連の店ならそういうこともあるか」
ムク嬢が残念そうな表情。いやマジで思い出せないんだよな……今話したエピソード以外なんも思い出せない。何ならエピソードも情報として覚えてるだけであって情景は覚えてないし。とっても不思議な店だったよ……
それはそれとして、子供がしょんぼりしてる所を見逃せる男じゃないもんで。右腕の袖をまくる。
「ムク嬢、ちょっと俺の右手にご注目」
「……手がどうかした?」
「まぁ、ちょっと待ってな。うぐぐぐぐ――」
ポンっと音を立てて、いつの間にやら右手にはシャンデラのデザインがあしらわれたペンが現れる。
「おぉ~~!」
パチパチと拍手。最高の報酬、手品師として冥利に尽きる。これだよこれ、やっぱり最高。
「ポーチは流石にやれないが、これならプレゼント出来る」
「良いの? ありがとう、感謝」
ニコッと笑顔。人を笑顔にできる手品って最高。もうほんと、最高。
俺の語彙力死にすぎじゃね? まぁ、最高だから仕方がないか。
「にしても、手品師だったのか。手品師がどうして市役所に?」
「路上パフォーマンスの許可取りに。まさか許可いらずだとは思わなかったけどな」
ジョウトもカントーもガラルも路上パフォーマンスするなら許可取り必要だったぞ。パルデアはなんか知らないけどOKだった。あの地方ちょっと緩くない? 全体的に緩すぎて物理法則もちょっと緩くなってる気がするんだよな、あの地方。
「質問を返すが。そっちはどうなんだ、ムク嬢。どうしてこんなそこそこ早い時間に市役所に?」
「ジャスティス会――あたしの兄がやってる道場への苦情の対処」
「あー……大変そう、だな?」
「すごい大変。ほぼ毎日市役所に行ってる」
「……その、お疲れ様」
とりあえず、ここの支払いは俺が持とう。いや、聞いてくれ、もともと俺が奢るつもりだったよ? 男としてカッコつけたいし。
流石にさ、もうカッコつけるとか抜きで奢らなきゃって気持ちになったよね。頑張ってる子に弱いんだおじさんは。まだ、おじさんって程の年齢じゃないけど。
「ガレットとか、食うか? 代金は俺が持つから」
「良いのか? あたしは遠慮しないぞ?」
「良いのよ良いのよ、俺ってば結構金持ってるんだぜ?」
ま、嘘だけど。宵越しの金は持たない主義なのよね俺ってば。そのせいで食う飯に困って定期的に相棒達に締め上げられるんだけど。良いだろ別に普段から俺より良い物食ってるんだから。
「……ん」
そんな時だった。ゴリゴリとミアレガレットにしては固い音を鳴らしながら咀嚼していたムク嬢が、何やらに気づいた風な感じで視線を俺のスマホロトムに向けた。お、通知が来てら。えーっと……
「ZAロワイヤルご参加のお願い……?」
「あれ、ZAロワイヤルに参加してなかったんだ」
「そりゃあな、昨日の夜にこっちに着いたばかり。このZAロワイヤルについても……まぁちょっと知ってるくらいだな」
面白そうだからとりあえず参加は承諾することにする。なんか金も手に入るらしいしな。
「へえ、ロワイヤルに悩みもせずに参加するなんてよっぽど叶えたい願いがあると見た」
「え、ナニソレ?」
「あれ、知らないのか? ならば教えよう。ZAロワイヤルでAランクになったトレーナーはなんでも願いをかなえて貰えるのだ……まぁ、クエーサー社に出来る範囲だけど」
それはなんとまぁ、良い事を聞いた。
「良いね、面白い。こりゃ目指すしか無いな、最速でAランク」
「……正直、そんなに強そうには見えないけど」
「中々言うなムク嬢。これでも俺ってそこそこ強いんだぞ」
「へぇ、もしかして沢山ジムバッジ持ってたりする?」
「バッジはパルデアのチャンプルジムのバッジしか持ってない」
「……どこのジム?」
「パルデア」
