新学期が始まり、原作が開始した。
始業式を終えた私は、2年生の教室にクラスメイトたちと一緒に移動した。
クラスメイト達の話題は今年入学してくる世界初の男性IS適応者である織斑一夏の話ばかりである。
私はボケーっと退屈そうな雰囲気のロールプレイを行いながら、耳ではしっかりとその噂話に聞き耳を立てていた。
「織斑くんってどんな子なんだろう?」
「写真見たけどめちゃくちゃイケメンだったよ!」
「そんなに?うわぁ~あと1年生まれるのがあとだったら同じクラスになれたかもしれないのに〜」
好意的な意見が多い一方、他の大きな声でかき消されて聞き取りづらいが、ヒソヒソと陰口のようなものも聞こえており、完全に好印象というわけでもなかった。
「…男のくせに」
「たかが見た目が良くて、ISが動かせるだけでなんで…」
「必死に勉強して入ったのに、男でもISが動かせるからって普通入学させる?」
上記2人の発言には共感できないが、最後の人の発言は理解できないこともない。
実際、彼にここでついてこれるだけの学力があるのかどうかは不明だし、アニメでもあまり言及されていなかった。
ISを動かせることに関しても、別にIS学園でなくても各種研究施設でも構わない気はする。
…多分、どこぞのブラコンとか生徒会長が手を回したんだろが、私としてはロールプレイが捗るから特に思うことはない。
「八重さんはどう思う?」
「うん?私かい?」
八重結城、今世における私の名前を、私の前の席に座る望月さんが呼びながら聞いてくる。
「そうだな〜私の昼寝を邪魔しなければいいよ」
私はロールプレイに合わせてちょっぴり怪しく、気だるさを感じさせる雰囲気で応える。
「ははっ八重さんはブレないなぁ」
関心よりも呆れが目立つ言い方では合ったが、ここで指摘するのはロールプレイ的にNGなので気にせず窓の外を眺めた。
晴れ渡る青空に桜、近未来的な建物の中に見事なまでの日本らしい要素が垣間見えた。
「HRを始めるぞー」
「「「はーい」」」
体育会系の女教師が教師に入るなり一層大きな声でそう言うと彼女たちは噂話をやめ、教師の方を向いた。
私も、ロールプレイの一環とはいえ虚空を眺めるわけにはいかず、先生の方を向き今日の授業が始まった。
「――よし、帰りのHRは以上だ、解散!」
放課後、担任の話が終わり一日の授業が終りを迎えた。
私は少し時間をおいてから教室を出て校舎の裏側へと足を進めた。
そこはグラウンドの横に桜の木が一本だけ生えており、心地よい場所なのだ…と言うのは建前である。
勿論、それらの理由も確かにあるが、この場所は各種アリーナや剣道場に向かうのに1年生の寮から一番近く、序盤にファースト幼馴染にしごかれる原作主人公が立ち寄る可能性が高い場所だからだ。
「よ~し、晩御飯の時間まで存分に昼寝するぞ」
今回のロールプレイは単純明快、ダウナーでめんどくさがりなお姉さんキャラだ。
ISの原作にはいない主人公に執着とかはしない性格でマイペース、独自の価値観があり原作キャラを少年や少女と言うちょっと不思議な先輩キャラのイメージだ。
見た目もそれに合わせて緩い黒髪ロングに気だるげな目元、少し着崩した制服にそこの見えない謎の笑みとそれっぽく仕上げた。
見た目の影響とは馬鹿にならないもので、存外人のイメージの8〜9割は決まるという。
私もそのへんを考慮してロールプレイをやっているから、あながち間違っていないと確信している。
「ふぅ~ここはやっぱり落ち着くなぁ」
まだ明るい空を見上げ芝の上に仰向けになる。
それからただ、ぼーっと空を見る、段々と空が茜色に染まり暗くなっていく。
私は眠くなり、少し目を閉じる。
そして…にわかに聞こえてきた足音と声に目を覚ました。
「〜〜〜〜」
「〜〜〜!」
「っ!〜〜!!」
「イタッ!」
言い争うような声が聞こえた後、何かが空を切り打ち付けた音と痛みを訴える声が聞こえた。
その後、駆け出す女性と思しき声を聴き、私は運が良いと思った。
「――おい!待ってくれよ箒!」
「うるさいっ!ついてくるな!」
真後ろをかけていくファースト幼馴染に困ったのか、立ち止まり頭を掻く男の姿…間違えるはずがない、この場所で年若い男性といえば彼以外いないのだから。
私は意図的に少し声を低くして笑い声を出し、向こうがこちらに気付いたタイミングで声をかけた。
「ふふっ…どうした少年?」
危うさと茶目っ気を感じさせる雰囲気で私はロールプレイを始めた。
やくわり→やくり→や…予測変換→八重
ゆうぎ→結城
名前→八重結城
ということで主人公ちゃんはロールプレイちゃんこと八重結城になりました。
次回は織斑一夏視点からになる⋯はずです。
後、面倒なのでフォントとかは随時追加していく予定です、とりあえず一区切りつくところまでは進めたいです。
あ、感想いただけたら幸いです。(モチベ的な意味合いで)