こともちゃんの口調寄せるのが難しかったです。寄せられてない気がするけど…
いつにも増してキャラ崩壊注意!
二人は神社の階段に腰掛け、とりあえずお互い自己紹介を済ませる。
「はじめまして、わたしはことも。⬛︎⬛︎町に住んでるよ。」
「ハルです。えっと、この子はユイのわんちゃん…で、こっちがコトワリさま…この人は…えっと…あやしいひと?」
「怪しい人て。」
ハルは、こともの説明でようやくこともが自分と違った世界を見ているとわかった。
「多分、わたしが見たのが本来のすがた…っていうか、あの人、よまわりさんって言ってすごいあぶないおばけよ?夜に外に出てるこどもをさらっちゃうの。わたしも何回かさらわれたよ。」
「そ、そうなんですね…」
「…あと、そこの子本当にいいやつ…?言っちゃなんだけど、かなりその、まがまがしい見た目をしてるんだけど…」
「…うん…」
多分、電車のお姉さんを救ってくれた時のような神様モードが本来の姿で、こともには常時そう見えているんだろう…とハルはなんとなく察した。
実際には少し違う。ハルが見た姿の方が、グロい。
中途半端に子供形態(足とか)が残ってしまっているため、『抜け殻』感がすごい。変身シーンなぞ見せられた日には即SAN値チェックレベルの代物だ。
「…わたしの他に、神様をつれてる子がいたなんて、ね」
そう言ってこともは左手を出す。
スルスルとそれを伝って現れたのは一匹のムカデだ。
「ひえっ…」
「あ、もしかして苦手だった?ごめんね」
少し声を上げてしまったが、怖いものならこの夜で見慣れている。今更虫くらいどうってことはない。
ただ、遠慮なくそれに触りに行けることもにびっくりしただけ。
「ムカデさまはわたしの町の商店街を守ってる神様で…すごく強いの。ちょっと色々あって、今はいっしょに行動してる」
さっきこともから聞いた。山の神に姉を連れ拐われたこと。なんとか姉は取り返せたが、代償に左目を奪われ、昼でも夜でも関係なくお化けが見えるようになってしまったこと。
「ムカデさまのことを信仰してるのが、今は私だけっぽいからね。お化けにやられちゃわないように守ってくれてるみたい」
なるほど、そういう共生関係もあるのか。ハルは頷いた。同時にハルは疑問を抱いた。
「…こわく、なかったんですか?」
どうやって、そんな勇気が出せるのか。姉を助けるためとはいえ、神様なんて恐ろしいものに立ち向かうことができるのか。
「う〜ん…私もあの時は、お姉ちゃんを助けることしか考えてなかったからなぁ…えいーってつっこんだら、なんとかなっちゃった感じかな?」
まあ、なんとかなってないけど。と、痛々しい左目を指さしてこともは笑った。
…それはあまり、ハルの求めていた答えではなかった。こともはきっとユイのように、生まれつき強い人なのだろうとハルは思った。
ユイ、と口の中で小さく呟くハル。
山の神に連れ去られたと言うこともの姉が、その想像の姿に重なった。ハルは無意識に左眼に手をやってしまう。
…あれらに立ち向かうには、それほどの覚悟を負わなければならないのか。
「わたしは、人間みたいなすがたをしてる神様がいるなんてそっちの方がおどろきだよ。」
そう言って、ふいとこともは顔をあさっての方に向ける。
そこには手に“手、足、首のついた”くまを形取った飴細工を持ち、それをぺろぺろと舐めるコトワリさまがいた。
ちなみに飴細工はこともから譲って貰ったものだ。「おかねはらうので、それ、ゆずってくれませんか!?」と手にいっぱいの10円玉を持ち涙目で震えるハルと、「いや、クジ引きで当たったやつだしタダであげるよ…」と申し訳なさそうに応えることもの押し問答があったりもした。
「まるで私たちと同じみたい…」
「あいつは特に慈悲深い神だからねぇ…」
「うわっびっくりした」
よまわりさんがいつの間にか横に立っていた。ハルは驚きと恐怖の目を向けて、こともは遠慮なく嫌そうな眼を向けた。
「実際、今のあいつだいぶ弱ってるよ。あの姿なら君たちと同じか、ちょっと上くらいしか無いんじゃない?」