ま、チャンプルのバッジ取った理由も偶然たまたまジムテストに合格しちゃって、成り行きで取っただけだからな。大会だったりジムだったりそういう類の実績は無い。やけに面倒ごとに巻き込まれることが多いせいでよく分かんない実績は増えていくけどな。
いやぁ、流石にブラックナイトが出てきた時とかは死ぬかと思った。
話を戻そう。一応チャレンジとか関係ないジムリーダーとのバトルだったら結構勝ってるんだよ。パルデアのチャンピオンクラス達とかガラルチャンピオンとも五分くらいの戦績だし!! 常々思うけど初見殺し性能高くて助かるぜ俺の戦法。
ま、普通に初見殺し性能だけの戦法じゃないからちゃんと連戦したって強いけどな俺。伊達に7匹以上のポケモンを連れてる訳じゃないんだぞ俺。
「で、一体どんな願いを叶えて貰うつもり?」
「ん~~……思いつかないな。Aランクになるだけなりたい」
「やけに無欲だ」
「俺が無欲? 冗談。強欲だよ俺は」
残っていたガレットを口の中に放り込む。飛び切り硬いガレットを噛み砕き、コーヒーで流し込む。
「だってほら、俺の方が多くコーヒーを飲んでるし、俺の方が多くガレットを食ってるだろ?」
「確かに。でもそれは強欲というよりは食いしん坊なのでは?」
「あー……そうかもな。確かにチャンプルのジムリーダーと気が合うんだよな」
こうして優雅な昼下がりを過ごして、ムク嬢とは連絡先を交換して別れた訳だ。今度バトルするって約束付きで。
で、夕方。具体的には学校終わりの子供達が帰り始めるくらいの時間帯。適当に人通りの多い場所にカバンを下ろす。カバンから帽子を取り出して被り、それらしい外套を羽織る。
「おじさんマジックするの!?」
「見たい!!」
「はやくー!!」
「はいはい、ちょっと待っててなガキ共」
こういう時、子供達ってのは敏感だ。面白そうなものを見つけるとこうして寄って来る。そして子供達の賑やかさに惹かれて大人たちもやってくる。
準備を終える頃には20人くらいの人だかり。ここからが、俺の仕事って訳だ。
「今日はお前だ、頼むぞシャンデラ」
「デラッシャン!!」
腰のボールからシャンデラが飛び出てくる。今日も良い色、そして良いデカさで燃えている。
「それでは、目を見開いて、見逃さないように、シッカリキッカリ見てけよ!!」
「デラッシャ!!」
声を張り上げ更に人を寄せながら、初っ端最大火力をお見せしよう。最大火力がどんなものかって?
「シャンデラ、的を頼む」
「デラ!」
空中に青い炎が浮かぶ。なんとも不気味な雰囲気。よく解ってるわうちのシャンデラ。
それで、最大火力がどんなのかって話だよな? そうだなぁ……例えば、自分達と同じ一見普通のただの人間が――
「――
左腕から炎を吹き出しながら、ポケモンの出した炎の的を粉砕するとか……な?
おまけ
バカ(なぜか無性に焼きおにぎりをガッツリ食いたい気分だ……)
バカ「焼きおにぎり2人前で――」
バカ(焼き加減、どうせならこんがりアツアツに焼いてもらうか)
バカ「焼き加減はだいもんじ――」
バカ(とはいえある程度さっぱりしてた方がうれしい)
バカ「付け合わせにレモンで」
おばちゃん「ジムテストクリアです!!」
バカ「???????????????????????」
リーマン「めんどうです……」
バカ「???????????????????????」
しっかり勝ったしおにぎりは食ったしリーマンとはなんか話が合ったので連絡先交換した
男:生命力ゴリゴリ男。沢山飯食うし沢山動く。そもそも普通にバトルがそこそこ強い。チャンプルのリーマンとはマブだし、ブルベリ学園には弟子が居る。
バカのシャンデラ:アホみたいに主人の生命力を吸って燃やしてる。定期的にバカのバカみたいな量のバカ生命力で胃もたれを起こしてげんなりしている。ショーの手伝いをすることが多い。