「それは力が?」
「う〜ん…まあそんなこと。言っとくけど異常だからね?」
確かに、本気を出せばあの姿にもなれるとはいえ、自分たちと同じところまで落ちてしまうのは異常だとこともは分かる。神と名のつくものと対峙して、その存在の「圧」を身に沁みて分かっているから。
「なら、なんでこんなことになってるんだろう…」
「…困っている人がいたら助けちゃう。そう言う心優しい性質の神は、いつしか畏怖の面を忘れられて身勝手な願いを託される。そうして汚れきって、自分が何者かすら分からなくなって…
とりあえず何か悪いものになっちゃうんだ。だけどこいつは、そうなってしまう前に汚れごと自分をばっさり切り捨てちゃった。縁切りの神の力でね。」
「へぇー…」
「か、覚悟ガンギマリ…」
ハルは感心して、こともはドン引きしている。多分神というものを知っているか知っていないかの違いだ。ハルは運が良かった。数々の修羅場を潜ってきたこともだからこそ、目の前の人物(神)がどれだけイレギュラーな存在なのかを察することができた。
「ちなみに俺の場合はキミのばら撒いたメモのおかげで子供の捕獲率激減しちゃったから、親しみやすい姿になって子供を油断させる方向にシフトしたの」
「ちなみに成果は?」
「このとおり」
よまわりさんは両手をぱーっと広げてみせる。
そのぬるっとした立ち姿を見上げて、ですよねとこともとハルは遠い目をした。夜道で出逢う得体の知れないオバケが得体の知れない大人に変わっただけで、恐怖はどっこいどっこい。いや、さらに増しているかも知れない。
「…変質者…」
「誰が変質者だ」
ある意味お化けより嫌かもな、とこともはさらに遠い目をした。
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「じゃあハルちゃん、親友探しがんばって」
「ありがとうございます!」
深々と腰を折り曲げてお礼をいうハルに、いーっていーって、と軽い調子でこともは手を振った。
自分より少し年上の、夜の先輩。
大切な人を助けるために、色んなものを失って、今も夜に囚われ続けている。そんなこともに、ハルはユイとはまた違った憧憬のようなものを抱いた。
カッコいい、なんて言ったら不謹慎なのは分かっている。
それでも、幾つもの困難を、夜を乗り越えてきたその背中は頼もしく見えた。
「ハルちゃん」
「はい!」
「気をつけて、ね」
…それは忠告であった。
これから先、夜に立ち向かうなかで失ってしまうものも、それでも取り戻したいという気持ちもどちらも分かることもからの、精一杯の助言。
「…はい!」
「…」
ハルはそれに、何かを決心したように強く答える。隣でコトワリさまも微かに頭を震わせた。
そのまま二人は、夜闇に溶けて消えていった。
こともはそのちらちらと揺れる懐中電灯の光が完全に見えなくなるまで、ぼんやりとその姿を眺めていた。
「やさしい神様、かぁ…」
あの子は、何も失わないといいな。
眼帯をなぞりこともはぽつりと呟く。
「…わたしもいこっかな。」
ぴょいと石段から飛び跳ねて、ことももまた夜を歩き始める。
その側を、一匹のムカデがちょろちょろと走っていた。
「…ねえ、ムカデさま。ムカデさまもあんな風になれるの?」
こともは歩きながら何気ない質問を投げかけた。別に、そうなって欲しいとかいう訳ではない。ただ単に気になっただけ。
…だけ、だったのだが。
「…え?」
ふいに、隣にあった気配が消えた。
同時に背後から、からんという下駄の音が聞こえる。
ばっと後ろを振り返り、頭上を見上げたこともは…
「…ひゅっ。」
息を呑み、しばらく固まってしまったのだった。
・大百足(擬人化形態)
2メートルを超える身長にごちゃっとした和服を身に纏った男性。
老人のような骨ばった手つきをしている。
顔には儀式やる時によくつけてるやつ(雑面とか面布とか言うらしい)をつけており、コトワリさま程ではないが無口無表情。
何故か初恋キラー属性がありこの度見事に幼女先輩の癖を歪めてしまった。責任取ってください。